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ノンストップデータベース HiRDB Version 9 システム定義(Windows(R)用)


11.3.9 ユニット用ステータスファイル(障害発生時)に関するオペランド

ステータスファイルに障害が発生したときの対処方法については,マニュアル「HiRDB Version 9 システム運用ガイド」を参照してください。

◆ pd_syssts_initial_error = stop|continue|excontinue
《オペランドの省略値》
  • 推奨モード適用時の省略値:excontinue

  • 0904互換モード適用時の省略値:stop

HiRDB(又はユニット)の開始時,HiRDBはユニット用ステータスファイルの現用ファイルを特定する処理を実行します。この特定処理で,次に示す異常を検知したときのHiRDBの処置を指定します。

  • ユニット用ステータスファイルの実体がない

  • ユニット用ステータスファイルの障害を検知した

現用ファイルの特定処理はpd_syssts_file_name_1〜7オペランドに指定したユニット用ステータスファイルを対象とします。

stop:

現用ファイルの特定処理時にユニット用ステータスファイルの異常を検知した場合,HiRDB(又はユニット)の開始処理を中止します。この場合,異常を検知したステータスファイルの対策を実施した後にHiRDBを開始してください。

continue又はexcontinue:

現用ファイルの特定処理時にユニット用ステータスファイルの異常を検知しても,現用ファイルが正常な場合はHiRDB(又はユニット)の開始処理を続行します。ただし,pd_syssts_singleoperationオペランドの値(ステータスファイルの片系運転をするかどうか)によっては開始処理を中止することがあります。pd_syssts_singleoperationオペランドとの関係を次に示します。

●pd_syssts_singleoperationオペランドとの関係

pd_syssts_singleoperationオペランドの値

HiRDBの処理

HiRDB管理者の処置

continue

ユニット用ステータスファイルの異常を検知した場合,HiRDBは現用ファイルを特定できないため,HiRDB(又はユニット)の開始処理を中止します。

HiRDB管理者が現用ファイルを特定してpd_syssts_last_active_file及びpd_syssts_last_active_sideオペランドを指定します。その後,HiRDB(又はユニット)を開始してください。

stop(省略値)

ユニット用ステータスファイルの異常を検知した場合,HiRDBが現用ファイルを特定してHiRDB(又はユニット)の開始処理を続行します。ただし,A系とB系のファイルが次に示す表(HiRDBが現用ファイルを特定できないケース)の条件のどれかに当てはまる場合,HiRDBは現用ファイルを特定できないため,HiRDBの開始処理を中止します。

HiRDBが現用ファイルを特定できない場合は,HiRDB管理者が現用ファイルを特定してpd_syssts_last_active_file及びpd_syssts_last_active_sideオペランドを指定します。その後,HiRDB(又はユニット)を開始してください。

●HiRDBが現用ファイルを特定できないケース

pd_syssts_initial_errorオペランドの値

A系ファイルの状態

B系ファイルの状態

continue

障害閉塞

障害閉塞

障害閉塞

オープン(初期状態)

障害閉塞

ファイル実体なし

オープン(初期状態)

障害閉塞

オープン(初期状態)

ファイル実体なし

ファイル実体なし

オープン(初期状態)

ファイル実体なし

障害閉塞

ファイル実体なし

ファイル実体なし

excontinue

障害閉塞

障害閉塞

障害閉塞

ファイル実体なし

ファイル実体なし

障害閉塞

ファイル実体なし

ファイル実体なし

したがって,HiRDB管理者の操作をなるべく少なくしたい場合(pd_syssts_last_active_file及びpd_syssts_last_active_sideオペランドを指定するケースを減らしたい場合)は,次に示すようにオペランドを指定してください。

  • pd_syssts_initial_errorオペランドにexcontinueを指定

  • pd_syssts_singleoperationオペランドにstopを指定

《指定値の目安》

各指定値の目安,メリット,及びデメリットを次に示します。

項目

pd_syssts_initial_errorオペランドの値

stop

continue又はexcontinue

HiRDB又はユニット開始時のHiRDBの処理

ユニット用ステータスファイルの異常を検知した場合,HiRDB(又はユニット)の開始処理を中止します。

一部のユニット用ステータスファイルに異常があっても,現用ファイルが正常な場合はHiRDB(又はユニット)の開始処理を続行します。

指定値の目安

システムの信頼性を上げる場合はstopを指定します。

HiRDB開始時の障害対策を簡易化する場合はcontinue又はexcontinueを指定します。

メリット

HiRDBの開始時に全ユニット用ステータスファイルの正常が保証されます。このため,HiRDBの開始後に現用ファイルの障害が発生した場合,予備ファイルにスワップできます。

HiRDBの開始時に一部のユニット用ステータスファイルの障害を検知しても,残りの正常なファイルだけでHiRDBを開始できます。このため,HiRDBの停止時間を短くできます。この場合,予備ファイルが少なくなっているため,障害状態のステータスファイルをすぐに修復する必要があります。

デメリット

ユニット用ステータスファイルの障害によってHiRDBの開始処理が中止される可能性が高くなります。

予備ファイルが少ない状態でHiRDBを稼働することがあるため,システムの信頼性が低下します。予備ファイルの数によってはユニット用ステータスファイルをスワップできないことがあります。

《注意事項》
  • 現用ファイルが両系とも異常の場合は,このオペランドの指定値に関係なくHiRDB(又はユニット)の開始処理を中止します。

  • HiRDBを開始する前に現用ファイルをpdstsinitコマンドで初期化しないでください。初期化するとHiRDBを再開始できません。

  • このオペランドにexcontinueを指定し,すべての世代のステータスファイルが片系運転でかつオープン(初期状態)の場合,HiRDBは起動しません。

《備考》

このオペランドの指定値とHiRDBの処理及びHiRDB管理者の処置を次に示します。

●このオペランドの指定値とHiRDBの処理

[図データ]

●HiRDBの処理及びHiRDB管理者の処置

対応番号

HiRDBの処理

HiRDB管理者の処置

[1]

HiRDBの開始処理を続行します。

なし

[2]

HiRDBが最新の現用ファイルを特定して,開始処理を続行します。

障害によって閉塞しているファイルを予備ファイルにしてください。

[3]

pd_syssts_last_active_fileオペランドに指定されたファイルを現用ステータスファイルとしてHiRDBの開始処理を続行します。

障害によって閉塞しているファイルを予備ファイルにしてください。

[4]

pd_syssts_last_active_file及びpd_syssts_last_active_sideオペランドに指定されたファイルを現用ステータスファイルとしてHiRDBの開始処理を続行します。

障害によって閉塞しているファイルを予備ファイルにしてください。

[5]

pd_syssts_initial_errorオペランドにstopが指定されているため,HiRDBの開始処理を中止します。

マニュアル「HiRDB Version 9 メッセージ」を参照して,KFPS01005-Eメッセージの理由コード0000000010が示す対策をしてください。

[6]

前回稼働時の現用ファイルが特定できないため,HiRDBの開始処理を中止します。

マニュアル「HiRDB Version 9 メッセージ」を参照して,KFPS01005-Eメッセージの理由コード0000000016が示す対策をしてください。

[7]

HiRDBが特定した現用ファイルの正常な系と,pd_syssts_last_active_sideオペランドに指定された系が一致しないため,HiRDBの開始処理を中止します。

マニュアル「HiRDB Version 9 メッセージ」を参照して,KFPS01005-Eメッセージの理由コード0000000017が示す対策をしてください。

[8]

HiRDBが特定した現用ファイル名と,pd_syssts_last_active_fileオペランドに指定したファイル名が一致しないため,HiRDBの開始処理を中止します。

マニュアル「HiRDB Version 9 メッセージ」を参照して,KFPS01005-Eメッセージの理由コード0000000015が示す対策をしてください。

[9]

前回稼働時の現用ファイルの正常な系が特定できないため,HiRDBの開始処理を中止します。

マニュアル「HiRDB Version 9 メッセージ」を参照して,KFPS01005-Eメッセージの理由コード0000000018が示す対策をしてください。

◆ pd_syssts_singleoperation = stop|continue

ユニット用ステータスファイルの片系運転をするかどうかを指定します。予備ファイルがない状況で現用ファイルの片系に障害が発生した場合,正常な系(片方の系)だけで処理を続行することをステータスファイルの片系運転といいます。ステータスファイルの片系運転については,マニュアル「HiRDB Version 9 システム導入・設計ガイド」を参照してください。

なお,予備ファイルがある状況で現用ファイルの片系に障害が発生した場合は,このオペランドの指定値に関係なく,ステータスファイルをスワップして処理を続行します(片系運転にはなりません)。

stop:

片系運転をしません。片系運転になる場合はHiRDB(HiRDB/パラレルサーバの場合はユニット)を異常終了します。HiRDBが異常終了した場合,予備ファイルを準備した後にHiRDBを開始してください。

continue:

片系運転をします。片系運転になるとKFPS01044-Iメッセージが出力されます。片系運転中に正常な系に障害が発生したり,又はステータスファイルの更新中にHiRDB(HiRDB/パラレルサーバの場合はユニット)が異常終了したりすると,HiRDBを再開始できなくなるため,片系運転になった場合はすぐに予備ファイルを準備してください。

《指定値の目安》
  • stopを指定してシステムの信頼性を上げることを推奨します。また,現用ファイルの障害に対しては,予備ファイルの数を増やして備えることを推奨します。

  • 各指定値の目安,メリット,及びデメリットを次に示します。

    項目

    pd_syssts_singleoperationオペランドの値

    stop

    continue

    指定値の目安

    システムの信頼性を上げる場合はstopを指定します。

    HiRDBを停止させないことを重視する場合はcontinueを指定します。

    メリット

    予備ファイルがない状況で現用ファイルの片系に障害が発生した場合,片系運転をしないでHiRDBを異常終了します。このため,現用ファイルの内容が失われる可能性が低くなります。

    予備ファイルがない状況で現用ファイルの片系に障害が発生しても,処理を続行できます。このため,ステータスファイルの障害によってHiRDBが停止する可能性が低くなります。

    デメリット

    ステータスファイルの障害によってHiRDBが停止する可能性が高くなります。ただし,予備ファイルの数を増やすことで可能性を低くできます。

    片系運転中に正常な系に障害が発生したり,又はステータスファイルの更新中にHiRDBが異常終了したりすると,現用ファイルの内容が失われるため,HiRDBを再開始できなくなります。

《ほかのオペランドとの関連》

pd_syssts_singleoperation及びpd_syssts_initial_errorオペランドの指定値の組み合わせによって,ステータスファイル障害時のHiRDBの処理が決定します。したがって,これら二つのオペランドの指定値は一緒に考えるようにしてください。