JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド
形式
ajsembdbsetup
[-mh 論理ホスト名]
[-F サービス名]
[-p 組み込みDB通信ポート]
[-m [-s PDSENDMEMSIZE] [-r PDRECVMEMSIZE]]
[-ct 最大待ち合わせ時間]
[-tp テーブル名プリフィックス]
[-q]
[-c]
[-ru { l | m | s }]
[-id セットアップ識別子]
機能
JP1/AJS2スケジューラーサービスの,既存のISAMデータベースを組み込みDBに移行します。
組み込みDBの標準インストールをして,JP1/AJS2を新規インストールした場合は,すべてのオプション指定を省略できます。この場合,物理ホストのスケジューラーサービスの「AJSROOT1」を組み込みDBに移行します。
実行権限
Windowsの場合:Administrators権限
UNIXの場合:スーパーユーザー権限
格納先ディレクトリ
- Windowsの場合
- JP1/AJS2 - Managerのインストール先フォルダ\tools\
- UNIXの場合
- /opt/jp1ajs2/tools/
引数
-mh 論理ホスト名
処理対象とするJP1論理ホスト名を指定します。指定できる文字数は,1〜32(単位:バイト)です。
省略した場合,環境変数JP1_HOSTNAMEの設定があれば,環境変数値が仮定されます。環境変数JP1_HOSTNAMEの指定がない場合は,物理ホストが仮定されます。
-F サービス名
処理対象とするスケジューラーサービスのサービス名を指定します。
省略した場合,環境変数AJSCONFの設定があれば,環境変数値が仮定されます。環境変数AJSCONFの指定がない場合は,デフォルトのスケジューラーサービスが仮定されます。
-p 組み込みDB通信ポート
組み込みDB接続ポートを10進数で指定します。
省略した場合,「22200」が仮定されます。
構成定義のRDBPORTパラメーターに設定されます。
指定できる値の範囲は5,001〜65,535となります。
-m [-s PDSENDMEMSIZE] [-r PDRECVMEMSIZE]
組み込みDBのプロセス間メモリー通信機能で使用する,メモリー通信に使用する送信バッファサイズ,およびメモリー通信に使用する受信バッファサイズを指定する場合に指定します。
構成定義のRDBIPC,RDBSENDMEMSIZE,およびRDBRECVMEMSIZEパラメーターに設定されます。
- -s
メモリー通信に使用する送信バッファサイズを10進数で指定します。
- -r
メモリー通信に使用する受信バッファサイズを10進数で指定します。
-sまたは-rオプションで指定できる値の範囲は,それぞれ4〜2,097,152となります。
-sまたは-rオプションを省略した場合は,組み込みDBの標準値で動作します。
JP1/AJS2での最適値は,送信バッファサイズ=100,受信バッファサイズ=100です。
-mオプションを省略した場合はプロセス間メモリー通信機能を使用して-s,-rオプション指定の有無にかかわらず送信バッファサイズ=100,受信バッファサイズ=100を設定します。
-ct 最大待ち合わせ時間
RDB接続待ち合わせを打ち切る時間を,0〜60(単位:分)の範囲の値で指定します。
省略した場合,「1」が仮定されます。
「0」を指定した場合は,RDB接続待ち合わせ機能が無効になります。
このオプションに,0〜60以外の値を指定した場合,不正な値が構成定義に設定され,JP1/AJS2起動時にKAVS1003-Eが出力されることがあります。また,スクリプト実行中にKAVA0334-Eエラーが出力される場合もあります。
-tp テーブル名プリフィックス
JP1/AJS2スケジューラーデータベースのテーブル名プリフィックスを4バイト以内で指定します。
省略した場合,「AJS」が仮定されます。
構成定義TABLENAMEPREFIXパラメーターの設定が変更されます。
-q
スキーマ作成をスキップする場合に指定してください。例えば,同一組み込みDB内に複数のスケジューラーサービスを構築する際,二つ目以降に設定するスケジューラーサービスをセットアップする場合に指定します。また,ajsembdbsetupスクリプト実行時に,スキーマ作成に成功し,それ以降のテーブル作成時にエラーが発生した場合などにもこのオプションを指定する必要があります。
なお,初めてセットアップする場合はテーブル作成時にエラーが発生しますので,このオプションは指定しないでください。
-c
スキーマ作成が成功し,それ以降のテーブル作成処理などでエラーが発生したあとに再セットアップを行う場合に,-qオプションと同時に指定してください。
-ru { l | m | s }
空き領域の再利用機能を使用する場合に指定します。l,m,sと同時に指定した場合,再利用開始ポイントを指定することができます。
-ruを省略した場合は,-ru lが仮定されます。
-ruの後ろに空き領域の再利用機能の再利用開始ポイントを指定します。データ領域の使用率がここで指定したポイントに達した場合,空き領域の再利用機能が動作します。
l,m,sはそれぞれajsembdbbuildのデータベースモデル,大・中・小規模に対応しています。ajsembdbbuildで指定したデータベースモデルの規模と同じオプションを指定してください。
各テーブルに設定されるデータベース領域に対する空き領域の再利用機能の再利用開始ポイントは次のとおりになります。
表20-9 各テーブルに設定されるデータベース領域に対する空き領域の再利用機能の再利用開始ポイント
テーブル名 各テーブルで設定される空き領域の再利用機能の再利用開始ポイント AJSUNIT データベース領域AJS2DATA全体のセグメントの10% AJSARROW AJSBODY AJSSCH AJSCAL AJSPERF AJSENTRY AJSGEN AJSSTAT データベース領域AJS2DATA全体のセグメントの20%
- 注
- テーブル名は,テーブルプリフィックスを標準の「AJS」としている場合の名称です。
なお,ajsembdbbuildのデータベースモデル,大・中・小規模で作成される領域のセグメントの全体量は次のとおりです。
表20-10 ajsembdbbuildのデータベースモデル,大・中・小規模で作成される領域のセグメントの全体量
データベース領域・名称 小規模 中規模 大規模 データ領域AJS2DATA 4,940 14,920 30,800 -id セットアップ識別子
組み込みDBを識別するセットアップ識別子を「_JAn」(nは0〜9またはA〜Z)の4文字で指定します。ajsembdbbuildコマンドの-idオプションで指定した値を指定してください。
このオプションを省略した場合は,_JA0が仮定されます。
注意事項
- このスクリプトを実行する前に,JP1/AJS2 - Managerホストで論理ホストを含め,すべてのJP1/AJS2サービス,JP1/AJS2 Monitorサービス,およびJP1/AJS2 Console Agentサービスを停止してください。サービスを停止しないでこのスクリプトを使用した場合でも,正常終了する場合があるので注意してください。
- このスクリプトを実行すると,移行前のISAMのデータベースファイルを格納しているディレクトリにバックアップフォルダを作成し,その後,組み込みDBに移行します。セットアップ後,運用に問題がなければ必要に応じてバックアップフォルダを削除してください。
- ajsembdbsetupは,スクリプトで実装されています。このため,オプションに不当に長い文字列や不正な文字列や値を指定すると,予期せぬエラーが発生することがあります。オプション指定値は,DBMSおよびJP1/AJS2で規定されている範囲内の文字列または数値を指定してください。
- スケジューラーデータベースのセットアップに必要のない構成定義の指定に誤りがある場合でも,KAVS1003-Eメッセージが出力されます。このメッセージが複数回出力されても,このスクリプトが正常終了した場合にはセットアップ処理は完了していますので,再セットアップの必要はありません。このスクリプト終了後,KAVS1003-Eメッセージに従い構成定義の誤りを訂正してください。
- UNIXで文字コードを変更して環境を構築するときは,環境変数のLANGを正しく設定してください。
- 一度スケジューラーサービスのデータベースをISAMから組み込みDBに移行に成功したあとに,何らかの理由でajsembdbsetupを再実行する際は,組み込みDBとして設定されたスケジューラーサービスを,一度ISAMに変更し直す必要があります。
- ajsembdbsetupを実行し,組み込みDBサーバへのアクセスでエラーが発生した場合,組み込みDB接続時のエラー情報が,ajsembdbsetupを実行したときの作業ディレクトリにトレースファイル(pderr1.trcおよびpderr2.trc)として作成されます。スクリプトの再実行によって,正常終了した場合は,これらのファイルを削除してください。
- このコマンドを同時に複数実行しないでください。同時に複数実行した場合,次に示す現象が起こるおそれがあります。
- スケジューラーデータベースが不正になり,使用できなくなる。
- このコマンドが,不当にエラーになる。
- 構成定義情報が不正になり,JP1/AJS2が運用できなくなる。
- Windows Server 2008のマシンでこのコマンドを実行する際には,コマンドプロンプトを管理者として起動する必要があります。コマンドプロンプトを起動する際は,Windowsの[スタート]メニューの[コマンドプロンプト]を右クリックし,ショートカットメニューから[管理者として実行]を選択してください。なお,UAC機能が無効の場合は,コマンドプロンプトを管理者として起動する必要はありません。
- Windows Server 2008でUAC機能が無効の場合に,Administrators権限のないユーザーでこのコマンドを実行すると,メッセージKAVS0190-Eが出力されてコマンドは異常終了します。Administrators権限のあるユーザーでこのコマンドを再実行してください。
戻り値
0 正常終了。 0以外 異常終了。
エラー発生時の対処
スクリプト実行時にエラーが発生する場合があります。エラーが発生した場合は次の表に従って問題に対処し,再実行してください。
メッセージID 原因 対処方法 BACKUP
ERRORISAMのデータベースファイルのバックアップに失敗。 サービス稼働中にスクリプトを実行した場合など,移行前のISAMファイルのバックアップに失敗しました。ISAMファイルを必要に応じて手動で削除してください。
次に示す拡張子のファイルがISAMファイルとなりますので,それ以外のファイルを削除しないように注意してください。
- ・Windowsの場合
- 拡張子が「.DRF」,「.KDF」,「.K01」,「.K02」のファイル
- ・UNIXの場合
- 拡張子が「.DAT」,「.DEF」,「.K01」,「.K02」のファイル
DBTYPE
ERROR移行元スケジューラーサービスのデータベース種別がISAMではない。 移行元スケジューラーサービスのデータベース種別をISAMにしてください。
このスクリプトを使用した再セットアップ時にこのメッセージが出力された場合は,次のように対処してください。
- スケジューラーサービスを停止します。
- バックアップされたISAMファイルをデータベースディレクトリへ戻します。
- ajsembdbsetupスクリプトで,組み込みDBへの移行を行います。ajsembdbsetupスクリプトに-q,-cオプションを指定してください。
Invalid value specified in -ct option. -ctオプションの引数に指定できない値が設定されている。 -ctオプションの引数に0から60以内の整数を指定してください。 KAVS0178-E テーブルが作成済みである。 -q,-cオプションを同時に指定して再実行してください。 KAVS0190-E ホストには指定されたスケジューラーサービスが定義されていない。 -Fオプションにすでに存在しているスケジューラーサービス名を指定してください。 KAVS0985-E データベースに接続できない。 次の問題が考えられます。
これらの問題を解決してから再実行してください。
- 組み込みDBサーバが起動していない。
- -pオプションで指定したポート番号が組み込みDBのポート番号と一致していない。
KAVS0936-E スキーマはすでに定義されている。 スキーマが作成済みの場合は,-qオプションを指定して再実行してください。 KAVS0981-E テーブルが見つからない。 ISAMのデータベースファイルがありません。あらかじめ,ISAMでセットアップされている必要があります。 KAVS0996-E 指定されたオプションおよび値が不正。 オプションおよびオプションに指定する値を修正してください。 KAVS1003-E 構成定義に誤った指定がある。 オプションで指定した値を正しい値に修正して再実行してください。 KFPA11723-E 組み込みDBが停止している。 組み込みDBを起動してください。 KFPA11204-E 表がない。 -tpの値を見直して,正しいテーブルプリフィックスを指定してください。
上記のことを見直して再実行してください。KFPA11563-E
KFPA11732-E組み込みDBにほかのユーザーがアクセスしているため,排他待ちタイムアウトになった。 組み込みDBへのアクセスをすべて停止してから再実行してください。 The embedded DB work directory associated with the setup identifier specified by the -id option is invalid. -idオプションに指定したセットアップ識別子に関連づけられている組み込みDB運用ディレクトリが不正。 構成定義に設定されている組み込みDB運用ディレクトリに正しい値を指定し,再実行してください。
登録済みのセットアップ識別子および組み込みDB運用ディレクトリは,ajsembdbidlistコマンドで確認できます。
ajsembdbidlistコマンドの詳細は,「20. セットアップ時に使用するコマンド ajsembdbidlist」を参照してください。The setup identifier specified with the -id option is not registered. -idオプションで指定したセットアップ識別子は登録されていない。 登録済みのセットアップ識別子を指定し,再実行してください。なお,登録済みのセットアップ識別子および組み込みDB運用ディレクトリは,ajsembdbidlistコマンドで確認できます。
ajsembdbidlistコマンドの詳細は,「20. セットアップ時に使用するコマンド ajsembdbidlist」を参照してください。Failed to register the configuration definition. 構成定義の登録に失敗した。 -q,-cオプションを同時に指定して再実行してください。 なお,KAVSで始まるメッセージの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 メッセージ 2.3 KAVSで始まるメッセージ(スケジューラーに関するメッセージ)」を参照してください。
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