JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド
UNIX環境でJP1/AJS2のUNIXジョブ※,アクションジョブを実行する場合,ジョブの実行ユーザーが使用するログインシェルによっては,ジョブが異常終了したり,意図しない実行結果になったりすることがあります。これは,JP1/AJS2から起動される子プロセスが,SIGCHLDシグナルを無視する(SIG_IGN)設定で起動されるためです。SIGCHLDシグナルを受信するデフォルト(SIG_DFL)で実行できるようにするための設定方法を次に示します。なお,JP1/AJS2で設定される子プロセスのシグナルについては,「(3) JP1/AJS2で設定する子プロセスのシグナル」を参照してください。
- 注※
- ジョブの実行先サービスに[JP1/AJS2 Queueless Agent]を指定した場合を除きます。
- 注意事項
- JP1/AJS2 08-00以降を新規インストールする場合は,SIGCHLDシグナルを受信する設定になっています。以降で説明している設定は必要ありません。
- JP1/AJS2 07-50以前のバージョンからJP1/AJS2 08-00以降をバージョンインストールする場合は,JP1/AJS2 07-50以前の設定が引き継がれます。SIGCHLDシグナルを受信する設定に変更する場合は,以降で説明する設定が必要です。
- <この節の構成>
- (1) 設定方法1
- (2) 設定方法2
- (3) JP1/AJS2で設定する子プロセスのシグナル
(1) 設定方法1
JP1/AJS2から上記に該当するアプリケーションを起動する場合は,ジョブ実行ユーザーのログインシェルにsh,csh,ksh(Linuxの場合はcsh)を使用する,またはそのシェルを経由してアプリケーションを起動させてください。
(2) 設定方法2
(a) 定義手順
- JP1/AJS2のサービスを停止する。
次のコマンドを実行して,プロセスがすべて停止していることを確認します。
# /etc/opt/jp1ajs2/jajs_stop※ # /opt/jp1ajs2/bin/jajs_spmd_status
- 注※
- 自動停止の設定が行われていることを確認してください。
- viなどのテキストエディターで,(b)の定義パラメーターを記述した設定ファイルを作成する。
設定ファイルのファイル名は任意です。
- ファイルを保存し,次のコマンドを実行する。
jbssetcnfコマンドのパスは,「/opt/jp1base/bin/jbssetcnf」です。
jbssetcnf 設定ファイル名
jbssetcnfコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
- JP1/AJS2を再起動する。
設定ファイルに記述した内容が反映されます。
- 注意事項
- SIGCHLDシグナルを受信する設定(SIG_DFL)に変更する場合,ジョブを実行するホスト上で設定してください。
(b) 定義パラメーター一覧
表16-31 JP1/AJS2から起動される子プロセスを,SIGCHLDシグナルを受信する設定(SIG_DFL)に変更する定義パラメーター
定義キー 環境設定パラメーター 定義内容 [{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}\JP1NBQAGENT\Job]※ "IsSigchldDefault"= JP1/AJS2から起動される子プロセスを,SIGCHLDシグナルを受信する設定(SIG_DFL)に変更する定義
- 注※
- {JP1_DEFAULT|論理ホスト名}の部分は,物理ホストの場合は「JP1_DEFAULT」を,論理ホストの場合は「論理ホスト名」を指定します。
(c) 定義内容
- "IsSigchldDefault"=dword:00000000|00000001
- SIGCHLDを受信するデフォルト(SIG_DFL)で実行するかどうかを指定します。
- 0
- SIGCHLDシグナルを無視する場合に指定します。
- 1
- デフォルト(SIG_DFL)で実行する場合に指定します。
- デフォルトは「0」です。
- このパラメーターは,JP1/AJS2の新規のインストール時および新規のセットアップ時に「1」が設定されます。
(3) JP1/AJS2で設定する子プロセスのシグナル
表16-32 JP1/AJS2で設定する子プロセスのシグナル
シグナル名 プロセス生成時の設定 動作 SIGHUP SIG_DFL(デフォルト) A SIGINT SIG_DFL(デフォルト) A SIGQUIT SIG_DFL(デフォルト) A SIGILL SIG_DFL(デフォルト) A SIGTRAP SIG_DFL(デフォルト) C,G SIGIOT SIG_DFL(デフォルト) C,G SIGEMT SIG_DFL(デフォルト) G SIGFPE SIG_DFL(デフォルト) C SIGBUS SIG_DFL(デフォルト) A,G SIGSEGV SIG_DFL(デフォルト) C SIGSYS SIG_DFL(デフォルト) G SIGPIPE SIG_DFL(デフォルト) A SIGALRM SIG_DFL(デフォルト) A SIGTERM SIG_DFL(デフォルト) A SIGUSR1 SIG_DFL(デフォルト) A SIGUSR2 SIG_DFL(デフォルト) A SIGCHLD SIG_DFL(デフォルト)※1 B SIG_IGN(無視)※2 H SIGPWR SIG_DFL(デフォルト) A,G SIGVTALRM SIG_DFL(デフォルト) A,G SIGPROF SIG_DFL(デフォルト) A,G SIGIO SIG_DFL(デフォルト) A,G SIGWINCH SIG_DFL(デフォルト) B,G SIGTSTP SIG_DFL(デフォルト) D SIGCONT SIG_DFL(デフォルト) I SIGTTIN SIG_DFL(デフォルト) D SIGTTOU SIG_DFL(デフォルト) D SIGURG SIG_DFL(デフォルト) BG SIGLOST SIG_DFL(デフォルト) AG
- (凡例)
- A:デフォルトの動作は,プロセスの終了(terminate the process)
- B:デフォルトの動作は,このシグナルの無視(ignore the signal)
- C:デフォルトの動作は,コアダンプ(dump core)
- D:デフォルトの動作は,プロセスのストップ(stop the process)
- E:キャッチできないシグナル
- F:無視できないシグナル
- G:POSIX.1に準拠しないシグナル
- H:無視
- I:デフォルトの動作は,プロセスのストップからの再開(restart the process)
- 注※1
- JP1/AJS2 08-00以降のバージョンを新規インストールした場合はSIG_DFL(デフォルト)が設定されます。
- 注※2
- JP1/AJS2 07-50以前からJP1/AJS2 08-00以降へバージョンアップインストールした場合は,SIG_IGN(無視)が設定されます。
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