8.7.2 旧バージョンでデータベースを再構築する場合
ここでは,旧バージョンのHADBサーバでデータベースを再構築することで,HADBサーバをバージョンダウンする方法について,説明します。この方法は,旧バージョンのデータベースのフルバックアップを取得していない場合の説明になります。
- メモ
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旧バージョンのデータベースのフルバックアップを取得している場合は,バックアップを使用して,HADBサーバのバージョンダウンを実施できます。詳細については,「8.7.1 旧バージョンのデータベースのバックアップを使用する場合」を参照してください。
(1) バージョンダウン前に実施すること
HADBサーバをバージョンダウンする前に,次に示すことを必ず実施してください。
(a) HADBサーバの環境設定を確認する
HADBサーバをバージョンダウンする前に,環境変数,カーネルパラメタ,およびサーバ定義の各指定値を,バージョンアップの際に変更していないことを確認してください。指定値を変更している場合は,旧バージョンの指定値に戻す必要があります。
(b) DBエリアの状態を確認する(初期設定オプションを確認する)
HADBサーバをバージョンダウンする前に,adbdbstatusコマンドで,DBエリアの状態を確認してください。旧バージョンのHADBサーバでデータベースを再構築する場合に,初期設定オプションを指定してadbinitコマンドを実行するときに必要となります。
adbdbstatusコマンドで,まず「DBエリアのサマリ情報」を確認してください。出力結果のうち,次に示す出力項目の内容を確認します。
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DBarea_name(DBエリア名)
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Page_size(ページサイズ)
そのあとで,adbdbstatusコマンドで「使用量情報」を確認してください。出力結果のうち,DBエリアのサマリ情報で出力された「DBarea_name」の内容に対応する,「DBarea_filename」(DBエリアファイル名)の内容を確認します。
- メモ
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クラウドストレージ機能を使用している場合は,「DBarea_name(DBエリア名)」だけを確認してください。
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adbdbstatusコマンドについては,マニュアルHADB コマンドリファレンスのadbdbstatus(データベースの状態解析)を参照してください。
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データベースの再構築時には,adbdbstatusコマンドで確認した出力項目の内容を基に,adbinitコマンドの初期設定オプションを指定してください。adbdbstatusコマンドで確認した出力項目と,adbinitコマンドの初期設定オプションの関係について,次の表に示します。
項番 |
adbdbstatusコマンドの出力項目 |
adbinitコマンドの初期設定オプション |
---|---|---|
1 |
DBarea_name(DBエリア名) |
adbinitdbareaの-nオプション |
2 |
Page_size(ページサイズ)※1 |
adbinitdbareaの-pオプション※2 |
3 |
DBarea_filename(DBエリアファイル名)※1 |
adbinitdbareaの-vオプション |
- 注※1
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クラウドストレージ機能を使用している場合,確認する必要はありません。クラウドストレージ機能を使用している場合は,-pオプションの指定値は決まっています。また,-vオプションは指定しません。
- 注※2
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adbinitコマンドの初期設定オプションadbinitdbareaの-pオプションは,キロバイト単位で指定する必要があります。adbdbstatusコマンドで出力されるPage_size(ページサイズ)の値はバイト単位のため,キロバイト単位に変換した値を-pオプションに指定してください。キロバイト単位に変換する計算式を次に示します。
計算式(単位:キロバイト)
(c) 定義系SQLを確認する
HADBサーバをバージョンダウンする前に,ディクショナリ表を参照して,旧バージョンで実行する必要があるすべての定義系SQLを確認してください。
ディクショナリ表については,「付録B ディクショナリ表」を参照してください。
(d) データをエクスポートする
HADBサーバをバージョンダウンする前に,adbexportコマンドで実表に格納した全データをエクスポートしてください。
なお,バックグラウンドインポートで格納した実表のデータを,チャンクの構成を維持したままエクスポートしたい場合は,-cオプションを指定したadbexportコマンドを実行してください。
adbexportコマンドについては,マニュアルHADB コマンドリファレンスのadbexport(データのエクスポート)を参照してください。
(e) APおよびコマンドを停止する
HADBサーバをバージョンダウンする前に,実行中のAPおよびコマンドがある場合は,すべて終了してください。
(f) HADBサーバを正常終了する
HADBサーバをバージョンダウンする前に,adbstopコマンドでHADBサーバを正常終了してください。
すでにHADBサーバが終了している場合は,次に示す手順でHADBサーバが正常終了していることを確認してください。
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adbls -d srvコマンドを実行する
出力項目STATUSに出力されるHADBサーバの状態が,"STOP"であることを確認してください。
"STOP"である場合は,手順2.または手順3.のどちらかに進んでください。
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サーバメッセージログファイルを確認する
サーバメッセージログファイル($ADBDIR/spool/adbmessageXX.log※)を開き,KFAA91154-Iメッセージに出力される終了モードが,"normally"であることを確認してください。
- 注※
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XXは通番であり,01〜04のどれかになります。
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syslogを確認する
syslogを開き,KFAA91154-Iメッセージに出力される終了モードが,"normally"であることを確認してください。
手順1.の確認結果が"STOP"であり,かつ手順2.または手順3.の確認結果が"normally"である場合は,HADBサーバは正常終了しています。
もし,HADBサーバが正常終了していない場合は,adbstartコマンドでHADBサーバを開始したあとで,adbstopコマンドで正常終了してください。
- [マルチノード機能]
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マルチノード構成のHADBサーバが正常終了していない場合は,マルチノード構成のHADBサーバをいったん開始し,マルチノード構成のHADBサーバを正常終了させてください。このとき,HAモニタを停止させる必要はありません(monstopコマンドの実行は不要です)。
マルチノード構成のHADBサーバを開始して,正常終了させる方法については,「18.5.1 マルチノード構成のHADBサーバの開始方法」と「18.5.2 マルチノード構成のHADBサーバの終了方法」を参照してください。
- [コールドスタンバイ構成]
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コールドスタンバイ構成のHADBサーバが正常終了していない場合は,すべての系のHADBサーバを開始したあとで,すべての系のHADBサーバを正常終了させてください。このとき,HAモニタを停止させる必要はありません(monstopコマンドの実行は不要です)。
コールドスタンバイ構成のHADBサーバを開始して,正常終了させる方法については,「19.4.1 コールドスタンバイ構成の開始方法」と「19.4.2 コールドスタンバイ構成の終了方法」を参照してください。
(g) サーバディレクトリのバックアップを取得する
HADBサーバをバージョンダウンする前に,サーバディレクトリのバックアップを取得してください。
HADBサーバをバージョンダウンする場合は,HADBサーバをアンインストールする必要があるため,サーバディレクトリを削除します。サーバディレクトリを削除すると,定義ファイルやメッセージログファイルなども削除されます。バージョンダウン後に必要になった場合を考慮して,サーバディレクトリのバックアップを取得してください。
サーバディレクトリのバックアップを取得する方法については,「10.3.1 バックアップの取得方法」の「(2) バックアップを取得する手順」を参照してください。
(2) バージョンダウンする
HADBサーバのバージョンダウンを行う手順を次に示します。
- [マルチノード機能]
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マルチノード機能を使用している場合は,全ノードのHADBサーバに対して実施してください。
- [コールドスタンバイ構成]
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コールドスタンバイ構成の場合は,すべての系のHADBサーバに対して実施してください。
手順
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HADBサーバをアンインストールする
「8.12 アンインストール」を参照して,HADBサーバをアンインストールしてください。
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データベースを構築する
「(1) バージョンダウン前に実施すること」で確認した内容を基に,旧バージョンのHADBサーバでデータベースを構築します。構築の手順については,「8.1 システム構築の手順」を参照してください。
- メモ
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マルチチャンク表を元のチャンクの構成で復元したい場合は,バックグラウンドインポート機能を適用した(-bオプションを指定した)adbimportコマンドを必要な回数分,実行してください。ただし,チャンクIDについては,復元できません。
adbimportコマンドについては,マニュアルHADB コマンドリファレンスのadbimport(データのインポート)を参照してください。
(3) バージョンダウン後に実施すること
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HADBサーバをバージョンダウンした場合は,HADBクライアントもバージョンダウンしてください(HADBサーバとHADBクライアントのバージョンを合わせてください)。HADBクライアントのバージョンダウンについては,マニュアルHADB AP開発ガイドのHADBクライアントのバージョンダウン(旧バージョンに戻す方法)を参照してください。
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HADBオプションをインストールしている場合は,HADBサーバのバージョンダウン後に次のことをしてください。
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バージョン05-07より前のHADBサーバにバージョンダウンした場合
HADBオプションをアンインストールしてください。HADBオプションのアンインストール方法については,「8.12.3 HADBオプションのアンインストール手順」を参照してください。
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バージョン05-07以降のHADBサーバにバージョンダウンした場合
バージョンダウンしたHADBサーバに対応しているバージョンのHADBオプションをインストールしてください。HADBオプションのインストール方法については,「8.2.4 HADBオプションのインストール手順」を参照してください。
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