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uCosminexus Service Coordinator Interactive Workflow システム構築・運用ガイド


2.1 ワーク管理システムによる業務の流れ

この節では,販売業務での引合〜納品・回収という一連の業務を管理する場合を例に,ワーク管理システムによる業務の流れについて説明します。

ワーク管理システムで業務を処理する場合,業務の流れをあらかじめビジネスプロセスとして定義しておきます。定義されたビジネスプロセスに従って業務を進めていきます。

販売業務での引合〜納品・回収の流れを例に,ビジネスプロセスと実際の業務がどのように流れているかを次の図に示します。

図2‒1 ビジネスプロセスと業務の流れ

[図データ]

上記のビジネスプロセスでは,次のような業務の流れを示しています。図中の括弧で示した番号が,各手順の番号に対応しています。

  1. 引合の提案者は,引合があった商談を,引合〜納品・回収ビジネスプロセスに投入します。ここからビジネスプロセスが開始されます。

  2. 引合提案が開始されると「引合提案中」の状態になります。ここでは,顧客からの引合に対応して,ニーズを把握し,その内容の提案書を作成します。そして,提案書を顧客へ提出するとともに商談を進めます。

  3. 提案書を見た顧客から正式な見積もりの依頼を受けると,「見積中」になります。ここでは,依頼に対して,納期や価格を見積もります。見積もりに必要な書類の作成は,見積書を作成する業務プログラムで実行します。

  4. 見積書を提出し,見積交渉が完了すると,「受注処理待ち」となり,顧客から正式な注文連絡を待ちます。顧客から注文書を受け取った時点で,正式に受注を受け付けます。また,注文書に基づいて,受注票を起票します。さらに,受注票に基づいて,受注処理をします。これらの処理は,受注登録の業務プログラムで実行します。

  5. 受注登録されたものは,「売掛中」となり,経理担当が業務プログラムを使って請求書を作成します。請求番号を入力した時点で,担当営業が請求内容を確認の上,請求書を顧客へ送付します。

  6. 請求書が顧客へ送付されると,「請求中」となります。ここでは,顧客の入金状況を確認し,入金のあったものについて,完了処理をします。これらの処理を業務プログラムで実行します。

  7. 受注登録と並行して,担当営業が納品のために作業指示し,その指示内容に従って,出荷・設置の各作業を実施します。ここでは,「納品待ち」になります。

  8. 納品予定日の経過後,「納品確認待ち」となります。ここでは,顧客受領書を確認します。

  9. 商談によっては,「引合提案中」,「見積中」または「受注処理待ち」の時点で,キャンセルされ終了します。

なお,実際の作業では,「見積もりの完了後,顧客交渉の結果によって見積もりを分割する」,「商品納入後,受注数量を変更する」などの例外的な処理が発生する場合があります。こうした例外的な処理については,一般的にビジネスプロセスで定義しません。ワーク管理システムのAPIを利用した,業務プログラムで実行します。

例外的な処理をどこまでビジネスプロセスで定義するのか,また,どの部分を業務プログラムで制御するのかは,業務システムの開発時に検討する必要があります。