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Hitachi Advanced Data Binder AP開発ガイド


17.2.1 エラーの対処方法

トラブルシュートの流れとしては,最初にエラーの発生元を特定します。そのあとに,エラーの対処を行います。エラーの発生元の特定方法を次の図に示します。

図17‒1 エラーの発生元の特定方法

[図データ]

上記のフローからエラーの発生元を特定したあとに,次の表に示す対処方法を参照してください。

表17‒1 エラーの対処方法

項番

状態

対処方法

1

【状態A】

APまたはドライバマネージャでエラーが発生しています。

次のことを実施してください。

  • APの設定,またはプログラムの設定を確認してください。

  • HADBクライアントのインストールが正しく行われているかを確認してください。

  • データソースの登録または接続情報の指定が正しいかを確認してください。

  • 出力されたSQLSTATEを確認してください。MSDNライブラリODBCプログラマーズリファレンスなどで,SQLSTATEやメッセージの内容を確認してください。

  • 再現性があるエラーの場合は,ODBCトレースを取得して,エラーの原因となっているODBC関数を特定してください。

2

【状態B】

ドライバマネージャでエラーが発生しています。

項番1の対処方法と同じになります。

3

【状態C】

ODBCドライバでエラーまたは警告が発生しています。

次のことを実施してください。

  • 出力されたSQLSTATEを確認してください。SQLSTATEについては,MSDNライブラリODBCプログラマーズリファレンス,または「16. ODBC関数」の各ODBC関数のSQLSTATEの説明を参照してください。このエラーは,ODBCの実装規約に従って出力されるエラーです。

  • 再現性があるエラーの場合は,HADB ODBCドライバトレース情報を取得して,ODBC関数の実行順序や,どのODBC関数でどのようなエラーが発生しているかなどを中心に調査してください。

4

【状態D】

ODBCドライバでエラーまたは警告が発生しています。

次のことを実施してください。

  • 出力されたメッセージを確認し,マニュアルHADB メッセージを参照して,エラーまたは警告の原因を調査してください。

  • 再現性があるエラーまたは警告の場合は,HADB ODBCドライバトレース情報を取得して,ODBC関数の実行順序や,エラーの原因となっているODBC関数を特定してください。

  • データ変換のエラーや,文字コード変換のエラーが原因となることが多いため,BIツールやODBCモジュールの設定,検索データの表示方法などを見直してください。

  • サポートしていない属性情報にアクセスしている可能性があります。「16.13 SQLGetInfoおよびSQLGetInfoWのInfoTypeに指定できる情報型」〜「16.18 SQLGetDiagFieldおよびSQLGetDiagFieldWのDiagIdentifierに指定できる属性」を参照し,サポート状況を確認してください。

5

【状態E】

HADBサーバへの接続が完了していません。

HADBサーバまでアクセスが到達していない可能性があります。アクセス経路のうち,どこまで到達しているかを調査する必要があります。

最初に次のことを実施してください。

  • メッセージログファイルの出力先フォルダ,およびメッセージログファイルのアクセス権限の設定が正しいかを確認してください。

  • 環境変数の設定が正しいかを確認してください。

  • HADBクライアントのインストールが正しく行われているかを確認してください。

上記が正しく設定されているのに,エラーが再現する場合は,ODBCトレース,HADB ODBCドライバトレース情報,およびSQLトレース情報の出力を設定してください。そのあとに,エラーを再現して,各トレースの出力情報を解析してください。

エラーの発生がなく,BIツールやODBCモジュールにも何も出力されない場合は,BIツールやODBCモジュール側のトラブルの可能性があります。

6

【状態F】

HADBクライアントでエラーが発生しています。

出力されたエラー要因コードを確認し,エラー原因を調査してください。エラー要因コードについては,「19.8 CLI関数の戻り値」を参照してください。

環境変数やクライアント定義のパスの指定が誤っている,または権限がないなどの原因が考えられます。

7

【状態G】

HADBサーバまたはHADBクライアントでエラーまたは警告が発生しています。

出力されたHADBのメッセージを確認し,エラーまたは警告の原因を調査してください。

8

【状態H】

HADBサーバへの接続は完了しています。

HADBサーバまでアクセスが到達しています。

メッセージログファイルに出力されているメッセージや,SQL文を解析してトラブルシュートを実施してください。

詳細情報を取得する場合は,ODBCトレース,HADB ODBCドライバトレース情報,およびSQLトレース情報の出力を設定してください。そのあとに,エラーを再現して,各トレースの出力情報を解析してください。

エラーの発生がなく,BIツールやODBCモジュールにも何も出力されない場合は,BIツールやODBCモジュール側のトラブルの可能性があります。

BIツールや,ODBCモジュールから,HADB ODBCドライバを経由してHADBサーバにアクセスする際の処理の流れを次の図に示します。

図17‒2 HADB ODBCドライバを経由してHADBサーバにアクセスする際の処理の流れ

[図データ]

なお,エラー原因の対処後に,異なるエラーが発生した場合は,再度エラーの発生元の特定からし直してください。