JP1/Base 運用ガイド

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4.4.3 jp1hosts情報とjp1hosts2情報の違い

jp1hosts情報を使用する場合とjp1hosts2情報を使用する場合の違いについて説明します。

表4-3 jp1hosts情報を使用する場合とjp1hosts2情報を使用する場合の違い

項番 項目 jp1hosts情報の場合 jp1hosts2情報の場合
1 インポートした定義を反映するためのJP1/Baseの再起動 常にJP1/Baseの再起動が必要。 他ホストのIPアドレスを追加した場合,JP1/Baseの再起動は不要。
2 物理ホストおよび論理ホストへの定義 物理ホストと論理ホストの両方にホスト定義が必要。 物理ホストに設定したホスト定義が論理ホストにマージされる。
3 クラスタ運用時の論理ホストへの定義 論理ホストへのインポートは,実行系と待機系の両方に必要。 論理ホストへのインポートは実行系だけに必要。
4 共通定義情報への登録 定義内容は共通定義情報へ登録される。 共通定義情報へは登録されない。定義内容はバイナリファイルで保持する。
5 定義できるホスト数 制限なし。 最大10,000台。
6 定義ファイルの1レコードの長さ 最大256バイト。 制限なし。
7 ホスト定義がない定義ファイルのインポート エラーになる。 有効に定義される。
8 設定済みの定義内容と同じ設定の定義ファイルのインポート 有効に定義される。 エラーになる。
9 IPv6アドレス 設定できない。 設定できる。
10 イベントサービスの通信 使用できない。 使用できる。
<この項の構成>
(1) インポートした定義を反映するためのJP1/Baseの再起動
(2) 物理ホストおよび論理ホストへの定義
(3) クラスタ運用時の論理ホストへの定義
(4) 共通定義情報への登録
(5) 定義できるホスト数
(6) 定義ファイルの1レコードの長さ
(7) ホスト定義がない定義ファイルのインポート
(8) 設定済みの定義内容と同じ設定の定義ファイルのインポート
(9) IPv6アドレス
(10) イベントサービスの通信

(1) インポートした定義を反映するためのJP1/Baseの再起動

jp1hosts情報の定義を変更した場合,その内容を反映するにはJP1/Base,JP1/Baseを前提とする製品,およびJP1/Baseと依存関係のあるプログラムを常に再起動する必要があります。

jp1hosts2情報の場合,他ホストのIPアドレスを追加したときは,定義をインポートするだけで定義内容が反映されます。したがって,ネットワークにエージェントホストを追加したときに,マネージャーホストのJP1/Base,JP1/Baseを前提とする製品,およびJP1/Baseと依存関係のあるプログラムの再起動が不要になります。なお,他ホストのIPアドレスの追加以外で定義を変更した場合は,再起動が必要です。

(2) 物理ホストおよび論理ホストへの定義

jp1hosts情報の場合,名前解決するためのホスト定義を,物理ホストと論理ホストそれぞれに設定する必要があります。

jp1hosts2情報の場合,物理ホストのjp1hosts2情報のホスト定義と論理ホストのjp1hosts2情報のホスト定義をマージして,論理ホストのjp1hosts2情報に反映できます。この機能を物理マージ機構といい,論理ホストのjp1hosts2情報の+PhysicalMergeパラメーターで指定します。

初期設定では,+PhysicalMergeパラメーターは有効になっているため,物理ホストのjp1hosts2情報にホスト定義を設定すれば,論理ホストのjp1hosts2情報にも物理ホストのjp1hosts2情報のホスト定義がマージされます。したがって,同一のホストに対して,物理ホストと論理ホストで異なるIPアドレスを解決する必要がある場合を除いて,論理ホストへのホスト定義は不要になります。

+PhysicalMergeパラメーターの詳細については,「14. 定義ファイル」の「jp1hosts2定義ファイル」を参照してください。

物理マージ機構の注意事項
物理ホストにjp1hosts2情報を設定している場合,次の点に注意してください。
  • 論理ホストにjp1hosts情報が設定されている場合,その設定は無効になり,物理ホストのjp1hosts2情報を基に名前解決をします。
  • 論理ホストにjp1hosts情報とjp1hosts2情報のどちらも設定していない場合,物理ホストのjp1hosts2情報を基に名前解決をします。

(3) クラスタ運用時の論理ホストへの定義

クラスタ運用時の論理ホストにjp1hosts情報を設定する場合,実行系および待機系の両系に定義情報をインポートする必要があります。

クラスタ運用時の論理ホストにjp1hosts2情報を設定する場合,実行系に定義情報をインポートすれば,待機系にはインポートする必要はありません。

(4) 共通定義情報への登録

jp1hosts情報は,共通定義情報に登録されます。

jp1hosts2情報は,共通定義情報には登録されません。バイナリファイル(hostdb{0|1}.bin)に登録されます。格納先については,「付録A ファイルおよびディレクトリ一覧」を参照してください。

(5) 定義できるホスト数

jp1hosts情報に定義できるホスト数には,制限がありません。

jp1hosts2情報に定義できるホスト数は,10,000台までです。

(6) 定義ファイルの1レコードの長さ

jp1hosts情報は,定義ファイルの1レコード(1行)の長さは,256バイトまでです。

jp1hosts2情報は,定義ファイルの1レコード(1行)の長さには,制限がありません。

(7) ホスト定義がない定義ファイルのインポート

jp1hosts情報の場合,一つもホストが定義されていない定義ファイルをインポートすると,エラーになりインポートが抑止されます。その際,メッセージKAVA0427-Eが出力されます。

jp1hosts2情報の場合,定義ファイルに一つもホストが定義されていなくても,正常にインポートされます。したがって,+DefaultResolveパラメーターまたは+PhysicalMergeパラメーターだけを定義した定義ファイルをインポートできます。また,何も定義のない定義ファイルもインポートできます。その場合,各パラメーターは省略したときと同じ設定になります。

(8) 設定済みの定義内容と同じ設定の定義ファイルのインポート

jp1hosts情報の場合,インポートをした結果,設定されているjp1hosts情報の定義内容に変更がなくても,常に更新されます。

jp1hosts2情報の場合,設定されているjp1hosts2情報の定義内容に変更がある場合だけインポートします。変更がないときは,インポートは抑止されます。その際,メッセージKAVA0456-Iが出力されます。なお,論理ホストにインポートするときは,物理マージ機構のマージ結果に対して変更の有無を確認します。

(9) IPv6アドレス

jp1hosts情報の場合,IPv6アドレスを設定できません。

jp1hosts2情報の場合,IPv6アドレスを設定できます。IPv6アドレスを使用して通信する場合の設定については,「4.11 IPv6環境での運用」を参照してください。

(10) イベントサービスの通信

jp1hosts情報の場合,イベントサービスの通信で名前解決に使用できません。

jp1hosts2情報の場合,イベントサービスの通信でも名前解決に使用できます。なお,JP1/Baseを新規インストールした環境では,イベントサービスの通信にjp1hosts2情報を使用する設定になっています。上書きインストールした環境の場合,jp1hosts2情報を使用するには,イベントサーバ設定ファイル(conf)とapi設定ファイル(api)の変更が必要です。変更方法の詳細については,「4.4.4 jp1hosts情報からjp1hosts2情報への移行」を参照してください。