帳票システム構築支援 uCosminexus EUR uCosminexus EUR サーバ帳票出力

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5.2.4 JavaBeans使用時の注意

JavaBeans起動部品を使用する場合の注意事項について説明します。

<この項の構成>
(1) JavaBeans起動部品のエンコーディング
(2) 画像データを使用する場合
(3) PDF形式ファイル出力のシステム構築時に出力性能を考慮するには
(4) PDF形式ファイル出力のシステム構築時にファイルサイズを考慮するには
(5) PDF形式ファイル出力のシステム構築時にメモリリソースの圧迫を回避するには
(6) 複数の帳票セットを指定して出力するときの文字列の長さ
(7) J2EEサポート,およびWARファイル作成時の注意
(8) JavaBeans起動部品のセキュリティについて

(1) JavaBeans起動部品のエンコーディング

JavaBeans起動部品がサポートするエンコーディングは,使用するJ2SDKのバージョンに依存します。ロケールに対応する文字コードについては,「付録C 作業環境の言語との対応」を参照してください。

(2) 画像データを使用する場合

(a) 画像ファイルの場所

画像ファイルの参照先は,環境変数EURPS_IMAGEPATHで,デフォルトの読み込みフォルダを指定できます。画像ファイルの参照先は,フルパス,相対パス,またはファイル名だけのどれかで指定してください。

ファイル名をフルパスで指定した場合
設定されているフォルダから画像ファイルを読み込みます。
ファイル名を相対パスで指定した場合
環境変数EURPS_IMAGEPATHに設定されているフォルダからの相対パスとして画像ファイルを読み込みます。
ファイル名だけ指定した場合
環境変数EURPS_IMAGEPATHに設定されているフォルダ下の画像ファイルを読み込みます。

環境変数EURPS_IMAGEPATHが設定されていない場合は,次に示す順にファイルを検索します。

Windows環境の場合
  1. 環境設定ファイル(EURPS_ENV)中の変数EURPS_IMAGEPATHに設定されているフォルダ
  2. EUR Developer,EUR Print Service,またはEUR Print Service Enterpriseのインストール先フォルダ
UNIX/Linux環境の場合
  1. 環境設定ファイル(eurps_env)中の変数EURPS_IMAGEPATHに設定されているディレクトリ
  2. ホームディレクトリ(環境変数HOMEで設定したディレクトリ)
  3. /var/opt/eurpsディレクトリ

EUR形式ファイルを出力する場合は,データファイルに指定する画像ファイルは,ファイル名だけを指定してください。画像ファイルのパスは,環境変数EURPS_IMAGEPATH,または環境設定ファイル(Windows環境の場合はEURPS_ENV,UNIX/Linux環境の場合はeurps_env)中の変数EURPS_IMAGEPATHに指定してください。

(b) 扱える画像データの形式

EUR サーバ帳票出力機能で扱える画像データの形式については,「7.4.2 扱える画像データの形式」を参照してください。

(3) PDF形式ファイル出力のシステム構築時に出力性能を考慮するには

図形(網掛け)のある帳票の場合,PDF形式ファイルを出力するとき,環境変数EURPS_PDF_OUTPUTによって,ファイルサイズと印刷スピードのどちらを優先するかを指定できます。

図形(網掛け)のある帳票をPDF形式ファイルに出力し,非PostScriptプリンタから印刷する場合,印刷に時間が掛かることがあります。このような場合,環境変数EURPS_PDF_OUTPUTに「PRINT_SPEED」を設定しておくことで,印刷時間を短縮できます。

環境変数EURPS_PDF_OUTPUTへの設定値には,次に示す文字列を半角英大文字で指定してください。

表5-3  EURPS_PDF_OUTPUTの設定値

環境変数への設定値 説  明
FILE_SIZE ファイルサイズを優先します(デフォルト)。
PRINT_SPEED 印刷スピードを優先します。ただし,「FILE_SIZE」を指定した場合よりファイルサイズが大きくなることがあります。

「FILE_SIZE」,「PRINT_SPEED」以外の値を指定した場合は,「FILE_SIZE」が仮定されます。

環境変数EURPS_PDF_OUTPUTと環境設定ファイル(Windows環境の場合はEURPS_ENV,UNIX/Linux環境の場合はeurps_env)中の変数EURPS_PDF_OUTPUTを同時に設定した場合は,環境変数の値が優先されます。

(4) PDF形式ファイル出力のシステム構築時にファイルサイズを考慮するには

同一の画像アイテムを複数貼り付けた帳票をPDF形式ファイルに出力する場合,ファイルサイズを最適化するかどうかを指定します。

同一の画像アイテムを複数貼り付けた帳票をPDF形式ファイルに出力する場合,複数分の画像データをPDF形式ファイルに出力するため,ファイルサイズが大きくなります。そのため,環境変数EURPS_PDF_SAMEIMAGEに「OPTIMIZE」を設定すると,一つ分の画像データだけをPDF形式ファイルに出力するので,ファイルサイズが小さくなります。ただし,別々の画像アイテムを画像データに貼り付けた帳票をPDF形式ファイルに出力する場合は,環境変数EURPS_PDF_SAMEIMAGEに「NO」を設定したときに比べて,PDF形式ファイルの出力時間が遅くなる場合があります。

環境変数への設定値には,次に示す文字列をすべて半角英大文字で指定してください。

表5-4  EURPS_PDF_SAMEIMAGEの設定値

環境変数への設定値 説  明
OPTIMIZE 帳票に同一の画像データが貼り付けてある場合,ファイルサイズを最適化します。
NO 帳票に同一の画像データが貼り付けてある場合,ファイルサイズを最適化しません。

「OPTIMIZE」,「NO」以外の値を指定した場合,または環境変数EURPS_PDF_SAMEIMAGEに何も設定しなかった場合は,「OPTIMIZE」が仮定されます。

環境変数EURPS_PDF_SAMEIMAGEと環境設定ファイル(Windows環境の場合はEURPS_ENV,UNIX/Linux環境の場合はeurps_env)中の変数EURPS_PDF_SAMEIMAGEを同時に設定した場合は,環境変数の値が優先されます。

(5) PDF形式ファイル出力のシステム構築時にメモリリソースの圧迫を回避するには

複数の画像アイテムを貼り付けた帳票,または複数のバーコードアイテムを貼り付けた帳票をPDF形式ファイルに出力する場合,メモリリソースを最適化するかどうかを指定できます。

複数の画像アイテムを貼り付けた帳票,または複数のバーコードアイテムを貼り付けた帳票をPDF形式ファイルに出力する場合,メモリ上に複数分の画像データ,またはバーコードデータを確保してPDF形式ファイルを出力するため,メモリリソースを圧迫します。そのため,環境変数EURPS_PDF_IMAGE_OPTIMIZEMEMに「YES」を設定しておくと,メモリリソースの圧迫を回避できます。ただし,メモリリソースの最適化処理を行う場合,一時ファイル(Windows環境の場合はSystemTemp,UNIX/Linux環境の場合は/tmp)を使用するため,環境変数EURPS_PDF_IMAGE_OPTIMIZEMEMに「YES」を設定しないときに比べて,PDF形式ファイルの出力時間が遅くなります。

環境変数への設定値には,次に示す文字列をすべて半角英大文字で指定してください。

表5-5  EURPS_PDF_IMAGE_OPTIMIZEMEMの設定値

環境変数への設定値 説  明
YES 複数の画像アイテムを貼り付けた帳票,または複数のバーコードアイテムを貼り付けた帳票をPDF形式ファイルに出力する場合,メモリリソースを最適化にします。

「YES」以外の値を指定した場合,または環境変数EURPS_PDF_IMAGE_OPTIMIZEMEMに何も設定しなかった場合は,メモリリソースの最適化はしません。

環境変数EURPS_PDF_IMAGE_OPTIMIZEMEMと環境設定ファイル(Windows環境の場合はEURPS_ENV,UNIX/Linux環境の場合はeurps_env)中の変数EURPS_PDF_IMAGE_OPTIMIZEMEMを同時に設定した場合は,環境変数の値が優先されます。

(6) 複数の帳票セットを指定して出力するときの文字列の長さ

複数の帳票セットを指定して出力するとき,eurpsコマンドの構文に指定できる文字列の長さは,約30KBまでです。

JavaBeans起動部品を使用した帳票出力は,「eurps.exe(EUR サーバ帳票出力機能実行ファイル)」をプロセス起動します。そのため,プロパティやメソッドに指定されたファイル名などの情報が,eurpsコマンドの構文に置き換えられた場合,文字列の長さが約30KBを超えると,正しく起動されません。

また,次に示す場合にも,eurpsコマンドの構文が約30KBを超えると,EUR サーバ帳票出力機能が正しく起動されません。

eurpsコマンドの構文が約30KBを超えるような複数の帳票セットを指定する場合は,複数回に分けて実行するか,または複数の帳票セットを記述した帳票セット指定ファイル(setMultiReportSetFileNameプロパティ)で指定してください。

コマンド構文の長さは,次に示す計算式で求められます。複数の帳票セットを指定する場合は,求められた値が約30KB以内になるように,eurpsコマンドに指定するファイル名長や,出力する帳票ファイルの数を決定してください。計算式の単位は,バイトです。

コマンド構文の長さを求める計算式
  • プリンタ出力とEUR形式ファイル出力の場合
    Σ(帳票ファイル名長+3+マッピングデータファイル名長 ※1+3+ユーザ定義データファイル名長 ※1+3)+Σ(そのほかのオプション名長 ※2+1)
  • PDF形式ファイル出力の場合
    Σ(帳票ファイル名長+3+マッピングデータファイル名長 ※1+3+ユーザ定義データファイル名長 ※1+3+しおり定義ファイル名長+3)+Σ(そのほかのオプション名長 ※2+1)
注※1
データベース連携時には,「マッピングデータファイル名長」は「マッピングデータの可変記号値定義ファイル名長」に,「ユーザ定義データファイル名長」は「ユーザ定義データの可変記号値定義ファイル名長」に置き換えて計算してください。
注※2
「そのほかのオプション名」とは,帳票ファイル名,マッピングデータファイル名,ユーザ定義データファイル名,およびしおり定義ファイル名以外のオプション名と指定された文字列の長さです。

(7) J2EEサポート,およびWARファイル作成時の注意

プロパティファイル(EURPSManager.properties)は,クラスローダ(J2EE対応)で読み込めるので,JARファイル(EURPSManager_5.jar)とプロパティファイルのファイルの場所を同じにすることで,WARファイルにできます。ただし,クラスローダでプロパティファイルを読み込めない場合は,環境変数CLASSPATHからプロパティファイルを読み込めます。

JavaBeansを使用した帳票出力は,「eurps.exe(EUR サーバ帳票出力機能実行ファイル)」をプロセス起動するので,WARファイルの作成元と配布先で「eurps.exe」のファイルのパスを同じにしてください。ただし,Windows環境とUNIX/Linux環境では,ディレクトリ構造が異なるため,Windows環境で作成したWARファイルをUNIX/Linux環境に配布したり,UNIX/Linux環境で作成したWARファイルをWindows環境に配布したりすることはできません。

(8) JavaBeans起動部品セキュリティについて

セキュリティマネージャを使用する場合,JavaBeans起動部品(EURPSManager_5.jar)を使用するには,アクセス権の許可が必要です。

アクセス権の許可は,ポリシーファイルで設定します。

ポリシーファイルでアクセス権の許可を設定する場合,セキュリティを強化するために,アクセス権の適用範囲を制限します。EURPSManager_5.jarを使用するときは,EUR サーバ帳票出力機能が提供するjarファイルだけに適用するように,codeBaseで指定します。

なお,すでにセキュリティポリシーを設定している場合,適用範囲を限定することで,今まで動作していたプログラムにも影響を与えることがあります。セキュリティポリシーは,システム全体のセキュリティポリシーを検討してから,ポリシーファイルに記述してください。

記述例を次に示します。

 

grant codeBase "file:${ejbserver.http.root}/web/${ejbserver.serverName}/eurps/WEB-INF/lib/EURPSManager_5.jar" {
    permission java.io.FilePermission "C:/Program Files/Hitachi/EUR Print Service/Program/eurps.exe", "execute";
};
 

なお,eurps.homeはJavaVMの起動オプションで指定されたEUR サーバ帳票出力機能の実行ファイルのインストールパスを示します。

JavaVMの起動オプションの記述例を次に示します。