JP1/Automatic Job Management System 3 連携ガイド
次のようなスケジュールで,ローカル電源制御ジョブを使用して他ホストのシステム起動・停止,および電源の投入・切断を自動で実行する場合の定義例を,Windowsの場合とUNIXの場合のそれぞれについて紹介します。
表3-2 ジョブの運用時間とホストのスケジュール
曜日 ジョブの運用時間 ホストを停止したい時間 月 8:00〜21:00ごろ すべてのジョブが終了〜翌日6:00 火 8:00〜21:00ごろ すべてのジョブが終了〜翌日6:00 水 8:00〜21:00ごろ すべてのジョブが終了〜翌日6:00 木 8:00〜21:00ごろ すべてのジョブが終了〜翌日6:00 金 8:00〜21:00ごろ すべてのジョブが終了〜翌日6:00 土 8:00〜19:00ごろ すべてのジョブが終了〜翌週月曜の6:00 日 なし − なお,起動時刻については月曜から土曜まで定刻ですが,終了時刻についてはジョブ運用の関係で1〜2時間程度変動することを想定します。
- <この項の構成>
- (1) Windowsの場合
- (2) UNIXの場合の設定例
(1) Windowsの場合
他ホストを電源制御する場合は,次のようなシステム構成になります。
図3-9 他ホストの電源制御を定期的に実行するためのシステム構成(Windowsの場合)
(a) ホストの起動時刻の設定
JP1/Power Monitorでホストの起動時刻を設定します。この設定は,MANAGER,HOST1,およびHOST2で行います。なお,MANAGERで設定したあと,スケジュール情報の退避コマンドや運転スケジュール定義ファイルのエクスポートを実行してHOST1およびHOST2に配布したあと,スケジュール情報の回復コマンドや運転スケジュール定義ファイルのインポートを実行すれば,HOST1およびHOST2にMANAGERと同じスケジュール情報を設定することもできます。
JP1/Power Monitorでホストの起動時刻を設定する手順を次に示します。この例では,ホストの起動時刻を6:00に設定するとします。
- Windowsの[スタート]メニューから,[プログラム]−[JP1_Power Monitor]−[カレンダー設定]を選択する。
JP1/Power Monitorの[カレンダー設定]ダイアログボックスが表示されます。
- カレンダーからホストを起動する曜日を選択し,[時刻設定]ボタンをクリックする。
[時刻設定]ダイアログボックスが表示されます。
- [時刻]にホストの起動時刻を設定する。
ホストを起動したい時刻を設定します。この例の場合,6:00と設定します。
- [電源オン]ラジオボタンを選択し,[追加]ボタンをクリックする。
[時刻設定リスト]に「6:00 オン」と表示されます。
- [OK]ボタンをクリックする。
設定した内容が登録されます。
手順2〜5の操作を,日曜日を除くすべての曜日に行います。
(b) ホスト停止の設定
ホストの停止については,JP1/AJS3でホストを停止するジョブネットを定義します。
1日のジョブスケジュールが次のような場合,ジョブネットの定義方法には幾つかのパターンがあります。
図3-10 1日のジョブスケジュール
●JP1イベントを使って電源制御ジョブを実行する
図3-10のジョブネット「業務D」の最後に,ジョブネット実行終了時にJP1イベントを送信するJP1イベント送信ジョブを定義し,そのJP1イベントを受信してから電源制御ジョブを実行するジョブネット「ローカルオフ」を定義します。
ジョブネット「ローカルオフ」は,次のように定義します。
●最後のジョブネットの終わりに電源制御ジョブを定義する
図3-10のジョブネット「業務D」に,最後に実行されるジョブとしてローカル電源制御ジョブを定義します。
なお,ローカル電源制御ジョブの[終了要求種別]に[計画終了]を設定すると,電源制御ジョブの実行時にほかのジョブが実行中のとき,ジョブの終了を待ってJP1/AJS3を停止させ,停止完了を待ってシステムを終了できます。
また,ローカル電源制御ジョブの[終了要求種別]で[強制終了]を設定すると,電源制御ジョブの実行時にほかのジョブが実行中のとき,実行中のジョブネットを安全に実行中断した上でJP1/AJS3を停止させ,停止完了を待ってシステムを終了できます。
(2) UNIXの場合の設定例
他ホストを電源制御する場合は,次のようなシステム構成になります。
図3-11 他ホストの電源制御を定期的に実行するためのシステム構成(UNIXの場合)
(a) ホストの起動時刻の設定
ホストの起動時刻を設定します。ホストの起動時刻の設定には,構成定義ファイルおよび運転スケジュール定義ファイルを使用します。この例では,構成定義ファイルおよび運転スケジュール定義ファイルの名称を次のとおりとします。
- 構成定義ファイル: /usr/lib/jp1_aom/conf
- 運転スケジュール定義ファイル: /usr/lib/jp1_aom/sch
この設定は,MANAGER,HOST1,およびHOST2で行います。なお,MANAGERで定義ファイルを設定したあとに定義ファイルの退避コマンドを実行し,HOST1およびHOST2に配布して定義ファイルの回復コマンドを実行すれば,HOST1およびHOST2をMANAGERと同じ設定内容にすることもできます。
ホストの起動時刻を設定する手順を次に示します。
- 自動起動用シェルスクリプトファイル(/usr/lib/jp1_aom/startup)を,viなどのエディターで開く。
次のような,自動起動用シェルスクリプトファイルの内容が表示されます。
- 「LANG=」の前の「: #」を削除する。
コメントとして記述されていた「: #」を削除し,OSから呼び出せるように設定します。
- 「LANG=」の部分に,イベントを解釈するときに使用する言語種別を設定する。
ここでは「Ja_JP.IBM-932」を設定します。
- 「/usr/lib/jp1_aom/conf」の部分を,使用する構成定義ファイル名に書き換える。
ここでは,標準構成定義ファイルをそのまま使うので,「/usr/lib/jp1_aom/conf」のままとします。
- 書き換えた内容を保存し,エディターを終了する。
- 構成定義ファイル(/usr/lib/jp1_aom/conf)を,viなどのエディターで開く。
構成定義ファイルで次のようにパラメーターを設定します。
パラメーターschedule_fileには,運転スケジュール定義ファイル(/usr/lib/jp1_aom/sch)を指定します。また,JP1/AJS3と連携して運用するため,パラメーターrestrict_ajs_exec_jobには,「y」を指定します。
- 書き換えた内容を保存し,エディターを終了する。
これで,構成定義ファイルの設定が完了です。
- jaomcheccコマンドを実行し,構成定義ファイルで設定した情報の妥当性をチェックする。
次のようにコマンドを実行します。
構成定義ファイルで設定した情報に誤りがあった場合は,標準エラー出力ファイルにエラー情報が出力されます。
jaomchecc /usr/lib/jp1_aom/conf
- 運転スケジュール定義ファイル(/usr/lib/jp1_aom/sch)を,viなどのエディターで開く。
運転スケジュール定義ファイルで次のようにパラメーターを設定します。
月曜日から土曜日は,同じ時刻に電源オンするので,まとめて設定します。
この設定例では,自動起動用シェルスクリプトファイルに設定した構成定義ファイル(/usr/lib/jp1_aom/conf)を使って運用するため,構成定義ファイル名の位置には何も指定しません。
- 書き換えた内容を保存し,エディターを終了する。
- ホストまたはJP1/Power Monitorを再起動する。
(b) ホスト停止の設定
ホストの停止については,JP1/AJS3でホストを停止するジョブネットを定義します。
1日のジョブスケジュールが次のような場合,ジョブネットの定義方法には幾つかのパターンがあります。
図3-12 1日のジョブスケジュール
●JP1イベントを使って電源制御ジョブを実行する
図3-12のジョブネット「業務D」の最後に,ジョブネット実行終了時にJP1イベントを送信するJP1イベント送信ジョブを定義し,そのJP1イベントを受信してから電源制御ジョブを実行するジョブネット「ローカルオフ」を定義します。
ジョブネット「ローカルオフ」は,次のように定義します。
●最後のジョブネットの終わりに電源制御ジョブを定義する
図3-12のジョブネット「業務D」に,最後に実行されるジョブとしてローカル電源制御ジョブを定義します。
なお,ローカル電源制御ジョブの[終了要求種別]に[監視終了]または[制限終了]を設定すると,電源制御ジョブの実行時にほかのジョブが実行中のとき,ジョブの終了を待ってJP1/AJS3を停止させ,停止完了を待ってシステムを終了できます。
また,ローカル電源制御ジョブの[終了要求種別]で[強制終了]を設定すると,電源制御ジョブの実行時にほかのジョブが実行中のとき,実行中のジョブネットを安全に実行中断した上でJP1/AJS3を停止させ,停止完了を待ってシステムを終了できます。
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