Hitachi

高信頼化システム監視機能 HAモニタ Linux(R)(x86)編


3.3.7 仮想化環境での物理パーティションリセット機能

HAモニタでは,日立サーバ論理分割機構(Virtage)またはVMware ESXiを利用して,仮想化環境での系切り替えができます。

日立サーバ論理分割機構(Virtage)を搭載したBladeSymphonyの場合,プロセサを論理パーティション(LPAR)で分割し,LPARを系切り替えの単位にできます。日立サーバ論理分割機構を利用してLPARを稼働させる環境をLPARモード,日立サーバ論理分割機構を利用しない環境をBasicモードといいます。なお,このマニュアルでは,日立サーバ論理分割機構を搭載していないBladeSymphonyの環境をBasicモードと呼ぶことがあります。

VMware ESXiを利用する場合,一つのプロセサで複数の仮想マシンを稼働させ,仮想マシンを系切り替えの単位にできます。

ここでは,これらの仮想化環境の場合にオプションとして使用できる物理パーティションリセット機能について,通常の系切り替えの動作と比較して説明します。

〈この項の構成〉

(1) 通常の系切り替えの動作

HAモニタは,LPARモード時はLPAR単位で,VMware ESXi使用時は仮想マシン単位で系障害を検出します。デフォルトの設定では,実行系に系障害が発生した場合,待機系のHAモニタは実行系のHAモニタが動作するLPARまたは仮想マシンだけをリセットします。LPARモードの実行系に系障害が発生した場合の,通常の系切り替えの動作を,次の図に示します。VMware ESXi使用時に,実行系に系障害が発生した場合の通常の系切り替えの動作は,LPARモード時と同じです。LPARを仮想マシンに読み替えてください。

図3‒26 LPARモードでの系切り替えの動作

[図データ]

(2) 物理パーティションリセット機能使用時の動作

通常,HAモニタが系のリセットに失敗すると,切り替え先の系はユーザの操作を待つ状態になります。

物理パーティションリセット機能とは,系(LPAR・仮想マシン)のリセットに失敗した場合に次に示す障害が発生したと見なし,障害が発生した系(LPAR・仮想マシン)があるプロセサ全体をリセットする機能です。

この機能を使用すると,HAモニタは,プロセサ内にほかのLPARや仮想マシンが稼働しているかどうかに関係なく,リセットを実行します。

プロセサ全体をリセットするのは,障害が発生した系と障害を検知した系とが異なるプロセサにある場合です。障害が発生した系と障害を検知した系とが同一プロセサ内にある場合は,プロセサ全体をリセットしないで,系切り替え先の系でユーザの操作を待つ状態になります。

物理パーティションリセット機能を使用すると,HAモニタは,プロセサ内のほかのLPARや仮想マシンを稼働させ続けることよりも,障害が発生したLPARや仮想マシンに対して系切り替えをすることを優先します。したがって,切り替え先の系にある待機サーバはユーザの操作を待つことなく,実行サーバとして起動します。

LPARモード時の,物理パーティションリセット機能を使用したときの動作を次の図に示します。VMware ESXi使用時に,物理パーティションリセット機能を使用したときの動作は,LPARモード時の動作と同じです。LPARを仮想マシンに読み替えてください。

図3‒27 物理パーティションリセット機能使用時の動作

[図データ]

物理パーティションリセット機能を使用して系切り替えをするとプロセサ全体がリセットされるため,リセット対象のプロセサ内にあるほかのLPAR(仮想マシン)も同時にリセットされます。

したがって,リセット対象のプロセサ内に,系切り替えよりも優先したい業務上重要なLPARや仮想マシンが稼働していないことを確認した上で,この機能を使用してください。系切り替えよりも重要なLPARや仮想マシンが稼働している場合は,この機能は使用しないでください。物理パーティションリセット機能を使用しない場合で,系のリセットに失敗したときのHAモニタの動作については,「4.2.4 系のリセットに失敗した場合の動作」を参照してください。

(3) 必要な環境設定

物理パーティションリセット機能を使用するかどうかは,HAモニタの環境設定のpartition_resetオペランドで指定します。