JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編)
業務の種類や担当部署によって,業務の運用日が異なる場合があります。このような場合に,業務ごとに異なるカレンダーを定義できます。
例として,東京本社,大阪支社,および名古屋支社で実行する業務があり,それぞれ運用日が異なる場合を考えてみます。それぞれの業務カレンダーは次のようになっています。
- 東京本社:毎日実行
- 大阪支社:月~土曜日に実行
- 名古屋支社:月~金曜日に実行
業務の構築の方法は2とおり考えられます。
- 同じ業務カレンダーのジョブネットをまとめてジョブグループを作る。
- 業務を一つのジョブグループに作り,別のジョブグループに設定したカレンダーを参照させる。
次にそれぞれの方法について説明します。
- <この項の構成>
- (1) 同じ業務カレンダーのジョブネットをまとめてジョブグループを作る
- (2) 業務を一つのジョブグループに作り,別のジョブグループに設定したカレンダーを参照させる
- (3) カレンダーの適用例
(1) 同じ業務カレンダーのジョブネットをまとめてジョブグループを作る
次の条件に当てはまるような業務には,この運用方法が適しています。
- 複数の業務グループがあるが,業務グループ間の依存関係はない。
- 業務グループごとにシステム管理者がいる。
- 複数の業務グループを1台のマネージャーで管理する。
業務構成例を次の図に示します。
図3-12 同じ業務カレンダーのジョブネットをまとめてジョブグループを作る場合
スケジュールの設定方法の概要を次に示します。
- スケジューラーサービスの下に,東京・大阪・名古屋のジョブグループを作成する。
- 各ジョブグループの下にジョブネットを定義する。
- 各ジョブグループにカレンダーを定義する。
- ジョブネットを実行登録する。
なお,この方法では,監視画面でジョブグループごとにしか表示できません。このようなジョブネットを一つの画面で監視する場合は,JP1/AJS3 Console機能を使用してください。JP1/AJS3 Console機能を使用すると,異なるジョブグループのジョブネットを一つの画面に表示して監視できます。
(2) 業務を一つのジョブグループに作り,別のジョブグループに設定したカレンダーを参照させる
次の条件に当てはまるような業務には,この運用方法が適しています。
- 複数の業務グループがあり,業務グループ間の依存関係がある。
- すべての業務を一人のシステム管理者が管理する。
業務構成例を次の図に示します。
図3-13 別のジョブグループに設定したカレンダーを参照させる場合
スケジュールの設定方法の概要を次に示します。
- スケジューラーサービスの下にジョブネット(ジョブネット1)を一つ作成する。
- ルートジョブネットの中に東京・大阪・名古屋で実行する業務をネストジョブネットとして定義する。
- スケジューラーサービスに東京本社のカレンダーを定義する。
- 大阪,名古屋のジョブグループを作る。
- 大阪,名古屋のジョブグループにカレンダーを定義する。
このジョブグループにはカレンダーだけを定義し,ジョブネットは作りません。
- 大阪,名古屋で実行するネストジョブネットに,それぞれのジョブグループに定義したカレンダーを参照させる。
[スケジュールの設定]ダイアログボックスで,[他のジョブグループのカレンダーを参照]をチェックします。大阪業務1,大阪業務2は,大阪支社ジョブグループのカレンダーを参照させます。名古屋業務1,名古屋業務2は,名古屋支社ジョブグループのカレンダーを参照させます。
- ルートジョブネットを実行登録する。
この方法の場合は,監視画面ですべてのジョブネットを一度に監視できます。
カレンダーの適用例を紹介します。
(例1)
次に示す条件を前提とした場合のカレンダーの設定例を説明します。
- 複数の業務グループがあるが,お互いにカレンダー情報の依存関係を持たない。
- 業務グループごとにそれぞれのシステム管理者で管理する。
- 複数の業務グループを1台の業務管理ホストで管理する。
このような前提条件の場合,次の図のような業務グループの階層を作成し,カレンダーを定義します。
図3-14 カレンダーの適用例1
このような例で監視画面を使用すると,業務グループの下にある業務の実行予定や結果しか確認できません。例えば,一度に実行予定や結果を確認できるのは,「東京」グループの下にある業務だけです。そのため,複数のシステム管理者が,それぞれの業務グループを管理する場合,担当のシステム管理者に関係する業務の予定や結果を管理しやすくなります。
(例2)
次に示す条件を前提とした場合のカレンダーの設定例を説明します。
- 複数の業務グループがあるが,お互いにカレンダー情報の依存関係を持つ。
- すべての業務を一人のシステム管理者で管理する。
このような前提条件の場合,次の図のような業務グループの階層を作成し,カレンダーを定義します。
図3-15 カレンダーの適用例2
この例のように設定すると,各業務は次のように実行されます。
- 東京の業務
- 毎日業務を実行するカレンダーを参照しているため,業務が毎日実行されます。
- 広島の業務
- 日曜日だけが休業日のカレンダーを参照しているため,業務が月曜日から土曜日まで実行されます。
- 名古屋の業務
- 土曜日と日曜日が休業日のカレンダーを参照しているため,業務が月曜日から金曜日まで実行されます。
このような例で,「AJSROOT1」というグループを監視画面で確認すると,業務グループの下にある,すべての業務の予定や結果を一度に確認できます。そのため,一人のシステム管理者がすべての業務を管理しやすくなります。
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