スケーラブルデータベースサーバ HiRDB Version 8 システム定義(Windows(R)用)

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2.2.31 系切り替え機能に関するオペランド

162) pd_ha = use | nouse
系切り替え機能を使用するかどうかを指定します。
use:系切り替え機能を使用します。
nouse:系切り替え機能を使用しません。

 

163) pd_ha_ipaddr_inherit = Y | N
系切り替え機能を使用する場合にIPアドレスを引き継ぐかどうかを指定します。IPアドレスを引き継ぐかどうかによって,系切り替え機能の運用方法が異なります。詳細については,マニュアル「HiRDB Version 8 システム運用ガイド」を参照してください。
Y:IPアドレスを引き継ぎます。
N:IPアドレスを引き継ぎません。
サーバモードで運用する場合は,IPアドレスを引き継ぐことはできません。
1:1スタンバイレス型系切り替え機能又は影響分散スタンバイレス型系切り替え機能を使用する場合はこのオペランドを省略してください。指定しても無効になります。
《指定値の目安》
  • HiRDB/シングルサーバの場合
    IPアドレスを引き継ぐ場合はYを,引き継がない場合はNを指定してください。ただし,サーバモードで運用する場合はIPアドレスを引き継げません。したがって,ここでYを指定した場合,ユニット制御情報定義のpd_ha_ipaddr_inheritオペランドにNを指定する必要があります。
    なお,このオペランドにNを指定した場合は,ユニット制御情報定義のpd_ha_ipaddr_inheritオペランドにYを指定できません。
  • HiRDB/パラレルサーバの場合
    IPアドレスを引き継ぐ場合はYを,引き継がない場合はNを指定してください。ただし,サーバモードの対象にするユニットはIPアドレスを引き継げません。したがって,ここでYを指定した場合,サーバモードの対象にするユニットのユニット制御情報定義のpd_ha_ipaddr_inheritオペランドにNを指定する必要があります。
    なお,このオペランドにNを指定した場合は,ユニット制御情報定義のpd_ha_ipaddr_inheritオペランドにYを指定できません。

 

164) pd_ha_switch_timeout = Y | N
このオペランドはサーバモードの場合に指定できます。モニタモードの場合にこのオペランドを指定しても無効になります。
系切り替え時のHiRDB(HiRDB/パラレルサーバの場合はユニット)の内部停止処理がサーバ障害監視時間を超えた場合に,HiRDBの内部停止処理を待たないで系を切り替えるかどうかを指定します。ここでいうサーバ障害監視時間とは,Hitachi HA Toolkit Extensionのpatrolオペランドに指定した時間のことです。
Hitachi HA Toolkit Extensionのpatrolオペランドについては,マニュアル「Hitachi HA Toolkit」を参照してください。
Y:
系切り替え時のHiRDBの内部停止処理がサーバ障害監視時間を超えた場合,HiRDBの内部停止処理を待たないで系を切り替えます。このとき,HiRDBのスローダウンとして系を切り替えます。
1:1スタンバイレス型系切り替え機能又は影響分散スタンバイレス型系切り替え機能を使用している場合,計画系切り替え時はこのオペランドの指定が無効になります。
N:
系切り替え時のHiRDBの内部停止処理が終了するまで系を切り替えません。
《利点》
系の切り替え時にディスク障害などでHiRDBの内部停止処理に時間が掛かると,それが系の切り替え時間の遅延要因になります。このオペランドにY(省略値)を指定すると,HiRDBの内部停止処理に時間が掛かる場合でも,HiRDBの内部停止処理を待たないで系を切り替えられます。
《注意事項》
  • patrolオペランドの値が小さいときにこのオペランドにYを指定すると,計画系切り替えがスローダウンによる系切り替えになることがあります。これは,計画系切り替え時のHiRDBの内部停止処理がpatrolオペランドで指定した時間を超えてしまうためです。
  • Hitachi HA Toolkit Extensionのswitchtypeオペランドにrestartを指定した場合は注意が必要です。pd_ha_switch_timeout = Y(省略値)を指定した場合,HiRDBの内部停止処理がサーバ障害監視時間を超えると,障害が発生した系でHiRDBを再開始しません。この場合,すぐに系を切り替えます。
    Hitachi HA Toolkit Extensionのswitchtypeオペランドについては,マニュアル「Hitachi HA Toolkit」を参照してください。

 

165) pd_ha_mgr_rerun = wait | notwait
このオペランドはHiRDB/パラレルサーバ限定のオペランドです。
システムマネジャユニットの系が切り替わるときに,ほかのユニットの開始処理完了を待ち合わせるかどうかを指定します。
wait:
システムマネジャユニットの系を切り替えるときに,ほかのユニットの開始処理完了を待ち合わせます。この場合,システムマネジャユニットを開始するため,以下の確認が行われます。
  • 各ユニットのバージョンチェック
  • ディクショナリサーバが稼働中であるか
  • フロントエンドサーバが一つ以上稼働中であるか
  • バックエンドサーバが一つ以上稼働中であるか
システムマネジャユニットの系を切り替える場合に,ほかのユニットが停止しているとき,切り替えに時間が掛かる,又は失敗することがあります。一部のユニットが停止中に,システムマネジャユニットが系切り替えした場合の動作を次に示します。
縮退起動の指定(pd_start_levelの値) 開始しないユニット名称の指定 動作
なし(0) 開始できない
あり(1) pd_start_skip_unitオペランドに指定なし pd_reduced_check_timeオペランドで指定した時間だけ開始を待ち合わせた後に系が切り替わる
pd_start_skip_unitオペランドに停止中のユニットを指定 すぐに系の切り替えが完了する
(凡例)
−:該当しません。
注※
次の条件をすべて満たしていないと,系切り替えが完了しません。
  • ディクショナリサーバが稼働している
  • フロントエンドサーバが一つ以上稼働している
  • バックエンドサーバが一つ以上稼働している
notwait:
システムマネジャユニットの系切り替え時に,ほかのユニットの開始処理完了を待ち合わせません。このオペランドを指定すると,システムマネジャユニットの系切り替え時にほかのユニットが停止中でも,そのユニットの開始を待ち合わせることなく,系の切り替えが高速で行われます。
システムマネジャユニットの切り替えが完了すると,HiRDBの動作環境が整っていない場合でも,KFPS05210-Iメッセージ(システム初期化完了メッセージ)が出力されます。システムマネジャ切り替え完了後も,UAPがエラーになるなど,業務が続行できない場合は,pdlsコマンドでシステムの稼働状況を確認してください。
《前提条件》
このオペランドにnotwaitを指定する場合は,システム構成がある条件を満たしている必要があります。前提となるシステム構成については,マニュアル「HiRDB Version 8 システム運用ガイド」を参照してください。
《指定値の目安》
システムマネジャユニットの系切り替えの失敗を防ぐ場合は,notwaitを指定してください。システムマネジャユニットの系切り替えに失敗するときの対処方法については,マニュアル「HiRDB Version 8 システム運用ガイド」を参照してください。

 

166) pd_ha_transaction = error | queuing
トランザクションキューイング機能を使用するかどうかを指定します。また,系の切り替え中にHiRDBサーバへの接続数が最大同時接続数(pd_max_usersオペランドの値)を超えた場合の処理を指定します。トランザクションキューイング機能については,マニュアル「HiRDB Version 8 システム運用ガイド」を参照してください。
error:
  • トランザクションキューイング機能を使用しません。系切り替え中のバックエンドサーバ又はディクショナリサーバで処理するトランザクションをエラーにします。
  • 系の切り替え中にHiRDBサーバへの接続数が最大同時接続数を超えた場合,HiRDBサーバへの接続をエラーにします。
queuing:
  • トランザクションキューイング機能を使用します。系切り替え中のバックエンドサーバ又はディクショナリサーバで処理するトランザクションをエラーにしないで,系切り替えが完了するまでフロントエンドサーバでトランザクションをキューイングします。
  • 系の切り替え中にHiRDBサーバへの接続数が最大同時接続数を超えた場合,HiRDBサーバへの接続処理をpd_ha_trn_queuing_wait_time+pd_ha_trn_restart_retry_timeの時間だけHiRDBクライアントでリトライします。ただし,HiRDBクライアントのバージョンが07-00以上の必要があります。
《前提条件》
トランザクションキューイング機能を使用する場合は,次に示す条件をすべて満たす必要があります。
  • HiRDB/パラレルサーバである
  • 高速系切り替え機能,1:1スタンバイレス型系切り替え機能,又は影響分散スタンバイレス型系切り替え機能を使用している
なお,HiRDBサーバへの接続処理をHiRDBクライアントでリトライする処理については,前記の前提条件を満たす必要はありません。
《クライアント環境定義との関連》
このオペランドにqueuingを指定しても,クライアントごとにトランザクションキューイング機能を使用しないように変更できます。クライアントごとにトランザクションキューイング機能をキャンセルする場合は,クライアント環境定義のPDHATRNQUEUINGオペランドを指定してください。PDHATRNQUEUINGオペランドについては,マニュアル「HiRDB Version 8 UAP開発ガイド」を参照してください。
《ほかのオペランドとの関連》
このオペランドは次に示すオペランドと関連があります。
  • pd_ha_trn_queuing_wait_time
  • pd_ha_trn_restart_retry_time

 

167) pd_ha_trn_queuing_wait_time = トランザクションのキューイング待ち時間
〜<符号なし整数>((1〜3600))《180》(単位:秒)
トランザクションキューイング機能を使用する場合のトランザクションのキューイング待ち時間を指定します。このオペランドに指定した待ち時間を超えても待機系ユニット又はサーバが開始しない場合,キューイング中のトランザクションをエラーにします。これ以降発生するトランザクションはキューイングされないでエラーになります。なお,この待ち時間より先に開始処理中のユニット又はサーバが開始した場合は,この指定時間を待たないでトランザクションが再開されます。
また,1:1スタンバイレス型系切り替え機能の場合は,正常時は代替部が待機系になり,代替中は正規BESユニットが待機系になります。
《前提条件》
pd_ha_transactionオペランドにqueuingを指定する必要があります。
《指定値の目安》
通常,このオペランドを指定する必要はありませんが,系切り替え時のロールフォワード時間が180秒以上掛かる場合にこのオペランドの指定値を大きくしてください。

 

168) pd_ha_trn_restart_retry_time = トランザクション開始要求エラー時のリトライ時間の上限
〜<符号なし整数>((1〜3600))《60》(単位:秒)
トランザクションキューイング機能使用時に系切り替えが発生すると,トランザクションをフロントエンドサーバでキューイングします。しかし,系切り替えが発生してから待機系ユニット又はサーバが再開始するまでの間,フロントエンドサーバは系切り替えを検知できません。この間(系切り替えが発生してから待機系ユニット又はサーバが再開始するまでの間),フロントエンドサーバは実行系ユニット又はサーバに対してトランザクションの開始要求をしますが,実行系ユニットは既に異常終了しているため,このトランザクション開始要求はエラーになります。エラーになったトランザクションはフロントエンドサーバから開始要求が再度行われます(トランザクションの開始要求をリトライします)。
このオペランドには,このリトライ時間の上限を指定します。このオペランドの値を超えても待機系ユニット又はサーバが再開始されない場合は,リトライ中のトランザクションをエラーにします。また,これ以降発生するトランザクションはリトライされないでエラーになります。なお,このリトライ時間より前に待機系のユニット又はサーバが再開始した場合は,この指定時間リトライは行わないでキューイングされます。
《前提条件》
pd_ha_transactionオペランドにqueuingを指定する必要があります。
《指定値の目安》
通常,このオペランドを指定する必要はありませんが,クラスタソフトウェアによるディスクの切り替え時間が60秒以上掛かる場合にこのオペランドの指定値を大きくしてください。
《備考》
pd_ha_trn_queuing_wait_timeオペランドとpd_ha_trn_restart_retry_timeオペランドの関連を次に示します。
[図データ]

〔説明〕
区間A,D:
トランザクションを開始できる状態です(正常な状態です)。
区間B:
バックエンドサーバがあるユニットが系切り替え中で,フロントエンドサーバがそれを検知できていない状態です。pd_ha_trn_restart_retry_timeオペランドに指定した時間までトランザクション開始要求をリトライします。フロントエンドサーバが系の切り替えを検知すると,トランザクションがキューイングされます。指定した時間を過ぎても検知できない場合は,そのトランザクションをエラーにします。
区間C:
バックエンドサーバがあるユニットが系切り替え中で,フロントエンドサーバがそれを検知している状態です。pd_ha_trn_queuing_wait_timeオペランドに指定した時間までトランザクションをキューイングします。指定した時間を過ぎてもトランザクションを開始できない場合は,そのトランザクションをエラーにします。

 

169) pd_ha_resource_act_wait_time = リソース活性化最大待ち時間
〜<符号なし整数>((2〜3600))《10》(単位:秒)
影響分散スタンバイレス型系切り替え機能を使用する場合にこのオペランドを指定します。このオペランドには,ユニットを開始するときに,実行系サーバのリソースが活性化されるまでの最大待ち時間を秒単位で指定します。このオペランドに指定した待ち時間の間は,ユニットの開始処理を待ち合わせます。ただし,ここで指定した時間内にリソースが活性化された場合は,すぐにユニットの開始処理を再開します。
《利点》
ユニットの開始処理が完了したときに,ユニット内の実行系サーバの起動処理が完了していないと,業務を開始できません。このオペランドに適切な値を指定すると,ユニットの開始処理を待ち合わせるため,ユニットの開始処理が完了した直後から業務を開始できます。
《指定値の目安》
通常は,このオペランドを指定する必要はありません。次に示す条件をすべて満たす場合にこのオペランドを指定してください。
  • 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能を使用している場合
  • KFPS05623-Iメッセージが出力された場合
  • メッセージ出力対象ユニットに実行系サーバがある場合
指定値の目安を次に示します。
 10+リソース活性化処理に掛かる時間(秒)
《備考》
ユニット内に実行系サーバが存在しない場合,このオペランドに指定した時間だけ実行系サーバの開始を待ち合わせます。ただし,ユニット内の全サーバが待機系サーバとして開始した場合は,このオペランドで指定した時間を待たないでユニットの開始処理を再開します。

170) pd_deter_restart_on_stop_fail = Y | N
系切り替えをサーバモードで運用している場合,実行系でのpdstop -fコマンド又はpdstop -zコマンドによる強制停止処理時にユニットが異常終了したときに系切り替えを抑止するかどうかを指定します。
Y:強制停止処理中にユニットが異常終了したとき,系切り替えを抑止します。
N:強制停止処理中にユニットが異常終了したとき,系切り替えを抑止しません。
《注意事項》
この機能を使用するためには,HiRDBと組み合わせるHitachi HA Toolkit Extensionのバージョンが01-20以降である必要があります。01-20以前のバージョンの製品と組み合わせた場合,このオペランドにYを指定しても無効となり,指定値にNが仮定されます。