1.2.2 HiRDBのスタンバイレス型系切り替え
HiRDBのスタンバイレス型系切り替えでは,待機サーバだけが配置されている待機系を用意する必要がありません。待機サーバは,すでに実行サーバが起動している系で待機し,障害に備えています。
すべての系で実行サーバを稼働させることができるので,システムリソースを効率的に使用できます。ただし,障害が発生した場合,すでに業務処理中の実行サーバがある系に系切り替えをするため,切り替わった系には負荷が掛かります。
HiRDBのスタンバイレス型系切り替えには,次の種類があります。
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1:1スタンバイレス型系切り替え
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影響分散スタンバイレス型系切り替え
(1) 1:1スタンバイレス型系切り替え
HiRDBの1:1スタンバイレス型系切り替えでは,障害が発生したBESユニットから代替BESユニットの代替部に系切り替えをして,障害が発生したBESユニットの業務を代替部に代行させることができます。
HiRDBの1:1スタンバイレス型系切り替えの概要を,次に示します。
前述の図では,系1はBESユニット1の正規BESユニットで,同時にBESユニット2の代替BESユニットです。また,系2はBESユニット2の正規BESユニットで,同時にBESユニット1の代替BESユニットです。BESユニット1で障害が発生し,系切り替え後,BESユニット2にあるBESユニット1の代替部がBESユニット1の業務を代行しています。
このマニュアルでは,HiRDBの1:1スタンバイレス型系切り替えのシステム構成を,HiRDBの用語を使用して説明しています。ただし,ホットスタンバイ構成での系切り替えやHiRDBの影響分散スタンバイレス型系切り替えの説明,および系切り替え共通の説明では,HA Toolkit Exの用語を使用します。
HiRDBの用語とHA Toolkit Exの用語との関係について,次の表で示します。
HiRDBの用語 |
HA Toolkit Exの用語 |
---|---|
BESユニット |
サーバ |
正規BESユニット |
起動・再起動時に実行サーバが起動する系 |
代替BESユニット |
起動・再起動時に待機サーバが起動する系 |
代替部 |
待機サーバ |
HiRDBの1:1スタンバイレス型系切り替えの用語については,マニュアル「HiRDB 解説(UNIX(R)用)」または「HiRDB 解説(Windows(R)用)」を参照してください。
(2) 影響分散スタンバイレス型系切り替え
HiRDBのスタンバイレス型系切り替えでは系切り替え後,切り替わった系に負荷が掛かります。影響分散スタンバイレス型系切り替えでは,複数の系に用意した待機サーバに,障害が発生したサーバの業務を振り分けて代行させます。また,一つの系で起動できる実行サーバの数をあらかじめ設定できます。したがって,各系に掛かる負荷を分散,軽減できます。
HiRDBの影響分散スタンバイレス型系切り替えの概要を,次に示します。
前述の図では,系1の二つの実行サーバで障害が発生し,系切り替えをしています。このとき,系2および系3にそれぞれ一つずつ実行サーバを起動させることで,系ごとの負担を分散します。