JP1/Performance Management - Agent Option for Enterprise Applications

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2.1.4 PFM - Agent for Enterprise Applicationsのセットアップ手順

ここでは,PFM - Agent for Enterprise Applicationsを運用するための,セットアップについて説明します。

[図データ]は使用する環境によって必要になるセットアップ項目,またはデフォルトの設定を変更する場合のオプションのセットアップ項目を示します。

<この項の構成>
(1) PFM - Agent for Enterprise Applicationsの登録
(2) PFM - Agent for Enterprise Applicationsで使用するSAPユーザーの作成
(3) インスタンス環境の設定
(4) ネットワークの設定
(5) ログのファイルサイズ変更
(6) パフォーマンスデータの格納先の変更
(7) PFM - Agent for Enterprise Applicationsの接続先PFM - Managerの設定
(8) 動作ログ出力の設定

(1) PFM - Agent for Enterprise Applicationsの登録

PFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleを使ってPFM - Agentを一元管理するために,PFM - ManagerおよびPFM - Web ConsoleにPFM - Agent for Enterprise Applicationsを登録する必要があります。

PFM - Managerのバージョンが08-50以降の場合,PFM - Agentの登録は自動で行われるため,ここで説明する手順は不要です。ただし,PFM - Managerのリリースノートに記載されていないデータモデルバージョンのPFM - Agentは手動で登録する必要があります。なお,PFM - Agent for Enterprise Applicationsのデータモデルのバージョンについては,「付録I バージョン互換」を参照してください。

PFM - Agentの登録の流れを次に示します。

図2-3 PFM - Agentの登録の流れ

[図データ]

注意
  • PFM - Agentの登録は,インスタンス環境を設定する前に実施してください。
  • すでにPFM - Agent for Enterprise Applicationsの情報が登録されているPerformance Managementシステムに,新たに同じバージョンのPFM - Agent for Enterprise Applicationsを追加した場合,PFM - Agentの登録は必要ありません。
  • バージョンが異なるPFM - Agent for Enterprise Applicationsを,異なるホストにインストールする場合,古いバージョン,新しいバージョンの順でセットアップしてください。
  • PFM - Managerと同じホストにPFM - Agentをインストールした場合,jpcagtsetupコマンドが自動的に実行されます。共通メッセージログに「KAVE05908-I エージェント追加セットアップは正常に終了しました」と出力されるので,結果を確認してください。コマンドが正しく実行されていない場合は,コマンドを実行し直してください。コマンドの実行方法については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドの章を参照してください。

(a) PFM - Agent for Enterprise Applicationsのセットアップファイルをコピーする

PFM - Agent for Enterprise ApplicationsをインストールしたホストにあるセットアップファイルをPFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleをインストールしたホストにコピーします。手順を次に示します。

  1. PFM - Web Consoleが起動されている場合は,停止する。
  2. PFM - Agentのセットアップファイルをバイナリーモードでコピーする。
    ファイルが格納されている場所およびファイルをコピーする場所を次の表に示します。

    表2-2 コピーするセットアップファイル

    PFM - Agentの
    セットアップファイル
    コピー先
    PFM
    プログラム名
    OS コピー先フォルダ
    またはディレクトリ
    インストール先フォルダ\setup\jpcagtmw.EXE PFM - Manager Windows PFM - Managerのインストール先フォルダ\setup
    インストール先フォルダ\setup\jpcagtmu.Z UNIX /opt/jp1pc/setup/
    インストール先フォルダ\setup\jpcagtmw.EXE PFM - Web Console Windows PFM - Web Consoleのインストール先フォルダ\setup
    インストール先フォルダ\setup\jpcagtmu.Z UNIX /opt/jp1pcwebcon/setup/

(b) PFM - Managerホストでセットアップコマンドを実行する

PFM - ManagerでPFM - Agent for Enterprise Applicationsをセットアップするための次のコマンドを実行します。

 
jpcagtsetup agtm

注意
コマンドを実行するローカルホストのPerformance Managementのプログラムおよびサービスが完全に停止していない状態でjpcagtsetupコマンドを実行した場合,エラーが発生することがあります。その場合は,Performance Managementのプログラムおよびサービスが完全に停止したことを確認したあと,再度jpcagtsetupコマンドを実行してください。

PFM - ManagerホストにあるPFM - Agentのセットアップファイルは,この作業が終了したあと,削除してもかまいません。

(c) PFM - Web Consoleホストでセットアップコマンドを実行する

PFM - Web ConsoleでPFM - Agent for Enterprise Applicationsをセットアップするための次のコマンドを実行します。

 
jpcwagtsetup
 

PFM - Web ConsoleホストにあるPFM - Agentのセットアップファイルは,この作業が終了したあと削除してもかまいません。

(2) PFM - Agent for Enterprise Applicationsで使用するSAPユーザーの作成

PFM - Agent for Enterprise Applicationsはパフォーマンス情報を収集するために,SAP社の通信プロトコルであるRFCを使用して,SAPシステム側に定義されている外部管理インターフェースを実行します。そのため,PFM - Agent for Enterprise Applicationsが使用するユーザーをあらかじめSAPシステム側に用意しておく必要があります。

ここでは,SAPシステム側に作成するSAPユーザーのユーザータイプ,パスワード,権限について説明します。

(a) ユーザータイプ

PFM - Agent for Enterprise Applicationsで使用するSAPユーザーには,次のタイプのユーザーが使用できます。

(b) パスワードに指定できる文字

SAPユーザーのパスワードは,半角数字(0〜9),半角英字(a〜z, A〜Z),および次の半角記号で定義してください。

 !"@△$%&/()=?'`*+~#-_.,;:{[]}\<>|

 △は,空白文字を示します。

(c) 必要な権限

ユーザーには次の権限(権限オブジェクト)を設定する必要があります。

各権限の値として,次の表に示す値またはすべての項目に「*」を指定したビルトイン権限値(S_RFC_ALLやS_XMI_ADMIN)を割り当ててください。

表2-3 ユーザーが汎用モジュールにRFC接続するための権限(S_RFC)

権限項目 説明
RFC_TYPE 保護されるRFCオブジェクトのタイプ FUGR(汎用グループ)
RFC_NAME 保護されるRFC名 *
ACTVT アクティビティ 16(実行)

表2-4 外部管理インターフェースを使用するための権限(S_XMI_PROD)

権限項目 説明
EXTCOMPANY 外部管理ツールの会社名 HITACHI
EXTPRODUCT 外部管理ツールのプログラム名 JP1
INTERFACE インターフェースID *

(3) インスタンス環境の設定

PFM - Agent for Enterprise Applicationsで監視するSAPシステムのインスタンス情報を設定します。インスタンス情報の設定は,PFM - Agentホストで実施します。

設定するインスタンス情報を次の表に示します。セットアップの操作を始める前に,次の情報をあらかじめ確認してください。SAPシステムのインスタンス情報の詳細については,SAP R/3のマニュアルを参照してください。

表2-5 PFM - Agent for Enterprise Applicationsのインスタンス情報

項目 説明 設定できる値 デフォルト値
SID 監視対象となるSAPシステムID 8バイト以内の半角文字列
SERVER 監視対象となるSAPインスタンス名(トランザクションコードSM51で確認できる,ダイアログサービスを持つSAPインスタンス名) 20バイト以内の半角文字列 jpcinssetupコマンドの-instで指定したインスタンス名
ASHOST 接続先アプリケーションサーバのホスト名(トランザクションコードSM51で確認できるSAPローカルホスト名) 100バイト以内の半角文字列 ローカルホスト名
SYSNR SAPシステムのシステム番号を指定する。 2バイト以内の半角数字 「00」
CLIENT SAPユーザーが属するクライアント名(接続先ダイアログインスタンスに割り当てられているシステム番号) 3バイト以内の半角数字 「000」
USER SAPユーザー名 12バイト以内の半角文字列
EXTPWD SAPシステムへの接続に,拡張パスワードを使用するかどうかを指定する。 YまたはNで指定する。
  • Y:拡張パスワードを使用する。
  • N:拡張パスワードを使用しない。
「N」
PASSWD SAPユーザーのパスワード
  • 拡張パスワードを使用する場合:8バイト以内の半角文字列
  • 拡張パスワードを使用しない場合:40バイト以内の半角文字列
DELAYCONNECT SAPシステムにいつ接続するかを指定する。 YまたはNで指定する。
  • Y:パフォーマンスデータ収集時にSAPシステムに接続する。
    この場合,Agent Collectorサービスは,接続時のSAPシステムの稼働状況に関係なく起動される。
  • N:Agent Collectorサービス起動時にSAPシステムに接続する。
    この場合,Agent Collectorサービスは,接続時にSAPシステムが停止していると起動されない。
「N」
Store Version 使用するStore バージョンを指定する。Storeバージョンについては「2.4.2 Store バージョン2.0への移行」を参照してください。 {1.0 | 2.0} 2.0

(凡例)
−:なし

注※
PFM - Agent for Enterprise Applications,および同一ホスト上のPFM - BaseまたはPFM - Managerが08-10以降で,初めてインスタンス環境の設定を行う場合に必要となる設定です。

注意
  • インスタンス環境を設定していない場合,PFM - Agent for Enterprise Applicationsのサービスを起動できません。

インスタンス環境を構築するには,jpcinssetupコマンドを使用します。インスタンス環境の構築手順を次に示します。

  1. サービスキーおよびインスタンス名を指定して,jpcinssetupコマンドを実行する。
    例えば,PFM - Agent for Enterprise Applicationsのインスタンス名o246bci_SD5_00のインスタンス環境を構築する場合,次のように指定してコマンドを実行します。
     
    jpcinssetup agtm -inst o246bci_SD5_00
     
    PFM - Agent for Enterprise Applicationsの場合,インスタンス名は任意ですが,管理のしやすさを考慮し,監視対象とするSAPシステムのインスタンス名と同じにしてください。SAPシステムのインスタンスには,通常,「ホスト名_SAPシステムID_システム番号」という形式の名称が付けられています。
  2. SAPシステムのインスタンス情報を設定する。
    表2-5に示した項目を,コマンドの指示に従って入力してください。各項目とも省略はできません。デフォルトで表示されている値を,項目の入力とする場合はリターンキーだけを押してください。

すべての入力が終了すると,インスタンス環境が構築されます。構築されるインスタンス環境を次に示します。

注※
インスタンス環境を構築した時点の設定値に戻したいときに使用します。

(4) ネットワークの設定[図データ]

Performance Managementを使用するネットワーク構成に応じて,変更する場合にだけ必要な設定です。

ネットワークの設定では次の二つの項目を設定できます。

(5) ログのファイルサイズ変更[図データ]

Performance Managementの稼働状況を,Performance Management独自のログファイルに出力します。このログファイルを「共通メッセージログ」と呼びます。共通メッセージログは,デフォルトで2,048キロバイトのファイルが2ファイル使用されます。このファイルサイズを変更したい場合にだけ,必要な設定です。

詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management システム構築・運用ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。

(6) パフォーマンスデータの格納先の変更[図データ]

PFM - Agent for Enterprise Applicationsで管理されるパフォーマンスデータを格納するデータベースの保存先,バックアップ先,エクスポート先,部分バックアップ先またはインポート先のフォルダを変更したい場合にだけ,必要な設定です。

パフォーマンスデータは,デフォルトで,次の場所に保存されます。

保存先 フォルダ名
データベースの保存先 インストール先フォルダ\agtm\store\インスタンス名\
データベースの保存先(論理ホスト運用の場合) 環境ディレクトリ\jp1pc\agtm\store\インスタンス名\
バックアップ先 インストール先フォルダ\agtm\store\インスタンス名\backup\
バックアップ先(論理ホスト運用の場合) 環境ディレクトリ\jp1pc\agtm\store\インスタンス名\backup\
エクスポート先 インストール先フォルダ\agtm\store\インスタンス名\dump\
エクスポート先(論理ホスト運用の場合) 環境ディレクトリ\jp1pc\agtm\store\インスタンス名\dump\
部分バックアップ先(Storeバージョン2.0の場合) インストール先フォルダ\agtm\store\インスタンス名\partial\
部分バックアップ先(論理ホスト運用で,Storeバージョン2.0の場合) 環境ディレクトリ\jp1pc\agtm\store\インスタンス名\partial\
インポート先(Storeバージョン2.0の場合) インストール先フォルダ\agtm\store\インスタンス名\import\
インポート先(論理ホスト運用で,Storeバージョン2.0の場合) 環境ディレクトリ\jp1pc\agtm\store\インスタンス名\import\

注※
環境ディレクトリは,論理ホスト作成時に指定した共有ディスク上のディレクトリです。

詳細については,「2.4.1 パフォーマンスデータの格納先の変更」を参照してください。

(7) PFM - Agent for Enterprise Applicationsの接続先PFM - Managerの設定

PFM - Agentがインストールされているホストで,そのPFM - Agentを管理するPFM - Managerを設定します。接続先のPFM - Managerを設定するには,jpcnshostnameコマンドを使用します。

注意
  • 同一ホスト上に,複数のPFM - Agentがインストールされている場合でも,接続先に指定できるPFM - Managerは,一つだけです。PFM - Agentごとに異なるPFM - Managerを接続先に設定することはできません。
  • PFM - AgentとPFM - Managerが同じホストにインストールされている場合,接続先PFM - ManagerはローカルホストのPFM - Managerとなります。この場合,接続先のPFM - ManagerをほかのPFM - Managerに変更できません。

手順を次に示します。

  1. Performance Managementのプログラムおよびサービスを停止する。
    セットアップを実施する前に,ローカルホストでPerformance Managementのプログラムおよびサービスが起動されている場合は,すべて停止してください。サービスの停止方法については,マニュアル「JP1/Performance Management システム構築・運用ガイド」の,サービスの起動と停止について説明している章を参照してください。
    jpcnshostnameコマンド実行時に,Performance Managementのプログラムおよびサービスが起動されている場合は,停止を問い合わせるメッセージが表示されます。
  2. 接続先のPFM - Managerホストのホスト名を指定して,jpcnshostnameコマンドを実行する。
    例えば,接続先のPFM - Managerがホストhost01上にある場合,次のように指定します。
     
    jpcnshostname -s host01

(8) 動作ログ出力の設定[図データ]

PFMサービスの起動・停止時や,PFM - Managerとの接続状態の変更時に動作ログを出力したい場合に必要な設定です。動作ログとは,システム負荷などのしきい値オーバーに関するアラーム機能などと連動した動作情報の履歴を出力するログ情報です。

設定方法については,「付録J 動作ログの出力」を参照してください。

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