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ノンストップデータベース HiRDB Version 9 コマンドリファレンス(Windows(R)用)


2.93.1 pdstartの形式と規則

〈この項の構成〉

(1) 機能

HiRDBシステム,ユニット,又はサーバを開始します。また,再開始する場合もこのコマンドを実行します。

(2) 実行者

HiRDB管理者が実行できます。 

(3) 形式

(a) HiRDB/シングルサーバの場合

 pdstart 〔{-i|-r|dbdestroy}〕

(b) HiRDB/パラレルサーバの場合

HiRDBシステムの開始
 pdstart 〔{-i|-r|dbdestroy}〕
ユニットの開始
 pdstart {-x ホスト名|-u ユニット識別子} 〔{-r|dbdestroy}〕
サーバの開始
 pdstart -s サーバ名
フロントエンドサーバのSUSPEND状態を解除する場合の開始
 pdstart -a〔-sフロントエンドサーバ名〕
各ユニットからのユニットの開始
 pdstart -q 〔-r〕
1:1スタンバイレス型系切り替え機能使用時の代替部の開始(代替部を待機状態にする)
 pdstart -q -c
影響分散スタンバイレス型系切り替え機能使用時の起動先ユニットを指定したサーバの開始
 pdstart 〔{-x ホスト名|-u ユニット識別子}〕 -s サーバ名
pdstart -rコマンドでHiRDB/パラレルサーバを開始した後,異常終了したシステムマネジャのユニットの強制的な開始
 pdstart -R

(4) オプション

(a) {-i|-r|dbdestroy}

HiRDBシステムの開始モードを指定します。省略した場合,前回の終了モードが正常終了であれば正常開始,前回の終了モードが強制終了,又は異常終了であれば再開始となります。再開始時には,データベースの回復処理をします。

-i

データベース初期設定ユティリティ(pdinit)でデータベースの初期設定が終了している場合に,再度データベースを初期設定したいときに指定します。

-r

データベース複写ユティリティ(pdcopy)でマスタディレクトリ用RDエリアのバックアップを取得する場合(-M x指定)に,指定します。また,マスタディレクトリ用RDエリアの障害などでHiRDBを開始できない場合,データベース回復ユティリティ(pdrstr)を実行するときに指定します。

dbdestroy:

再開始(pdstartオプション指定なし)でHiRDBが再開始できない場合に,強制開始するときに指定します。このオプション指定時は,すべてのRDエリア(システム用RDエリアも含まれます)を破壊しますので,注意してください。

(b) {-x ホスト名|-u ユニット識別子} 〔-r|dbdestroy〕

ユニットを開始したい場合に指定します。

-x ホスト名 〜<識別子>((1〜32))

ユニットを開始する場合,開始するユニットがあるホストの名称を指定します。-iオプションとは同時に指定できません。

影響分散スタンバイレス型系切り替え機能を適用している場合,指定したホストのユニットにあるホストBESとゲストBESを開始します。クラスタソフトウェアで実行系と指示されたサーバは実行系として開始し,待機系と指示されたサーバは受け入れ可能状態として開始します。実行系として開始したサーバは,HAグループ内のほかのユニットから見ると,受け入れ可能状態となります。

-u ユニット識別子 〜<識別子>((4文字))

ユニットを開始する場合,開始するユニットのユニット識別子を指定します。ただし,システムマネジャがあるユニットのユニット識別子は指定できません。また,-iオプションとは同時に指定できません。

影響分散スタンバイレス型系切り替え機能を適用している場合,指定したユニットにあるホストBESとゲストBESを開始します。クラスタソフトウェアで実行系と指示されたサーバは実行系として開始し,待機系と指示されたサーバは受け入れ可能状態として開始します。実行系として開始したサーバは,HAグループ内のほかのユニットから見ると,受け入れ可能状態となります。

-r及びdbdestroyについては,{-i|-r|dbdestroy}の説明を参照してください。

(c) -s サーバ名 〜<識別子>((1〜8))

サーバを開始する場合,開始するサーバの名称を指定します。

影響分散スタンバイレス型系切り替え機能を適用している場合の注意事項:

-uオプションを指定していない場合,HAグループ内の稼働中の全ユニットで,指定したサーバを開始します。ただし,実行系として開始するのは,クラスタソフトウェアで指示された1サーバだけであり,残りのサーバは受け入れ可能状態として開始します。

-uオプションを指定している場合,そのユニットの指定したサーバを開始します。クラスタソフトウェアで実行系と指示されたサーバは実行系として開始し,待機系と指示されたサーバは受け入れ可能状態として開始します。開始したサーバが実行系の場合,HAグループ内のほかのユニットから見ると,そのサーバは受け入れ可能状態となります。

影響分散スタンバイレス型系切り替え機能については,マニュアル「HiRDB Version 9 システム運用ガイド」を参照してください。

(d) -a〔-sフロントエンドサーバ名〕

フロントエンドサーバのSUSPEND状態(データディクショナリ用RDエリアの回復待ちや,ディクショナリサーバの起動待ちなどの状態)の原因を取り除いた後に,フロントエンドサーバを起動するときに指定します。-sの指定の有無に関係なく,障害が発生したすべてのフロントエンドサーバが起動されます。

(e) -q 〔-r〕

HiRDB/パラレルサーバでユニットを開始する場合に指定します。また,スタンバイ型系切り替え機能を適用している場合で,待機ユニットを開始する場合に指定します。

-qオプションを指定する場合,開始したいユニットに対応するホスト(システム共通定義のpdunitの-x又は-cオペランドに指定したホスト)に直接ログインして実行します。

-qオプションを指定した場合,システム定義のpd_reduced_check_timeオペランドの値(省略時は20分)までに,すべてのユニットを開始する必要があります。ユニットが開始できない場合,HiRDBの開始処理は中止されます。

-rについては,{-i|-r|dbdestroy}の説明を参照してください。

(f) -q -c

1:1スタンバイレス型系切り替え機能を使用する場合,代替部を待機状態にするときに指定します。次の場合に指定してください。

  • クラスタソフトのコマンドで計画系切り替えを実行した場合,代替部は停止状態になります。この場合,障害発生に備えるために,pdstart -q -cコマンドで代替部を待機状態にします。

  • 正規BESユニットをpdstop -uコマンドなどで停止して,対応する代替BESユニットの代替部が連動停止した後,再度正規BESユニットをpdstart -qコマンドで開始した場合,代替部は停止状態になります。この場合,障害発生に備えるために,pdstart -q -cコマンドで代替部を待機状態にします。

pdstart -q -cコマンドを実行する場合,待機状態にする代替部のホスト(システム定義のpdunitオペランドの-xに指定したホスト)に,直接ログインして実行してください。

(g) -R

pdstart -rコマンドでHiRDB/パラレルサーバを開始した後,システムマネジャのユニットに障害が発生して異常終了した場合に使用します。このオプションを使用してHiRDB/パラレルサーバを回復する場合の対処については,マニュアル「HiRDB Version 9 システム運用ガイド」の「pdstart -rコマンドで開始した場合に障害が発生したときの対処」を参照してください。

pdstart -Rコマンドを実行すると,HiRDBはシステムマネジャのユニットをいったん強制的に開始し,コマンド実行時に稼働していたすべてのユニットを強制終了します。pdstart -Rコマンドを実行した場合,システム構成と各ユニットの状態によってHiRDBの動作が異なります。システム構成と各ユニットの状態ごとのHiRDBの動作とリターンコードを次に示します。

システム構成

ユニットの状態

HiRDBの動作

pdstartのリターンコード

種別

ユニット数

システムマネジャ

システムマネジャ以外

HiRDB/シングルサーバ

pdstartコマンドはエラー終了します(KFPS05005-Iメッセージを出力します)。

8

HiRDB/パラレルサーバ

1

pdstartコマンドはエラー終了します(KFPS05813-EメッセージのONE_UNITを出力します)。

8

2以上

停止中

pdstart -rで稼働中

すべてのユニットが強制終了します。

0

pdstart -r以外で稼働中

  • システムマネジャ以外のユニットは稼働中のまま,KFPS05237-Eメッセージを出力します。

  • システムマネジャのユニットは強制終了します。

8

停止中

  • システムマネジャ以外のユニットは停止中のままです。

  • システムマネジャのユニットは強制終了します。

0

稼働中

pdstartコマンドは終了します(KFPS01853-WメッセージのNOT OFFLINEを出力します)。

8

(凡例)

−:関係しません。

(5) 規則

  1. pdstartコマンドは,HiRDBシステムの開始の場合はHiRDBが停止中のときだけ実行でき,ユニット又はサーバの開始の場合はシステムマネジャが稼働中のときだけ実行できます。

  2. pdstartコマンドは,シングルサーバがあるサーバマシン,又はシステムマネジャがあるサーバマシンで実行してください。

  3. HiRDB/パラレルサーバでシステムマネジャが異常終了した場合,pdstartコマンド(オプション指定なし)で再開始してください。

  4. -iオプションを指定した場合,データベース初期設定ユティリティ以外のユティリティ及び運用コマンドは,データベース初期設定ユティリティが正常終了しHiRDBシステムが開始処理完了の状態になった後に実行してください。HiRDBシステムは,データベース初期設定ユティリティの処理が終了する前に実行される,ほかのユティリティ及び運用コマンドのチェックはしません。実行した場合は,その後のHiRDBシステムの動作は保証されません。

  5. -iオプションを実行する場合,全ユニットが停止していることを確認してください。pdstart -iコマンドを実行した際に,全ユニットが停止していないと,一部のユニットの起動を認識しないことがあります。pdls -d ustコマンドで各ユニットの稼働状態を確認し,ユニットが稼働している場合は,pdstop -zコマンドで停止してください。

  6. 1:1スタンバイレス型系切り替え機能を使用していて,代替部を待機状態にするpdstartコマンドの場合,-iオプションは指定できません。

  7. -rオプションを指定した場合,データベース複写ユティリティ又はデータベース回復ユティリティを実行するだけのために,HiRDBシステム又はユニットを開始します。このため,-rオプション指定で開始した場合は,データベース複写ユティリティ,データベース回復ユティリティ,pdlsコマンド,及びpdstopコマンド以外は実行しないでください。実行した場合は,その後のHiRDBシステムの動作は保証されません。

  8. dbdestroyオプションを指定する場合,前回のHiRDBの開始後又はpdcloseコマンド入力以降に更新したRDエリア(システム用RDエリアも含まれます)はすべて破壊されます。このオプションでHiRDBを強制開始する時には,データベース回復ユティリティで破壊されたRDエリアをすべて回復するか,又はすべてのデータベースを再作成する必要があります。dbdestroyオプションを指定して強制開始,及びRDエリアの回復する場合の手順については,マニュアル「HiRDB Version 9 システム運用ガイド」を参照してください。

  9. dbdestroyオプションを実行する場合,全ユニットが停止していることを確認してください。pdstart dbdestroyコマンドを実行した際に,全ユニットが停止していないと,一部のユニットの起動を認識しないことがあります。pdls -d ustコマンドで各ユニットの稼働状態を確認し,ユニットが稼働している場合は,pdstop -zコマンドで停止してください。

  10. 系切り替え機能を適用している場合に-rオプションを指定するときは,pdstartコマンド実行前に影響分散スタンバイレス型系切り替え機能を適用したユニット以外のユニットで,ディスクの活性化及びIPアドレスの起動をする必要があります。このとき,pdstartコマンドの-qオプションの指定によって,対処が異なります。

    • -qオプションを指定しない場合

      ディスクの接続状態及びIPアドレスの稼働状態を確認し,現用系でディスクの活性化及びIPアドレスの起動をしてください。

    • -qオプションを指定する場合

      ディスクの接続状態及びIPアドレスの稼働状態を確認し,pdstartコマンドを実行する系でディスクの活性化及びIPアドレスの起動をしてください。

  11. HiRDB/パラレルサーバで,IPアドレスを引き継がない系切り替え機能を適用したユニットをpdstart -uコマンドで開始した場合,現用系ユニットが実行系として起動します。

    予備系のユニットを実行系として開始する場合は,予備系ユニットで,pdstart -qコマンドを実行してください。

  12. 系切り替え機能を適用している場合にpdstart -rコマンドを実行するときは,系切り替え対象のユニット(影響分散スタンバイレス型系切り替え機能を適用したユニットは除く)に対して,あらかじめディスクの活性化及びIPアドレスの起動をしてください。

    HiRDB/パラレルサーバの場合,全ユニットを現用系で開始するかどうかで,次のようにHiRDBの開始方法が変わります。なお,サーバマシン障害などで現用系が開始できない場合は,「一部又はすべてのユニットを予備系で開始する場合」でユニットごとに開始してください。

    • 全ユニットを現用系で開始する場合

      ディスクの接続状態を確認し,ディスクが現用系で活性化していない場合は,現用系でディスクの活性化をしてください。IPアドレスを引き継ぐ系切り替え機能を適用したユニットの場合は,現用系でIPアドレスが起動しているか確認し,IPアドレスが起動していないときは,現用系でIPアドレスを起動してください。すべての現用系でディスクの活性化及びIPアドレスの起動を確認した後,システムマネジャのあるユニットでpdstart -rコマンドを実行してください。

    • 一部又はすべてのユニットを予備系で開始する場合

      ディスクの接続状態を確認し,開始する系のディスクが活性化していない場合は,開始する系でディスクの活性化をしてください。IPアドレスを引き継ぐ系切り替え機能を適用したユニットの場合は,開始する系でIPアドレスが起動しているか確認し,IPアドレスが起動していないときは,開始する系でIPアドレスを起動してください。すべてのユニットでディスクの活性化及びIPアドレスの起動を確認した後,それぞれのユニットに対してpdstart -q -rコマンドを実行してください。

(6) 注意事項

  1. pdstartコマンドのリターンコードを次に示します。

    0:正常終了。

    4:タイムアウトによってメッセージが出力されています。

    8:異常終了(オプション指定不正)。

  2. pdstartコマンドの結果は,pdlsコマンド(-d prc又は-d svr指定)で確認できます。

  3. pdstartコマンドを実行後に,pdstartコマンドが異常終了,又はOSのkillコマンドなどでpdstartコマンドのプロセスを停止させた場合は,pdls -d svrコマンドでHiRDBの状態を確認してください。HiRDBのユニット,及び全ユーザサーバが稼働中(ACTIVE)の場合は,HiRDBは開始しています。HiRDBのユニット,又はユーザサーバが稼働中(ACTIVE)にならない状態が通常より長時間継続した場合,一度HiRDBを強制終了(pdstopコマンドの-f又は-zオプションで終了)した後,pdstartコマンドを再度実行してください。また,pdls -d svrコマンドを実行後にKFPS01853-Wメッセージがunit state not ONLINEを出力する場合は,pdls -d ustコマンドでユニットの状態を確認してください。HiRDBユニットの状態がSTARTINGのまま長時間継続した場合は,一度HiRDBを強制終了(pdstopコマンドの-f又は-zオプションで終了)した後,pdstartコマンドを再度実行してください。