スケーラブルデータベースサーバ HiRDB Version 8 解説(Windows(R)用)

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6.11 データベースの更新ログを取得しないときの運用

HiRDBは,UAP(又はユティリティ)によって更新されたデータベースの履歴情報(システムログ中のデータベースの更新ログ)をシステムログファイルに取得しています。また,データベースの更新ログを取得しないこともできます。データベースの更新ログを取得しないと,その分の処理時間が短縮されます。したがって,UAP(又はユティリティ)の実行時間を短縮できます。

注※
次に示すユティリティのことです。
  • データベース作成ユティリティ(pdload)
  • データベース再編成ユティリティ(pdrorg)
  • リバランスユティリティ(pdrbal)
<この節の構成>
(1) データベースの更新ログ取得方式
(2) データベースの更新ログ取得方式の指定方法
(3) RECOVERYオペランドについての注意
(4) データベースの更新ログ取得方式による運用方法の違い
(5) バックアップについての注意(重要)

(1) データベースの更新ログ取得方式

UAP(又はユティリティ)を実行するときのデータベースの更新ログ取得方式には,次の表に示す3種類のモードがあります。

表6-12 データベースの更新ログ取得方式

データベースの
更新ログ取得方式
説明
ログ取得モード ロールバック及びロールフォワードに必要なデータベース更新ログを取得します。通常はログ取得モードで更新ログを取得します。
更新前ログ取得モード ロールバックに必要なデータベース更新ログだけを取得します。
ログレスモード データベース更新ログを取得しません。

(2) データベースの更新ログ取得方式の指定方法

データベースの更新ログ取得方式の指定方法を次の表に示します。

表6-13 データベースの更新ログ取得方式の指定方法

データベースの更新ログ
取得方式の指定方法
説明
UAPの場合 クライアント環境定義のPDDBLOGオペランドで,データベースの更新ログ取得方式を指定します。PDDBLOGオペランドでは,ログ取得モード又はログレスモードを指定できます。更新前ログ取得モードは指定できません。
データベース作成ユティリティ(pdload)の場合 データベース作成ユティリティ(pdload)の -lオプションで,データベースの更新ログ取得方式を指定します。
データベース再編成ユティリティ(pdrorg)の場合 データベース再編成ユティリティ(pdrorg)の -lオプションで,データベースの更新ログ取得方式を指定します。
リバランスユティリティ(pdrbal)の場合 リバランスユティリティ(pdrbal)の -lオプションで,データベースの更新ログ取得方式を指定します。
ユーザLOB用RDエリアを使用している場合 ユーザLOB用RDエリアに格納されているデータについては,CREATE TABLEのRECOVERYオペランドで,データベースの更新ログ取得方式を指定します。なお,ユーザLOB用RDエリアに抽象データ型のデータが格納されている場合,更新前ログ取得モードは指定できません。指定しても無視されます。

(3) RECOVERYオペランドについての注意

RECOVERYオペランドで指定したデータベースの更新ログ取得方式は,PDDBLOGオペランド又は-lオプションの指定で変更される場合があります。「RECOVERYオペランドとPDDBLOGオペランド又は-lオプションの指定値」と「UAP(又はユティリティ)実行時に仮定される値」との関係を次の表に示します。

表6-14 「RECOVERYオペランドとPDDBLOGオペランド又は-lオプションの指定値」と「UAP(又はユティリティ)実行時に仮定される値」との関係

PDDBLOGオペランド
又は-lオプションの指定
RECOVERYオペランドの指定
ALL PARTIAL NO
ALL又はa ALL PARTIAL NO
p PARTIAL PARTIAL NO
NO又はn NO NO NO

(凡例)
ALL及びa:ログ取得モード
PARTIAL及びp:更新前ログ取得モード
NO及びn:ログレスモード

(4) データベースの更新ログ取得方式による運用方法の違い

データベースの更新ログ取得方式が異なると,次に示す運用方法が異なります。

(a) UAPが異常終了したときのHiRDBの処理とユーザの処置

UAPが異常終了したときのHiRDBの処理とユーザの処置を次の表に示します。

表6-15 UAPが異常終了したときのHiRDBの処理とユーザの処置

データベースの
更新ログ取得方式
HiRDBの処理 ユーザの処置
ログ取得モード 更新したRDエリアの状態をUAP実行前の状態又は異常終了直前に取得した同期点までロールバックします。 UAP実行前の状態にロールバックされた場合は,UAPを再実行してください。異常終了直前に取得した同期点までロールバックされた場合は,同期点以降の処理を実行してください。
更新前ログ取得モード
ログレスモード ロールバックしません。更新したRDエリアを障害閉塞ログレス閉塞)します。RDエリアの内容は破壊されます。 UAP実行前に取得したバックアップを入力情報として,データベース回復ユティリティ(pdrstr)でRDエリアを回復してください。その後,UAPを再実行してください。
(b) データベースを回復できる時点

データベース回復ユティリティ(pdrstr)を使用してデータベースを回復できる時点を次の表に示します。

表6-16 データベースを回復できる時点

データベースの
更新ログ取得方式
データベースを回復できる時点
ログ取得モード バックアップ取得時点又はバックアップ取得時点以降の任意の同期点
更新前ログ取得モード バックアップ取得時点
ログレスモード

(5) バックアップについての注意(重要)

  1. ログレスモード又は更新前ログ取得モードのUAP(又はユティリティ)の実行中に,更新可能モード(-M s指定)でバックアップを取得しないでください。
  2. ログレスモード又は更新前ログ取得モードのUAP(又はユティリティ)の実行後は,次に示すモードでバックアップを取得してください。
    • 参照・更新不可能モード(-M x指定)
    • 参照可能モード(-M r指定)