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COBOL2002 Professional Tool Kit データ影響波及分析ガイド


1.4.3 プログラムテストの影響範囲を調査する

プログラムのテストでの影響範囲を確認するときにデータ影響波及分析を使用する手順です。

  1. プログラムの修正とデバッグ

    修正が必要なデータ項目の例を次に示します。

    • 引数,返却値,GLOBAL句やEXTERNAL句などを経由して,ほかのプログラムに不正な値を渡している

    • データ項目を使用する処理(算術演算や条件判断など)が不正な結果になっている

    このようなデータ項目の不良をデバッグするときに,データ影響波及分析は,次のように活用できます。

    • 不正な値を保持するデータ項目について,影響を与える個所を自動的に検出します。

    • データの流れをソースコードと対応付けてさかのぼりながら,不正な値を格納した原因を調査します。

  2. テスト個所の検出

    プログラムテストでは,主に次のテストを実施します。

    • 修正プログラムに対する単体テスト

    • 修正プログラムと上位/下位プログラムとの結合テスト

    このテストについて,データ影響波及分析は,次のように活用できます。

    • 修正個所から影響を受けるソースコードの個所を自動的に検出し,単体テストでのテスト個所の漏れを防止します。

    • 修正個所から影響を受ける上位/下位プログラムを自動的に検出し,結合テストでのテスト対象プログラムの漏れを防止します。

  3. プログラムの保守作業

    不良の原因は,次の手順で調査します。

    • 不良が顕在化した個所の特定

    • 不良の原因になる個所の特定

    不良の原因を調査するときに,データ影響波及分析は,次のように活用できます。

    • 不良が顕在化した個所に影響を与えるソースコードの個所(影響個所)を自動的に検出します。

    • 不良が顕在化した個所からデータの流れをソースコードと対応付けてさかのぼりながら,不良の原因を調査できます。

    • 調査の備忘録(メモ)を影響個所のソースコードと対応付けてGUIに記録できます。

    • 備忘録(メモ)を調査個所のソースコードとともにCSVファイルに出力して,調査のエビデンスとして利用できます。

  4. 保守ドキュメント作成支援

    保守ドキュメントには,次の内容を調査して記載します。

    • 他システムとの関連

    • モジュール/プログラム構成

    • プログラムのインタフェース(引数および戻り値)

    • プログラム間で共有するデータの構造および使用方法

    • プログラム内のデータ構造とアルゴリズム

    このような内容の調査で,データ影響波及分析機能を次のように活用できます。

    • プログラム間の呼び出し関係を表示して,プログラム構成を調査します。

    • プログラムのインタフェース(引数および戻り値)やプログラム間で共有するデータ項目(GLOBAL句およびEXTERNAL句)など,調査したいデータ項目から影響がある個所を自動的に検出し,ソースファイルの該当個所を参照しながら使用方法などを調査します。