Hitachi

ノンストップデータベース HiRDB Version 10 構造型データベース機能


4.7.3 統合版HiRDBから単体版HiRDBへの入れ替え手順

ここでは,統合版HiRDBを単体版HiRDBに入れ替える手順について説明します。

〈この項の構成〉

(1) 入れ替え作業をする前の考慮点

入れ替え作業をする前の考慮点を次に示します。

(a) 指定値の見直しが必要なオペランド

次のオペランドは統合版HiRDB固有のオペランドです。そのため,単体版HiRDBでは指定できないので,オペランドの指定を削除してください。

  • システム共通定義

    pd_structured_shmpool_dicsize

    pd_structured_advance_resident

  • ユニット制御情報定義

    pd_structured_directory_path

  • クライアント環境定義

    PDUAPEXERLOGDMLSZ

    PDUAPEXERLOGDMLDATA

    PDSDBPRMTRC

    PDSDBTRCCNDSIZE

    PDSDBTRCELMSIZE

    PDSDBTRCKEYSIZE

    PDSDBTRCDATASIZE

    PDSDBUAPDIR

    PDSDBUAPFILE

(b) 構想型DB機能で使用する資源の削除

構想型DB機能で使用する次の資源は,単体版HiRDBへの入れ替え後に削除できなくなります。そのため,単体版HiRDBへの入れ替え前に削除してください。

  • SDBデータベース定義,SDBデータベース格納定義

  • SDBデータベースを格納するRDエリア

  • SDBデータベースの操作に関する監査対象イベントの定義

  • SDBディレクトリ情報ファイル

  • SDBデータベースに関するリソースだけを保有するスキーマ(リレーショナルDBで使用しないスキーマ)

  • 追い付き反映キー対応表

また,次の資源については,単体版HiRDBへの入れ替え後に不要となるため,削除してください。

  • SDB用UAP環境定義ファイル

資源の削除手順については,「4.7.3(4) 構造型DB機能で使用した資源の削除手順」を参照してください。

(c) マルチHiRDBの構成

単体版HiRDBと統合版HiRDBが混在する構成にはできません。

(d) 修正版HiRDBのコピーおよび入れ替え

入れ替え前の統合版HiRDBと修正版の単体版HiRDBでは,次のコマンドは実行できません。

  • pdprgcopyコマンド(修正版HiRDBのコピー)

  • pdprgrenewコマンド(修正版HiRDBの入れ替え)

(2) 統合版HiRDBから単体版HiRDBへの入れ替え時の注意事項

統合版HiRDBを単体版HiRDBに入れ替える場合,HiRDBクライアントも入れ替える必要があります。HiRDBクライアントを入れ替える際の注意事項を次に示します。

(3) 統合版HiRDBから単体版HiRDBへの入れ替え手順

運用中の統合版HiRDBを単体版HiRDBに入れ替える際に,事前に確認・設計しておくべき項目,および入れ替え手順を次に示します。

なお,統合版HiRDBのバージョンまたはリビジョン(VV-RR-ZZの形式で示すHiRDBのバージョン番号のうち,VVまたはRR)が単体版HiRDBのバージョンまたはリビジョンより古い場合は,バージョンアップも同時に実施されます。バージョンアップの手順についてはマニュアル「HiRDB システム導入・設計ガイド」の「HiRDBのバージョンアップ」を参照してください。ただし,「HiRDBのバージョンアップ」では上書きインストールの手順が説明されていますが,統合版HiRDBを単体版HiRDBに入れ替えてバージョンアップする場合には,アンインストール後にインストールする手順となります。

(a) 入れ替え前に事前に確認・設計しておくべき項目

入れ替え前に事前に確認・設計しておくべき項目を次に示します。

  1. OSのオペレーティングシステムパラメタの確認

    単体版HiRDBに入れ替えることでOS資源の消費量が減る場合は,単体版HiRDBをインストールする前に,OSのオペレーティングシステムパラメタ(カーネルパラメタ)の値を変更してください。

    オペレーティングシステムパラメタ(カーネルパラメタ)の見積もりについては,マニュアル「HiRDB システム導入・設計ガイド」の「Linuxのオペレーティングシステムパラメタの見積もり」を参照してください。

(b) 統合版HiRDBから単体版HiRDBへの入れ替え手順

統合版HiRDBから単体版HiRDBへの入れ替え手順を次に示します。

  1. RDエリアのバックアップ取得

    入れ替えが失敗した場合に備えて,データベース複写ユティリティ(pdcopy)などで,すべてのRDエリアのバックアップを取得してください。

    バックアップの取得方法については,マニュアル「HiRDB システム運用ガイド」の「バックアップの取得方法」を参照してください。

  2. 構造型DB機能で使用した資源の削除

    構造型DB機能で使用した資源を削除してください。

    資源の削除手順については,「4.7.3(4) 構造型DB機能で使用した資源の削除手順」を参照してください。

  3. ディクショナリ表の再編成

    2.の手順(構造型DB機能で使用した資源の削除)によって発生した,ディクショナリ表中の無効領域を解放するため,データベース再編成ユティリティ(pdrorg)でディクショナリ表を再編成してください。

  4. HiRDBのオンライン状態の確認

    pdlsコマンドでHiRDBが正常終了できる状態であることを確認します。すべてのユニットがACTIVEと表示されているかどうかを確認してください。

  5. HiRDBの正常終了

    4.の手順でACTIVEと表示されている場合,pdstopコマンドでHiRDBを正常終了させてください。

    HiRDBがすでに終了している場合は,次のどちらかの情報を参照してHiRDBが正常終了しているかどうかを確認してください。

    • メッセージログファイル

    • syslogファイル

    正常終了していない場合は,pdstartコマンドでいったんHiRDBを開始してから,pdstopコマンドで正常終了させてください。

  6. HiRDBの状態確認

    pdls -d ustコマンドでHiRDBが正常終了していることを確認してください。

  7. ライブラリの共用化の解除

    マルチHiRDB環境でライブラリを共用している場合は,pdmemsv -dコマンドでライブラリの共用化を解除してください。

    入れ替え完了後に,再度pdmemsvコマンドでライブラリを共用化してください。

  8. コマンド,ユティリティ,アプリケーション,およびHiRDBと連携している製品の停止

    HiRDB Datareplicator,HiRDB Dataextractor,JP1/PFMなど,HiRDBにアクセスする連携製品を停止してください。これらを停止しないと,実行形式ファイルや共用ライブラリの削除に失敗するおそれがあります。

  9. HiRDB運用ディレクトリ下のファイル,およびSDBディレクトリ情報ファイルのバックアップの取得(HiRDB運用ディレクトリ数分繰り返す)

    入れ替えに失敗した場合に備えて,OSのcpコマンドなどで,次のファイルのバックアップを取得してください。

    • HiRDB運用ディレクトリ下($PDDIR/conf下)のファイル

    • SDBディレクトリ情報ファイル

    • HiRDB運用ディレクトリ下のトラブルシュート情報($PDDIR/spool下)のファイル

    HiRDB運用ディレクトリのバックアップの取得方法については,マニュアル「HiRDB システム導入・設計ガイド」の「HiRDB運用ディレクトリの作成」の「HiRDB運用ディレクトリのバックアップの取得」を参照してください。

  10. SDBディレクトリ情報ファイルの削除

    OSのrmコマンドなどで,SDBディレクトリ情報ファイルを削除してください。

  11. 統合版HiRDBをOSから削除(HiRDB運用ディレクトリ数分繰り返す)

    統合版HiRDBをアンインストールする前に,統合版HiRDBのHiRDB運用ディレクトリ下のHiRDBシステムをOSから削除してください。

    このとき,統合版HiRDBの実行に必要なファイルおよびディレクトリも削除してください(pdsetup -dコマンドを実行し,KFPS00036-Qメッセージにyを応答してください)。

    pdsetup -dコマンドの終了ステータスが0でない場合,障害が起きているおそれがあります。syslogファイルに出力されたメッセージを参照して,障害原因を取り除いてから,OSからの削除を再度実行してください。

  12. 統合版HiRDBのアンインストール

    日立PPインストーラを使用してサーバマシンごとに統合版HiRDBをアンインストールしてください。

    アンインストールの結果は,日立PPインストーラの画面で確認してください。アンインストールが成功していない場合は,syslogファイルに出力されたメッセージを参照して,障害原因を取り除いてから,アンインストールを再度実行してください。

  13. 単体版HiRDBのインストール

    日立PPインストーラを使用して,サーバマシンごとに単体版HiRDBをインストールしてください。

  14. HiRDBシステム定義の変更(HiRDB運用ディレクトリ数分繰り返す)

    構造型DB機能を使用するために指定していたオペランドを,HiRDB運用ディレクトリ下($PDDIR/conf下)のHiRDBのシステム定義ファイルから削除してください。

    構造型DB機能を使用するために必要なオペランドについては,「9. システム定義」を参照してください。

  15. 単体版HiRDBをOSに登録(HiRDB運用ディレクトリ数分繰り返す)

    単体版HiRDBをインストールしたあとに,pdsetupコマンドで,単体版HiRDBのHiRDB運用ディレクトリ下のHiRDBシステムをOSに登録してください。

    pdsetupコマンドの-cオプションには,必ず統合版HiRDBで指定していた文字コードを指定してください。

    指定できる文字コードについては,「4.7.1 入れ替えに関する前提条件」を参照してください。

  16. HiRDBの再起動

    pdstartコマンドでHiRDBを再起動してください。HiRDBの再起動が完了すると,構造型DB機能が使用できない状態になります。

  17. RDエリアのバックアップの取得

    入れ替えが完了した時点(構造型DB機能が使用できなくなった状態)の,すべてのRDエリアのバックアップを,データベース複写ユティリティ(pdcopy)などで取得してください。

(4) 構造型DB機能で使用した資源の削除手順

統合版HiRDBから単体版HiRDBへ入れ替える際に,事前準備として実施する構造型DB機能で使用した資源の削除手順を次に示します。

構造型DB機能で使用した資源の削除手順
  1. pdsdbdefコマンドで,SDBデータベースの定義情報(SDBディクショナリ情報,SDBディレクトリ情報定義)を削除します。

  2. pdmodコマンドで,SDBデータベースを格納するRDエリアを削除します。

  3. DROP AUDIT文で,SDBデータベース操作に関する監査対象イベントの定義を削除します。

  4. DROP SCHEMA文で,SDBデータベースに関するリソースだけを保有するスキーマ(リレーショナルDBで使用しないスキーマ)を削除します。

  5. 更新可能なオンライン再編成を使用している場合は,pdsdborcrt -k delコマンドで追い付き反映キー対応表を削除します。

  6. SDB用UAP環境定義を使用している場合は,OSのrmコマンドなどで,SDB用UAP環境定義ファイルを格納しているディレクトリ($PDCONFPATH/pdsdbuapenv)を削除します。

(5) 障害時の運用

統合版HiRDBから単体版HiRDBへの入れ替えに失敗した場合,失敗の原因によっては単体版HiRDBをいったん統合版HiRDBに戻して失敗の原因を取り除いてから,再度入れ替える必要があります。

単体版HiRDBを入れ替え前に戻す手順を次の図に示す。

図4‒7 単体版HiRDBを統合版HiRDBに戻す手順(入れ替えに失敗した場合)

[図データ]

注※

HiRDB運用ディレクトリ数分繰り返します。