18.5.1 OS共通のトラブル
- 〈この項の構成〉
(1) 短時間に大量のJP1イベントが発生し,登録遅延,転送遅延が発生した。
障害の発生によって突発的に大量のJP1イベントが発生すると,障害が発生しているのに,障害通知のJP1イベントがJP1/IM - Viewに表示されるまでに時間が掛かったり,JP1イベントを契機にしたJP1/AJSのジョブの実行が遅れたりすることがあります。障害が発生したホストの障害を復旧しイベントサービスを再起動しても,転送処理中となったJP1イベントは転送され続けます。
JP1イベントの大量発生(大量発生イベント)によるマシンの負荷や業務への影響が大きく,どうしてもJP1イベントの転送を中止したい場合は,イベント転送抑止コマンド(jevagtfwコマンド)を使用して,JP1イベントの転送を抑止してください。jevagtfwコマンドによるイベント転送抑止については,「2.5.3 JP1イベントが大量発生しているエージェントからのイベント転送をマネージャーから抑止する」を参照してください。jevagtfwコマンドの詳細については,「15. コマンド」の「jevagtfw」を参照してください。
イベント転送抑止コマンド(jevagtfwコマンド)を使用できない環境の場合は,JP1イベントの転送元イベントサーバのイベントDBを初期化してください。なお,イベントDBに登録されているJP1イベントを保存したい場合は,あらかじめjevexportコマンドでイベントDBをcsvファイルに出力してください。
イベントDBの初期化の手順については,「10.2 イベントDBの初期化」を参照してください。
また,JP1イベントの大量発生(大量発生イベント)を防止するために,転送するJP1イベントの条件を転送設定ファイル(forward)で調整してください。なお,大量発生イベントを検知するためのしきい値を設定して,イベント転送を自動的に抑止することもできます。しきい値によるイベント転送抑止については,「2.5.4 しきい値を設定して大量発生イベントの転送を自動的に抑止する」を参照してください。
(2) イベントDBが破損した。
イベントDBは,次に示す要因によって破損することがあります。
-
停電などで,急にシステムの電源が落ちた。
-
イベントサービスの稼働中に,OSのコマンドやバックアップ用のソフトウェアでイベントDBをバックアップおよびリストアした。
-
イベントDBをエディターなどで編集した。
-
コマンドの出力結果などをイベントDBにリダイレクトした。
-
ハードディスクに障害が発生した。
イベントDBが破損しても,イベントサービスは起動または続行し,新規のJP1イベントの登録や取得は正常に行えます。ただし,破損したレコードは,イベント検索や取得の対象外となります。また,イベントDBに破損したレコードが存在すると,JP1/IM - Viewからのイベント検索の性能が低下するおそれがあります。
イベントDBが破損すると,イベントログ,syslog,および統合トレースログにメッセージ(KAJP1057-W,KAJP1058-W,またはKAJP1059-E)が出力されます。これらのメッセージが出力された場合は,イベントDBを初期化してください。
イベントDBの初期化の手順については,「10.2 イベントDBの初期化」を参照してください。
(3) JP1/Baseを起動すると,「SESエミュレータ用のポートIDが定義されていません」のメッセージが出力される。
JP1/Baseの起動時に,「SESエミュレータ用のポートIDが定義されていません」のメッセージが出力される場合の要因と対処について説明します。
- 要因
-
servicesファイルにJP1/SES互換用のポートIDを指定していないためです。JP1/SES形式でイベントを送受信しない場合は問題ありません。
- 対処
-
JP1/SES,JP1/AJSおよびJP1/SESのプロトコルを利用した製品(JP1/OJEなど)とイベントの送受信をする場合は,servicesファイルにJP1AutoJob(Windowsの場合),jesrd(UNIXの場合)を追加してください。ポート番号は任意です。
(4) 定義ファイルに設定した内容と実際の動作が異なる。
ホストで稼働しているサービスの設定が,定義ファイルに設定した内容とは異なる内容で反映されているため,期待していた動作とは異なる動作をする場合があります。この原因を解明するには,実際に稼働しているサービスの稼働情報の内容と定義ファイルの内容を比較する必要があります。
実際に稼働しているサービスの稼働情報の内容を知るには,jbsgetopinfoコマンドを使用します。このコマンドでは,イベントサービスの転送設定ファイル,ログファイルトラップ動作定義ファイル,イベントログトラップ動作定義ファイル(Windows限定)から定義される稼働情報について確認できます。定義ファイルの内容と比較し,異なる場合には定義ファイルの内容を有効になるよう対処してください。jbsgetopinfoコマンドの詳細については,「15. コマンド」の「jbsgetopinfo」を参照してください。