12.2.2 バージョン8のJP1/IMマネージャー製品からのバージョンアップについて
バージョン8のJP1/IMマネージャー製品からバージョン10のJP1/IM - Managerにバージョンアップする場合,次の点に注意してください。
- 〈この項の構成〉
(1) バージョン8のセントラルコンソールからのバージョンアップについて
JP1/IM - Managerをバージョン8からバージョン10にバージョンアップする場合,事前に設定情報のバックアップをしてください。バックアップの方法は,過去のバージョンのマニュアルを参照してください。
バージョンアップすると,バージョン8のJP1/IM - Managerのセントラルコンソールの定義情報が引き継がれます。ただし,次の点に注意してください。
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論理ホスト(クラスタ)環境についてはjp1cohaverupコマンドを実行して今バージョンで追加された定義情報を反映する必要があります。
参照先:マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager コマンド・定義ファイルリファレンス」の「jp1cohaverup」(1. コマンド)
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旧バージョンのJP1/IM - ManagerおよびJP1/IM - Central Consoleでイベント取得フィルター(互換用)を使用していた場合,バージョンアップしてもイベント取得フィルター(互換用)はJP1イベントの監視にだけ有効なフィルターとして動作します(フィルター位置はイベントコンソールサービスとなります)。
図12‒2 イベント取得フィルター(互換用)のフィルター位置 この場合,次に示す機能は,JP1/IM - Managerが取得したJP1イベントすべてを処理対象とします。
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自動アクション(アクション実行サービスが該当)
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セントラルスコープ(セントラルスコープサービスが該当)
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相関イベント発行(相関イベント発行サービスが該当)
このため,フィルターの設定によっては,例えば,自動アクションが実行されているにもかかわらず,[イベントコンソール]画面にはその自動アクションの契機となったJP1イベントが表示されない,といった現象が発生することがあります。
また,イベント取得フィルター(互換用)で定義できる内容は,JP1/SESイベントの取得可否,重大度,イベントIDによる取得可否だけです(ほかのフィルターと同等の細かな条件定義ができません)。
JP1/IMとして取得するJP1イベントを統一したい,または,ほかのフィルターと同様に,詳細にフィルター条件を定義したい場合には,jcochafmodeコマンドを実行して,フィルター位置をイベントコンソールサービスからイベント基盤サービスに移動してください。なお,元のイベント取得フィルター(互換用)で設定した内容は,次表のとおりに引き継がれます。運用に合わせて設定内容,条件群名を変更してください。
表12‒3 イベント取得フィルター設定項目の引き継ぎ jcochafmodeコマンド実行前の設定
jcochafmodeコマンド実行後
設定なし
何も設定のない「既存条件群」に引き継がれる。
イベントIDだけ設定
「既存条件群」に引き継がれる。
重大度だけ設定
「既存条件群」に引き継がれる。
JP1/SESイベントだけ設定
「既存条件群_SES」に引き継がれる。
JP1/SESイベント,イベントIDを設定
JP1/SESイベント,イベントID※の設定が「既存条件群_SES」として引き継がれる。
イベントID※の設定が「既存条件群」として引き継がれる。
重大度,イベントIDを設定
「既存条件群」に引き継がれる。
JP1/SESイベント,重大度を設定
JP1/SESイベントの設定は「既存条件群_SES」として引き継がれる。
重大度の設定は「既存条件群」として引き継がれる。
JP1/SESイベント,重大度,イベントIDを設定
JP1/SESイベント,イベントID※の設定が「既存条件群_SES」として引き継がれる。
重大度,イベントID※の設定が「既存条件群」として引き継がれる。
なお,バージョンアップ前のイベント取得フィルターで運用したい場合は,jcochafmodeコマンドの実行は不要です。
参照先:マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager コマンド・定義ファイルリファレンス」の「jcochafmode」(1. コマンド)
- 注意事項
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jcochafmodeコマンドを実行して,イベント取得フィルターの位置をイベントコンソールサービスからイベント基盤サービスに変更すると,以前のイベント取得フィルターに戻せなくなります。jcochafmodeコマンドを実行する前に,イベント取得フィルターの位置の変更について,十分に検討してください。
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自動アクション機能のアクション定義(互換用)が有効になります。バージョン10のアクション定義を使用する場合は,jcadefconvコマンドでバージョン10の自動アクション定義ファイルに変換してください。
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バージョン10のアクション定義を有効にすると,次の項目が指定または表示できるようになります。
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アクション定義のイベント条件に,「一致する」「一致しない」「から始まる」「含む」「含まない」「正規表現」が指定できます。
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JP1/IM - Viewのバージョン10で,[アクション設定]画面が表示されます。なお,アクション定義(互換用)が有効の場合,[アクション設定]画面(互換用)が表示されます。
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自動アクション機能の正規表現の設定が引き継がれます。バージョン10のWindows版では,デフォルトの正規表現をJP1独自の正規表現から拡張した正規表現に変更しています。必要に応じて見直してください。
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相関イベント発行サービスの起動オプションの設定が引き継がれます。デフォルトの起動オプションをcoldからwarmに変更しています。必要に応じて見直してください。
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UNIXの場合,jco_startコマンドでJP1/IM - Managerを起動しているとき,バージョンアップしたあとに次のファイルを上書きコピーしてください。
コピー元:/etc/opt/jp1cons/jco_start.model
コピー先:/etc/opt/jp1cons/jco_start
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JP1/IM - Managerのプロセス名およびプロセス構成が変更されています。バージョン8以前のJP1/Cm2/SSOなどと連携してプロセス監視をしている場合は,バージョン10のプロセス構成に沿って設定を見直してください。
(2) バージョン8のセントラルスコープからのバージョンアップについて
JP1/IM - Managerをバージョン8からバージョン10にバージョンアップする場合,事前に設定情報およびデータベースのバックアップをしてください。バックアップの方法は,過去のバージョンのマニュアルを参照してください。
バージョンアップすると,バージョン8のJP1/IM - Managerのセントラルスコープの定義情報が引き継がれます。また,セントラルスコープの有効・無効も引き継がれます。ただし,次の点に注意してください。
バージョンアップ時点では,セントラルスコープ部分は,旧バージョンの機能範囲で動作します。旧バージョンのJP1/IM - ViewでCSV出力した監視ツリー情報,ビジュアル監視情報をJP1/IM - Manager(セントラルスコープ)に反映したい場合は,この段階で編集,反映を済ませてください。
反映を済ませた場合,または反映不要の場合は,jp1csverup.batコマンド(Windowsの場合),またはjp1csverupコマンド(UNIXの場合)を実行してJP1/IM - Manager(JP1/IM - Central Scope)をバージョン10の環境にしてください。
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論理ホスト(クラスタ)環境についてはjp1cshaverup.batコマンドを実行して今バージョンで追加された定義情報の反映と監視オブジェクトDBをバージョンアップさせる必要があります。
参照先:マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager コマンド・定義ファイルリファレンス」の「jp1csverup.bat(Windows限定)」(1. コマンド)
参照先:マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager コマンド・定義ファイルリファレンス」の「jp1csverup(UNIX限定)」(1. コマンド)
- 参考
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バージョン8のJP1/IM - Viewでは,旧バージョンのJP1/IM - Viewで保存したCSVファイルの内容を表示・編集できます(CSVのバージョンは,タイトルバーに表示されます)。また,編集した内容は,同一バージョンのJP1/IM - Manager,またはセントラルスコープに反映できます。
コマンドを実行する前は,旧バージョンの環境でセントラルスコープが動作するため,旧バージョンのCSVファイルの内容を反映できます。
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旧バージョンで監視オブジェクトDBの自動バックアップ・リカバリー機能を有効にしていなかった場合には,有効に設定することを検討してください。
監視ツリー更新中にOSのシャットダウン,クラスタシステムによるフェールオーバーなどが発生すると,監視オブジェクトDBへの書き込みが中途のままとなり,監視オブジェクトDBが破損してしまうことがあります。これを防ぐため,監視オブジェクトDBの自動バックアップ・リカバリー機能を有効にすることをお勧めします。特に,クラスタ運用の際には必ず有効にするようにしてください。
設定は,監視オブジェクトDBの自動バックアップ・リカバリー設定ファイル(auto_dbbackup_xxx.conf)を引数に,jbssetcnfコマンドを実行して,JP1共通定義情報にその定義内容を反映させることで有効となります。
参照先:マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager コマンド・定義ファイルリファレンス」の「監視オブジェクトDBの自動バックアップ・リカバリー設定ファイル(auto_dbbackup_xxx.conf)」(2. 定義ファイル)
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旧バージョンで次に示す機能を無効に設定していた場合,有効にすることを検討してください。
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対処済み連動機能
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状態変更イベントの上限監視
設定は,定義ファイルを編集し,jbssetcnfコマンドを実行することで有効になります。
参照先:マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager コマンド・定義ファイルリファレンス」の「状態変更イベント件数の上限監視設定ファイル(evhist_warn_event_xxx.conf)」(2. 定義ファイル)
参照先:マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager コマンド・定義ファイルリファレンス」の「対処済み連動設定ファイル(action_complete_xxx.conf)」(2. 定義ファイル)
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(3) バージョン10でIM構成管理を使用する場合
JP1/IM - Managerが運用管理するシステムの階層構成(IM構成)は,バージョン8ではJP1/Baseが提供する構成管理機能で管理していましたが,バージョン10では,IM構成管理で管理することもできます。
バージョン10でIM構成管理を使用してシステムの階層構成をする場合,システム移行時には,バージョン8のJP1/Baseが提供する構成管理機能で定義した構成定義情報を,IM構成管理機能で変更して,構成定義情報を定義できます。作業の流れを次に示します。なお,作業はIM構成管理・ビューアーで実施します。
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システムの階層構成を取得する。
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ホスト情報を収集する。
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下位ホスト情報,基本情報,製品情報,およびサービス情報を確認し,必要に応じて変更する。
詳細については,マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager 構築ガイド」の「1.9.1(2) 既存のシステムの階層構成を編集する場合」(Windowsの場合),または「2.8.1(2) 既存のシステムの階層構成を編集する場合」(UNIXの場合)を参照してください。
システムの移行後,IM構成管理を使用してシステムの階層構成を管理するときは,JP1/Baseが提供する構成管理機能で使用する構成定義ファイルを編集したり,コマンドを実行したりしないでください。