JP1/NETM/DM 導入・設計ガイド(Windows(R)用)

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6.5.4 クライアントの接続先の自動変更

接続先を決定するための情報をクライアントに配布しておくと,各クライアントPCのIPアドレスから適切な接続先の上位システムを判断して,自動的に設定できます。クライアントPCのIPアドレスが変更されると接続先も自動的に変更されるため,クライアントPCが移動した場合に便利です。ここでは,クライアントの接続先の自動変更について説明します。

この機能は,JP1/NETM/DM Client(クライアント)で使用できます。

<この項の構成>
(1) 接続する上位システムを自動的に設定・変更する
(2) 上位接続先情報ファイル(dmhost.txt)の作成

(1) 接続する上位システムを自動的に設定・変更する

接続先の上位システムを自動的に設定・変更するには,あらかじめ上位接続先情報ファイルdmhost.txt)を作成し,クライアントに配布します。配布後の特定のタイミングで,接続先が自動的に再設定されます。

(a) 上位接続先情報ファイルを作成する

上位接続先情報ファイルは,接続する上位システムを決定するためのファイルです。このファイルは,クライアントPCのIPアドレスの範囲と対応する接続先上位システムの組み合わせを定義しています。例えば,IPアドレス「172.16.22.1〜172.16.22.255」のクライアントPCの接続先は東京支部のPC,IPアドレス「172.17.22.1〜172.17.22.255」のクライアントPCの接続先は名古屋支部のPC,というように定義します。作成方法の詳細については,「(2) 上位接続先情報ファイル(dmhost.txt)の作成」を参照してください。

(b) 上位接続先情報ファイルをクライアントに配布する

作成した上位接続先情報ファイルを,各クライアントPCの次のディレクトリに格納します。

JP1/NETM/DMのインストール先ディレクトリ\MASTER\DB

「パッケージのインストール」ジョブを使用すると,一度に多数のクライアントに格納できます。上位接続先情報ファイル(dmhost.txt)を次の設定でパッケージして,配布してください。

[システム条件]パネルの「インストール先ディレクトリ」の設定
ドライブ:「なし」
ディレクトリ:「%NETMDMP%\MASTER\DB」

なお,上位接続先情報ファイルは,JP1/NETM/DM Client - Delivery FeatureがインストールされていないJP1/NETM/DM Client - Baseへも配布できます。

クライアントがJP1/NETM/DMシステムに接続していない場合は,手動で格納してもかまいません。

(c) 接続先が変更されるタイミング

上位接続先情報ファイルをクライアントPCに格納したあと,ポーリングを実行するかまたはクライアントPCのOSを再起動してください。上位接続先情報ファイルの内容に従って,クライアントが接続する上位システムが設定されます。

クライアントの接続先を自動変更するポーリングは次の3種類です。

一度設定したあとでも,次の操作をしたあとにポーリングを実行するかまたはOSを再起動すると接続先が再設定されます。

クライアントPCを移動してIPアドレスを変更した場合,ポーリングを実行するかまたはOSを再起動するだけで適切な上位システムに接続先が変更されます。エンドユーザは接続先の変更を意識する必要はありません。

上位接続先情報ファイルによってクライアントの接続先の自動設定・変更が起きると,ログがPCごとにインストール先フォルダ\LOG\USER.LOGファイルに取得されます。ログの詳細については,マニュアル「運用ガイド2」の「6.4.1 ログファイルの確認」を参照してください。

なお,上位接続先情報ファイルによって接続先を自動設定したあとに,クライアントセットアップから手動で接続先を変更した場合,ポーリングを実行するかまたはOSを再起動しても手動で設定した接続先が有効になります。

(d) 接続先の自動変更と他機能との関係

上位接続先情報ファイルを使用した接続先の自動変更は,JP1/NETM/DMの他機能と併用できない場合があります。次の点に注意してください。

(2) 上位接続先情報ファイル(dmhost.txt)の作成

上位接続先情報ファイルは,dmhost.txtという名称のテキストファイルです。作成方法を次に説明します。

(a) 上位接続先情報ファイルの形式

上位接続先情報ファイルには,クライアントPCのIPアドレスの範囲と対応する接続先の組み合わせを,1行につき1件定義します。1行の文字数は,半角で255文字以内です。各項目間は「,」(コンマ)で区切ってください。行の先頭に「;」(セミコロン)を付けると,その行はコメントと見なされます。

ファイルの形式を次に示します。

形式
最小のIPアドレス,最大のIPアドレス,接続先,接続先の製品種別,接続先のマルチキャストアドレス
説明
最小のIPアドレス(必ず指定)
クライアントのIPアドレスの範囲で最小のIPアドレスを指定します。半角数字を使用して「xxx.xxx.xxx.xxx」の形式で指定してください。
最大のIPアドレス(必ず指定)
クライアントのIPアドレスの範囲で最大のIPアドレスを指定します。半角数字を使用して「xxx.xxx.xxx.xxx」の形式で指定してください。
接続先(必ず指定)
接続先のホスト名またはIPアドレスを指定します。接続先のノード識別キーの設定がホスト名であればホスト名を,IPアドレスであればIPアドレスを指定してください。ホスト名の場合,半角英数字64文字までを使用して指定してください。IPアドレスの場合,半角数字を使用して「xxx.xxx.xxx.xxx」の形式で指定してください。
接続先の製品種別(必ず指定)
接続先がJP1/NETM/DM Managerであれば「netmdm」を,JP1/NETM/DM Client(中継システム)であれば「netmdmw」を指定してください。
接続先のマルチキャストアドレス(省略可能)
クライアントにジョブをマルチキャスト配布したい場合,接続先に設定しているマルチキャストアドレスを指定します。半角数字を使用して「xxx.xxx.xxx.xxx」の形式で指定してください。マルチキャストアドレスとして使用できるアドレスの範囲は,「224.0.1.0〜239.255.255.255」です。
注意事項
  • クライアントのIPアドレスが定義した範囲に含まれない場合,接続先の設定は変更されません。
  • クライアントのIPアドレスがループバックアドレス(127.0.0.1)の場合,接続先の設定は変更されません。
  • クライアントのIPアドレスの範囲が重複する複数の定義をした場合は,先に定義した行が有効となります。
  • 次の場合は,指定行の定義が無効になります。
    ・1〜4番目の項目に省略があった場合
    ・IPアドレスに無効な値を指定した場合
    ・「接続先」に半角65文字以上の値を指定した場合
    ・接続先の製品種別に「netmdm」および「netmdmw」以外を指定した場合
  • 「接続先のマルチキャストアドレス」の指定を省略した場合,または無効な値を指定した場合,マルチキャストアドレスの設定はできません。ただし,1〜4番目の項目で定義した,IPアドレスの範囲と対応する接続先の組み合わせは有効になります。
  • 1行に六つ以上の項目を指定した場合,6番目の項目以降は無視されます。
  • 1行の文字数が255文字を超えた場合,256文字目以降は無視されます。
(b) 上位接続先情報ファイルの作成例

上位接続先情報ファイルの作成例を次に示します。

図6-19 上位接続先情報ファイルの作成例

[図データ]

クライアントのIPアドレスが「172.17.13.6」の場合,2行目の「172.17.13.1〜172.17.13.250」の範囲に該当するため,接続先の上位システムが「dmman01」に自動的に変更されます。

なお,上位接続先情報ファイルの最終行に,すべてのIPアドレスを範囲とする「0.0.0.0〜255.255.255.254」を定義しておくと,該当するIPアドレスがなかったクライアントの接続先の上位システムは,「dmman02」に変更されます。

(c) 上位接続先情報ファイルを配布したあとの注意事項

上位接続先情報ファイルをクライアントに配布して接続先を自動変更したあとで,接続先ホストのIPアドレスを変更するときは,それまで適用していた上位接続先情報ファイルをクライアントから削除しておいてください。接続先の自動変更は,IPアドレスの変更を契機に動作します。