JP1/Automatic Job Management System 2 コマンドリファレンス
形式
ajsembdbbackup
[-mh 論理ホスト名]
-i 組み込みDB運用ディレクトリ
-d データ領域名称
-b バックアップファイル格納ディレクトリ
[-z]
[-s]
[-id 組み込みDBセットアップ識別子]
機能
組み込みDBのバックアップを取得します。
このコマンドを実行すると,アンロード待ち状態のロググループは,アンロード待ち状態が解除されて再利用できる状態になります。
組み込みDBが起動状態であるとき使用できます。
実行権限
Windowsの場合:Administrators権限
UNIXの場合:スーパーユーザー権限
格納先ディレクトリ
- Windowsの場合
- JP1/AJS2 - Managerのインストール先フォルダ\tools\
- UNIXの場合
- /opt/jp1ajs2/tools/
引数
-mh 論理ホスト名
クラスタ運用環境で実行する際に指定します。論理ホスト名を指定してください。指定できる文字数は,1〜32(単位:バイト)です。ajsembdbbuild -mhで指定した値と同じ値を指定してください。省略した場合,環境変数JP1_HOSTNAMEの設定があれば,環境変数値が仮定されます。
-i 組み込みDB運用ディレクトリ
組み込みDBの運用ディレクトリを指定します。ディレクトリは絶対パスで指定してください。Windows版の場合,指定する絶対パスに空白文字を含む場合はパスを「"(ダブルクォーテーションマーク)」で囲んでください。ajsembdbbuild -iで指定したディレクトリと同じディレクトリを指定してください。UNIXのセットアップでajsembdbbuild -iを省略した場合は,このオプションを省略できます。
省略時は/opt/HiRDB_J/が仮定されます。
このオプションは,下位バージョン互換のためのオプションです。08-00以降に構築した組み込みDB,またはセットアップ識別子の設定を行った環境では,このオプションではなく,-idオプションを指定してください。
-idオプションと同時に指定した場合,-iオプションに指定した値が有効になります。
-d データ領域名称
組み込みDBのデータ領域名称を指定します。ディレクトリは絶対パスで指定してください。Windows版の場合,指定する絶対パスに空白文字を含む場合はパスを「"(ダブルクォーテーションマーク)」で囲んでください。ajsembdbbuild -dで指定した場合は次のように指定してください。
- Windowsの場合
- [-dで指定したディレクトリ名称]\ajssys02
- UNIXの場合
- [-dで指定したディレクトリ名称]/ajssys02
ajsembdbbuild -aで指定した場合は次のように指定してください。
- Windowsの場合
- [-aで指定したRDエリアパーティション]
- UNIXの場合
- [-aで指定したRDエリアパーティション]
-b バックアップファイル格納ディレクトリ
バックアップファイルを格納するディレクトリを指定します。ディレクトリは絶対パスで指定してください。Windows版の場合,指定する絶対パスに空白文字を含む場合はパスを「"(ダブルクォーテーションマーク)」で囲んでください。
指定したディレクトリは,事前に作成しておいてください。ディレクトリがない場合はエラーになります。
指定したディレクトリには,次のファイルが格納されます。
- バックアップファイル
- 処理出力結果ファイル
- ログポイント情報ファイル
ファイル名称はスクリプトで自動的に決定します。名称は,次の規則によって決定されます。
- -s指定あり
- バックアップファイル:BACK_XXXXYYZZVVWW.bk
- 出力結果ファイル:BACK_XXXXYYZZVVWW.log
- ログポイント情報ファイル:BACK_XXXXYYZZVVWW.pnt
- -s指定なし
- バックアップファイル:BACK_MST_XXXXYYZZVVWW.bk
- 出力結果ファイル:BACK_MST_XXXXYYZZVVWW.log
- ログポイント情報ファイル:BACK_MST_XXXXYYZZVVWW.pnt
- XXXX:西暦
- YY:月
- ZZ:日
- VV:時間
- WW:分
- 注 ログポイント情報ファイルは-zを指定した場合だけ作成されます。
-z
システムログとバックアップで回復する運用を適用しているときに指定してください。
このオプションを指定するには,ajsembdbbuildのオプションに-brまたは-bsの指定が必要になります。また,-brまたは-bsと,-blが同時に指定されている環境でこのオプションを指定しないでください。リストアを実行するときのエラーの原因になります。
-s
運用中にバックアップを取得する場合に指定してください。
このオプションを指定してバックアップを取得する場合,ajsembdbbuildのオプションに,-brまたは-bsの指定が必要になります。
-id 組み込みDBセットアップ識別子
組み込みDBを識別するセットアップ識別子を「_JAn」(nは0〜9またはA〜Z)の4文字で指定します。ajsembdbbuildコマンドの-idオプションで指定した値を指定してください。
このオプションを省略した場合は,_JA0が仮定されます。
-iオプションと同時に指定した場合,-iオプションが優先されます。
注意事項
- 障害の発生している組み込みDBのバックアップは取得しないでください。障害の発生している状態でバックアップを取得した場合,そのバックアップファイルを回復に使用すると問題が発生することがあります。
- このコマンドは,組み込みDB稼働中に実行してください。
- ジョブ実行中にこのコマンドを実行すると,コマンドが異常終了する場合があります。その場合は,ジョブ実行による負荷が低い時間帯に再実行してください。
- -sを指定してバックアップを取得した場合,ajsembdbrstrは,入力情報としてアンロードログファイル,またはシステムログファイルが必要になります。
- -sを指定しないでバックアップを取得する場合,データベースの更新がないことを確認して実行してください。
- データベースの更新時にバックアップを取得しようとするとエラーが発生することがあります。
- ajsembdbbuildで組み込みDBをセットアップする場合に,-br,-bsを指定して,-blを指定していない環境で,このコマンドの-zオプションを指定しないでバックアップを取得すると,今まで使用していたロググループがアンロード待ち状態に変更されます。この状態のロググループは,アンロード待ち状態を解除するまで再利用できません。現在使用しているロググループ以外のロググループがアンロード待ち状態になってしまった場合,次のロググループにスワップすることができず,組み込みDBが異常終了したり,使用できなくなったりします。
- ajsembdbbackupのオプション-sの指定なしでバックアップを取得する場合,ロググループの状態を把握しておく必要があります。
- ajsembdbbackupの-zオプション指定でバックアップを取得している場合,バックアップの取得間隔によっては使用していないロググループがすべてアンロード待ち状態になってしまい,組み込みDBが異常終了してしまう場合があります。その場合は,バックアップの取得期間を短くする必要があります。
- ロググループの状態を監視するには,ajsembdbstatusコマンドの-lオプションを使用してください。
また,アンロード待ち状態になったロググループをアンロード済みにするには,ajsembdboplogコマンドを使用してください。
ajsembdbstatusコマンドおよびajsembdboplogコマンドの詳細については,「1. コマンド ajsembdbstatus」および「1. コマンド ajsembdboplog」を参照してください。
- コマンドの実行結果は,ログファイルに出力されます。格納先は,次の場所になります。
- Windowsの場合
- JP1/AJS2 - Managerのインストール先フォルダ\log
- UNIXの場合
- /var/opt/jp1ajs2/log
- ファイル名はajsembdbbackup.logです。このファイルは,上書きしないためファイルサイズが無限に大きくなります。必要に応じて,編集,削除を行ってください。
このファイルが存在しない場合は,ajsembdbbackupを実行すると,新たに作成されます。
- -sオプションを指定しない場合は,バックアップファイルだけで回復を行うことができます。JP1/AJS2との同期を取ってバックアップを取得する場合には,-sを指定しないで実行してください。
- -sオプションを指定して取得したバックアップファイルを使って回復を行う場合は,アンロードログファイル,システムログファイルを使用しなければ回復できないので,注意が必要です。
- ajsembdbbackupコマンドを実行中,KFPS01278-W,KFPS01279-Wの警告メッセージが出力される場合があります。
ただし,KFPS01278-Wメッセージに「code=1601-0」が出力される場合,または,KFPS01279-Wメッセージに「code=1607-0」が出力される場合はバックアップ動作に影響はないため,問題ありません。
- ajsembdbrpsetupを実行してJP1/AJS2 - Datareplicatorでレプリケーションを実行できる環境にセットアップした場合,JP1/AJS2 - Datareplicator用に領域が拡張されているため,バックアップを取得し直す必要があります。
バックアップを取得しなかった場合,拡張された領域は回復できません。
- Windows Server 2008のホストでこのコマンドを実行する際には,コマンドプロンプトを管理者として起動する必要があります。コマンドプロンプトを起動する際は,Windowsの[スタート]メニューの[コマンドプロンプト]を右クリックし,ショートカットメニューから[管理者として実行]を選択してください。UAC機能が無効の場合は,コマンドプロンプトを管理者として起動する必要はありません。
戻り値
0 正常終了。 0以外 異常終了。
エラー発生時の対処
ajsembdbbackupを実行時,エラーが発生する場合があります。エラーが発生した場合は次の表に従って対処してください。
表1-28 ajsembdbbackup実行時,エラー発生時の対処
メッセージ 原因 対処 KFPS01280-E
AJSEMBDBBACKUP:EmbedDB SYNC END (4) AJSEMBDBBACKUP:[ERROR]pdlogsync -d sys -w -t 180スケジューラーデータベースが更新中のため,DBのバックアップを取得できる状態にできません。 実行中のジョブが終了するのを待って再実行してください。 KAVS0996-E
- 引数に誤りがあります。
- オプションの指定が不足しています。
- -iに指定したパスが組み込みDB運用ディレクトリではありません。または,読み取り権限がありません。
指定している引数を見直して,再実行してください。 KFPR26012-E -dに指定したパスが誤っています。または,指定したパスのフォルダに読み取り権限がありません。 指定しているパスを見直して,再実行してください。 KFPR16003-E -bに指定したパスが誤っています。または,指定したパスのフォルダに書き込み権限がありません。 指定しているパスおよび権限を見直して,再実行してください。 KFPR26006-E
Invalid parameter AAA exists at -m option in command line-mhに指定したホスト名称が不正です。 ホスト名称および指定している引数を見直して,再実行してください。 KFPS01984-E -iに指定したパスがフルパスで指定されていません。 指定しているパスを見直して,再実行してください。 Bad directory specified in -i option -iに指定したディレクトリが,組み込みDBの運用ディレクトリでないか,セットアップが正常に行われていません。 -iに正しい組み込みDBの運用ディレクトリを指定してください。組み込みDBの運用ディレクトリの指定に問題がない場合は,組み込みDBの再セットアップを行ってください。 Cannot specify -z option. - Embedded DB is not built with recovery option using logs. 組み込みDB構築時に実行するajsembdbbuildスクリプトで,-brまたは-bsオプションを指定してセットアップされていないため,-zオプションを指定してバックアップを取得することができません。 組み込みDB構築時に実行するajsembdbbuildスクリプトで,-brまたは-bsオプションを指定してください。ログ運用を行わない設定の場合は,-zオプションを指定せずに任意時点のバックアップを採取することしかできません。 KAVS2104-E -idで指定したセットアップ識別子が不正か,組み込みDBがセットアップされていません。 -idで指定したセットアップ識別子の値が正しいことを確認してください。または,スケジューラーサービスのデータベースに組み込みDBを設定しているか,ajsstatusで確認してください。
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