Hitachi

Hitachi Advanced Data Binder AP開発ガイド


4.2.2 Linux版のHADBクライアントの場合

ここでは,Linux版のHADBクライアントのインストールおよびアンインストールについて説明します。

重要
  • HADBクライアントのインストールは,HADBクライアントを管理するOSユーザが実行します。

  • インストールを実行するOSユーザのユーザ名は32バイト以内にしてください。

なお,以降の説明で出てくるクライアントディレクトリとは,1つのクライアントプロセスに関するファイル群を格納したディレクトリのことです。

〈この項の構成〉

(1) HADBクライアントをインストールする前の確認事項

HADBクライアントをインストールする前に,HADBクライアントが正しく動作するために必要なパッケージがOSにインストールされていることを確認してください。必要なパッケージを次の表に示します。

表4‒1 必要なパッケージ

項番

パッケージ名

Linuxのバージョン

RHEL 6

RHEL 7

RHEL 8

1

compat-openssl10

2

glibc

3

libaio

4

libuuid

5

openssl

6

openssl-libs

7

zlib

(凡例)

○:このLinuxのバージョンでは必要なパッケージです。

-:このLinuxのバージョンでは不要なパッケージです。

■インストール済みのパッケージを確認する方法

次のコマンドを実行すると,OSにインストール済みのパッケージの一覧が表示されます。

yum list installed

ンストールされていないパッケージがある場合は,そのパッケージをOSにインストールしてください。パッケージのインストール方法については,OSのマニュアルを参照してください。

■特定のパッケージがインストール済みかどうかを確認する方法

(例)

パッケージlibaioがインストール済みかどうかを確認します。

yum list installed | grep libaio

実行結果にパッケージlibaioが表示された場合は,パッケージlibaioはインストール済みです。実行結果にパッケージlibaioが表示されなかった場合は,パッケージlibaioはインストールされていません。

(2) HADBクライアントのインストール

HADBクライアントのインストール手順を次に示します。

手順

  1. HADBクライアントを管理するOSユーザでログインする

  2. インストールデータを格納するディレクトリを作成する

    mkdir /home/osuser01/client

    上記の例では,HADBクライアントのインストールデータを格納するディレクトリとして/home/osuser01/clientを作成しています。

  3. インストールデータを格納するディレクトリに対して書き込み権限を付与する

    chmod 755 /home/osuser01/client

    インストールデータを格納するディレクトリに対して,HADBクライアントを管理するOSユーザが書き込みできるように,ディレクトリ(この例では/home/osuser01/client)に対して書き込み権限を付与してください。

  4. CD-ROMファイルシステムをマウントする

    HADBクライアントのインストールデータが格納されているCD-ROMファイルシステムを自動マウントしてください。

    CD-ROMファイルシステムが自動マウントされない場合,次のコマンドを実行してCD-ROMファイルシステムをマウントしてください。

    mount /dev/cdrom /media

    下線部分は,CD-ROMファイルシステムのマウントディレクトリ名です。環境によって異なります。

    重要

    CD-ROMのディレクトリ名やファイル名は,ご使用のマシンによっては,ここの説明内容と表示が異なることがあります。OSのlsコマンドを実行して,表示されたディレクトリ名をそのまま入力してください。

  5. インストールデータをコピーする

    マウントしたCD-ROMファイルシステムに格納されている次のファイルを,手順2.で作成したインストールデータを格納するディレクトリにコピーしてください。

    • tar.gz形式のファイル

    • adbinstallコマンドの実行形式ファイル

    cp /media/hitachi_advanced_data_binder_client-$VER.tar.gz /home/osuser01/client   ...a
    cp /media/adbinstall /home/osuser01/client                                        ...b

    [説明]

    1. tar.gz形式のファイル(HADBクライアントのプログラムの圧縮ファイル)をコピーします。

    2. adbinstallコマンドの実行形式ファイル(HADBクライアントのインストールコマンド)をコピーします。

    下線部分は,CD-ROMファイルシステムのマウントディレクトリ名です。環境によって異なります。

    $VERは,HADBクライアントのバージョンおよびリリース番号です。

    重要

    上記の2つのファイルは,必ず同じディレクトリにコピーしてください。異なるディレクトリにコピーすると,HADBクライアントがインストールできません。

  6. コピーしたファイルに破損がないことを確認する

    手順5.でコピーしたファイルに破損がないことを確認します。次のコマンドを実行してください。

    cd /home/osuser01/client
    sha256sum -c /media/adbhashfile_client_sha256.txt

    下線部分は,CD-ROMファイルシステムのマウントディレクトリ名です。環境によって異なります。

    ファイルが破損しているおそれがある(ファイルのハッシュ値が異なる)場合は,エラーを示すメッセージが出力されます。この場合,手順5.から作業をし直してください。

    出力されるメッセージの詳細については,OSのマニュアルを参照してください。

  7. 権限を付与する

    HADBクライアントを管理するOSユーザがadbinstallコマンド(HADBクライアントのインストールコマンド)を実行できるように,adbinstallコマンドに対する実行権限を付与してください。

    また,tar.gz形式のファイルに対する読み取り権限も付与してください。

    chmod 555 /home/osuser01/client/adbinstall
    chmod 444 /home/osuser01/client/hitachi_advanced_data_binder_client-$VER.tar.gz

    $VERは,HADBクライアントのバージョンおよびリリース番号です。

  8. HADBクライアントをインストールする

    adbinstallコマンドを実行して,HADBクライアントをインストールしてください。

    /home/osuser01/client/adbinstall -c /home/osuser01/clientdir

    下線部分には,手順2.で作成したインストールデータを格納するディレクトリを指定します。

    -cオプションに指定したディレクトリ下(上記の場合,/home/osuser01/clientdirディレクトリ下)に,HADBクライアントがインストールされます。このディレクトリが,クライアントディレクトリになります。

    メモ

    -cオプションに指定したディレクトリが存在しないときは,adbinstallコマンドを実行すると,自動的にディレクトリが作成されます。

    クライアントディレクトリに関する規則を次に示します。

    • クライアントディレクトリのパス長は,118バイト以内になるようにしてください。

    • クライアントディレクトリのパス名に使用できる文字については,はじめにの「■このマニュアルで使用する構文要素記号」の〈パス名〉を参照してください。

    • adbinstallコマンドの-cオプションで指定するディレクトリには,必ずHADBクライアントを管理するOSユーザが書き込みできるディレクトリを指定してください。

  9. HADBクライアントが正常にインストールされたことを確認する

    クライアントディレクトリ下のadbinstcl.logファイルを開いて内容を確認してください。HADBクライアントが正常にインストールされている場合は,次のどちらかの情報が記載されています。

    • Hitachi Advanced Data Binder Client vv-rr (yyyymmddhhmmss)

    • Hitachi Advanced Data Binder Client vv-rr-/s (yyyymmddhhmmss)

    vv-rrおよびvv-rr-/sは,HADBクライアントのバージョンを示しています。

    yyyymmddhhmmssは,HADBクライアントのインストールを実行した日付と時刻を示しています。

    メモ
    • adbinstcl.logファイルがすでにある状態のときにadbinstallコマンドを実行すると,adbinstcl.logファイルの内容が更新されます。また,adbinstallコマンドを複数回実行した場合,最後に実行した日付と時刻が記載されます。

    • adbinstallコマンドのリターンコード(KFAA91552-Iメッセージに出力されるリターンコード)が0または4以外の場合,adbinstcl.logファイルの内容は更新されません。

    • adbinstallコマンドの実行時にKFAA91555-Iメッセージが出力された場合,adbinstcl.logファイルの内容は更新されません。

■KFAA91553-Eメッセージが出力された場合の対処方法

HADBクライアントを管理するOSユーザが書き込みできないディレクトリを,adbinstallコマンドの-cオプションに指定した場合,KFAA91553-Eメッセージが出力されます。

また,インストールデータを格納するディレクトリに,HADBクライアントを管理するOSユーザが書き込みできない場合も,KFAA91553-Eメッセージが出力されます。

KFAA91553-Eメッセージが出力された場合は,対象のディレクトリに書き込み権限を付与してください。

■KFAA91558-Wメッセージが出力された場合の対処方法

HADBクライアントを管理するOSユーザではなく,rootadbinstallコマンドを実行した場合,KFAA91558-Wメッセージが出力されます。

通常は,HADBクライアントを管理するOSユーザで,adbinstallコマンドを実行します。そのため,KFAA91558-Wメッセージが出力された場合は,rootadbinstallコマンドを実行しても問題がないかどうかを確認してください。

問題がある場合は,KFAA91558-Wメッセージが出力されたあとに出力されるKFAA91559-Qメッセージの入力要求に対して,nまたはNを入力してください。そのあとで,HADBクライアントを管理するOSユーザでadbinstallコマンドを実行してください。

メモ
  • root以外のスーパユーザでadbinstallコマンドを実行した場合は,KFAA91558-Wメッセージは出力されません。

  • rootは,OSのid -uコマンドを実行して表示される値が0のユーザを指します。また,OSのsuコマンドを使用して,ほかのOSユーザからrootに切り替えたあとで,OSのid -uコマンドを実行して表示される値が0のときも含みます。

■インストール後の作業
  • 環境変数の設定

    インストール後,環境変数を設定してください。設定する必要がある環境変数については,「4.3.2 Linux版のHADBクライアントの場合」を参照してください。

    なお,環境変数ADBCLTDIRには,クライアントディレクトリの絶対パスを指定します。上記のインストールの手順で説明した例の場合,/home/osuser01/clientdirがクライアントディレクトリになります。

  • ウイルス対策ソフトによるスキャン対象の見直し

    HADBクライアントをインストールしたクライアントマシンに,ウイルス対策ソフトがインストールされている場合は,スキャン対象を見直してください。

    ウイルス対策ソフトのスキャン対象に,HADBクライアントが使用するディレクトリやファイルを設定した場合,HADBクライアントが正常に動作しないおそれがあります。そのため,ウイルス対策ソフトのスキャン対象から,クライアントディレクトリを除いてください。

メモ

adbinstallコマンドでHADBクライアントをインストールしたときのクライアントディレクトリの構成については,「付録B.2 Linux版のHADBクライアントの場合」の「(1) クライアントディレクトリ(インストール時)の構成」を参照してください。

(3) HADBクライアントのアンインストール

HADBクライアントのアンインストールは,インストールを実施したOSユーザが実行してください。

アンインストール前に次のことをしてください。

HADBクライアントのアンインストール手順を次に示します。

手順

  1. クライアントディレクトリを削除する

    インストールを実施したOSユーザで,クライアントディレクトリを削除します。

    rm -rf /home/osuser01/clientdir
  2. インストールデータを格納するディレクトリを削除する

    インストールを実施したOSユーザで,インストールデータを格納するディレクトリを削除します。

    rm -rf /home/osuser01/client
  3. インストール時に設定した環境変数の指定を削除する