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ノンストップデータベース HiRDB Version 10 構造型データベース機能


2.3.4 レコード

構造型DBでは,データベース中に存在する情報の基本単位をレコードといいます。レコードは情報の論理的な単位であると同時に,データを検索したり,更新したりするときの単位でもあります。

構造型DBでは,あるレコードをモデル化したものをレコード型といいます。レコード型はSDBデータベース定義で定義します。

レコード型に対応してデータベース中で,実際のデータ値を持って存在するものをレコード実現値といいます。レコード型とレコード実現値の関係を次の図に示します。

図2‒7 レコード型とレコード実現値の関係

[図データ]

データベース中の「品番」,「商品名」,「規格」などの各情報をこの順番に持つとき,これをモデル化したものがレコード型であり,実際にデータ値を持つ個々のものをレコード実現値といいます。

なお,このマニュアルでは,特に誤解を与えない場合にはレコード実現値を単にレコードといいます。

レコードは次の要素から構成されます。

〈この項の構成〉

(1) データ項目

データ項目は,データベース中で取り扱える情報の最小単位です。1つのデータ項目はただ1つの値を持ちます。データ項目は格納するデータ種別ごとに属性を持ちます。これをデータ型といいます。

HiRDB/SDで指定できるデータ型を次の表に示します。

表2‒4 HiRDB/SDで指定できるデータ型

データ種別

データ型

文字列データ

CHARACTER

16進データ

XCHARACTER

符号付きパック形式10進データ※1

PACKED DECIMAL FIXED

整数データ

INTEGER

SMALLINT※2

注※1

符号付きパック形式の符号部の仕様を次に示します。

符号部

説明

正規化しない場合

正規化する場合(DECIMAL型の符号正規化機能を使用する場合)

X'A'

エラーになります。

正の値を意味するX'C'に変換されます。

X'B'

エラーになります。

負の値を意味するX'D'に変換されます。

X'C'

正の値を意味します。

X'D'

負の値を意味します。

X'E'

エラーになります。

正の値を意味するX'C'に変換されます。

X'F'

正の値を意味します。

X'0'〜X'9'

エラーになります。

DECIMAL型の符号正規化機能を使用する場合は,システム共通定義のpd_dec_sign_normalizeオペランドにYを指定します。詳細については,マニュアル「HiRDB システム運用ガイド」の「DECIMAL型の符号部を変換する方法」を参照してください。

注※2

SMALLINTのデータ型は,SD FMBのSDBデータベースの場合に使用できます。

(2) 構成要素

データ項目を論理的な単位にまとめたものを構成要素といいます。構成要素には基本項目と集団項目の2種類があります。

(a) 基本項目

1つのデータ項目から成る構成要素です。

(b) 集団項目

階層構造を持ち,基本項目を含む構成要素です。関連する2つ以上のデータ項目をまとめて1つの構成要素となります。

(c) 構成要素の例

構成要素の例を次の図に示します。

図2‒8 1つのデータ項目から成る構成要素

[図データ]

[説明]

1つのデータ項目から成る構成要素の例です。Aは基本項目となります。

図2‒9 複数のデータ項目から成る構成要素(集団項目が集団項目を含まない場合)

[図データ]

[説明]

複数のデータ項目から成る構成要素の例です。Bは集団項目であり,CおよびDはそれぞれ基本項目となります。

図2‒10 複数のデータ項目から成る構成要素(集団項目が集団項目を含む場合)

[図データ]

[説明]

複数のデータ項目から成る構成要素の例です。EおよびFは集団項目であり,G,H,およびIはそれぞれ基本項目となります。

図2‒11 繰り返し指定をしたデータ項目から成る構成要素(OCCURS句に繰り返し回数3を指定している場合)

[図データ]

[説明]

繰り返し指定をしたデータ項目から成る構成要素の例です。A(0001),A(0002),およびA(0003)は,それぞれ基本項目となります。この場合,構成要素数は,SDBデータベース定義のOCCURS句で指定した繰り返し回数と同じになります。

(d) 基本項目の構成要素のデータ種別

基本項目の構成要素は,用途によって3種類に分けられます。基本項目の構成要素のデータ種別を次の表に示します。

表2‒5 基本項目の構成要素のデータ種別

データ種別

説明

データベースキー

HiRDB/SDが,SDBデータベース内でレコードを一意に識別するために使用する構成要素です。

ユーザデータ

ユーザが自由に設定できる構成要素です。

ユーザキー

ユーザデータのうち,レコードを一意に識別するために使用する構成要素です。

(3) キー

SDBデータベースでは,SDBデータベース内でレコードを一意に識別するために,レコードごとにキーが設定されます。キーには,HiRDB/SDが管理するキー(データベースキー)とユーザが管理するキー(ユーザキー)があります。