Hitachi

ノンストップデータベース HiRDB Version 10 システム定義(UNIX(R)用)


9.2.42 インナレプリカ機能に関するオペランド

インナレプリカ機能を使用するには,HiRDB Staticizer Optionが必要です。インナレプリカ機能については,マニュアル「インナレプリカ機能 HiRDB Staticizer Option」を参照してください。

◆ pd_inner_replica_control = インナレプリカ最大グループ数

〜<符号なし整数>((1〜4194296))《0》

インナレプリカグループの最大数を指定します。このオペランドには,HiRDB正常開始時点のインナレプリカグループ数よりも大きい値を指定してください。

HiRDB/パラレルサーバの場合は,各バックエンドサーバが管理するインナレプリカグループのうち,最大グループ数を指定してください。例えば,次に示すようなバックエンドサーバ構成の場合は,このオペランドに31以上を指定します。

  • バックエンドサーバ1:インナレプリカグループ数が10

  • バックエンドサーバ2:インナレプリカグループ数が20

  • バックエンドサーバ3:インナレプリカグループ数が30

《注意事項》
  • このオペランドの指定値より,実際のインナレプリカグループ数の方が大きい場合は,HiRDBを開始できません。

  • このオペランドで指定した値を超えるインナレプリカグループは定義できません。

  • このオペランドの指定値を大きくすると,シングルサーバ又はバックエンドサーバが使用する共用メモリが増えるため,不要に大きな値を指定しないでください。共用メモリが不足すると,HiRDBを開始できなくなることがあります。シングルサーバが使用する共用メモリ,及びバックエンドサーバが使用する共用メモリについては,マニュアル「HiRDB システム導入・設計ガイド」を参照してください。

  • ログ同期方式のリアルタイムSANレプリケーションとインナレプリカ機能は同時に使用できません。同時に使用しようとした場合は,HiRDBを開始できません。

《ほかのオペランドとの関連》

このオペランドを指定すると,pd_indexlock_modeオペランドにNONEが仮定されます。

《各見積もり式への影響》

pd_inner_replica_controlオペランドの指定値を変更すると,次の見積もり式に影響があります。

マニュアル「HiRDB システム導入・設計ガイド」:

  • 「HiRDB/シングルサーバのメモリ所要量の見積もり」の「メモリ所要量の計算式」

  • 「HiRDB/パラレルサーバのメモリ所要量の見積もり」の「メモリ所要量の計算式」

  • 「シングルサーバが使用する共用メモリの計算式」の「計算式5」

  • 「バックエンドサーバが使用する共用メモリの計算式」の「計算式5」

◆ pd_inner_replica_lock_shift = Y|N

インナレプリカ機能を使用するとき,UAPとコマンドを同時実行させるかどうかを指定します。UAPと同時実行できるコマンドを次に示します。

  • pddbchg

  • pdorbegin

  • pdorchg

  • pdorend

Y:

サーバ内でUAPが実行中の場合,UAPが処理対象とするRDエリアのオリジナルRDエリアとコマンドが処理対象とするRDエリアのオリジナルRDエリアが異なっていれば,UAPとコマンドを同時実行できます。オリジナルRDエリアが同じときには同時実行できません。

N:

サーバ内でUAPが実行中の場合,UAPとコマンドは同時実行できません。Nを指定すると,Yを指定したときよりもUAP実行中の排他資源数を少なくできます。

このオペランドの指定値による,コマンドとUAPの同時実行可否を次に示します。

実行順序

pd_inner_replica_lock_shiftオペランドの指定値

処理対象RDエリアのオリジナルRDエリア

異なる

同じ

UAP実行中にコマンド開始

N

×

×

Y

×

コマンド実行中にUAP開始

×

(凡例)

○:コマンドとUAPを同時実行できます。

×:コマンドとUAPを同時実行できません。

−:該当しません。

このオペランドの指定値による,排他制御の違いを次に示します。

実行順序

pd_inner_replica_lock_shiftオペランドの指定値

排他制御

排他資源

排他が掛かる範囲

インナレプリカを使用しない場合と比較した排他資源数

UAP実行中にコマンド開始

N

インナレプリカ構成管理

シングルサーバ,又はバックエンドサーバ

一つ増加

Y

レプリカグループ構成管理

インナレプリカグループ

処理対象RDエリア数分増加

コマンド実行中にUAP開始

レプリカグループ構成管理

インナレプリカグループ

処理対象RDエリア数分増加

(凡例)

−:該当しません。

◆ pd_lv_mirror_use = Y|N

レプリカRDエリアのオープン属性をSCHEDULEにするかどうかを指定します。

Y:

レプリカRDエリアのオープン属性をSCHEDULEにします。データベース構成変更ユティリティ(pdmod)でレプリカRDエリアのオープン属性を変更していても,オープン属性はSCHEDULEになります。

N:

レプリカRDエリアのオープン属性をオリジナルRDエリアと同じ属性にします。ただし,データベース構成変更ユティリティ(pdmod)でレプリカRDエリアのオープン属性を変更していると,変更後のオープン属性になります。

《指定値の目安》

すべてのレプリカRDエリアのオープン属性をSCHEDULEにする場合にYを指定してください。

《注意事項》
  • レプリカRDエリアのオープン属性に関する注意事項や,RDエリアのオープン属性の変更方法については,マニュアル「インナレプリカ機能 HiRDB Staticizer Option」を参照してください。

  • このオペランドにYを指定すると,シングルサーバ又はバックエンドサーバが使用する共用メモリが増えます。シングルサーバが使用する共用メモリ,及びバックエンドサーバが使用する共用メモリについては,マニュアル「HiRDB システム導入・設計ガイド」を参照してください。

◆ pd_inner_replica_hold_status = NORMAL|HOLD

DEFER又はSCHEDULE属性のレプリカRDエリアを,HiRDBの正常開始時にコマンド閉塞にするかどうかを指定します。ただし,障害閉塞しているRDエリアの状態は変更しません。

NORMAL:コマンド閉塞状態にしません。

HOLD:コマンド閉塞状態にします。

表9‒12 レプリカRDエリアの状態と,pd_inner_replica_hold_statusオペランドの指定値

項番

レプリカRDエリアの状態

pd_inner_replica_hold_statusオペランドの指定値

RDエリアのオープン属性

HiRDB正常終了時のRDエリアの状態

NORMAL

HOLD

1

DEFER

障害閉塞

障害閉塞かつクローズ状態

障害閉塞かつクローズ状態

2

障害閉塞以外

クローズ状態

コマンド閉塞かつクローズ状態

3

SCHEDULE

障害閉塞

障害閉塞かつクローズ状態

障害閉塞かつクローズ状態

4

障害閉塞以外

クローズ状態

コマンド閉塞かつクローズ状態

《前提条件》

このオペランドは,次の条件を満たす場合に有効になります。

  • HiRDB Staticizer Optionを組み込んでインナレプリカ機能を使用している場合

  • レプリカRDエリアのオープン属性がDEFER又はSCHEDULEの場合

《利点》

通常,HiRDBを正常開始すると,DEFER又はSCHEDULE属性のレプリカRDエリアはクローズ状態ですが,ディスクは更新できます(ディスクアクセス時に自動的にオープン状態になるため)。このとき,オリジナルRDエリアとレプリカRDエリアの,ペアボリュームがペア状態のまま,定義系SQLなどでレプリカRDエリアに更新を行うと,レプリカRDエリアを更新しようとして入出力エラーで障害閉塞となります。

このオペランドの指定値がHOLDの場合,ユーザが意図的にRDエリアの閉塞解除を行わないとレプリカRDエリアにアクセスできません。そのため運用ミスによるRDエリアの障害閉塞を防止できます。

《指定値の目安》

HiRDBの正常開始時に,オリジナルRDエリアとレプリカRDエリアの,ペアボリュームがペア状態となる運用を行う場合は,このオペランドにHOLDを指定することをお勧めします。

《注意事項》
  • このオペランドにHOLDを指定した場合,正常開始直後のレプリカRDエリアはコマンド閉塞かつクローズ状態になります。レプリカRDエリアにアクセスする準備が整ったら,pdrelsコマンドでRDエリアの閉塞解除を行ってください。

  • このオペランドにHOLDを指定して,レプリカRDエリアがコマンド閉塞かつクローズ状態のままで定義系SQLを実行するとKFPH22032-Wメッセージが出力されます。マニュアル「インナレプリカ機能 HiRDB Staticizer Option」の「KFPH22032-Wメッセージの出力と対処」を参照して,対処してください。

《ほかのオペランドとの関連》

このオペランドは次に示すオペランドと関連があります。

  • pd_rdarea_open_attribute_use

  • pd_rdarea_open_attribute

  • pd_lv_mirror_use

◆ pd_max_reflect_process_count = 追い付き反映処理時に確保するプロセス数

〜<符号なし整数>((1〜256))

更新可能なオンライン再編成をする場合にこのオペランドを指定します。このオペランドを省略すると更新可能なオンライン再編成ができません。

このオペランドには,追い付き反映処理をするときに使用するプロセス数を指定します。HiRDBはこのオペランドの値の数だけプロセスを確保します。なお,HiRDB/パラレルサーバの場合は1フロントエンドサーバ当たりのプロセス数になります。

《指定値の目安》
  • このオペランドの値は次に示す計算式を満たすようにしてください。この条件を満たさないとHiRDBを開始できません。

    HiRDB/シングルサーバの場合はpd_max_reflect_process_countの値+pd_max_usersの値≦3000(pd_max_usersの最大値)

    HiRDB/パラレルサーバの場合はpd_max_reflect_process_countの値+pd_max_usersの値≦2000(pd_max_usersの最大値)

  • 追い付き反映処理時に確保するプロセス数(pd_max_reflect_process_countオペランドの見積もり式)については,マニュアル「インナレプリカ機能 HiRDB Staticizer Option」を参照してください。

《各見積もり式への影響》

pd_max_reflect_process_countオペランドの指定値を変更すると,次の見積もり式に影響があります。

マニュアル「HiRDB システム導入・設計ガイド」:

  • 「64ビットモードに移行する際の考慮点」

  • 「HiRDB/シングルサーバのメモリ所要量の見積もり」の「メモリ所要量の計算式」

  • 「HiRDB/シングルサーバのメモリ所要量の見積もり」の「ユニットコントローラが使用する共用メモリの計算式」

  • 「HiRDB/パラレルサーバのメモリ所要量の見積もり」の「メモリ所要量の計算式」

  • 「HiRDB/パラレルサーバのメモリ所要量の見積もり」の「ユニットコントローラが使用する共用メモリの計算式」

  • 「HiRDBのプロセス一覧」

  • 「HP-UXのオペレーティングシステムパラメタの見積もり」

  • 「Linuxのオペレーティングシステムパラメタの見積もり」

  • 「SQL文が使用する作業表用ファイルの容量」

  • 「ステータスファイルの容量の見積もり」の「Sの求め方」

  • 「最大ファイル数の見積もり(pdfmkfs -lコマンド)」

  • 「シングルサーバが使用する共用メモリの計算式」の「計算式2」

  • 「バックエンドサーバが使用する共用メモリの計算式」の「計算式2」

  • 「メッセージキュー及びセマフォ所要量の見積もり」

◆ pd_log_org_reflected_logpoint = keep|release

更新可能なオンライン再編成をする場合にこのオペランドを指定します。

追い付き反映処理が終了したシステムログファイルの状態を変更するかどうかを指定します。

keep:

追い付き反映処理が終了したシステムログファイルの状態を変更しません。ファイル中の全更新ログの追い付き反映処理が終了してもシステムログファイルの状態をオンライン再編成上書き禁止状態のままとします。

release:

追い付き反映処理が終了したシステムログファイルの状態を変更します。ファイル中の全更新ログの追い付き反映処理が終了した場合,システムログファイルの状態をオンライン再編成上書き禁止状態からオンライン再編成上書き可能状態に変更します。

なお,次に示す場合はこのオペランドの値に関係なく,システムログファイルの状態をオンライン再編成上書き禁止状態からオンライン再編成上書き可能状態に変更します。

  • 追い付き反映処理がすべて終了した場合

  • pdorbegin -uコマンドを実行した場合

  • pdorend -uコマンドを実行した場合

《指定値の目安》

このオペランド及びpd_log_org_no_standby_file_oprオペランドの値によって,システムログファイルのオンライン再編成上書き禁止状態の状態遷移と更新可能なオンライン再編成の運用方法が決まります。このオペランドの指定値の目安については,マニュアル「インナレプリカ機能 HiRDB Staticizer Option」を参照してください。

《注意事項》

強制終了,異常終了,又は計画停止後にこのオペランドの指定値を変更する場合は,keep(省略値)からreleaseへの変更だけができます。

◆ pd_log_org_no_standby_file_opr = stop|continue

更新可能なオンライン再編成をする場合にこのオペランドを指定します。

全システムログファイルがオンライン再編成上書き禁止状態の場合に,システムログファイルのスワップが発生したときのHiRDBの処理を指定します。

stop:

HiRDBを強制終了します。HiRDB/パラレルサーバの場合はユニットを強制終了します。

continue:

オンライン再編成上書き禁止状態をオンライン再編成上書き可能状態に変更して処理を続行します。HiRDB/パラレルサーバの場合はサーバ内のシステムログファイルが対象になります。

《指定値の目安》

このオペランド及びpd_log_org_reflected_logpointオペランドの値によって,システムログファイルのオンライン再編成上書き禁止状態の状態遷移と更新可能なオンライン再編成の運用方法が決まります。このオペランドの指定値の目安については,マニュアル「インナレプリカ機能 HiRDB Staticizer Option」を参照してください。

《注意事項》

このオペランドにcontinueを指定してオンライン再編成上書き禁止状態を強制的に解除した場合,その時点より後に使用したシステムログファイルはオンライン再編成上書き禁止状態になりません。このため,正系RDエリアにまだ反映していない更新ログを持つシステムログファイルが上書きされると,追い付き反映処理ができないことがあります。この場合,HiRDBはカレントの副系RDエリアだけを使用して業務を続行します。正系RDエリアにカレントを戻す場合,又は更新可能なオンライン再編成を再度実行する場合は,事前に副系RDエリアのバックアップから正系RDエリアを回復する必要があります。正系RDエリア回復手順については,マニュアル「インナレプリカ機能 HiRDB Staticizer Option」を参照してください。