JP1/ServerConductor/Blade Server Manager系 運用ガイド
この節では,N+Mコールドスタンバイ(I/O継承方式)を利用する前に検討が必要な,サーバモジュールの割り当てや予備系への切り替えについて説明します。
N+Mコールドスタンバイでは,どのサーバモジュールに障害が発生したらどの予備系サーバモジュールに切り替えるかを設定しておく必要があります。
現用系サーバモジュールと割り当てる予備系サーバモジュールのグループをN+1グループといいます。N+Mコールドスタンバイを利用する際は,N+1グループを作成し,グループ名を付けておきます。
N+Mコールドスタンバイは,1つのN+1グループに対する予備プールに,複数の予備系サーバモジュールを登録できます。複数の予備系サーバモジュールを準備することで,N+1コールドスタンバイよりも,現用系サーバモジュールの障害に対する信頼性,可用性を高められます。
N+Mコールドスタンバイ(I/O継承方式)の構成例を次の図に示します。
図9-20 N+Mコールドスタンバイ(I/O継承方式)の構成例
構成例に示すように,4台の現用系サーバモジュールに対して2台の予備系サーバモジュールを準備して,複数の現用系サーバモジュールの障害に備えることができます。
N+1グループに現用系サーバモジュールを登録したあとは,随時,予備プールへの予備系サーバモジュールの登録ができます。したがって,現用系サーバモジュールの障害によって,予備プールに準備される予備系サーバモジュールが不足した場合,不足したあとで予備プールにサーバモジュールを追加できます。これによって,N+1グループの現用系サーバモジュールの構成を変更しないで,ほかの現用系サーバモジュールの障害に対応できます。
N+Mコールドスタンバイは,SMPで構成された現用系ホストに対しても適用できます。SMP構成時にN+Mコールドスタンバイ(I/O継承方式)を適用したときの構成例を,次の図に示します。
図9-21 N+Mコールドスタンバイ(I/O継承方式)の構成例(SMP構成時)
構成例に示したように,SMP構成内で障害が発生したときに,同じ構成を持つ予備系サーバモジュールに切り替えられます。
また,予備系サーバモジュールを割り当てるときは,適用可能な条件を満たすサーバモジュールを使用してください。適用可能な条件を満たすサーバモジュールについては,「9.7.1 (1)(b) 予備系サーバモジュールの前提条件」を参照してください。
障害発生時の予備系サーバモジュールの選択順序については,「(3)(c) 予備系サーバモジュールの選択順序」を参照してください。
N+Mコールドスタンバイは,手動または自動で予備系サーバモジュールに切り替えることができます。
手動で切り替える場合,予備系サーバモジュールの切り替え先を指定できます。自動で切り替える場合,現用系サーバモジュールにハードウェア障害が発生した契機で,予備系サーバモジュールに切り替えられます。ハードウェア障害の種類によって,即時に切り替える場合と一定時間後に切り替える場合があります。自動で切り替える場合の注意事項については,「9.8.2(2) 予備系への切り替えの方法(N+1コールドスタンバイ)」を参照してください。
現用系サーバモジュールに障害が発生し,一定時間後に予備系サーバモジュールに切り替える間に,別の現用系サーバモジュールで強制電源切断を伴う障害が発生したときは,先に障害が発生した現用系サーバモジュールに予備系サーバモジュールが割り当てられます。あとで障害が発生した現用系サーバモジュールは,予備プールに空きの予備系サーバモジュールがある場合に割り当てられます。このとき,予備系サーバモジュールの選択順序に従って割り当てられます。予備系サーバモジュールの選択順序については,「(3)(c) 予備系サーバモジュールの選択順序」を参照してください。
N+Mコールドスタンバイの現用系サーバモジュールの切り替えを,手動で行う場合と自動で行う場合のそれぞれの切り替え先について説明します。また,予備系サーバモジュールに切り替えるときの選択順序についても説明します。
手動でサーバモジュールを切り替える場合,予備プール中の切り替え可能な予備系サーバモジュールから選択して切り替えることができます。予備系サーバモジュールを選択しない場合は,切り替え可能な予備系サーバモジュールの選択順序に従ってサーバモジュールが選択されます。切り替え可能な予備系サーバモジュールがない場合は,手動切り替えは実行できません。
切り替え可能な予備系サーバモジュールとは,「コールドスタンバイ中」「コールドスタンバイ失敗」状態の予備系サーバモジュールを指します。「コールドスタンバイ切り替え中」「コールドスタンバイ実行」「コールドスタンバイ警告」「サーバモジュール障害」状態の予備系サーバモジュールは,切り替え対象になりません。
また,切り替えに失敗した場合は,予備プールに切り替え可能な予備系サーバモジュールが残っていても,残りのサーバモジュールに対して切り替えは実行されません。
自動でサーバモジュールを切り替える場合,選択順序に従って予備プール中の予備系サーバモジュールを選択して切り替えます。切り替え可能な予備系サーバモジュールが見つからなかった場合は,警告アラート(アラートID:0x3722)がコンソールサービスに通知され,自動切り替えは実行されません。このように,予備プールに予備系サーバモジュールが不足している場合は,予備プールにサーバモジュールを追加したあとに,障害の発生した現用系サーバモジュールに対して手動切り替えを実行できます。
自動切り替えで,切り替え可能な予備系サーバモジュールとは,手動切り替えで切り替え可能なサーバモジュールと同様に,「コールドスタンバイ中」「コールドスタンバイ失敗」状態の予備系サーバモジュールを指します。
また,切り替えに失敗した場合は,予備プールに切り替え可能な予備系サーバモジュールが残っていても,残りのサーバモジュールに対して切り替えは実行されません。
予備系サーバモジュールは,サーバシャーシ定期診断の結果,通信状態が不安定でないと診断されたサーバシャーシのうち,アルファベット順で先行するシャーシ名を持つシャーシの中で,小さいスロット番号を持つサーバモジュールから順に選択されます。
N+Mコールドスタンバイ(I/O継承方式)を利用する場合,ハードウェア障害のサーバモジュール系のアラートが,自動切り替えの対象となります。これらのアラートには,アラートごとに,障害が発生してから自動で切り替えるまでの待ち時間が設定されています。これ以外のアラートは,自動切り替えの対象にできません。
アラートの詳細については,マニュアル「JP1 Version 9 JP1/ServerConductor/Blade Server Manager系 メッセージ」を参照してください。
自動切り替え対象アラートは,N+1対象アラート定義ファイル(N1Alert.dat)に定義されています。N1Alert.datの定義内容を編集することで,N+1コールドスタンバイ自動切り替え対象アラートの設定を変更できます。
N1Alert.datは次のフォルダに格納されています。
<ServerConductorのインストール先フォルダ>\Data
N+1対象アラート定義ファイルの記述形式,デフォルトの定義内容,定義例,定義内容を有効にする手順,および注意事項については,「9.6.2(4) 自動切り替えの対象となるアラートの設定」を参照してください。
All Rights Reserved. Copyright (C) 2010, 2014, Hitachi, Ltd.