Cosminexus システム構築ガイド

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付録H.8 サーブレットエンジンモードの移行情報

サーブレットエンジンモードの場合の,旧バージョンからCosminexus 07-60への移行方法について説明します。移行の対象となるバージョンを次に示します。

なお,このマニュアルでは,次に示す構成ソフトウェアの移行を中心に説明します。

旧バージョンからの移行を行う場合,使用しているCosminexusの全構成ソフトウェアを同時に移行する必要があります。上記で示していないほかの構成ソフトウェア(以降,他構成ソフトウェアと呼びます)の移行については,各構成ソフトウェアのドキュメントを参照してください。

<この項の構成>
(1) Cosminexusの移行の概要
(2) Cosminexusの移行の手順
(3) 旧バージョンからの仕様変更の確認
(4) 移行前の確認
(5) 定義などのバックアップ
(6) 手動による定義などの修正

(1) Cosminexusの移行の概要

Cosminexusの移行の概要について説明します。

(a) 移行のためのアップグレードインストール

旧バージョンからCosminexus 07-60へ移行するためには,アップグレードインストールを行います。アップグレードインストールとは,インストール先のマシンに旧バージョンのCosminexusがインストール済みの場合のインストールです。

なお,アップグレードインストールの場合は,Cosminexusのインストールディレクトリを旧バージョンのインストールディレクトリから変更できません。旧バージョンがインストールされているディレクトリに上書きインストールされます。

(b) 移行時に引き継がれる情報

Cosminexusを旧バージョンから07-60に移行する場合,旧バージョンで使用されていた,Cosminexusのインストールディレクトリ以下に配置される定義情報,DD情報,構成情報などのユーザ資産は,移行コマンドなどで必要に応じて自動変換され,07-60で引き続き使用されます(一部,手動での定義修正が必要な場合もあります)。Cosminexus Component Containerで引き継がれる定義情報,DD情報,構成情報などを次の表に示します。他構成ソフトウェアについては,それぞれのドキュメントを参照してください。

表H-12 Cosminexus Component Containerで移行時に引き継がれる情報(サーブレットエンジンモードの場合)

機能 引き継がれる情報 ファイル名称,または配置場所
Webコンテナサーバ オプション定義ファイル usrconf.cfg
ユーザプロパティファイル usrconf.properties
Webアプリケーションプロパティファイル hitachi_web.properties
ユーザ認証情報定義ファイル web-users.xml
Security Manager定義ファイル web.policy
作業ディレクトリ
  • 定義情報
  • アプリケーション
  • DD情報

  • Windowsの場合
    <Cosminexusのインストールディレクトリ>\CC\web\containers以下
  • UNIXの場合
    /opt/Cosminexus/CC/web/containers以下
Webサーバ連携 Hitachi Webサーバ用リダイレクタ動作定義ファイル mod_jk.conf
Microsoft IIS用リダイレクタ動作定義ファイル(Windowsだけのファイル) isapi_redirect.conf
Microsoft IIS用マッピング定義ファイル(Windowsだけのファイル) uriworkermap.properties
ワーカ定義ファイル workers.properties
統合ユーザ管理 JAASのコンフィグレーションファイル jaas.conf
統合ユーザ管理のコンフィグレーションファイル ua.conf
カスタムログインモジュール格納用ディレクトリ
  • Windowsの場合
    <Cosminexusのインストールディレクトリ>\manager\modules
  • UNIXの場合
    /opt/Cosminexus/manager/modules

(2) Cosminexusの移行の手順

次の手順に従って,旧バージョンからCosminexus 07-60へ移行してください。

  1. 旧バージョンからの仕様変更の確認
  2. 移行前の確認
  3. 定義などのバックアップ
  4. 他構成ソフトウェアの移行準備
  5. 全構成ソフトウェアのアップグレードインストール
  6. Webコンテナサーバの移行コマンドの実行
  7. 手動による定義などの修正
  8. 他構成ソフトウェアの移行実施
  9. 移行後の確認

それぞれの手順について説明します。

(a) 旧バージョンからの仕様変更の確認

旧バージョンからの仕様変更を確認します。機能の変更や追加に伴い,旧バージョンで使用している機能,使用条件,使用方法によっては,次の作業が必要となります。

なお,互換性を保つためのオプションが提供されている場合もありますが,推奨のオプションではありません。詳細については,「(3) 旧バージョンからの仕様変更の確認」を参照してください。

(b) 移行前の確認

移行前にCosminexusの動作環境,動作状態などを確認します。詳細については,「(4) 移行前の確認」を参照してください。

(c) 定義などのバックアップ

移行前に定義ファイルなどをバックアップします。詳細については,「(5) 定義などのバックアップ」を参照してください。

(d) 他構成ソフトウェアの移行準備

次に示す構成ソフトウェア以外の,他構成ソフトウェアの移行を準備します。

移行の準備の詳細はそれぞれの他構成ソフトウェアのドキュメントを参照してください。なお,ここで準備した情報を基に,「(h) 他構成ソフトウェアの移行実施」で他構成ソフトウェアを移行してください。

(e) 全構成ソフトウェアのアップグレードインストール

使用しているCosminexusの全構成ソフトウェアをアップグレードインストールします。

(f) Webコンテナサーバの移行コマンドの実行

定義情報,DD情報などを継続して利用できるようにするため,Webコンテナサーバの移行コマンドを実行します。実行する移行コマンドはcjenvupdateコマンドで,J2EEサーバを移行する場合と同じです。

移行コマンドの実行については,「付録A.7 J2EEサーバの移行コマンドの実行」を参照してください。このとき,J2EEサーバをWebコンテナサーバと読み替えてください。

(g) 手動による定義などの修正

手動で定義などを修正します。機能の変更,追加に伴い,互換性を保つためのオプションが提供されています。旧バージョンで使用している機能,使用方法,使用条件によっては,次の作業が必要となります。

詳細については,「(6) 手動による定義などの修正」を参照してください。

(h) 他構成ソフトウェアの移行実施

他構成ソフトウェアを移行します。移行の詳細はそれぞれの他構成ソフトウェアのドキュメントを参照してください。なお,「(d) 他構成ソフトウェアの移行準備」で準備した情報を基に移行を実施してください。

(i) 移行後の確認

移行後にCosminexusの動作確認を実施します。

(3) 旧バージョンからの仕様変更の確認

旧バージョンからの仕様変更を次の表に示します。

表H-13 旧バージョンからの仕様変更(サーブレットエンジンモードの場合)

分類 仕様変更の項目 07-10/
07-50
07-00 06-71/
06-70
06-51/
06-50
06-02/
06-00
全体 (a) J2SEのバージョン
(b) TPBrokerの運用支援機能の非サポート
Webコンテナサーバ (c) JavaVMのタイプ
(d) JSPから生成されたサーブレット用コンパイラのバージョン
(e) WebコンテナがサポートするServlet仕様のバージョン
(f) デフォルトのエラーページの内容
(g) カスタムタグのスクリプト変数定義の変更
(h) <jsp:useBean>タグのclass属性に対するエラーチェックの変更
(i) タグの属性値のExpressionチェックの変更
(j) タグの属性値に指定するExpressionに関する変更
(k) taglibディレクティブのprefix属性に関する変更
(l) JSPでの$の扱いの変更

(凡例) ○:仕様変更あり。 −:該当しない。


次に仕様変更の項目の詳細について説明します。なお,表の「仕様変更の項目」の項番は,説明の項番と対応しています。

(a) J2SEのバージョン

変更内容は,J2EEサーバモードの場合と同じです。詳細については,「付録A.3(1) J2SEのバージョン」を参照してください。

(b) TPBrokerの運用支援機能の非サポート

07-00以降では,07-00より前まで提供していたTPBrokerの運用支援機能は使用できません。システムの各プロセスを一括起動,停止,および監視する場合には,Management Serverを使用してください。Management Serverを使用する場合には,J2EEサーバモードに移行して,Smart Composer機能や運用管理ポータルでシステムを構築してください。

(c) JavaVMのタイプ

変更内容は,J2EEサーバモードの場合と同じです。詳細については,「付録A.3(8) JavaVMのタイプ」を参照してください。なお,サーブレットエンジンモードの場合は,「J2EEサーバ」を「Webコンテナサーバ」と読み替えてください。

(d) JSPから生成されたサーブレット用コンパイラのバージョン

変更内容は,J2EEサーバモードの場合と同じです。詳細については,「付録A.3(10) JSPから生成されたサーブレット用コンパイラのバージョン」を参照してください。なお,サーブレットエンジンモードの場合は,「J2EEサーバ」を「Webコンテナサーバ」と読み替えてください。

(e) WebコンテナがサポートするServlet仕様のバージョン

変更内容は,J2EEサーバモードの場合と同じです。詳細については,「付録A.3(11) WebコンテナがサポートするServlet仕様のバージョン」を参照してください。なお,サーブレットエンジンモードの場合は,「J2EEサーバ」を「Webコンテナサーバ」と読み替えてください。

(f) デフォルトのエラーページの内容

変更内容は,J2EEサーバモードの場合と同じです。詳細については,「付録A.3(12) デフォルトのエラーページの内容」を参照してください。

(g) カスタムタグのスクリプト変数定義の変更

変更内容は,J2EEサーバモードの場合と同じです。詳細については,「付録A.3(33) カスタムタグのスクリプト変数定義の変更」を参照してください。

(h) <jsp:useBean>タグのclass属性に対するエラーチェックの変更

変更内容は,J2EEサーバモードの場合と同じです。詳細については,「付録A.3(34) <jsp:useBean>タグのclass属性に対するエラーチェックの変更」を参照してください。

(i) タグの属性値のExpressionチェックの変更

変更内容は,J2EEサーバモードの場合と同じです。詳細については,「付録A.3(35) タグの属性値のExpressionチェックの変更」を参照してください。

(j) タグの属性値に指定するExpressionに関する変更

変更内容は,J2EEサーバモードの場合と同じです。詳細については,「付録A.3(36) タグの属性値に指定するExpressionに関する変更」を参照してください。

(k) taglibディレクティブのprefix属性に関する変更

変更内容は,J2EEサーバモードの場合と同じです。詳細については,「付録A.3(37) taglibディレクティブのprefix属性に関する変更」を参照してください。

(l) JSPでの$の扱いの変更

変更内容は,J2EEサーバモードの場合と同じです。詳細については,「付録A.3(38) JSPでの$の扱いの変更」を参照してください。

(4) 移行前の確認

移行前に,Cosminexusの動作環境,および動作状態を確認します。次に確認項目を示します。

(5) 定義などのバックアップ

移行前に定義ファイルなどのバックアップを取ります。バックアップを取るディレクトリを次の表に示します。

表H-14 バックアップを取るディレクトリ(サーブレットエンジンモードの場合)

機能 バックアップを取るディレクトリ
統合ユーザ管理
  • Windowsの場合
    <Cosminexusのインストールディレクトリ>\manager
  • UNIXの場合
    /opt/Cosminexus/manager
Webサーバ連携
  • Windowsの場合
    <Cosminexusのインストールディレクトリ>\CC\web\redirector
  • UNIXの場合
    /opt/Cosminexus/CC/web/redirector
Webコンテナサーバ
  • Windowsの場合
    <Cosminexusのインストールディレクトリ>\CC\web\containers
  • UNIXの場合
    /opt/Cosminexus/CC/web/containers

(6) 手動による定義などの修正

旧バージョンから移行する場合に,手動で定義などの修正が必要な項目を次の表に示します。

表H-15 手動で定義などの修正が必要な項目(サーブレットエンジンモードの場合)

分類 修正項目 07-00/
07-10/
07-50
06-71/
06-70
06-51/
06-50
06-02/
06-00
Webコンテナサーバ (a) セキュリティポリシーファイルの変更
(b) 統合ユーザ管理のタグライブラリの入れ替え
(c) デフォルトエラーページのスタックトレース表示
(d) JSPのコンパイル結果の削除
(e) リダイレクタへのデータ送信処理のタイムアウト追加
(f) ユーザスレッドの生成に必要な権限の追加
(g) セッションIDへのサーバIDの付加
Webサーバ連携 (h) リダイレクタのログ出力先変更
(i) Webコンテナへのデータ送信処理のタイムアウト追加
(j) リダイレクタの保守用トレースログの面数変更

(凡例) ○:修正が必要。 −:該当しない。


次に修正項目の詳細について説明します。なお,表の「修正項目」の項番は,説明の項番と対応しています。

(a) セキュリティポリシーファイルの変更

変更方法は,J2EEサーバモードの場合と同じです。詳細については,「付録A.10(15) セキュリティポリシーファイルの変更」を参照してください。なお,サーブレットエンジンモードの場合は,「server.policyファイル」を「web.policyファイル」と読み替えてください。

(b) 統合ユーザ管理のタグライブラリの入れ替え

変更方法は,J2EEサーバモードの場合と同じです。詳細については,「付録A.10(16) 統合ユーザ管理のタグライブラリの入れ替え」を参照してください。

(c) デフォルトエラーページのスタックトレース表示

変更方法は,J2EEサーバモードの場合と同じです。詳細については,「付録A.10(17) デフォルトエラーページのスタックトレース表示」を参照してください。

(d) JSPのコンパイル結果の削除

07-00以降では,サーブレット/JSPのバージョンが変更になりました。このため,07-00より前のWebコンテナサーバのusrconf.propertiesファイルで,webserver.work.clean=falseを設定してJSPコンパイル結果を保持していた場合,07-00以降へ移行後,07-00より前で生成されたコンパイル結果を手動で削除してください。

次のどちらかの方法で,JSPコンパイル結果を削除します。

JSPコンパイル結果を手動で削除する方法については,マニュアル「Cosminexus 機能解説」のJSPファイルのコンパイル結果の保持に関する説明を参照してください。

(e) リダイレクタへのデータ送信処理のタイムアウト追加

変更方法は,J2EEサーバモードの場合と同じです。詳細については,「付録A.10(18) リダイレクタへのデータ送信処理のタイムアウト追加」を参照してください。

(f) ユーザスレッドの生成に必要な権限の追加

変更方法は,J2EEサーバモードの場合と同じです。詳細については,「付録A.10(19) ユーザスレッドの生成に必要な権限の追加」を参照してください。なお,サーブレットエンジンモードの場合は,「server.policyファイル」を「web.policyファイル」と読み替えてください。

(g) セッションIDへのサーバIDの付加

変更内容は,J2EEサーバモードの場合と同じです。詳細については,「付録A.10(20) セッションIDへのサーバIDの付加」を参照してください。

(h) リダイレクタのログ出力先変更

変更方法は,J2EEサーバモードの場合と同じです。詳細については,「付録A.10(23) リダイレクタのログ出力先変更」を参照してください。

(i) Webコンテナへのデータ送信処理のタイムアウト追加

変更方法は,J2EEサーバモードの場合と同じです。詳細については,「付録A.10(24) Webコンテナへのデータ送信処理のタイムアウト追加」を参照してください。

(j) リダイレクタの保守用トレースログの面数変更

変更方法は,J2EEサーバモードの場合と同じです。詳細については,「付録A.10(25) リダイレクタの保守用トレースログの面数変更」を参照してください。