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JP1 Version 10 JP1/Integrated Management - Manager 導入・設計ガイド


6.2.8 エージェント構成とリモート監視構成の選択について

IM構成管理では,エージェント構成のホストに対してJP1/Baseを使用した監視,リモート監視構成のホストに対してリモート監視ができます。

リモート監視では,機能上通信障害などの理由によって,ログ監視が停止してしまう,またはイベントがなくなってしまうおそれがあります。ログ監視が一時的に停止することを許容できないシステムでは,JP1/Baseを導入して監視を実施してください。

JP1/Baseを使用した監視とリモート監視の選択の観点を次の表に示します。

表6‒16 監視方法の選択の観点

項目

JP1/Baseを使用した監視

リモート監視

リモート監視の制限を超える監視をする場合

×

ログ監視の停止やイベントがなくなってしまうことがシステム上好ましくない場合※1

×

JP1/IM - Managerが停止している間もログ監視する場合※2

×

監視対象ホストが頻繁に停止する場合

×

WMI/NetBIOS(NetBIOS over TCP/IP)またはSSHを使用できないシステムの場合※3

×

上記の項目に該当しない場合

(凡例)

○:監視する

×:監視しない

注※1 ネットワーク障害が発生した場合,JP1/Baseを使用した監視では,JP1/Baseがネットワーク障害の間のログを取得します。リモート監視では,リトライで回復できない場合,監視を停止します。

注※2 リモート監視では,JP1/IM - Managerが停止している間に出力されたログファイル,およびイベントログの監視はサポートしません。そのため,例えばクラスタ環境上のJP1/IM - Managerでリモート監視を実行した場合,フェールオーバー中に発生したメッセージを監視できません。

注※3 リモート監視では,監視対象ホストとの通信のためにJP1/IM - Managerをインストールしているホストおよび監視対象ホストに,リモート通信を設定します。設定が必要な通信方式は,監視対象ホストがWindowsの場合はWMI/NetBIOS(NetBIOS over TCP/IP),監視対象ホストがUNIXの場合はSSHです。

リモート監視については,「6.6 リモートの監視対象ホストの管理」を参照してください。

リモート監視には制限値があります。次の表を参考にしてください。

表6‒17 リモート監視の制限値一覧

項目

制限値

リモートで監視可能な監視数の最大値※1

1,024

リモートで監視可能なログファイルのサイズ

64MB

1回の監視間隔で収集できるログのサイズ※2

10KB

注※1 リモートログファイルトラップで監視しているログファイル数と,リモートイベントログトラップで監視しているサーバ数の合計値です。

注※2 収集したログファイルと一つ前のログファイルの差分の合計サイズです。

エージェント構成とリモート監視構成の機能の違いについては,次の表を参考にしてください。

表6‒18 エージェント構成とリモート監視構成の機能の違い

項目

エージェント構成

リモート監視構成

用途

  • ミッションクリティカルな業務の監視(監視精度を優先したい場合)

  • JP1製品の監視

監視精度よりも環境構築などの運用の負担軽減を優先したい場合※1

監視対象

  • シスログ

  • ユーザーログ

  • イベントログ(Windows版だけ)

ログファイルの形式

・シーケンシャルファイル(SEQ)

・シーケンシャルファイル(SEQ2)

・シーケンシャルファイル(SEQ3)

・ラップアラウンドファイル(WRAP1)

・ラップアラウンドファイル(WRAP2)

・JP1統合トレースログ(HTRACE)

・UPDタイプのログファイル(UPD)

  • シスログ

  • ユーザーログ

  • イベントログ(Windows版だけ)

ログファイルの形式

・シーケンシャルファイル(SEQ)

・シーケンシャルファイル(SEQ2)

・ラップアラウンドファイル(WRAP2)

規模

ログファイル監視

無制限※2

1台のJP1/IM - Managerあたりのログファイル監視とイベントログ監視の合計数

1,024

監視間隔

ログファイル監視

1秒〜86,400秒(デフォルト10秒)

イベントログ監視

1秒〜180秒(デフォルト10秒)

ログファイル監視およびイベントログ監視共通

60秒〜86,400秒(デフォルト300秒)

最大構成時は5分間隔を推奨

発行イベント

ログファイル監視

任意のイベントID

イベントログ監視

イベントID:00003A71

ログファイル監視

任意のイベントID

イベントログ監視

イベントID:00003A71

1監視で監視できるログファイル数

Windowsの場合

32

UNIXの場合

100

32

監視対象のログファイルのサイズ

2ギガバイト以下

64メガバイト以下

1回の監視間隔で収集できるログのサイズ

無制限

10キロバイト以下※3

マネージャー停止時の動作

マネージャーホストが停止している場合やマネージャーホストと監視対象ホスト間でネットワーク障害が発生している場合,エージェントホストでJP1イベントに変換し,エージェントホストからマネージャーホストに発生したJP1イベントの転送をリトライできる(デフォルトは3,600秒間に60秒の間隔でリトライする)。

JP1/IM - Managerの停止中に出力されたログファイル,Windowsイベントログは監視できない。

ネットワーク障害時の動作

次に示す制限項目に該当しない場合だけ,リトライ回数の上限に達して監視が停止する前に障害が回復したとき,障害中のログをマネージャーホストに通知する。

  • ログの差分が10キロバイトを超えた場合

  • 監視するログのサイズが64メガバイトを超えた場合

  • WRAP2の場合で,ネットワーク障害中にログがラップアラウンドしてデータが削除された場合

注※1 監視間隔内のログ出力量が10キロバイトを超えるログを監視する場合,JP1/IM - ViewにJP1イベントを表示できません。エージェント構成によるログ監視の適用を検討してください。

注※2 IM構成管理を使用する場合,管理できるログファイルトラップの最大数は1台のエージェントホストごとに100個までです。

注※3 10キロバイトを超えていた場合,JP1/IM - Viewにログ情報を表示しないで,JP1イベント(イベントID:00003FC5または00003FD5)を発行して,ユーザーに通知します。このJP1イベントが発行された場合,直接リモート監視対象ホストのログファイルおよびイベントログを参照し,障害内容を確認してください。

そのほかの違いについては,「6.6.7 エージェント構成とリモート監視構成の違い」を参照してください。