JP1/Base 運用ガイド

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6.4.4 DNSを使ったシステムでのイベントサーバの設定

複数のドメインで構成されたシステムで,デフォルトのイベントサーバを利用すると,さまざまな問題が発生するおそれがあります。ここでは,DNSを使ったシステムでのイベントサーバの設定方法について,一例を挙げて説明します。なお,DNSが自ホスト名としてFQDN名を返すことを前提とします。

d1.hitachi.co.jpとd2.hitachi.co.jpの二つのドメインで構成されたシステムを次の図に示します。

図6-3 二つのドメインで構成されたシステム例

[図データ]

hostX.d1.hitachi.co.jpで発生した「ディスク容量不足」というJP1イベントがhost3.d2.hitachi.co.jpに転送され,JP1/IM - View上にこのJP1イベントが表示された場合,「登録ホスト名」は「hostX」と表示されます。上記図の場合では,d2.hitachi.co.jpにもhostXが存在するため,システム管理者はhostX.d1.hitachi.co.jpとhostX.d2.hitachi.co.jpのどちらで発生したJP1イベントなのかを区別できません。また,JP1/IM - Viewは,受信したJP1イベントに関連するプログラムのモニター画面を表示する機能を持ちますが,ドメインd2.hitachi.co.jpに所属するホストの場合,「hostX」を「hostX.d2.hitachi.co.jp」と解釈するため,これらの機能が誤動作することがあります。

このような問題を避けるために,複数のドメインで構成されたシステムでは,デフォルトのイベントサーバ設定の代わりに,FQDN形式のイベントサーバ名を持つイベントサーバ(FQDN形式のイベントサーバ)に設定を変更してください。

注意事項
  • FQDN形式のイベントサーバを利用する場合,設定によっては,「6.8 従来のイベントサーバとの互換性」で説明しているJP1/SES互換機能やイベントサービスの定義情報の収集と配布を利用できなくなります。JP1/SES互換機能やイベントサービスの定義情報の収集と配布を利用する場合は,注意してください。
  • FQDN形式のイベントサーバを利用する場合,物理ホストで実行されるJP1/AJS2のログファイル監視ジョブが利用できなくなります。JP1/AJS2のログファイル監視ジョブを利用する場合には,次に示す手順でFQDN形式のイベントサーバを設定しないで,自ホスト名(hostnameコマンドで返されるホスト名)をFQDN形式にしてください。

次に,FQDN形式のイベントサーバの設定手順について説明します。設定手順は,Windowsの場合とUNIXの場合で異なります。それぞれの場合の,FQDN形式のイベントサーバの設定手順を次に示します。

<この項の構成>
(1) FQDN形式のイベントサーバを設定する(Windowsの場合)
(2) FQDN形式のイベントサーバを設定する(UNIXの場合)

(1) FQDN形式のイベントサーバを設定する(Windowsの場合)

Windowsで,FQDN形式のイベントサーバを設定する場合の設定手順を次に示します。なお,ここでは,イベントサーバとしてhostX.d1.hitachi.co.jpを指定すると仮定して説明しています。

  1. jevregsvcコマンドを使って,FQDN形式のイベントサーバをサービスに登録する。
    jevregsvcコマンドの形式は,次のようになります。
    jevregsvc -r hostX.d1.hitachi.co.jp

    注意事項
    JP1/IM - ManagerまたはJP1/AJS2をインストールしている場合,デフォルトのサービスと依存関係があります。Windowsで,FQDN形式のイベントサーバを設定するときは,JP1/IM - ManagerおよびJP1/AJS2とデフォルトのイベントサービスの依存関係を解除してください。
  2. イベントサーバインデックスファイル(index)をエディターで開き,serverパラメーターのイベントサーバ名をデフォルトの「*」から「@」または「hostX.d1.hitachi.co.jp」に変更する。
    「@」に変更した場合,JP1/SES互換機能やイベントサービスの定義情報の収集と配布が利用できます。「hostX.d1.hitachi.co.jp」に変更した場合,JP1/SES互換機能やイベントサービスの定義情報の収集と配布が利用できなくなります。運用に合わせてどちらかに変更してください。
  3. 起動順序定義ファイル(JP1SVPRM.DAT)をエディターで開き,デフォルトのイベントサーバの代わりにFQDN形式のイベントサーバを起動するように起動順序定義ファイルを編集する。
    編集後の起動順序定義ファイル(JP1SVPRM.DAT)の内容(イベントサーバに関する個所だけ)を次に示します。

    [図データ]

(2) FQDN形式のイベントサーバを設定する(UNIXの場合)

UNIXで,FQDN形式のイベントサーバを設定する場合の設定手順を次に示します。なお,ここでは,イベントサーバとしてhostX.d1.hitachi.co.jpを指定すると仮定して説明しています。

  1. イベントサーバインデックスファイル(index)をエディターで開き,serverパラメーターのイベントサーバ名をデフォルトの「*」から「@」または「hostX.d1.hitachi.co.jp」に変更する。
    「@」に変更した場合,JP1/SES互換機能やイベントサービスの定義情報の収集と配布が利用できます。「hostX.d1.hitachi.co.jp」に変更した場合,JP1/SES互換機能やイベントサービスの定義情報の収集と配布が利用できなくなります。運用に合わせてどちらかに変更してください。イベントサーバ名を「@」に変更した場合のイベントサーバインデックスファイルの内容を次に示します。

    [図データ]

  2. jbs_startスクリプトおよびjbs_stopスクリプトをエディターで開き,デフォルトのイベントサーバの代わりにFQDN形式のイベントサーバが起動および停止するように編集する。
    編集後のjbs_startスクリプトおよびjbs_stopスクリプトの内容(イベントサーバに関する個所だけ)を次に示します。

    jbs_startスクリプトの内容
    [図データ]

    jbs_stopスクリプトの内容
    [図データ]

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