26.3.8 複製ディスク機能を用いた系切り替え構成の準備
複製ディスク機能はLinux限定機能です。この機能を使用する場合,次のライブラリ,及び製品が必要になります。
-
aioライブラリ(libaio.so)
-
HAモニタ 01-68以降
- 〈この項の構成〉
(1) システム定義
複製ディスク機能を使用した系切り替え構成で設定する,HiRDBシステム定義のオペランドについて説明します。関連するオペランドを次の表に示します。
オペランド名 |
説明及び注意事項 |
指定要否 |
---|---|---|
pd_duplicated_fs_suffix |
ペアとなる複製ディスクのサフィックス名を指定してください。 |
○ |
pd_sts_singleoperation pd_syssts_singleoperation |
stopを指定するか,又は指定を省略してください。stop以外を指定した場合,ステータスファイルの片系運転中に系切り替えが発生すると,系切り替えに失敗します。 |
○ |
pd_redo_allpage_put |
Yを指定してください。RDエリアへの書き込み時,マシンダウンなどで複製ディスク間の不整合が発生した場合に,再開始時に同期を取るために必要となります。 |
○ |
pd_log_dual |
Nを指定してください。複製ディスク機能による冗長性を確保しているため,システムログファイルの二重化をする必要がありません。 |
△ |
pd_spd_dual |
Nを指定してください。複製ディスク機能による冗長性を確保しているため,シンクポイントダンプファイルの二重化をする必要がありません。 |
△ |
pd_max_utl_ios_file_no |
pdfmkfs -k UTL -mコマンドで作成したHiRDBファイルシステム領域の数を指定します。使用する数より指定した値が小さい場合,HiRDBファイルシステムにアクセスするときにエラーになるおそれがあります。 |
△ |
- (凡例)
-
○:必ず指定してください。
△:指定は任意です。
複製ディスクはクラスタソフトウェアによるアクセス制御ができないため,HiRDBによるアクセス制御を行う必要があります。HiRDBによるアクセス制御の設定は,「共有ディスクのアクセス制御」の「HiRDBによる共有ディスクのアクセス制御」を参照して設定してください。
(2) 複製ディスクの準備
現用系及び予備系で,ローカルのディスク及びリモートのディスクを,キャラクタ型スペシャルファイル又はブロック型スペシャルファイルとして参照できるようにします。リモートのディスクを,NVMe over Fabrics(NVMf)を使用して,ホスト間で互いのディスクを参照できるようにする方法は,OSのマニュアルを参照して設定してください。キャラクタ型スペシャルファイル又はブロック型スペシャルファイルを指定して,次の図のように現用系と予備系でパス名称がクロスするようにシンボリックリンクを作成します。
上記の図は,システム定義のpd_duplicated_fs_suffixオペランドに"_R"を指定した場合の例になります。/dev/nvme0n1がローカルに接続したディスク,/dev/nvme1n1がNVMfで接続したディスクのデバイスになります。キャラクタ型スペシャルファイルを使用する場合は,それぞれのデバイスに対してrawコマンドでrawデバイスを割り当てて使用してください。HiRDBファイルシステム領域を/hirdb/RDAREAに作成する場合は,ローカルのディスクを/hirdb/RDAREAにシンボリックリンクさせ,NVMf接続のディスクを"_R"付けた/hirdb/RDAREA_Rにシンボリックリンクさせます。
ローカルディスクのパス名をプライマリパスとよび,サフィックス名を付けたNVMf接続のディスクのパス名をセカンダリパスとよびます。
(3) HiRDBファイルシステム領域の作成
(2)で設定したシンボリックリンクに対して,pdfmkfs -mコマンドでHiRDBファイルシステム領域を作成します。(2)の構成の場合,次のように指定します。
pdfmkfs -n 10240 -l 10 -k DB -m /hirdb/RDAREA
これによって,/hirdb/RDAREAを指定したHiRDBの操作は,/hirdb/RDAREA_Rにも反映されるようになります。なお,以降の操作では,特に断り書きがない場合,プライマリパス名を指定したものとして説明しています。
(4) システムファイルの作成
システムファイルの作成方法について説明します。コマンドの形式は複製ディスクを使用しない場合と同じになりますが,障害回復作業を考慮した配置にする必要があります。障害回復方法は,「複製ディスク機能を用いた系切り替え構成の回復方法」を参照してください。
(a) システムログファイル
障害回復する場合,回復対象のHiRDBファイルシステム領域に格納しているシステムログファイルをすべてクローズする必要があります。システムログの運用に対する影響を少なくするために,1つのHiRDBファイルシステム領域に配置するシステムログファイルの数は1つにすることをお勧めします。障害回復作業中は,使用できる世代数が少なくなることを考慮して,あらかじめシステムログファイルの総容量及び世代数を見積もってください。
システムログファイルの配置の例を次の図に示します。
例では,1つのHiRDBファイルシステム領域に2つのシステムログファイルを格納しています。見積もったシステムログファイルの容量を6つに分割して,2つずつHiRDBファイルシステム領域に格納している場合,追加で2つ分のシステムログファイルを作成してください。
(b) シンクポイントダンプファイル
障害回復する場合,回復対象のHiRDBファイルシステム領域に格納しているシンクポイントダンプファイルをすべてクローズする必要があります。シンクポイントダンプの運用に対する影響を少なくするために,1つのHiRDBファイルシステム領域に配置するシンクポイントダンプファイルの数は1つにすることをお勧めします。障害回復作業中は,使用できる世代数が少なくなることを考慮して,最低でも有効保証世代数+2世代のシンクポイントダンプファイルを用意してください。
シンクポイントダンプファイルの配置の例を次の図に示します。
例は,有効保証世代数(pd_spd_assurance_count)に2を指定した場合の配置となります。有効保証世代数が2の場合,3世代のシンクポイントダンプファイルが必要になりますが,障害回復作業で1つが使用できなくなるため,シンクポイントダンプファイルを4世代用意しています。
(c) ステータスファイル
ステータスファイルはA系とB系のファイルが必要になりますが,両方とも1つのHiRDBファイルシステム領域に格納してください。
ステータスファイルの構成の例を次の図に示します。
複製ディスクに障害が発生した場合,HiRDBファイルシステム領域単位に回復を行って,回復作業中はHiRDBファイルシステム領域に配置したファイルグループをすべてクローズする必要があります。ステータスファイルの運用に対する影響を少なくするために,1つのHiRDBファイルシステム領域に1つの論理ファイルを配置することを推奨します。
回復作業中は使用できる論理ファイルの数が少なくなることを考慮して,最小でも論理ファイルが2つ以上のステータスファイルを用意してください。
ステータスファイルの配置の例を次の図に示します。
例では,必要世代数1に対して2つの論理ファイルを用意しています。
(5) 上記以外のHiRDBファイルの作成
複製ディスクを使用しない場合と同様に,プライマリパスを指定して作成してください。
(6) HiRDBの開始
HiRDBを開始する前に,現用系及び予備系の両方のマシンが起動していて,双方のディスクが相互にアクセスできる状態にする必要があります。pdfstatfsコマンドなどで相互にアクセスできることを確認してから,HiRDBを開始してください。