サーバに障害が発生したときに現用系から予備系に切り替える機能として，クラスタ構成のホットスタンバイ機能が挙げられます。このホットスタンバイ機能とN+1コールドスタンバイ機能の相違点について説明します。

ホットスタンバイ機能では，同じ構成のシステムを2系統用意しておき，片方を現用系（実行系）として動作させ，もう一方を予備系（待機系）として動作させます。

予備系サーバモジュールは，現用系サーバモジュールに障害が発生したときに，処理を引き継げるように常に同期を取りながら待機しています。障害が発生したときには，現用系サーバモジュールから予備系サーバモジュールに自動的に処理を引き継ぎます。この機能をフェイルオーバー（系切り替え）といいます。フェイルオーバー機能は，予備系サーバモジュールが常に現用系サーバモジュールと同期を取っているので，障害が発生してもアプリケーションの利用者は障害に気づかないため可用性の高いシステムを実現できます。ただし，通常のホットスタンバイ構成では，現用系サーバモジュール1台に対して，予備系サーバモジュールが1台必要です。

ホットスタンバイ構成を次の図に示します。

図9-1　ホットスタンバイ構成

これに対し，BSM PlusのN+1コールドスタンバイ機能では，現用系サーバモジュールと予備系サーバモジュールがn：1またはn：mで構成されます。N+1コールドスタンバイの例では，n台ある現用系サーバモジュールのうち1つの現用系サーバモジュールで障害が発生すると，システムがいったん停止します。このあと，予備系サーバモジュールに切り替えてシステムを再起動します。障害が発生したサーバモジュールの交換などの回復作業を待たないで業務を再開できます。障害の発生によって，システムはいったん停止しますが，現用系サーバモジュールn台に対して，予備系サーバモジュールを最低1台用意するだけで可用性を高めることができます。

N+1コールドスタンバイ構成を次の図に示します。

図9-2　N+1コールドスタンバイ構成

N+1コールドスタンバイ構成とホットスタンバイ構成の違いを次の表に示します。

表9-1　N+1コールドスタンバイ構成とホットスタンバイ構成の違い

項目	N+1コールドスタンバイ構成	ホットスタンバイ構成
予備系サーバ状態	電源OFF	電源ON
ソフトウェア構成	複数の現用系がある場合は，各現用系は同一構成でなくても使用できる。 予備系にはソフトウェアは必要なし。	同一構成で使用する。
ハードウェア構成	同一構成で使用する。	同一構成でなくても使用できる。
用途	数分程度のダウンが許容できるシステム （APサーバ，Webサーバなど）	数分のダウンも許容できないシステム （DBサーバなど）