JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド
形式
jp1ajs2_setup_cluster
-h 論理ホスト名
[-d 共有ディレクトリ名]
[-n 値]
[-m {cold|warm|hot}]
[-v]
機能
JP1/AJS2 - Manager,およびJP1/AJS2 - Agentの論理ホストに対応した動作環境をセットアップします。クラスタシステムの運用環境のセットアップ時には,実行系,および待機系それぞれで実行してください。
このコマンドで実行系をセットアップする場合,事前に,JP1/Baseの物理ホスト環境,および論理ホスト環境のセットアップを実施しておく必要があります。
また,このコマンドで実行系のJP1/AJS2 - Managerをセットアップする場合は,物理ホストのスケジューラーサービスが一つだけの状態で実行してください。
このコマンドが行うセットアップの内容を次に示します。
- JP1/AJS2 - Manager
- 実行系のセットアップ
- JP1共通定義情報に論理ホストの定義情報を設定します。
- 共有ディスクに論理ホストの定義ファイル,実行環境を作成します。定義ファイルは,物理ホスト環境から複写されます(すべてのファイルが複写されるわけではありません)。
- ISAMデータベースの書き込みモードを「sync」に設定します。
- イベント起動のファイル更新モードを「sync」に設定します。
- JP1/AJS2の起動モードを設定します。
- 論理ホスト,および物理ホストの通信方式をIPバインド方式に変更します。
- イベント起動の詳細プロセス終了時オプションを「Y」に設定します。
- 待機系のセットアップ
- 論理ホスト,および物理ホストの通信方式をIPバインド方式に変更します。
- JP1/AJS2 - Agent
- 実行系のセットアップ
- JP1共通定義情報に論理ホストの定義情報を設定します。
- 共有ディスクに論理ホストの定義ファイル,実行環境を作成します。定義ファイルは,物理ホスト環境から複写されます(すべてのファイルが複写されるわけではありません)。
- イベント起動のファイル更新モードを「sync」に設定します。
- 論理ホスト,および物理ホストの通信方式をIPバインド方式に変更します。
- イベント起動の詳細プロセス終了時オプションを「Y」に設定します。
- 待機系のセットアップ
- 論理ホスト,および物理ホストの通信方式をIPバインド方式に変更します。
実行権限
スーパーユーザー権限
引数
-h 論理ホスト名
セットアップする論理ホスト名(JP1/Baseで設定した論理ホスト名)を指定します。
指定できる文字数は,1〜63(単位:バイト)です。
このオプションに指定した論理ホスト名で環境が作成されます。
-d 共有ディレクトリ名
実行系から待機系に引き継ぐ情報を格納する共有ディスクの,マウント先のディレクトリ名を指定します。
指定できる文字数は,1〜165(単位:バイト)です。
このオプションは,実行系のセットアップ時には必ず指定してください。
省略した場合,待機系としてセットアップされます。
共有ディレクトリとして「指定した共有ディレクトリ名/jp1ajs2」が作成され,その下に論理ホストの環境定義ファイルや実行環境が作成されます。コマンド実行前に,必ず共有ディスクをマウントしておいてください。
-n 値
スケジューラーサービスの識別番号を指定します。この値がスケジューラーサービスの識別番号になります。また,AJSROOTnの名称のスケジューラーサービスが作成されます。
指定できる値は,1〜20です。
省略した場合,常に「2」が仮定されて「AJSROOT2」が作成されるため,AJSROOT2が作成されていない場合にだけ省略してください。なお,AJSROOT1は物理ホスト環境で使用します。
指定する場合は,物理ホストおよび論理ホストで使用していないスケジューラーサービスの識別番号を指定してください。
物理ホスト,またはjp1ajs2_setup_clusterコマンドを実行する論理ホスト上に,-nオプションで指定する識別番号と同じ番号のスケジューラーサービスがある場合は,警告メッセージが出力されますが処理は正常終了します。jp1ajs2_setup_clusterコマンドを実行する論理ホストとは別の論理ホストにすでにあるスケジューラーサービスの識別番号と同じ番号を指定した場合は,メッセージは出力されないで正常終了します。どちらの場合も,同一のスケジューラーサービスが作成されているため,正常に動作しません。この場合は,不要な論理ホストを削除してください。
論理ホストの削除は,「18.4.6 論理ホストの削除」を参照ください。
なお,すでに指定されている識別番号は,jbsgetcnfコマンドで共通定義情報を取得し,共通定義パラメーターAJSSERVICEIDに設定されている値で確認できます。共通定義パラメーターAJSSERVICEIDは,スケジューラーサービスが複数設定されている場合には複数の設定値があります。そのため,物理ホストおよび論理ホストの共通定義を取得し,すべての定義で指定する識別番号が重複しないことを確認してください。
このオプションは,実行系のセットアップ時にだけ指定できます。
-m {cold|warm|hot}
スケジューラーサービスの起動方法を指定します。
- cold
スケジューラーサービスをコールドスタートします。
- warm
スケジューラーサービスをウォームスタートします。
- hot
スケジューラーサービスをホットスタートします。
このオプションは,実行系のセットアップ時にだけ指定できます。
省略した場合,スケジューラーサービス環境設定ファイル(Schedule.conf)のSTARTMODEパラメーターに指定している値が仮定されます。
-v
処理状況を表示します。
注意事項
- このコマンドはUNIXだけで実行できます。Windowsでは実行できません。
- このコマンドを実行する前に,必ず物理ホストのJP1を停止しておいてください。
- このコマンドを実行して作成されたスケジューラーサービスのスケジューラーデータベースはISAMでセットアップされます。
スケジューラーデータベースとして組み込みDBを使用する場合は,このコマンドを実行したあとに,それぞれのRDB用にセットアップし直してください。
スケジューラーデータベースとして組み込みDBを使用する場合は,「15.1 組み込みDBを使用する場合の準備」を参照してください。
- このコマンドは,物理ホストのjp1ajs_spmd.confファイルを論理ホストにコピーします。そのため,物理ホストの設定を引き継いで,論理ホストに必要のないプロセスが起動されることがあります。物理ホストでjp1ajs_spmd.confファイルを編集している場合は,論理ホストのjp1ajs_spmd.confファイルを編集し,必要なプロセスだけが起動されるようにしてください。
戻り値
0 正常終了。 1 異常終了。
使用例
JP1/AJS2の動作環境のセットアップします。
セットアップ時の条件を次に示します。
論理ホスト名 lnode0 共有ディレクトリ名 /shdsk/lnode0 スケジューラーサービス名 AJSROOT2 スケジューラーサービスの起動方法 ホットスタート
(フェールオーバー時にジョブネットやジョブの状態を引き継ぐ)
- 実行系セットアップのコマンド指定例
# jp1ajs2_setup_cluster -h lnode0 -d /shdsk/lnode0 -n 2 -m hot
- 待機系セットアップのコマンド指定例
# jp1ajs2_setup_cluster -h lnode0
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