3.2.7 系切り替え時の起動リトライ
系切り替え時,切り替え先の系でリソースの接続やサーバの起動に失敗し,ほかに切り替えできる系がない場合,系切り替え失敗となり,業務が停止してしまいます。
HAモニタでは,切り替え先の系でサーバの起動をリトライすることができ,一時的な要因による系切り替え失敗を防止できます。
起動リトライ機能を使用できるサーバと,起動リトライする範囲を次に示します。
-
TP1/EE以外のサーバモードのサーバ
系切り替え失敗時,系切り替えが完了するまで,または指定されたリトライ回数まで起動リトライを行います。
-
モニタモードのサーバ,リソースサーバ
系切り替え時,系切り替え可能状態になるまで,または指定されたリトライ回数まで起動リトライを行います。
系切り替え先でサーバの起動に失敗して,サーバが起動リトライする場合を次に示します。
-
サーバモードのサーバが起動に失敗した場合
-
モニタモードのサーバが起動に失敗した場合,またはサーバの監視コマンドで障害を検出した場合
-
共有リソース接続失敗時にサーバの起動を中止する機能を使用し,共有リソースの接続に失敗した場合
-
共有リソース引き継ぎのタイムアウト時にサーバの起動を中止する機能を使用し,共有リソースの接続がタイムアウトした場合
-
共有ディスクのデータの保護方法として共有ディスクのSCSIリザーブをする機能を使用していて,リザーブに失敗した場合
起動リトライ中に他系で実行サーバが起動した場合,起動リトライ中の系では,待機サーバとして起動します。
連動系切り替えの構成の場合,サーバ単位で起動リトライします。また,サーバグループ内に起動リトライ中のサーバが存在する場合,サーバグループ内のほかのサーバが他系に系切り替えをすると,起動リトライ中は解除されます。
- 〈この項の構成〉
(1) 系切り替え時の起動リトライの概要
系切り替え先でサーバの起動に失敗した場合,次の流れでサーバの起動リトライを行います。
-
HAモニタは,サーバを起動リトライ中「>ONL」とし,サーバの再起動を待ちます。
-
サーバが再起動します(サーバに再起動の設定が必要です)。
-
サーバの再起動を受け付けたHAモニタは,実行サーバとして起動します。
なお,起動リトライする場合,メッセージ,ユーザコマンド,JP1イベントなどの処理の流れは,系切り替え時ではなく,通常の実行サーバの起動時と同じ処理の流れになります。
起動リトライの流れについて,次の図に示します。
マルチスタンバイ機能を使用した場合の起動リトライの流れについて,次の図に示します。
(2) 必要な環境設定
系切り替え時に起動リトライするには,サーバ対応の環境設定のswitch_errorオペランドを指定します。
さらに,サーバモードの場合,TP1/Server BaseとHiRDBでの設定が必要です。詳細については,「8.4.1 サーバ対応の環境設定(servers)」のswitch_errorオペランドを参照してください。
モニタモードのサーバまたはリソースサーバの場合,サーバ対応の環境設定のswitch_retryオペランドでリトライ回数を指定できます。