Hitachi

高信頼化システム監視機能 HAモニタ AIX(R)編


3.4.1 ディスクの監視

HAモニタのディスクの監視では,次のディスクへのアクセス失敗時に系切り替えできます。

ここでは,システムディスクおよび業務ディスクの監視について説明します。

〈この項の構成〉

(1) システムディスクの監視

システムディスクの監視をしない場合,システムディスクがアクセス不可となっても,OSやHAモニタが動作できるときは,系切り替えをしません。システムディスクの監視をすることで,OSやHAモニタの動作に関係なく,システムディスクへのアクセス不可時に系切り替えができます。

(a) システムディスクの監視方法

システムディスクの監視では,システムディスク上に作成した任意のファイルを監視対象とします。その監視対象のファイルに書き込みができるかどうかを定期的に監視します。なお,監視対象は,物理ディスク(PV)上のファイルシステムのファイルです。監視対象の設定については,「(c) 必要な環境設定」を参照してください。

システムディスクの監視タイミング,監視動作についてそれぞれ説明します。

監視タイミング

次のタイミングで監視を開始・終了します。

  • 監視を開始するタイミング

    ・HAモニタの起動完了時

    ・システムディスクの監視の再開時

  • 監視を終了するタイミング

    ・HAモニタの停止時

    ・システムディスクの監視の一時停止時

注※

システムディスクの監視の一時停止および再開については,9.6 monchange(HAモニタ・サーバ稼働中の設定・動作の変更)を参照してください。

監視動作

監視間隔ごとに監視対象のファイルに書き込みをします。監視対象のファイルに書き込みができた場合は,システムディスクが正常であると判断し,監視を続けます。監視対象ファイルに書き込みができた場合の動作を次の図に示します。

図3‒23 監視対象ファイルに書き込みができた場合の動作

[図データ]

監視対象のファイルへの書き込みがエラーになった場合は,リトライ間隔ごとに書き込みをリトライします。リトライ回数分のリトライをしても,書き込みがエラーになったときは,システムディスクへのアクセスに失敗したと判断します。監視対象のファイルへの書き込みがエラーになった場合の動作を次の図に示します。この図は,リトライ回数が1回のときの例です。

図3‒24 監視対象のファイルへの書き込みがエラーになった場合の動作(リトライ回数が1回のとき)

[図データ]

監視対象のファイルへの書き込みに対して応答がない場合,リトライ間隔×(リトライ回数+1)まで応答を待ちます。リトライ間隔×(リトライ回数+1)まで待っても応答がないときは,システムディスクへのアクセスに失敗したと判断します。監視対象のファイルへの書き込みに対して応答がない場合の動作を次の図に示します。この図は,リトライ回数が1回のときの例です。

図3‒25 監視対象のファイルへの書き込みに対して応答がない場合の動作(リトライ回数が1回のとき)

[図データ]

(b) システムディスクへのアクセスに失敗したときの動作

システムディスクへのアクセスに失敗した系の種類や,系切り替えができる状態かどうかによって,HAモニタの動作が異なります。システムディスクへのアクセスに失敗したときの動作を次に示します。

系切り替えができる状態で,現用系がシステムディスクへのアクセスに失敗した場合

次の順序で動作します。

  1. 現用系が予備系に,アクセスに失敗した旨を連絡します。

  2. 現用系を停止させます。

    系がリセットされます。

  3. 予備系は,選択している系切り替えの方式に従って,系切り替えをします。

このときの動作を,次の図に示します。

図3‒26 系切り替えができる状態で,現用系がシステムディスクへのアクセスに失敗したときの動作

[図データ]

系切り替えができる状態で,予備系がシステムディスクへのアクセスに失敗した場合

次の順序で動作します。

  1. 予備系が現用系に,アクセスに失敗した旨を連絡します。

  2. 予備系を停止させます。

    系がリセットされます。

このときの動作を,次の図に示します。

図3‒27 系切り替えができる状態で,予備系がシステムディスクへのアクセスに失敗したときの動作

[図データ]

系切り替えができない状態で,現用系がシステムディスクへのアクセスに失敗した場合

系切り替えをしないで,システムディスクの監視を続行します。なお,障害中に系切り替えができる状態になった場合,「系切り替えができる状態で,現用系がシステムディスクへのアクセスに失敗した場合」に従って動作します。

系切り替えができない状態で,予備系がシステムディスクへのアクセスに失敗した場合

システムディスクの監視を続行します。なお,障害中に系切り替えができる状態になった場合,「系切り替えができる状態で,予備系がシステムディスクへのアクセスに失敗した場合」に従って動作します。

(c) 必要な環境設定

システムディスクを監視するために必要な環境設定について説明します。

システムディスクの監視定義ファイルを作成して,HAモニタの環境設定のdisk_ptrlオペランドにuseを指定してください。

システムディスクの監視定義ファイルの設定方法については,「6.13.1 ディスクの監視に必要なファイルの設定」の「(1) システムディスクの監視に必要なファイルの設定」を参照してください。

(2) 業務ディスクの監視

業務ディスクの監視をしない場合で,次のどちらかに該当するときは,業務ディスクがアクセス不可になっても系切り替えをしません。

業務ディスクの監視をすることで,前述のときでも,業務ディスクへのアクセス不可時に系切り替えができます。

サーバの仕様として,業務ディスクの障害によってサーバも障害になる場合は,サーバを監視することで系切り替えができます。この場合,業務ディスクの監視は不要です。

(a) 業務ディスクの監視方法

業務ディスクの監視では,業務ディスク上に作成した任意のファイルを監視対象とします。その監視対象のファイルに書き込みができるかどうかを定期的に監視します。

なお,監視対象はファイルシステムのファイルです。キャラクタ型スペシャルファイルは,監視対象にできません。キャラクタ型スペシャルファイルを構成する業務ディスク上のファイルシステムを監視対象とすることで,業務ディスクを監視できます。監視対象の設定については,「(c) 必要な環境設定」を参照してください。

業務ディスクの監視タイミング,監視動作についてそれぞれ説明します。

監視タイミング

次のタイミングで監視を開始・終了します。

  • 監視を開始するタイミング

    ・実行サーバの起動完了時

    ・業務ディスクの監視の再開時

  • 監視を終了するタイミング

    ・実行サーバの停止時

    ・業務ディスクの監視の一時停止時

ただし,再起動待ち状態のサーバについては,業務ディスクの監視をしません。

注※

業務ディスクの監視の一時停止および再開については,9.6 monchange(HAモニタ・サーバ稼働中の設定・動作の変更)を参照してください。

監視動作

監視間隔ごとに監視対象のファイルに書き込みをします。監視対象のファイルに書き込みができた場合は,業務ディスクが正常であると判断し,監視を続けます。監視対象ファイルに書き込みができた場合の動作を次の図に示します。

図3‒28 監視対象ファイルに書き込みができた場合の動作

[図データ]

監視対象のファイルへの書き込みがエラーになった場合は,リトライ間隔ごとに書き込みをリトライします。リトライ回数分のリトライをしても,書き込みがエラーになったときは,業務ディスクへのアクセスに失敗したと判断します。監視対象のファイルへの書き込みがエラーになった場合の動作を次の図に示します。この図は,リトライ回数が1回のときの例です。

図3‒29 監視対象のファイルへの書き込みがエラーになった場合の動作(リトライ回数が1回のとき)

[図データ]

監視対象のファイルへの書き込みに対して応答がない場合,リトライ間隔×(リトライ回数+1)まで応答を待ちます。リトライ間隔×(リトライ回数+1)まで待っても応答がないときは,業務ディスクへのアクセスに失敗したと判断します。監視対象のファイルへの書き込みに対して応答がない場合の動作を次の図に示します。この図は,リトライ回数が1回のときの例です。

図3‒30 監視対象のファイルへの書き込みに対して応答がない場合の動作(リトライ回数が1回のとき)

[図データ]

(b) 業務ディスクへのアクセスに失敗したときの動作

業務ディスクへのアクセスに失敗した場合,サーバ対応の環境設定のdisk_ptrl_actオペランドの設定に従って,次のどれかを実行します。

  • サーバの計画系切り替えをする

  • 系のペアダウンによって,系の障害として系切り替えをする

  • 系切り替えをしないで,業務ディスクの監視を続行する

サーバの計画系切り替え,および系のペアダウンは,サーバの系切り替えができる状態のときだけ実行します。ただし,業務ディスクへのアクセス失敗時にサーバの系切り替えができる状態でなくても,そのあと系切り替えができる状態になれば,系切り替えをします。

なお,サーバがグループ化されている場合は,連動系切り替えができるサーバをサーバグループ単位で切り替えます。サーバグループ内の連動系切り替えができなかったサーバがあったときは,切り替え先の系で実行サーバとして起動してください。

代表的な例として,系切り替えができる状態で,業務ディスクへのアクセスに失敗した場合の動作を次の図に示します。この図は,サーバの計画系切り替えをする場合の例です。

図3‒31 系切り替えができる状態で,業務ディスクへのアクセスに失敗した場合の動作(サーバの計画系切り替えをする場合)

[図データ]

(c) 必要な環境設定

業務ディスクを監視するために必要な環境設定について説明します。

監視する業務ディスクごとに業務ディスクの監視定義ファイルを作成して,サーバ対応の環境設定のdisk_ptrlオペランドにuseを指定します。

業務ディスクの監視定義ファイルの設定方法については,「6.13.1 ディスクの監視に必要なファイルの設定」の「(2) 業務ディスクの監視に必要なファイルの設定」を参照してください。