JP1 Version 8 JP1/NETM/DM 運用ガイド1 (Windows(R)用)

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3.4.2 パラメタファイルの作成

ここでは,パラメタファイルの形式および作成手順について説明します。パラメタファイルを作成するには,Active Directory情報のエクスポート,エクスポートしたデータから必要な情報の抽出,および抽出した情報を基にパラメタファイルの編集が必要です。

<この項の構成>
(1) パラメタファイルの形式
(2) Active Directory情報のエクスポート
(3) 取得したい項目の属性名の特定
(4) パラメタファイルの編集

(1) パラメタファイルの形式

パラメタファイルは,テキスト形式で作成します。パラメタファイルの記述形式を次に示します。

#Active Directoryのサーバ(HOST001)から取得する項目の定義
タグ△値 改行コード
タグ△値 改行コード
 :
 :
(空行)
#Active Directoryのサーバ(HOST002)から取得する項目の定義
タグ△値 改行コード
タグ△値 改行コード
 :
 :

#で始まる行はコメントとして扱われます。タグは1行に一つ記述します。また,△の個所には一つ以上の半角スペースを記入してください。

空行を挟むことで,複数のActive Directoryのホストの情報を取得するように定義できます。同じホストの情報は,空行を挟まないで1か所にまとめて記述してください。

パラメタファイルに指定するタグを次の表に示します。

表3-2 パラメタファイルに指定するタグ

タグ名 指定する値 必須
COMATTR コンピュータから取得したい項目の属性名を指定する。複数指定する場合は,空白で区切って指定する。
COMKEY コンピュータのプロパティのうち,ユーザとの引き当てに使用する属性の属性名を指定する。指定する値は,Active Directoryの情報から抽出する。
大文字と小文字は区別されない。
省略すると「managedBy」が設定される。
COU 取得対象のコンピュータのOUを指定する。該当するOUが複数ある場合は複数指定する。指定する値は,Active Directoryの情報から抽出する。
DOMAIN ドメイン名を指定する。指定する値は,Active Directoryの情報から抽出する。
ENCPASS dcmadsyncコマンドで/eオプションを指定して実行すると,「PASS」タグで指定したパスワードがコード変換されて,タグが「ENCPASS」に変更される。
ディレクトリ情報取得時に,「PASS」タグと「ENCPASS」タグの両方が指定されていた場合は,エラーとなる。
HOST Active Directoryのホスト名またはIPアドレスを指定する。
ID Active Directoryへの接続ID(管理者権限のID)を指定する。指定する値は,Active Directoryの情報から抽出する。
OUATTR OUから取得したい項目の属性名を指定する。複数指定する場合は,空白で区切って指定する。
PASS Active Directoryへの接続IDのパスワードを指定する。ディレクトリ情報取得時に,「PASS」タグと「ENCPASS」タグの両方が指定されていた場合は,エラーとなる。
PORT Active Directoryに接続するためのポート番号を指定する。デフォルトは「389」。
UOU 取得対象のユーザのOUを指定する。該当するOUが複数ある場合は複数指定する。
USRATTR ユーザから取得したい項目の属性名を指定する。複数指定する場合は,空白で区切って指定する。
USRKEY ユーザのプロパティのうち,コンピュータとの引き当てに使用する属性の属性名を指定する。指定する値は,Active Directoryの情報から抽出する。
大文字と小文字は区別されない。
省略すると「distinguishedName」が設定される。
USRTYPE 次の値から,取得するユーザ属性を指定する。
  • USR:ユーザ属性を取得
  • INET:InetOrgPerson属性を取得
  • BOTH:ユーザおよびInetOrgPerson属性の両方を取得(デフォルト)
(凡例)
○:必須
△:省略できる
−:記述不要

(2) Active Directory情報のエクスポート

パラメタファイルに指定する接続ID,ドメイン名,取得対象のコンピュータのOU,取得対象のユーザのOU,および管理者のコンピュータの属性名を,Active Directoryの情報から抽出します。

Active Directoryの情報は,Windowsで標準提供されているLDIFDEコマンドを使用してエクスポートします。オプションを指定しないでLDIFDEコマンド実行すると,出力結果が大量になるため,出力したい項目ごとに,コマンドを複数回実行します。

LDIFDEコマンドを使用して,Active Directoryの情報をエクスポートする手順を次に示します。

  1. Active Directoryの稼働しているコンピュータに管理者権限でログインする。
  2. 次のコマンドラインを実行して,接続IDの情報を出力する。
    ldifde -u -p Subtree -r "objectclass=user" -l dn -f out1.txt
    -uは文字コードをUTF8で出力するためのオプションです。必ず指定してください。
    out1.txtに次のような情報が出力されます。
    dn: CN=Administrator,CN=Users,DC=example,DC=co,DC=jp
    changetype: add
     
    dn: CN=Guest,CN=Users,DC=example,DC=co,DC=jp
    changetype: add
     
    dn: CN=SUPPORT_388945a0,CN=Users,DC=example,DC=co,DC=jp
    changetype: add
    :
    :
    接続IDには管理者のIDを指定するため,この場合は「CN=Administrator,CN=Users,DC=example,DC=co,DC=jp」が,接続ID(「ID」タグ)に指定する値になります。
  3. 次のコマンドラインを実行して,ドメイン名の情報を出力する。
    ldifde -u -p Base -l dn -f out2.txt
    out2.txtに次のような情報が出力されます。
    dn: DC=example,DC=co,DC=jp
    changetype: add
    この場合は「dn: DC=example,DC=co,DC=jp」が,ドメイン名(「DOMAIN」タグ)に指定する値になります。
  4. 次のコマンドラインを実行して,ディレクトリ情報を取得するコンピュータおよびユーザのOUの情報を出力する。
    ldifde -u -p SUBTree -r "(objectclass=organizationalUnit)" -l dn -f out3.txt
    out3.txtに次のような情報が出力されます。
    dn: OU=Domain Controllers,DC=example,DC=co,DC=jp
    changetype: add
     
    dn: OU=ソフトウェア事業部,DC=example,DC=co,DC=jp
    changetype: add
     
    dn: OU=ソフトウェア本部,OU=ソフトウェア事業部,DC=example,DC=co,DC=jp
    changetype: add
     
    dn: OU=ソフトウェア設計部,OU=ソフトウェア本部,OU=ソフトウェア事業部,DC=example,DC=co,DC=jp
    changetype: add
     
    dn: OU=第1グループ,OU=ソフトウェア設計部,OU=ソフトウェア本部,OU=ソフトウェア事業部,DC=example,DC=co,DC=jp
    changetype: add
    :
    :
    「ソフトウェア設計部」のコンピュータの情報を取得する場合は,「dn: OU=ソフトウェア設計部,OU=ソフトウェア本部,OU=ソフトウェア事業部,DC=example,DC=co,DC=jp」が,取得するコンピュータのOU(「COU」タグ)に指定する値になります。
    また,「第1グループ」のユーザの情報を取得する場合は,「OU=第1グループ,OU=ソフトウェア設計部,OU=ソフトウェア本部,OU=ソフトウェア事業部,DC=example,DC=co,DC=jp」が,取得するユーザのOU(「UOU」タグ)に指定する値になります。
  5. 次のコマンドラインを実行して,管理者のコンピュータの情報を出力する。
    ここでは,管理者のコンピュータ名が「dmp001」の場合の例を示します。
    ldifde -u -p Subtree -r "cn=dmp001" -f out4.txt
    出力結果から,コンピュータの引き当てキーに使用する属性名を特定します。属性名の特定方法については,「(3) 取得したい項目の属性名の特定」を参照してください。

(3) 取得したい項目の属性名の特定

LDIFDEコマンドでエクスポートしたActive Directoryの情報から,コンピュータの引き当てキーに使用する属性名を特定する手順について説明します。

  1. 管理者の設定されているコンピュータを調べておく。
    ここでは,管理者の設定されているコンピュータ名を「dmp001」とします。
  2. LDIFDEコマンドでエクスポートしたファイルから,「dn」が「dmp001」を含むデータを探す。
    図3-58を参照してください。
  3. コンピュータのプロパティダイアログボックスで,Active Directoryでの管理者名を確認する。
    ここでは,管理者名を「AD.CO.JP/USERS/山田」とします。
  4. LDIFDEコマンドでエクスポートしたファイルから,「山田」を含むデータを探す。
    図3-58を参照してください。「山田」が設定されている属性名が「managedBy」であるため,コンピュータの管理者名の属性名は「managedBy」であることが特定できました。これをパラメタファイルの「COMKEY」タグの値に指定します。

    図3-58 LDIFDEコマンドでの出力結果例

    [図データ]

(4) パラメタファイルの編集

使用する環境や(2)〜(3)の手順を実施して抽出した値に合わせて,サンプルで提供されているパラメタファイルを編集します。

サンプルのパラメタファイル(SampleParameter.txt)は,次のディレクトリに格納されています。

JP1/NETM/DMのインストールディレクトリ\SAMPLE\dcmadsync

サンプルで提供されているパラメタファイルの内容を次に示します。

HOST ADHOST
PORT 389
ID CN=Administrator,CN=Users,DC=Sample,DC=co,DC=jp
PASS Admin
DOMAIN DC=Sample,DC=co,DC=jp
USRTYPE BOTH
COU OU=ソフトウェア事業部,DC=Sample,DC=co,DC=jp
UOU CN=Users,DC=Sample,DC=co,DC=jp
COMKEY ManagedBy
USRKEY distinguishedName
OUATTR ou managedBy
COMATTR cn dNSHostName managedBy
USRATTR cn sn givenname displayName physicalDeliveryOfficeName telephoneNumber mail company department title manager