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Hitachi Advanced Data Binder システム構築・運用ガイド


18.34.3 システム構成例(クラウドストレージ機能を使用しない場合)

AWS環境でクラウドストレージ機能を使用しない場合のシステム構成例(HAモニタありのマルチノード構成)を次の図に示します。

図18‒15 クラウドストレージ機能を使用しない場合のシステム構成例(HAモニタありのマルチノード構成)

[図データ]

注※1

ノードローカルのディスクを使用します。

注※2

マルチアタッチ機能を使用したEBSボリュームを使用します。

メモ

AWS環境でもオンプレミス環境と同様に,HAモニタありのマルチノード構成にするか,HAモニタなしのマルチノード構成にするかによって,前提ソフトウェアやネットワーク構成に差異があります。この差異は,AWS環境であってもオンプレミス環境であっても基本的には同じです。

ここでは,HAモニタありのマルチノード構成についてだけシステム構成例を記載します。

〈この項の構成〉

(1) 前提ソフトウェア

AWS環境でHAモニタありのマルチノード構成を構築する場合,次のどれかの組み合わせのOSおよびソフトウェアが必要になります。

プライマリノードおよびセカンダリノードにHAモニタをインストールしてください。ワーカーノードには,HAモニタをインストールする必要はありません。

プライマリノードとセカンダリノードにインストールするHAモニタのバージョンは同じにしてください。

(2) サーバ構成

図18‒15 クラウドストレージ機能を使用しない場合のシステム構成例(HAモニタありのマルチノード構成)」は,4つのノード(hadb01hadb02hadb03,およびhadb04)から成るマルチノード構成です。プライマリノードはhadb01,セカンダリノードはhadb02およびhadb03,ワーカーノードはhadb04です。

AWS環境でマルチノード機能を使用する場合,各ノードのインスタンスの性能(CPU,メモリサイズなど)は同じである必要はありません。ただし,インスタンスの性能が異なる場合,SQL文を実行するノードによってSQL文の処理性能に差異が発生するおそれがあります。そのため,できる限り全ノードのインスタンスの性能を同じにすることを推奨します。

重要

詳細は「(4) ストレージ構成」で説明していますが,DBエリアファイル用のディスクや,ノード切り替え対象のファイルシステムのマウント先のディスクを,マルチアタッチ機能を使用したEBSボリュームとする共有ディスク構成をとります。そのため,各インスタンスは,同一のアベイラビリティゾーン内に起動する必要があります。

メモ

ここでの説明は,全ノードのインスタンスでインスタンスタイプr5b.xlargeを使用していることを前提としています。

(3) ネットワーク構成

HAモニタありのマルチノード構成をAWS環境で構築する場合,次に示すネットワークを使用します。各ネットワークは物理的に分けてください。

(a) クライアント-サーバ間ネットワーク

HADBクライアントとHADBサーバ間の通信で使用するネットワークです。

HADBクライアントは,エイリアスIPアドレスを使用してHADBサーバに接続します。そのため,マニュアルHAモニタ パブリッククラウド編【AWS】リソースの引き継ぎを参照して,エイリアスIPアドレスを設定してください。

図18‒15 クラウドストレージ機能を使用しない場合のシステム構成例(HAモニタありのマルチノード構成)」での,クライアント−サーバ間ネットワークのIPアドレス,およびポート番号の設定例を次の表に示します。

表18‒17 クライアント−サーバ間ネットワークのIPアドレスとポート番号の設定例

項番

設定対象

IPアドレス

ポート番号

1

クライアントマシン

10.196.108.111

設定不要

2

プライマリノード(hadb01)のインスタンス

10.196.108.11

23650

3

セカンダリノード(hadb02)のインスタンス

10.196.108.12

23650

4

セカンダリノード(hadb03)のインスタンス

10.196.108.13

23650

5

ワーカーノード(hadb04)のインスタンス

10.196.108.14

23650

6

エイリアスIPアドレス

10.196.108.143

23650

(b) ノード間ネットワーク

HADBサーバ間の通信,およびHAモニタの監視パスとして使用するネットワークです。ネットワークを構築する際に複線にする必要がある場合は,LinuxのBonding機能を使用してください。

Bonding機能の詳細については,OSのマニュアルを参照してください。HAモニタの監視パスの設定については,マニュアルHAモニタ パブリッククラウド編監視パスの設定を参照してください。

図18‒15 クラウドストレージ機能を使用しない場合のシステム構成例(HAモニタありのマルチノード構成)」での,ノード間ネットワークのIPアドレス,およびポート番号の設定例を次の表に示します。

表18‒18 ノード間ネットワークのIPアドレスとポート番号の設定例

項番

設定対象

IPアドレス

ポート番号

1

プライマリノード(hadb01)のインスタンスのHADBサーバ間通信

172.16.0.11

23651

2

プライマリノード(hadb01)のインスタンスのHAモニタの監視パス

172.16.0.11

7777

3

セカンダリノード(hadb02)のインスタンスのHADBサーバ間通信

172.16.0.12

23651

4

セカンダリノード(hadb02)のインスタンスのHAモニタの監視パス

172.16.0.12

7777

5

セカンダリノード(hadb03)のインスタンスのHADBサーバ間通信

172.16.0.13

23651

6

セカンダリノード(hadb03)のインスタンスのHAモニタの監視パス

172.16.0.13

7777

7

ワーカーノード(hadb04のインスタンスのHADBサーバ間通信

172.16.0.14

23651

注※

ワーカーノードはHAモニタの管理対象外のため,HAモニタの監視パスの設定は不要です。

通常は,HADBサーバ間の通信で使用するネットワークと,HAモニタの監視パスとして使用するネットワークを分けます。ただし,この場合,HAモニタは,HADBサーバ間の通信で使用するネットワークの障害を検知することができません。HADBサーバ間の通信で使用するネットワークと,HAモニタの監視パスとして使用するネットワークを同じにすると,ネットワーク障害をHAモニタが検知することができます。そのため,ここで説明しているとおりにノード間ネットワークを構成することを推奨します。

(c) AWSエンドポイントへのネットワーク

AWS環境の場合,HAモニタは系(インスタンス)のリセットを,AWSのエンドポイントに障害系インスタンスの強制停止を指示することで実現しています。そのため,リセットパスの代わりにAWSのエンドポイントへの接続が必要となります。詳細については,マニュアルHAモニタ パブリッククラウド編【AWS】AWSの設定を参照してください。

(4) ストレージ構成

AWS環境でマルチノード機能を使用する場合,オンプレミス環境と同様に次のファイルシステムおよびディスクを準備します。

ストレージ構成の方針
  • ノード切り替え対象のファイルシステム(FS001FS002),およびDBエリアファイル用のディスク(LU001LU005)では,各インスタンスでマルチアタッチするEBSボリュームを使用してください。また,EBSのボリュームタイプは,マルチアタッチ機能が使用できるEBSプロビジョンドIOPS SSD(io2)としてください。

  • 上記以外は,EBS汎用SSD(gp2)とEBS汎用SSD(gp3)を使用してください。

上記の方針を踏まえて,次のようなファイルシステムおよびディスクを各インスタンスのストレージに用意します。

表18‒19 ストレージ構成例

格納先

名称

対象となるノード

用途

EBS(gp2)

LOC001

プライマリノード(hadb01

ノードローカルのファイルシステム

LOC002

セカンダリノード(hadb02

LOC003

セカンダリノード(hadb03

LOC004

ワーカーノード(hadb04

EBS(io2)

LU001LU005

全ノード

DBエリアファイル用のディスク

FS001FS002

プライマリノード(hadb01

ノード切り替え対象のファイルシステム

セカンダリノード(hadb02

セカンダリノード(hadb03

EBS(gp3)

WRK001

プライマリノード(hadb01

ノードローカルのディスク

WRK002

セカンダリノード(hadb02

WRK003

セカンダリノード(hadb03

WRK004

ワーカーノード(hadb04

EFS

分散ファイルシステム

(凡例)

-:該当しません。

注※

各インスタンスでマルチアタッチするEBSボリュームを使用します。

(a) EBS(gp2)の使い方

EBS(gp2)は,ノードローカルのファイルシステムとして使用します。各インスタンスのOS用の領域(ルートボリューム)として使用するEBS(gp2)上のファイルシステム(/home下など)に,次のディレクトリを配置します。

  • サーバディレクトリ

  • DBディレクトリ

  • 監査証跡の出力先ディレクトリ(監査証跡機能を使用する場合に必要)

  • 統一フォーマット用監査証跡の出力先ディレクトリ(監査証跡機能を使用する場合に必要)

  • マルチノード機能で使用する同義語辞書ファイルの格納ディレクトリ(同義語検索を使用する場合に必要)

(b) EBS(io2)の使い方

EBS(io2)は,ノード切り替え対象のファイルシステム,およびDBエリアファイルのディスクとして使用します。

  • ノード切り替え対象のファイルシステム

    次の2つのノード切り替え対象のファイルシステムは,プライマリノードおよびセカンダリノードから参照できるように,マルチアタッチ機能を使用してプライマリノードおよびセカンダリノードにアタッチしたEBS(io2)上に作成してください。

    • システムディレクトリ用のファイルシステム

    • 同義語辞書ファイルを格納するファイルシステム(同義語検索を使用する場合に必要)

    メモ
    • ノード切り替え対象のファイルシステム(FS001FS002)のVG名称とLV名称は,「18.2.4 ストレージ構成」の「(2) ノード切り替え対象のファイルシステム」に記載されているVG名称とLV名称と同じです。

    • ノード切り替え対象のファイルシステムを作成する際は,マニュアルHAモニタ パブリッククラウド編業務ディスクの管理および業務ディスクの設定を参照してください。

  • DBエリアファイル用のディスク

    次のDBエリアのDBエリアファイルごとにEBS(io2)を用意します。次のDBエリアとして使用するEBS(io2)は,全ノードから参照できるようにマルチアタッチ機能を使用して各インスタンスにアタッチしてください。

    • マスタディレクトリ用DBエリア

    • ディクショナリ用DBエリア

    • システム表用DBエリア

    • データ用DBエリア

    メモ

    DBエリアファイル用のディスク(LU001LU005)と対応するDBエリアは,「18.2.4 ストレージ構成」の「(3) DBエリアファイル用のディスク」に記載されているDBエリアと同じです。

(c) EBS(gp3)の使い方

EBS(gp3)は,ノードローカルのディスクとして使用します。作業表用DBエリアとして使用するEBS(gp3)を各インスタンスに用意してください。

メモ

ノードローカルのディスクWRK001WRK004に対応するブロックスペシャルファイル名は,「18.2.4 ストレージ構成」の「(3) DBエリアファイル用のディスク」に記載されているブロックスペシャルファイル名と同じです。

(d) EFSの使い方

全インスタンスでNFSとして使用できるEFSに,次のディレクトリを配置します。

  • 監査証跡の保存先ディレクトリ(監査証跡機能を使用する場合に必要)

  • ADB_CSVREAD関数を使用してアクセスするCSVファイルを格納するディレクトリ(ADB_CSVREAD関数を使用した検索をする場合に必要)

重要

全ノードで,同じパスのディレクトリにマウントしてください。