スケーラブルデータベースサーバ HiRDB Version 8 コマンドリファレンス(Windows(R)用)

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18.2 バックアップを取得するために必要な知識

<この節の構成>
(1) バックアップの取得単位
(2) バックアップ取得モード
(3) バックアップを取得するタイミング
(4) 同時にバックアップを取得する必要があるRDエリア
(5) バックアップファイルを格納するサーバマシン
(6) アンロードレスシステムログ運用をしている場合
(7) 差分バックアップ機能を使用してバックアップを取得する場合
(8) インメモリデータ処理を使用している場合
(9) データベース複写ユティリティを実行するときのHiRDBの状態について
(10) バックアップファイルのサイズについて

(1) バックアップの取得単位

バックアップは次に示す単位で取得できます。バックアップの取得単位はデータベース複写ユティリティのオプションで指定します。バックアップの取得単位を次の表に示します。

表18-1 バックアップの取得単位

バックアップの取得単位 説明 オプション
システム単位 システム内の全RDエリアのバックアップを取得します。ユーザ用RDエリア以外(例えば,マスタディレクトリ用RDエリアなど)のバックアップも取得されます。ただし,リスト用RDエリアはバックアップの対象となりません。 -a
ユニット単位 ユニット下の全RDエリアのバックアップを取得します。 -u
サーバ単位 サーバ下の全RDエリアのバックアップを取得します。 -s
RDエリア単位 RDエリアごとにバックアップを取得します。
RDエリア名を正規表現することで,グループ化したRDエリアのバックアップを取得できます。
-r

注※
HiRDB/パラレルサーバの場合に該当します。HiRDB/シングルサーバの場合は該当しません。

(2) バックアップ取得モード

データベース複写ユティリティの -Mオプションでバックアップ取得モードを選択します。バックアップ取得モードを次の表に示します。

表18-2 バックアップ取得モード

バックアップ取得モード
(-Mオプション
の指定値)
モードの説明 データベースの
回復方法
バックアップ取得中,バックアップ対象RDエリアの参照及び更新ができません。バックアップ取得対象RDエリアをpdholdコマンドで閉塞かつクローズ状態にする必要があります。 バックアップだけでデータベースをバックアップ取得時点に回復できます。
バックアップ取得中,バックアップ取得対象のRDエリアの参照はできますが,更新はできません。
バックアップ取得中,バックアップ取得対象RDエリアの参照及び更新ができます。バックアップ取得対象RDエリアをバックアップ閉塞にする必要があります。 データベースを回復するときに,バックアップ及びバックアップ取得中のシステムログが必要になります。

注※
データベース複写ユティリティの処理結果リストに,RDエリアを回復するときに必要なシステムログファイルの名称及び世代番号が出力されます。データベース複写ユティリティの処理結果リストについては,「18.6 データベース複写ユティリティの処理結果リスト」を参照してください。

●注意事項
HiRDBの稼働中に全RDエリアのバックアップを取得する場合(システム単位でバックアップを取得する場合)は,バックアップ取得モード(-Mオプション)にr又はsを指定してください。xは指定できません。
理由:
xを指定する場合は,バックアップ取得対象RDエリアをpdholdコマンドで閉塞かつクローズ状態にする必要があります。しかし,マスタディレクトリ用RDエリアは閉塞かつクローズ状態にできません。このため,-Mオプションにxを指定して,HiRDBの稼働中に全RDエリアのバックアップを取得できません。

(3) バックアップを取得するタイミング

バックアップは定期的に取得してください。ただし,次に示す作業をする場合は必ずバックアップを取得してください。このタイミングで取得していないと,障害が発生したときに最新の同期点までデータベースを回復できなくなります。

また,次に示す作業をする場合にバックアップを取得しておくと,障害が発生したときに回復に掛かる時間を短縮できます。

(4) 同時にバックアップを取得する必要があるRDエリア

RDエリア単位にバックアップを取得する場合は注意が必要です。バックアップを取得するRDエリアは,処理対象のRDエリアだけではなく,その処理によって更新されるRDエリア(例えば,データディクショナリ用RDエリアなど)についてもバックアップを取得する必要があります。同時にバックアップを取得する必要があるRDエリアについては,マニュアル「HiRDB Version 8 システム運用ガイド」を参照してください。

(5) バックアップファイルを格納するサーバマシン

バックアップファイルは,HiRDBが稼働するサーバマシンであればどこにでも作成できます。バックアップを取得したRDエリアと同じサーバマシンに作成する必要はありません。CMTなどのデバイスが,ほかのサーバマシンにある場合に適用してください。

バックアップファイルを格納するサーバマシンは,データベース複写ユティリティのオプションで指定できます。

(6) アンロードレスシステムログ運用をしている場合

アンロードレスシステムログ運用をしている場合,バックアップを取得するときに,ログポイント情報ファイルも同時に取得する必要があります。ログポイント情報ファイルを取得するには,データベース複写ユティリティの-zオプションを指定します。

アンロードレスシステムログ運用については,マニュアル「HiRDB Version 8 システム運用ガイド」を参照してください。

(7) 差分バックアップ機能を使用してバックアップを取得する場合

差分バックアップ機能は,前回のバックアップ取得時点からの差分情報だけをバックアップとして取得する機能です。このため,バックアップの取得処理時間を短縮できます。データベースの容量が大きくてデータ更新量が少ない場合に,差分バックアップ機能の使用を検討してください。

差分バックアップ機能を使用する場合,-g,-d,-K,-o,及び-Lオプションを指定します。

差分バックアップ機能の運用方法については,マニュアル「HiRDB Version 8 システム運用ガイド」を参照してください。

なお,インメモリRDエリアに対しては,差分バックアップ機能を使用できません。

(8) インメモリデータ処理を使用している場合

インメモリRDエリアのバックアップを取得した場合,RDエリアの回復方法が通常の方法と異なることがあります。インメモリRDエリアのバックアップ及び回復方法については,「HiRDB Version 8 バッチ高速化機能」を参照してください。

(9) データベース複写ユティリティを実行するときのHiRDBの状態について

  1. データベース複写ユティリティは,HiRDBが稼働中のときだけ実行できます。
  2. データベース複写ユティリティは,シングルサーバ又はシステムマネジャがあるサーバマシンで実行してください。
  3. データベース複写ユティリティを実行する場合,バックアップ対象のRDエリアがあるユニット,及びバックアップファイルがあるユニットが開始されていなければなりません。また,バックアップ対象のRDエリアがあるサーバは,-Mオプションにx又はrを指定した場合は開始されていなくてもよいが,-Mオプションにsを指定した場合は開始されていなければなりません。

(10) バックアップファイルのサイズについて

ディスクの残容量に余裕があるのに,データベース複写ユティリティ実行時にディスク容量不足を示す旨のメッセージが出力された場合は,バックアップファイルのサイズが2ギガバイトを超えている可能性があります。この場合は,次に示すどちらかの対処をしてください。