JP1/Performance Management - Agent Option for Enterprise Applications
ここでは,クラスタシステムでPerformance Managementを運用するための,セットアップについて説明します。
- 注意
- JPC_HOSTNAME環境変数は,Performance Managementで使用していますので,環境変数として設定しないでください。誤って設定した場合は,Performance Managementが正しく動作しません。
- <この項の構成>
- (1) PFM - Agent for Enterprise Applicationsを登録する
- (2) 実行系ノードの論理ホスト環境をセットアップする
- (3) 待機系の論理ホスト環境をセットアップする
- (4) クラスタソフトへ登録する
- (5) 起動・停止の確認
- (6) クラスタシステムでの環境を設定する
(1) PFM - Agent for Enterprise Applicationsを登録する
Performance Managementシステムに,PFM - Agent for Enterprise Applicationsを追加する場合には,PFM - Agent for Enterprise Applicationsを登録するためのセットアップが必要です。
PFM - Managerのバージョンが08-50以降の場合,PFM - Agentの登録は自動で行われるため,ここで説明する手順は不要です。ただし,PFM - Managerのリリースノートに記載されていないデータモデルバージョンのPFM - Agentは手動で登録する必要があります。なお,PFM - Agent for Enterprise Applicationsのデータモデルのバージョンについては,「付録I バージョン互換」を参照してください。
PFM - Agent for Enterprise Applicationsの登録は,PFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleで実施します。PFM - Agent for Enterprise Applicationsを登録する手順は非クラスタシステムの場合と同じです。手順については,「2.1.4(1) PFM - Agent for Enterprise Applicationsの登録」を参照してください。
実行系ノードで,PFM - Agent for Enterprise Applicationsの論理ホスト環境をセットアップします。
- 注意
- セットアップを実施する前に,Performance Managementシステム全体で,Performance Managementのプログラムのサービスをすべて停止してください。サービスの停止方法については,マニュアル「JP1/Performance Management システム構築・運用ガイド」のPerformance Managementの起動と停止について説明している章を参照してください。
共有ディスクがオンラインになっていることを確認します。共有ディスクがオンラインになっていない場合は,クラスタソフトからの操作やボリュームマネージャの操作などで,共有ディスクをオンラインにしてください。
(b) PFM - Agent for Enterprise Applicationsの論理ホスト環境をセットアップする
jpchasetup createコマンドを実行して論理ホスト環境を作成します。コマンドを実行すると,共有ディスクに必要なデータがコピーされ,論理ホスト用の定義を設定されて,論理ホスト環境が作成されます。
手順を次に示します。
- jpchasetup createコマンドを実行して,PFM - Agent for Enterprise Applicationsの論理ホスト環境を作成する。
次のようにコマンドを実行します。
論理ホスト名は,-lhostで指定します。ここでは,論理ホスト名をjp1-halr3としています。DNS運用をしている場合はドメイン名を省略した論理ホスト名を指定してください。
jpchasetup create agtm -lhost jp1-halr3 -d S:\jp1
共有ディスクのディレクトリ名は,-dの環境ディレクトリ名に指定します。例えば-d S:\jp1と指定するとS:\jp1\jp1pcが作成されて,論理ホスト環境のファイルが作成されます。
- jpchasetup listコマンドを実行して,論理ホストの設定を確認する。
次のようにコマンドを実行します。
作成した論理ホスト環境が正しいことを確認してください。
jpchasetup list all
jpcnshostnameコマンドを実行して,PFM - Agent for Enterprise Applicationsを管理するPFM - Managerを設定します。
- jpcnshostnameコマンドを実行して,接続先PFM - Managerを設定する。
次のようにコマンドを実行します。
接続先PFM - Managerのホスト名は,-sオプションで指定します。接続先PFM - Managerが論理ホスト運用されている場合は,-sオプションに接続先PFM - Managerの論理ホスト名を指定します。ここでは,PFM - Managerの論理ホスト名をjp1-halとしています。
jpcnshostname -s jp1-hal -lhost jp1-halr3
また,PFM - Agent for Enterprise Applicationsの論理ホスト名は,-lhostで指定します。ここでは,PFM - Agent for Enterprise Applicationsの論理ホスト名をjp1-halr3としています。
jpcinssetupコマンドを実行して,PFM - Agent for Enterprise Applicationsのインスタンス環境を設定します。
- jpcinssetupコマンドを実行する。
次のようにコマンドを実行します。
論理ホスト名は,-lhostで指定します。ここでは,PFM - Agent for Enterprise Applicationsの論理ホスト名をjp1-halr3としています。
jpcinssetup agtm -lhost jp1-halr3 -inst o246bci_SD5_00
- SAPシステムのインスタンス環境を設定する。
設定するインスタンス環境は,非クラスタシステムの場合と同じです。設定するインスタンス情報については,「2.1.4(3) インスタンス環境の設定」を参照してください。
(e) その他のPerformance Managementのプログラムの論理ホスト環境をセットアップする
PFM - Agent for Enterprise Applicationsのほかに,同じ論理ホストにセットアップするPFM - ManagerやPFM - Agentがある場合は,この段階でセットアップしてください。
セットアップ手順については,マニュアル「JP1/Performance Management システム構築・運用ガイド」の,クラスタシステムでの構築と運用について説明している章,または各PFM - Agentマニュアルの,クラスタシステムでの運用について説明している章を参照してください。
ファイアウォールがあるネットワーク環境でPerformance Managementのプログラムを運用する場合だけに必要な設定です。ファイアウォール経由でPerformance Managementのプログラム間の通信をする場合には,jpcnsconfig portコマンドを使用してポート番号を設定します。
ポート番号の設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management システム構築・運用ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章,およびクラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。
複数のLANに接続されたネットワーク環境でPerformance Managementを運用するときに使用するIPアドレスを指定したい場合は,IPアドレスの設定をします。IPアドレスを設定したい場合は,jpchostsファイルの内容を直接編集します。
IPアドレスの設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management システム構築・運用ガイド」のインストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
- 注意
- jpchostsファイルを編集した場合は,jpchostsファイルを実行系ノードから待機系ノードにコピーしてください。
PFM - Agent for Enterprise Applicationsの論理ホスト環境が作成できたら,環境定義をファイルにエクスポートします。エクスポートでは,その論理ホストにセットアップされているPerformance Managementのプログラムの定義情報を一括してファイル出力します。同じ論理ホストにほかのPerformance Managementのプログラムをセットアップする場合は,セットアップが一とおり済んだあとにエクスポートしてください。
論理ホスト環境定義をエクスポートする手順を次に示します。
- jpchasetup exportコマンドを実行して,論理ホスト環境定義をエクスポートする。
これまでの手順で作成した論理ホスト環境の定義情報を,エクスポートファイルに出力します。エクスポートファイル名は任意です。
例えば,lhostexp.txtファイルに論理ホスト環境定義をエクスポートする場合,次のようにコマンドを実行します。
jpchasetup export -f lhostexp.txt(i) 論理ホスト環境定義ファイルを待機系ノードにコピーする
「4.3.4(2)(h) 論理ホスト環境定義をエクスポートする」でエクスポートした論理ホスト環境定義ファイルを,実行系ノードから待機系ノードにコピーします。
クラスタソフトからの操作やボリュームマネージャの操作などで,共有ディスクをオフラインにして,作業を終了します。なお,その共有ディスクを続けて使用する場合は,オフラインにする必要はありません。
待機系ノードで,PFM - Agent for Enterprise Applicationsの論理ホスト環境をセットアップします。
実行系ノードからコピーしたエクスポートファイルを,待機系ノードにインポートします。
実行系ノードで作成した論理ホストのPerformance Managementのプログラムを,待機系ノードで実行するための設定には,jpchasetup importコマンドを使用します。一つの論理ホストに複数のPerformance Managementのプログラムがセットアップされている場合は,一括してインポートされます。
なお,このコマンドを実行するときには,共有ディスクをオンラインにしておく必要はありません。
- jpchasetup importコマンドを実行して,論理ホスト環境定義をインポートする。
次のようにコマンドを実行します。
コマンドを実行すると,待機系ノードの環境を,エクスポートファイルの内容と同じ環境になるように設定変更します。これによって,論理ホストのPFM - Agent for Enterprise Applicationsを起動するための設定が実施されます。
jpchasetup import -f lhostexp.txt
また,セットアップ時にjpcnsconfig portコマンドで固定のポート番号を設定している場合も,同様に設定されます。
- jpchasetup listコマンドを実行して,論理ホスト設定を確認する。
次のようにコマンドを実行します。
実行系ノードでjpchasetup listを実行した時と同じ内容が表示されることを確認してください。
jpchasetup list all
Performance Managementのプログラムを論理ホスト環境で運用する場合は,クラスタソフトに登録して,クラスタソフトからの制御でPerformance Managementのプログラムを起動したり停止したりするように環境設定します。
ここでは,PFM - Agent for Enterprise Applicationsをクラスタソフトに登録するときに設定する内容を説明します。
(a) クラスタソフトへPFM - Agent for Enterprise Applicationsを登録する
PFM - Agent for Enterprise Applicationsをクラスタソフトに登録するときの設定内容を,MSCSに登録する項目を例として説明します。
PFM - Agent for Enterprise Applicationsの場合,次の表のサービスをクラスタに登録します。
表4-3 クラスタソフトに登録するPFM - Agent for Enterprise Applicationsのサービス
項番 名前 サービス名 依存関係 1 PFM - Agent Store for SAP R/3 インスタンス名 [LHOST] JP1PCAGT_MS_インスタンス名 [LHOST] IPアドレスリソース
物理ディスクリソース
SAPシステムリソース2 PFM - Agent for SAP R/3 インスタンス名 [LHOST] JP1PCAGT_MA_インスタンス名 [LHOST] 項番1のクラスタリソース 3 PFM - Action Handler [LHOST] JP1PCMGR_PH [LHOST] IPアドレスリソース
物理ディスクリソース[LHOST]の部分は,論理ホスト名に置き換えてください。インスタンス名がo246bci_SD5_00,論理ホスト名がjp1-halr3 の場合,サービスの名前は「PFM - Agent Store for SAP R/3 o246bci_SD5_00 [jp1-halr3]」,サービス名は「JP1PCAGT_MS_o246bci_SD5_00 [jp1-halr3]」のようになります。
MSCSの場合は,これらのサービスをMSCSのリソースとして登録します。各リソースの設定は次のようにします。下記の[ ]は,MSCSの設定項目です。
- [リソースの種類]は「汎用サービス」として登録する。
- [名前],[依存関係],および[サービス名]を表4-3のとおりに設定する。
なお,名前はサービスを表示するときの名称で,サービス名はMSCSから制御するサービスを指定するときの名称です。
- [起動パラメータ]および[レジストリ複製]は設定しない。
- プロパティの[詳細設定]タブは,Performance Managementのプログラムの障害時にフェールオーバーするかしないかの運用に合わせて設定する。
例えば,PFM - Agent for Enterprise Applicationsの障害時に,フェールオーバーするように設定するには,次のように設定します。
[再開する]:チェックする
[グループに適用する]:チェックする
再起動試行回数の[しきい値]:3※
- 注※
- 再起動試行回数の[しきい値]は3回を目安に設定してください。
- 注意
- クラスタに登録するサービスは,クラスタから起動および停止を制御しますので,OS起動時に自動起動しないよう[スタートアップの種類]を[手動]に設定してください。なお,jpchasetup createコマンドでセットアップした直後のサービスは[手動]に設定されています。また,次のコマンドで強制停止しないでください。
- jpcstop all lhost=論理ホスト名 kill=immediate
クラスタソフトからの操作で,Performance Managementのプログラムの起動および停止を各ノードで実行し,正常に動作することを確認してください。
Performance Managementのプログラムのセットアップ終了後,PFM - Web Consoleから,運用に合わせて監視対象の稼働状況についてのレポートを表示できるようにしたり,監視対象で問題が発生したときにユーザーに通知できるようにしたりするために,Performance Managementのプログラムの環境を設定します。
Performance Managementのプログラムの環境の設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management システム構築・運用ガイド」の,クラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。
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