20.1.6 トランザクションキャンセル時のプロセスダウンメッセージ変更機能
(1) 概要
クライアントでの割り込みに伴う強制終了要求によって,トランザクション実行中のサーバプロセスを停止した場合や,pdcancelコマンドによってUAPと接続していたサーバプロセスを終了した場合,HiRDBでは,サーバプロセスダウンを示すKFPS01820-E及びKFPO00105-Eメッセージを出力します。このメッセージは,サーバプロセスで何らかの異常が発生し,サーバプロセスを停止した場合にも出力するメッセージですが,サーバプロセスの終了原因を調べるためには,KFPS00993-Iメッセージなど,HiRDBが出力する他メッセージの情報も調べる必要があります。
トランザクションキャンセル時のプロセスダウンメッセージ変更機能を使用すると,クライアント操作やクライアント側の障害に対して出力するKFPS01820-E及びKFPO00105-Eメッセージを,別のメッセージIDに変更できます。そのため,サーバプロセスの終了原因がクライアント操作やクライアント側の障害であることを,メッセージだけで判断できるようになります(他メッセージの情報を調べる必要はありません)。
(2) 機能
この機能を使用した場合,メッセージIDだけを変更します。メッセージテキスト及び出力情報は変更しません(変更対象メッセージのメッセージテキストと出力情報を,変更後のメッセージでもそのまま出力します)。
(a) 変更の対象となるメッセージ
この機能で変更対象とするメッセージを次の表に示します。
変更対象のメッセージID |
メッセージの意味 |
変更後のメッセージID |
---|---|---|
KFPS01820-E |
サーバプロセスが停止しました。 |
KFPS01852-W |
KFPO00105-E |
異常が発生したため,サーバプロセスを停止しました(アボートメッセージ)。 |
KFPO00115-W |
メッセージの詳細については,マニュアル「HiRDB メッセージ」を参照してください。
(b) メッセージ変更有無
サーバプロセスダウンの発生事象とメッセージIDの変更有無を次の表に示します。
項番 |
サーバプロセスダウンの発生事象 |
ダウンの要因 |
メッセージの変更 |
備考 |
|||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ユーザオペレーション |
環境設定 |
クライアント側障害 |
クライアントとの通信障害 |
サーバ側障害 |
サーバ間通信障害 |
||||
1 |
クライアントでの割り込みに伴う強制終了要求 |
○ |
− |
− |
− |
− |
− |
あり |
クライアントでの割り込みに伴う強制終了要求によって,トランザクション実行中のHiRDBサーバプロセスが停止しています。※1 |
2 |
クライアントプロセスダウンに伴うサーバプロセスのkill |
− |
− |
○ |
○ |
− |
− |
あり |
XAを利用しているクラインアントプロセスは,項番11に該当します。 |
3 |
PDCWAITTIMEオーバによるHiRDBサーバプロセスのkill |
− |
○※2 |
− |
○ |
○ |
− |
なし |
HiRDBで原因の特定ができません。※3 |
4 |
PDSWAITTIMEオーバによるHiRDBサーバプロセスダウン(exit) |
− |
○ |
○ |
○ |
− |
− |
あり |
− |
5 |
PDSWATCHTIMEオーバによるHiRDBサーバプロセスダウン(exit) |
− |
○ |
○ |
○ |
− |
− |
あり |
− |
6 |
ユニット強制終了,ユニットダウン,又は系切り替え時のトランザクション回復に伴うHiRDBサーバプロセスのkill |
○ |
− |
− |
− |
−※4 |
−※4 |
あり |
他ユニットがブランチ回復する場合に該当します。また,HiRDB/パラレルサーバだけ該当します。 |
7 |
ユニット強制終了,ユニットダウン,又は系切り替え時のユティリティブランチ回復に伴うHiRDBサーバプロセスのkill |
○ |
− |
− |
− |
−※4 |
−※4 |
あり |
自ユニット内の回復だけでなく,他ユニットがブランチ回復する場合も含みます。 |
8 |
pdcancelコマンドによるHiRDBサーバのkill(ユティリティのkillも含む) |
○ |
− |
−※4 |
− |
−※4 |
−※4 |
あり |
− |
9 |
pdfgtコマンドによるトランザクション強制停止に伴うHiRDBサーバプロセスのkill(トランザクションブランチ回復) |
○ |
− |
−※4 |
− |
−※4 |
−※4 |
あり |
− |
10 |
システムログファイルの空き容量監視機能によるHiRDBサーバプロセスのkill |
○※5 |
○※6 |
− |
− |
− |
− |
あり |
KFPS01160-Eメッセージが出力されます。 |
11 |
トランザクションマネジャがトランザクション回復延長のXA決着指示によるHiRDBサーバプロセスのkill |
○ |
− |
− |
− |
○ |
○ |
なし |
HiRDBでは原因の特定ができません。※7 |
12 |
シンクスキップ回数が境界値を超えた場合の回復に伴うHiRDBサーバプロセスのkill |
○※8 |
○※6 |
− |
− |
○ |
− |
なし |
HiRDBでは原因の切り分けができません。 |
13 |
HiRDBサーバプロセス間の通信タイムアウトに伴うHiRDBサーバプロセスダウン(exit) |
− |
− |
− |
− |
○ |
○ |
なし |
− |
14 |
回復不要FES利用時のダウン中ユニットからの通信要求処理 |
− |
− |
− |
− |
○ |
○ |
なし |
− |
15 |
回復不要FES利用時のトランザクション決着エラーに伴うサーバプロセスダウン(exit) |
− |
− |
− |
− |
○ |
○ |
なし |
− |
16 |
サーバ側障害に伴う自動ログアンロード機能停止時のHiRDBサーバプロセスダウン |
− |
− |
− |
− |
○ |
○ |
なし |
− |
17 |
サーバプロセス障害ダウン(内部処理障害,プロセス障害,トランザクション開始処理エラーなど) |
− |
− |
− |
− |
○ |
○ |
なし |
− |
18 |
HiRDBサーバプロセス障害ダウン発生に伴うトランザクション及びユティリティブランチ回復時のHiRDBサーバプロセスのkill |
− |
− |
− |
− |
−※4 |
−※4 |
あり |
項番17の影響による回復処理です。 |
- (凡例)
-
○:サーバプロセスダウンの原因と考えられます。
−:サーバプロセスダウンの原因ではありません。
あり:メッセージを変更します。
なし:メッセージを変更しません。
- 注※1
-
DBPARTNER又はDABrokerを使用して,HiRDBにアクセスするUAP,及びODBC経由でHiRDBにアクセスするUAPが該当します。また,該当するUAPをキーボードのCtrl+Cを押して停止する場合も含みます。
- 注※2
-
トランザクション処理時間未満の場合に該当します。
- 注※3
-
環境設定によるタイムアウト,又はサーバ側障害のどちらが発生したかをHiRDBが判断できないため,ユーザが判断する必要があります。このため,メッセージの出力が必要です。
- 注※4
-
障害事象ではありませんが,障害事象を発生させる原因になる可能性があります。
- 注※5
-
トランザクション量が予想を超えた場合に該当します。
- 注※6
-
境界値が不正な場合に該当します。
- 注※7
-
トランザクションマネジャからの決着指示が要因となります。トランザクションマネジャは,クライアント側障害,ユーザによるキャンセル,又はサーバ側障害によってトランザクションが中断した場合に決着指示を出しますが,どの要因で決着指示が出されたかHiRDBでは判断できません。
- 注※8
-
発行したSQLが不正な場合に該当します。
(c) 必要なオペランド
この機能を使用する場合は,pd_cancel_down_msgchangeオペランドを省略するか,又はYを指定してください。