1.1.1 Datareplicatorの目的
Datareplicatorの目的について説明します。
- 〈この項の構成〉
(1) 分散配置したデータベースの課題
これまで,企業活動で発生する大量のデータは,メインフレーム側のデータベースに蓄積されてきました。近年はワークステーション(WS)やパーソナルコンピュータ(PC)上で稼働するDBMS(HiRDB)を使って,メインフレーム側のデータを複数のWSやPCに分散して配置する形態が広まっています。このようなシステム形態が広まるとともに,分散配置したデータベースをどのように統合して活用するかが重要な課題になっています。
(2) レプリケーション機能の概要
分散配置したデータベースの内容をほかのデータベースに反映する機能を,レプリケーション機能といいます。レプリケーション機能を使うと,一つのシステムのデータベースの情報をほかのシステムのデータベースに反映して,分散システム環境でのデータ管理を支援できます。
レプリケーション機能には,次の2種類があります。
- データ連動機能
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データベースの更新に連動してデータを抽出し,データベースの更新内容をほかのシステムのデータベースに自動的に反映します。ほかのシステムのデータベースに自動的に反映することをデータ連動といい,データ連動機能を備えたデータベースシステムをデータ連動システムといいます。
データ連動機能は,データベースの最新データをほかのシステムのデータベースで利用したり,自動的にバックアップを取得したりするのに適しています。
- データベース抽出・反映サービス機能
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データベースのデータを一括して抽出し,ほかのシステムのデータベースに反映します。
データ抽出・反映サービス機能は,大量データを一括で抽出して格納したり,ほかのシステムのデータベースを初期作成したり再作成したりするのに適しています。
HiRDBのデータベースとメインフレームのデータベースで,レプリケーション機能を実行するために必要な製品を次の表に示します。
レプリケーション機能の種類 |
HiRDBのデータ連動製品 |
メインフレームDBのデータ連動製品 |
---|---|---|
データ連動機能 |
HiRDB Datareplicator |
XDM/DS※2 |
データ抽出・反映サービス機能 |
- 注※1
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HiRDB Dataextractorの詳細については,マニュアル「データベース抽出・反映サービス機能 HiRDB Dataextractor」を参照してください。
- 注※2
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XDM/DSの詳細については,マニュアル「VOS3 XDMデータ連動機能 XDM/DS 解説・定義」を参照してください。
- 注※3
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XDM/XTの詳細については,マニュアル「VOS3 データベース抽出プログラム XDM/XT」を参照してください。
(3) Datareplicatorのデータ連動システムの利点
複数のデータベース間でデータを連動させる方法には,一方のデータベースの更新と同期して,そのたびにほかのデータベースを更新する方法もあります。しかし,この方法では同期するための処理や障害時の回復などシステムへの負荷が非常に大きくなります。
これに対して,Datareplicatorのデータ連動ではデータベースの更新情報を抽出して,抽出した更新情報を基に非同期にほかのシステムのデータベースを更新するため,システムの負荷を小さくできます。
Datareplicatorによるデータ連動は,分散配置しているデータベースの厳密な同期よりも,システム全体の負荷の軽減や性能を重視するシステムの場合に有効です。
そのほかに,Datareplicatorのデータ連動機能を使うと次に示す利点があります。
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更新内容はDatareplicatorが自動的に抽出するので,アプリケーションの変更は必要ありません。
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更新したデータだけを転送するので,転送データ量が最小限で済み,基幹システムに負担を掛けません。
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更新内容を反映する表や列を選んだり,更新内容を時系列で蓄積したりできるので,データウェアハウスの利用者に応じた使いやすい表を作成できます。