JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編)
イベントジョブを使用する場合,イベントジョブの実行数や監視条件の成立数などの運用形態によって,出力されるログのサイズが異なります。そのため,最低でも24時間分のログが保持できることを目安とし,1〜3日分のログを保持できるように,イベントジョブの実行数などから,出力されるログのサイズ(概算値)を,あらかじめ見積もっておく必要があります。
イベントジョブのログのサイズは,ログファイルの面数とあわせて決定します。見積もった値は,構成定義ファイルを使用して定義します。イベントジョブのログ設定構成定義ファイルとして,次の書式に従ったテキストファイルを作成します。
[定義キー] "環境設定パラメーター"=定義内容 "環境設定パラメーター"=定義内容 :ここでは,はじめにイベントジョブのログ設定構成定義ファイルの環境設定パラメーターについて説明します。その後,プロセスごとに設定するログのサイズ(概算値)を求める算出式について説明します。
デフォルトのディスク容量と最大ディスク占有量については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 トラブルシューティング 1.2.4 ログファイルおよびディレクトリ一覧」を参照してください。
なお,イベントジョブのログサイズ設定の変更手順については,次の記述個所を参照してください。
- Windowsの場合
- マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド1 6.3.1 イベントジョブのログサイズの設定の変更」
- UNIXの場合
- マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド1 15.3.1 イベントジョブのログサイズの設定の変更」
- <この項の構成>
- (1) イベントジョブのログ設定構成定義の環境設定パラメーター一覧
- (2) プロセスごとのログのサイズを算出する
- (3) イベント・アクション共通ログのサイズ変更
(1) イベントジョブのログ設定構成定義の環境設定パラメーター一覧
環境設定パラメーターの一覧を次の表に示します。
表3-11 イベントジョブのログ設定構成定義の環境設定パラメーター一覧
キー 環境設定パラメーター 定義内容
- スケジューラーサービス(共通)の場合
[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}\JP1AJS2\SCHEDULER\EV\MANAGER\LOG]
- スケジューラーサービス(個別)の場合
[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}\JP1AJSMANAGER\スケジューラーサービス名\EV\MANAGER\LOG]
- 互換用ISAM構成の場合
[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}\JP1AOMMANAGER\LOG]
"LogSize"= ログサイズ
(イベントジョブマネージャー共通)"LogNumFiles"= ログの面数
(イベントジョブマネージャー共通)"LogSize_jpomanager"= ログサイズ
(イベントジョブ各マネージャープロセス単位)"LogSize_jpomgrsub"= "LogNumFiles_jpomanager"= ログの面数
(イベントジョブ各マネージャープロセス単位)"LogNumFiles_jpomgrsub"= [{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}\JP1AOMAGENT\LOG] "LogSize"= ログサイズ
(イベントジョブエージェント共通)"LogNumFiles"= ログの面数
(イベントジョブエージェント共通)"LogSize_jpoagent"= ログサイズ
(イベントジョブ各エージェントプロセス単位)"LogSize_jpoagtsub"= "LogSize_jpocwtflMain"= "LogSize_jpoeventwatch"= "LogSize_jpoevsearch"= "LogSize_jpocwttmMain"= "LogSize_jpocwtmlmain"= "LogSize_jpomldsk"= "LogSize_jpomlsrv"= "LogSize_jpomlapisend"= "LogSize_jpomlapisend2"= "LogSize_jpomlapirec"= "LogSize_jpomlapirec2"= "LogSize_jpomailrecv"= "LogNumFiles_jpoagent"= ログの面数
(イベントジョブ各エージェントプロセス単位)"LogNumFiles_jpoagtsub"= "LogNumFiles_jpocwtflMain"= "LogNumFiles_jpoeventwatch"= "LogNumFiles_jpoevsearch"= "LogNumFiles_jpocwttmMain"= "LogNumFiles_jpocwtmlmain"= "LogNumFiles_jpomldsk"= "LogNumFiles_jpomlsrv"= "LogNumFiles_jpomlapisend"= "LogNumFiles_jpomlapisend2"= "LogNumFiles_jpomlapirec"= "LogNumFiles_jpomlapirec2"= "LogNumFiles_jpomailrecv"= それぞれの項目の詳細な定義内容を次に示します。
- "LogSize"=dword:ログのサイズ
- ログファイル一つのサイズをバイト単位の16進数で指定します。20000(128キロバイト)〜40000000(1ギガバイト)の間で指定します。
- ここで指定した値は,イベントジョブのマネージャープロセスまたはエージェントプロセスのすべてに影響します。
- "LogNumFiles"=dword:ログの面数
- 幾つのファイルによってログをラップさせるのか(ログの面数)を16進数で指定します。2〜10(10進数で2〜16)の間で指定します。
- ここで指定した値は,イベントジョブのマネージャープロセスまたはエージェントプロセスのすべてに影響します。
- "LogSize_プロセス名"=dword:ログのサイズ
- イベントジョブのマネージャーまたはエージェントの各プロセス単位にログのサイズを変更したい場合に,ログファイル一つのサイズをバイト単位の16進数で指定します。20000(128キロバイト)〜40000000(1ギガバイト)の間で指定します。
- プロセスごとに設定するログのサイズ(概算値)については,「(2) プロセスごとのログのサイズを算出する」を参照してください。
- "LogNumFiles_プロセス名"=dword:ログの面数
- イベントジョブのマネージャーまたはエージェントの各プロセス単位にログの面数を変更したい場合に,ログの面数を16進数で指定します。2〜10(10進数で2〜16)の間で指定します。
イベントジョブの各プロセスが起動するときに,ログのサイズおよび面数を次に示す優先順位に従って決定します。
- 各プロセス単位の指定
「LogSize_プロセス名」,または「LogNumFiles_プロセス名」に指定されている値
- イベントジョブ共通の指定
LogSize,またはLogNumFilesに指定されている値
- 各プロセスが持つデフォルト値
次の表に示すような各プロセスが固有に持っているデフォルト値
種別 プロセス名 プラットフォーム ログのデフォルト値
(括弧内はJP1/AJS3のインストール,セットアップ時に設定する値)Windows UNIX ログサイズ ログの面数 マネージャー jpomanager ○ ○ 640キロバイト
(2,048キロバイト)8面
(6面)jpomgrsub ○ ○ 640キロバイト(1,024キロバイト) 6面
(8面)エージェント jpoagent ○ ○ 384キロバイト
(1,024キロバイト)8面
(8面)jpoagtsub ○ ○ jpocwtflMain ○ ○ 1,280キロバイト
(2,048キロバイト)6面
(6面)jpoeventwatch ○ ○ 640キロバイト
(1,024キロバイト)4面
(8面)jpocwttmMain ○ ○ 128キロバイト
(256キロバイト)2面
(6面)jpocwtmlmain ○ ○ 128キロバイト
(128キロバイト)2面
(2面)jpoevsearch ○ ○ jpomldsk ○ − jpomlsrv ○ − jpomlapisend ○ − jpomlapisend2 ○ − jpomlapirec ○ − jpomlapirec2 ○ − jpomailrecv − ○
- (凡例)
- ○:プロセスがある。
- −:プロセスがない。
イベントジョブのログのファイル名は,次のように決定されます。
プロセス名[1|2|3|...].log
- (例)プロセス「jpoagent」のログファイル名
jpoagent1.log jpoagent2.log : jpoagent8.logログの種類の詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 トラブルシューティング 1.2.4 ログファイルおよびディレクトリ一覧」を参照してください。
(2) プロセスごとのログのサイズを算出する
プロセスごとに設定するログのサイズ(概算値)を求める算出式を次の表に示します。
なお,これらの算出式で求めた値は目安です。運用環境などによって変わるおそれもあります。
表3-13 イベントジョブの各プロセスのログサイズ(概算値)
プロセス名 算出式(単位:バイト) jpomanager 表3-14を参照してください。 jpomgrsub 表3-14を参照してください。 jpoagent 表3-15を参照してください。 jpoagtsub 表3-15を参照してください。 jpocwtflMain 表3-16を参照してください。 jpoeventwatch
- JP1イベント受信監視ジョブの実行数*4,000
- JP1/AJS3を起動した論理ホスト上で発生するJP1イベント数*1,200
- JP1イベント受信監視ジョブの監視条件成立数*3,800
- JP1イベント受信監視ジョブの監視条件成立数*(マクロ変数数*(マクロ変数サイズ + マクロ変数データサイズ(上限は,1,024)))
jpoevsearch 実行前のイベント検索機能を使用しているJP1イベント受信監視ジョブの実行数*700 jpocwttmMain 表3-17を参照してください。 jpocwtmlmain
(Windowsの場合)Windows版メールシステム連携使用時にだけ作成されます。
メール受信監視ジョブの監視条件成立数*2,800jpocwtmlmain
(UNIXの場合)UNIX版メールシステム連携使用時にだけ作成されます。
メール受信監視ジョブの監視条件成立数*7,400jpomldsk Windows版メールシステム連携(デスクトップ上)使用時にだけ作成されます。
(メール送信ジョブの実行数*200) + (メール監視間隔ごと*400)jpomlsrv Windows版メールシステム連携(サービス上)使用時にだけ作成されます。
(メール受信監視ジョブの監視条件成立数*400) + (メール送信ジョブの実行数*200)jpomlapisend※1 Windows版メールシステム連携使用時にだけ作成されます。
メール送信ジョブの実行数*2,800jpomlapisend2※2 Windows版メールシステム連携使用時にだけ作成されます。
メール送信ジョブの実行数*2,800jpomlapirec※1 Windows版メールシステム連携使用時にだけ作成されます。
2,800(メール受信監視ジョブを実行している場合,1回の監視間隔ごと)jpomlapirec2※2 Windows版メールシステム連携使用時にだけ作成されます。
2,800(メール受信監視ジョブを実行している場合,1回の監視間隔ごと)jpomailrecv UNIX版メールシステム連携使用時にだけ作成されます。
メールサーバへのメール到着数*1,200
- 注※1
- メールシステム連携機能をJP1/AJS3 Mailサービス上で使用する場合。
- 注※2
- メールシステム連携機能をデスクトップ上で使用する場合。
表3-14 マネージャーログ出力サイズ
事象
算出式(単位:バイト) jpomanager jpomgrsub イベントジョブ
登録 3,350 2,300 発生 1,900 1,550 起動条件
登録 1,150 + (2,600*起動条件内イベント数※) 750 + (750*起動条件内イベント数※) 発生
起動条件未成立 3,400 2,250 起動条件成立 3,850 2,250
- 注※
- 「起動条件内イベント数」は,起動条件内に定義されたイベントジョブの数です。最大で32個です。
表3-15 エージェントログ出力サイズ(1ジョブ当たり)
事象
算出式(単位:バイト) jpoagent jpoagtsub イベントジョブ
登録 2,104 1,285 発生 735 1,356 起動条件
登録 2,104 1,285 起動条件成立 735 1,356 表3-16 ファイル監視ログ出力サイズ(1ジョブ当たり)
事象
算出式(単位:バイト) 監視対象ファイル名を
完全名指定監視対象ファイル名を
ワイルドカード(*)指定イベントジョブ
登録 3,300 5,000 イベント発生 4,500 + (マクロ変数サイズ + マクロ変数データサイズ(上限は,1,024)) 4,500 + (マクロ変数サイズ + マクロ変数データサイズ(上限は,1,024)) 起動条件
登録 3,300 5,000 イベント発生 2,800 + (マクロ変数サイズ+マクロ変数データサイズ(上限は,1,024)) (2,800 + (マクロ変数サイズ + マクロ変数データサイズ(上限は,1,024)))*イベント発生数 終了 1,000 1,000 表3-17 実行間隔制御ログ出力サイズ(1ジョブ当たり)
事象 算出式(単位:バイト) イベントジョブ 登録 2,600 イベント発生 2,300 起動条件 登録 2,600 イベント発生 2,300*イベント発生数 終了 1,000 イベントジョブに打ち切り時間が指定された場合※ 登録 1,200 イベント発生 2,300
- 注※
- 実行間隔制御ジョブを含む各イベントジョブに打ち切り時間が指定された場合,実行間隔制御ログに上記の値のログが出力されます。
(3) イベント・アクション共通ログのサイズ変更
イベント・アクション共通ログのサイズを変更する手順を次に示します。
- イベント・アクション共通ログサイズ指定ファイル(jpocommonerr.dat)を作成する。
保存場所を次に示します。
- Windowsの場合
- JP1/Baseのインストール先フォルダ\log\jpocommonerr.dat
- UNIXの場合
- /var/opt/jp1base/log/jpocommonerr.dat
- イベント・アクション共通ログサイズ指定ファイル(jpocommonerr.dat)にログサイズを定義する。
イベント・アクション共通ログサイズ指定ファイル(jpocommonerr.dat)に,次に示す書式に従ってログサイズを指定します。指定したログサイズは即時に反映されます。
イベント・アクション共通ログファイルの作成例を次に示します。ログサイズを2,048キロバイトにするときの指定例です。
- LogSize:ログサイズ
- ログサイズはバイト単位の10進数で指定します。指定できる値は,1,048,576〜1,073,741,824(1ギガバイト)です。誤った値を指定した場合は,デフォルト値(1,048,576バイト)が仮定されます。
LogSize:2097152
なお,クラスタ構成の場合にも,イベント・アクション共通ログは物理ホスト上のログファイルに出力されるため,両方の物理ホスト上でサイズを設定してください。また,サイズ設定をデフォルト(1,024キロバイト)に戻す場合は,イベント・アクション共通ログサイズ指定ファイル(jpocommonerr.dat)を削除してください。変更は即時に反映されます。
イベント・アクション共通ログ出力サイズ(概算値)を求める算出式を,次の表に示します。
表3-18 イベント・アクション共通ログ出力サイズ(1処理当たり)
事象 算出式(単位:バイト) イベントジョブ 登録 1,024 発生 512 強制終了 1,024 起動条件 登録 ( 3 + 起動条件内に定義しているイベントジョブ数*2)*512 起動条件成立時
- ANDの場合
- ( 4 + 起動条件内に定義しているイベントジョブ数*2)*512
- ORの場合
- 4,096
強制終了 2,048 JP1/AJS3の起動停止 マネージャーホスト再起動 (スケジューラーサービス数 + 登録中の全起動条件付きジョブネット数*6 + 登録中の全イベントジョブ数*2)*512 アクションジョブ 登録 1,024
- 注
- クラスタ運用時にもデフォルトのフォルダに出力されます。そのため,イベント・アクション共通ログ出力サイズは,上記の値を論理ホストと物理ホストそれぞれで計算し,結果を合計してください。
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