ここでは，1台のマシンに実行環境Aを構築し，実行環境Bにバージョンアップして動作検証したあと，実行環境Aに戻す手順を例に説明します。

各実行環境の設定内容の例を次の表に示します。

表2-12　各実行環境の設定内容の例

設定内容	実行環境A	実行環境B
退避環境の格納先	/home/CosmiBackup
退避対象外のファイルの格納先	/home/CosmiBackup/apsvAfiles	/home/CosmiBackup/apsvBfiles
退避環境の識別子	apsvA	apsvB

実行環境の切り替え手順を次に示します。

1. 実行環境Aを構築します。
   Application Serverをインストールして，環境設定を実施し，システムを構築します。
   実行環境Aが稼働可能状態となります。
   

   

2. 実行環境Aの退避対象外のファイルを任意の場所に格納します。
   ここでは，「/home/CosmiBackup/apsvAfiles」に格納します。退避対象外のファイルについては，「2.9.1(1)　退避対象外のファイルの退避」を参照してください。
   
3. 実行環境Aを退避するために必要なディスク容量を確認します。
   製品ごとに必要なディスク容量については，「2.9.1(2)　ディスク容量の確認」を参照してください。
   
4. cosmienvコマンドに引数-sを指定して，実行環境Aの退避環境を作成します。
   コマンドの入力例を次に示します。
   cosmienv -s -I apsvA -P /home/CosmiBackup
   退避環境作成時に退避されるファイルについては，「(2)　退避環境作成時に退避対象となるファイル」を参照してください。
   cosmienvコマンドを実行しても，実行環境Aは稼働可能状態のまま残ります。
   

   

5. 実行環境Bを構築します。
   実行環境Aにアップグレードインストールと環境設定を実施します。
   実行環境Bが稼働可能状態となり，実行環境Aは退避環境だけとなります。
   

   

6. 実行環境Bの退避対象外のファイルを任意の場所に格納します。
   ここでは，「/home/CosmiBackup/apsvBfiles」に格納します。退避対象外のファイルについては，「2.9.1(1)　退避対象外のファイルの退避」を参照してください。
   
7. 実行環境Bを退避するために必要なディスク容量を確認します。
   製品ごとに必要なディスク容量については，「2.9.1(2)　ディスク容量の確認」を参照してください。
   
8. cosmienvコマンドに引数-sを指定して，実行環境Bの退避環境を作成します。
   コマンドの入力例を次に示します。
   cosmienv -s -I apsvB -P /home/CosmiBackup
   退避環境作成時に退避されるファイルについては，「(2)　退避環境作成時に退避対象となるファイル」を参照してください。
   cosmienvコマンドを実行しても，実行環境Bは稼働可能状態のまま残ります。
   

   

9. 実行環境Bで動作検証をします。
10. cosmienvコマンドに引数-rを指定して，実行環境Aに戻します。
    コマンドの入力例を次に示します。
    cosmienv -r -I apsvA
    実行環境Aが稼働可能状態となり，実行環境Bは退避環境だけとなります。回復元の退避環境Aはそのまま残ります。
    

    

11. 手順2.で退避したファイルを該当個所（退避元ディレクトリ）に格納します。
    退避対象外のファイルを実行環境Aの退避元ディレクトリにそれぞれ格納します。
    

cosmienvコマンドの詳細については，マニュアル「Cosminexus　リファレンス　コマンド編」を参照してください。

退避環境作成時に退避対象となるファイルを次の表に示します。

表2-13　退避環境作成時に退避対象となるファイル

項番	ファイルまたはディレクトリ名	説明	構成ソフトウェア
1	/opt/Cosminexus/XMLSEC	Cosminexus Web Services - Securityに含まれるXML Security - Coreの製品，設定ファイルなど	Cosminexus Web Services - Security
2	/opt/Cosminexus/.HTC_xxxx.inf	Cosminexus製品情報ファイル	−
3	/opt/Cosminexus/common以下すべて	Cosminexus共通モジュール群	−
4	/opt/Cosminexus/CC	Cosminexus Component Containerのインストールディレクトリ	Cosminexus Component Container
5	/opt/Cosminexus/CWC	Cosminexus Component ContainerのWebアプリケーション開発に利用する機能のインストールディレクトリ	Cosminexus Component Container
6	/opt/Cosminexus/c4web	Cosminexus Component ContainerのSOAPアプリケーション開発支援機能，SOAP通信基盤のファイルがインストールされているディレクトリ	Cosminexus Component Container
7	/opt/Cosminexus/manager	Cosminexus Component Containerの運用管理機能のインストールディレクトリ	Cosminexus Component Container
8	/sbin/init.d/MngSvr	インストール時に作成されるCosminexus Component Containerの運用管理機能のrcスクリプトファイル（HP-UXの場合）	Cosminexus Component Container
9	/sbin/init.d/AdminAgent	インストール時に作成されるCosminexus Component Containerの運用管理機能のrcスクリプトファイル（HP-UXの場合）	Cosminexus Component Container
10	/etc/rc.d/init.d/MngSvr	インストール時に作成されるCosminexus Component Containerの運用管理機能のrcスクリプトファイル（Linuxの場合）	Cosminexus Component Container
11	/etc/rc.d/init.d/AdminAgent	インストール時に作成されるCosminexus Component Containerの運用管理機能のrcスクリプトファイル（Linuxの場合）	Cosminexus Component Container
12	/etc/init.d/MngSvr	インストール時に作成されるCosminexus Component Containerの運用管理機能のrcスクリプトファイル（Solarisの場合）	Cosminexus Component Container
13	/etc/init.d/AdminAgent	インストール時に作成されるCosminexus Component Containerの運用管理機能のrcスクリプトファイル（Solarisの場合）	Cosminexus Component Container
14	/opt/Cosminexus/CTM/bin以下すべて	Cosminexus Component Transaction Monitorのロードモジュール	Cosminexus Component Transaction Monitor
15	/opt/Cosminexus/CTM/lib以下すべて	Cosminexus Component Transaction Monitorのライブラリ	Cosminexus Component Transaction Monitor
16	/opt/Cosminexus/CTM/.HTC_xxxx.inf	Cosminexus Component Transaction Monitorの製品情報ファイル	Cosminexus Component Transaction Monitor
17	/opt/Cosminexus/PRF/bin以下すべて	Cosminexus Performance Tracerのロードモジュール	Cosminexus Performance Tracer
18	/opt/Cosminexus/PRF/lib以下すべて	Cosminexus Performance Tracerのライブラリ	Cosminexus Performance Tracer
19	/opt/Cosminexus/PRF/.HTC_xxxx.inf	Cosminexus Performance Tracerの製品情報ファイル	Cosminexus Performance Tracer
20	/opt/Cosminexus/jaxp	Cosminexus XML Processorのインストールディレクトリ	Cosminexus XML Processor
21	/opt/Cosminexus/jdk	Cosminexus Developer's Kit for Javaのインストールディレクトリ	Cosminexus Developer's Kit for Java
22	/opt/Cosminexus/RM	Cosminexus RMのインストールディレクトリ	Cosminexus Reliable Messaging
23	/opt/Cosminexus/cFramework	Cosminexus cFrameworkのインストールディレクトリ	Cosminexus cFramework
24	/opt/Cosminexus/DABJ以下すべて	Cosminexus DABroker Library製品ファイル	Cosminexus DABroker Library
25	/opt/DABroker/.HTC_2340.inf	Cosminexus DABroker Library製品ファイル	Cosminexus DABroker Library
26	/opt/DABroker/.dabrokerenv	Cosminexus DABroker Library製品ファイル	Cosminexus DABroker Library
27	<DABroker運用ディレクトリ>※/bin以下すべて	Cosminexus DABroker Library製品ファイル	Cosminexus DABroker Library
28	<DABroker運用ディレクトリ>※/lib以下すべて	Cosminexus DABroker Library製品ファイル	Cosminexus DABroker Library
29	<DABroker運用ディレクトリ>※/msg以下すべて	Cosminexus DABroker Library製品ファイル	Cosminexus DABroker Library
30	<DABroker運用ディレクトリ>※/obj以下すべて	Cosminexus DABroker Library製品ファイル	Cosminexus DABroker Library
31	<DABroker運用ディレクトリ>※/sample以下すべて	Cosminexus DABroker Library製品ファイル	Cosminexus DABroker Library
32	<DABroker運用ディレクトリ>※/conf以下すべて	Cosminexus DABroker Library製品ファイル	Cosminexus DABroker Library
33	<DABroker運用ディレクトリ>※/cpp以下すべて	Cosminexus DABroker Library製品ファイル	Cosminexus DABroker Library
34	/opt/Cosminexus/TPB以下すべて	Cosminexus TPBroker インストールディレクトリ	Cosminexus TPBroker
35	/opt/hitachi/httpsd	Hitachi Web Serverのインストールディレクトリ	Hitachi Web Server
36	簡易構築定義ファイルの論理J2EEサーバ（j2ee-server）のejb.public.directoryパラメタで指定するディレクトリパス	J2EEサーバの作業ディレクトリ	Cosminexus Component Container
37	/opt/Cosminexus/wss	Cosminexus Web Services Securityのインストールディレクトリ	Cosminexus Web Services - Security

（凡例）−：Cosminexusの製品が該当します。

注※　<DABroker運用ディレクトリ>のデフォルトは，<Cosminexus DABroker Libraryのインストールディレクトリ>です。<DABroker運用ディレクトリ>にデフォルト以外を指定している場合も退避対象となります。