スケーラブルデータベースサーバ HiRDB Version 8 コマンドリファレンス(Windows(R)用)

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14.1 概要

実行者 HiRDB管理者が実行できます

統計解析ユティリティは,統計入力アンロードファイル,及びシステムログファイルから情報を入力し,統計情報を編集するユティリティです。

HiRDBシステムの処理効率を向上させるには,データベースを最適に設計する必要があり,その際にはHiRDBシステムの稼働状況が容易に分かると便利です。

統計解析ユティリティを使用すれば,編集開始位置と終了位置を指定することで必要な統計情報だけを編集,出力できます。ユーザは,この統計情報を解析することでHiRDBシステムの稼働状況を知ることができます。また,標準出力には統計情報の編集結果を出力し,DAT形式ファイルには編集前の統計情報を出力します。したがって,DAT形式ファイルの情報を利用し,ユーザ任意の統計レポートも作成できます。

統計解析ユティリティ(pdstedit)の概要を次の図に示します。

図14-1 統計解析ユティリティ(pdstedit)の概要

[図データ]

<この節の構成>
(1) 統計情報の基になるファイル
(2) 統計情報の種類
(3) 統計解析ユティリティ実行時の条件

(1) 統計情報の基になるファイル

統計解析ユティリティが入力するファイルには,次に示す三つのファイルがあります。

アンロード統計ログファイル
統計ログファイルをアンロードしたファイルのことをいいます。

アンロードログファイル
システムログファイルをpdlogunldコマンドでアンロードしたファイルのことをいいます。

システムログのファイルグループ
システムログファイルの論理的な単位のことをいいます。統計解析ユティリティを起動するホストから参照できる,物理ファイルを持つファイルグループが入力対象となります。

(2) 統計情報の種類

統計解析ユティリティが編集する統計情報の種類を次の表に示します。なお,統計情報(CONNECT/DISCONNECTに関する統計情報を除く)は,システム定義のpdstbeginオペランドを指定するか,又はpdstbeginコマンドを実行すると取得されます。CONNECT/DISCONNECTに関する統計情報は,システム定義のpdhibegin -k cncオペランドを指定して取得します。

表14-1 統計解析ユティリティが編集する統計情報の種類

統計情報の種別 概要
システムの稼働に関する統計情報 HiRDBシステムでのプロセス,RPC,ログなど,システムの稼働に関する稼働情報を,HiRDBシステム単位及びサーバ単位に編集し,出力します。
UAPに関する統計情報※1 検索行数,各SQL実行回数など,UAPに関する情報を,編集時間単位に編集し,UAP又はサービスごとに出力します。
SQLに関する統計情報※1 検索行数,作業表作成回数,SQL内分割コマンドを発行したバックエンドサーバ数など,SQLの発行に関する情報をUAP又はサービスごとに編集し,出力します。
グローバルバッファに関する統計情報※2 バッファヒット率,実入出力回数など,グローバルバッファのアクセスに関する情報を,編集時間単位に編集し,サーバ単位及びグローバルバッファ単位に出力します。
データベース操作に関するHiRDBファイルの統計情報※2 同期入出力回数,入出力エラー回数など,HiRDBファイルへのアクセスに関する情報を編集時間単位に編集し,サーバ単位,HiRDBファイル単位,及びRDエリア単位に出力します。
デファードライト処理に関する統計情報 デファードライト処理の回数,動作要因,入出力並列度など,デファードライト処理に関する情報を編集時間単位に編集し,サーバ単位に出力します。
インデクスに関する統計情報※3 統計ログ及びシステムログを基にして,インデクスキー排他情報,インデクススプリット情報など,インデクスに関する情報を編集時間単位に編集し,サーバ単位及びインデクス単位に出力します。なお,この情報は,DAT形式ファイルには出力されません。
SQL静的最適化に関する統計情報 SQLの静的最適化情報を出力します。なお,この情報は,DAT形式ファイルにだけ出力します。
SQL動的最適化に関する統計情報 SQLの動的最適化情報を出力します。なお,この情報は,DAT形式ファイルにだけ出力します。
SQLオブジェクト実行に関する統計情報 SQLオブジェクトの実行情報を出力します。なお,この情報は,DAT形式ファイルにだけ出力します。
SQL文の履歴に関する統計情報 発行された操作系SQL,定義系SQL,及びLOCK文の情報,並びにSQLに関する情報を出力します。なお,この情報は,DAT形式ファイルにだけ出力します。
CONNECT/DISCONNECTに関する統計情報※4 CONNECT/DISCONNECTに関する情報を出力します。なお,この情報は,DAT形式ファイルにだけ出力します。
SQLオブジェクト転送に関する統計情報 SQLオブジェクトの転送情報を出力します。なお,この情報は,DAT形式ファイルにだけ出力します。
外部サーバの稼働に関する統計情報 外部サーバの稼働情報を出力します。なお,この情報は,DAT形式ファイルにだけ出力します。
外部サーバの利用状況に関する統計情報 外部サーバの利用状況を出力します。なお,この情報は,DAT形式ファイルにだけ出力します。

注※1
UAPに関する統計情報とSQLに関する統計情報は,pdstbegin,pdstendコマンドを入力するタイミングによっては情報が一致しない場合があります。また,UAPから実際に発行しているSQLの数と表示する数とが一致しない場合があります。

注※2
-tオプションの時間範囲内にシンクポイントが発生していない場合又はシンクポイントが1回だけ発生している場合,その時間帯に対しての情報は出力されません。このような場合には,-tオプションの時間範囲を大きく設定する必要があります。

注※3
インデクスに関する統計情報の,インデクススプリットの情報は,アンロードログファイル,又はシステムログのファイルグループから情報を取得します。したがって,インデクススプリットの情報を編集したい場合は,アンロードログファイル,又はシステムログのファイルグループを入力としてください。そのほかの情報はアンロード統計ログファイルから情報を取得します。

注※4
CONNECT/DISCONNECTに関する統計情報は,アンロードログファイル,又はシステムログのファイルグループから情報を取得します。このため,アンロードログファイル,又はシステムログのファイルグループを入力としてください。なお,この統計情報は,システム定義のpdhibegin -k cncオペランドを指定した場合,シングルサーバ,又はフロントエンドサーバがあるサーバに出力されます。

(3) 統計解析ユティリティ実行時の条件

  1. 統計解析ユティリティは,HiRDBの稼働に関係なく実行できます。
  2. 統計解析ユティリティは,任意のサーバマシンで実行してください。