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Hitachi Advanced Data Binder システム構築・運用ガイド


18.34.2 システム構成例(クラウドストレージ機能を使用する場合)

クラウド環境でクラウドストレージ機能を使用する場合のシステム構成例(HAモニタありのマルチノード構成)を次の図に示します。

図18‒14 クラウドストレージ機能を使用する場合のシステム構成例(HAモニタありのマルチノード構成)

[図データ]

注※

ノードローカルのディスクを使用します。

メモ
  • クラウド環境でもオンプレミス環境と同様に,HAモニタありのマルチノード構成にするか,またはHAモニタなしのマルチノード構成にするかによって,前提ソフトウェアやネットワーク構成に差異があります。この差異は,クラウド環境であってもオンプレミス環境であっても基本的には同じです。

  • ここでは,HAモニタありのマルチノード構成についてだけシステム構成例を記載します。

〈この項の構成〉

(1) 前提OSおよび前提ソフトウェア

クラウド環境でHAモニタありのマルチノード構成を構築する場合,次のOSおよびソフトウェアが必要になります。

(2) サーバ構成

図18‒14 クラウドストレージ機能を使用する場合のシステム構成例(HAモニタありのマルチノード構成)」は,4つのノード(hadb01hadb02hadb03,およびhadb04)から成るマルチノード構成です。プライマリノードはhadb01,セカンダリノードはhadb02およびhadb03,ワーカーノードはhadb04です。

クラウド環境でマルチノード機能を使用する場合,各ノードのインスタンスの性能(CPU,メモリサイズなど)は同じである必要はありません。ただし,インスタンスの性能が異なる場合,SQL文を実行するノードによってSQL文の処理性能に差異が発生するおそれがあります。そのため,できる限り全ノードのインスタンスの性能を同じにすることを推奨します。

重要
  • SQLパラレル実行機能を使用する場合は,全ノードのインスタンスのインスタンスタイプを同じにしてください。

  • DBエリア(作業表用DBエリアを除く)のデータが,S3バケット内のS3オブジェクトに格納されています。S3オブジェクトは,異なるアベイラビリティゾーンで起動しているインスタンスから同時にアクセスできます。また,ノード切り替え対象のファイルシステムを作成したEFSをHAモニタの共有ディスクとして扱えます。そのため,各インスタンスを別々のアベイラビリティゾーンで起動できます。「図18‒14 クラウドストレージ機能を使用する場合のシステム構成例(HAモニタありのマルチノード構成)」の場合,hadb01hadb04はアベイラビリティゾーン1で,hadb02はアベイラビリティゾーン2で,hadb03はアベイラビリティゾーン3で起動しています。

メモ

以降の説明は,全ノードのインスタンスでインスタンスタイプr5b.2xlargeを使用していることを前提としています。

(3) ネットワーク構成

HAモニタありのマルチノード構成をクラウド環境で構築する場合,次に示すネットワークを使用します。各ネットワークは物理的に分けてください。

(a) クライアント−サーバ間ネットワーク

HADBクライアントとHADBサーバ間の通信で使用するネットワークです。

HADBクライアントは,エイリアスIPアドレスを使用してHADBサーバに接続します。そのため,マニュアルHAモニタ パブリッククラウド編【AWS】リソースの引き継ぎを参照して,エイリアスIPアドレスを設定してください。

図18‒14 クラウドストレージ機能を使用する場合のシステム構成例(HAモニタありのマルチノード構成)」での,クライアント−サーバ間ネットワークのIPアドレス,およびポート番号の設定例を次の表に示します。

表18‒13 クライアント−サーバ間ネットワークのIPアドレスとポート番号の設定例

項番

設定対象

IPアドレス

ポート番号

1

クライアントマシン

10.196.108.111

設定不要

2

プライマリノード(hadb01)のインスタンス

10.196.108.11

23650

3

セカンダリノード(hadb02)のインスタンス

10.196.108.12

23650

4

セカンダリノード(hadb03)のインスタンス

10.196.108.13

23650

5

ワーカーノード(hadb04)のインスタンス

10.196.108.14

23650

6

エイリアスIPアドレス

10.196.108.143

23650

(b) ノード間ネットワーク

HADBサーバ間の通信,およびHAモニタの監視パスとして使用するネットワークです。ネットワークを構築する際に複線にする必要がある場合は,LinuxのBonding機能を使用してください。

Bonding機能の詳細については,OSのマニュアルを参照してください。HAモニタの監視パスの設定については,マニュアルHAモニタ パブリッククラウド編監視パスの設定を参照してください。

図18‒14 クラウドストレージ機能を使用する場合のシステム構成例(HAモニタありのマルチノード構成)」での,ノード間ネットワークのIPアドレス,およびポート番号の設定例を次の表に示します。

表18‒14 ノード間ネットワークのIPアドレスとポート番号の設定例

項番

設定対象

IPアドレス

ポート番号

1

プライマリノード(hadb01)のインスタンスのHADBサーバ間通信

172.16.0.11

23651

2

プライマリノード(hadb01)のインスタンスのHAモニタの監視パス

172.16.0.11

7777

3

セカンダリノード(hadb02)のインスタンスのHADBサーバ間通信

172.16.0.12

23651

4

セカンダリノード(hadb02)のインスタンスのHAモニタの監視パス

172.16.0.12

7777

5

セカンダリノード(hadb03)のインスタンスのHADBサーバ間通信

172.16.0.13

23651

6

セカンダリノード(hadb03)のインスタンスのHAモニタの監視パス

172.16.0.13

7777

7

ワーカーノード(hadb04のインスタンスのHADBサーバ間通信

172.16.0.14

23651

注※

ワーカーノードはHAモニタの管理対象外のため,HAモニタの監視パスの設定は不要です。

通常は,HADBサーバ間の通信で使用するネットワークと,HAモニタの監視パスとして使用するネットワークを分けます。ただし,この場合,HAモニタは,HADBサーバ間の通信で使用するネットワークの障害を検知することができません。HADBサーバ間の通信で使用するネットワークと,HAモニタの監視パスとして使用するネットワークを同じにすると,ネットワーク障害をHAモニタが検知することができます。そのため,ここで説明しているとおりにノード間ネットワークを構成することを推奨します。

(c) AWSエンドポイントへのネットワーク

クラウド環境の場合,HAモニタは系(インスタンス)のリセットを,AWSのエンドポイントに障害が発生した系のインスタンスの強制停止を指示することで実現しています。そのため,リセットパスの代わりにAWSのエンドポイントへの接続が必要となります。詳細については,マニュアルHAモニタ パブリッククラウド編【AWS】AWSの設定を参照してください。

(d) EFSアクセス用ネットワーク

ノード切り替え対象のファイルシステムとして使用するEFSに,プライマリノードおよびセカンダリノードからアクセスする際に使用するネットワークです。

EFSを使用した共有ディスク構成にする際のEFSの設定については,マニュアルHAモニタ パブリッククラウド編EFSの設定を参照してください。

図18‒14 クラウドストレージ機能を使用する場合のシステム構成例(HAモニタありのマルチノード構成)」での,EFSアクセス用ネットワークのIPアドレス,およびポート番号の設定例を次の表に示します。

表18‒15 EFSアクセス用ネットワークのIPアドレスとポート番号の設定例

項番

設定対象

IPアドレス

ポート番号

1

プライマリノード(hadb01)のインスタンス

172.16.0.21

2049

2

セカンダリノード(hadb02)のインスタンス

172.16.0.22

2049

3

セカンダリノード(hadb03)のインスタンス

172.16.0.23

2049

(4) ストレージ構成

クラウド環境でマルチノード機能を使用する場合,次のファイルシステム,ディスク,およびS3バケットを準備します。

図18‒14 クラウドストレージ機能を使用する場合のシステム構成例(HAモニタありのマルチノード構成)」の場合,次の表に示すファイルシステム,ディスク,およびS3バケットを用意します。

表18‒16 ストレージ構成例

格納先

名称

対象となるノード

用途

EBS(gp2)

LOC001

プライマリノード(hadb01

ノードローカルのファイルシステム

LOC002

セカンダリノード(hadb02

LOC003

セカンダリノード(hadb03

LOC004

ワーカーノード(hadb04

EBS(gp3)

CCH001

プライマリノード(hadb01

ノードローカルのファイルシステム(キャッシュファイル用)

CCH002

セカンダリノード(hadb02

CCH003

セカンダリノード(hadb03

CCH004

ワーカーノードhadb04

WRK001

プライマリノード(hadb01

ノードローカルのディスク(作業表用DBエリア用)

WRK002

セカンダリノード(hadb02

WRK003

セカンダリノード(hadb03

WRK004

ワーカーノード(hadb04

Amazon S3

BKT001

全ノード

S3バケット(作業表用DBエリアを除くDBエリア用)

EFS

FS001

プライマリノード(hadb01

ノード切り替え対象のファイルシステム

セカンダリノード(hadb02

セカンダリノード(hadb03

分散ファイルシステム

(凡例)

-:該当しません。

(a) EBS(gp2)の使い方

EBS(gp2)は,ノードローカルのファイルシステムとして使用します。各インスタンスのOS用の領域(ルートボリューム)として使用するEBS(gp2)上のファイルシステム(/home下など)に,次のディレクトリを配置します。

  • サーバディレクトリ

  • DBディレクトリ

  • 監査証跡の出力先ディレクトリ(監査証跡機能を使用する場合に必要)

  • 統一フォーマット用監査証跡の出力先ディレクトリ(監査証跡機能を使用する場合に必要)

(b) EBS(gp3)の使い方

EBS(gp3)は,次のファイルシステムおよびディスクとして使用します。

  • ノードローカルのファイルシステム(キャッシュファイル用)

    キャッシュファイルの格納先とするファイルシステムをEBS(gp3)上にインスタンスごとに作成してください。

    ここでは,このファイルシステムのマウントポイントを/HADB/ADBCCHとします。

    重要

    このファイルシステムは,キャッシュファイルの格納先ディレクトリを配置する以外の用途には使用しないでください。

  • ノードローカルのディスク(作業表用DBエリア用)

    作業表用DBエリアとして使用するEBS(gp3)を各インスタンスに用意してください。

    メモ

    ノードローカルのディスクWRK001WRK004に対応するブロックスペシャルファイル名は,「18.2.4 ストレージ構成」の「(3) DBエリアファイル用のディスク」に記載されているブロックスペシャルファイル名と同じです。

(c) Amazon S3の使い方

次のDBエリアのデータを格納するS3オブジェクトの格納先となるS3バケットを用意します。

  • データ用DBエリア

  • マスタディレクトリ用DBエリア

  • ディクショナリ用DBエリア

  • システム表用DBエリア

(d) EFSの使い方

EFSには,次のファイルシステムを配置します。

  • ノード切り替え対象のファイルシステム

    次のノード切り替え対象のファイルシステムを,プライマリノードおよびセカンダリノードから参照できるように,EFS上に作成してください。

    • システムディレクトリ用のファイルシステム

    ノード切り替え対象のファイルシステムを作成する際は,マニュアルHAモニタ パブリッククラウド編EFSの設定を参照してください。

  • 分散ファイルシステム

    全インスタンスでNFSとして使用できるEFSに,次のディレクトリを配置します。

    • 監査証跡の保存先ディレクトリ(監査証跡機能を使用する場合に必要)

    • ADB_CSVREAD関数を使用してアクセスするCSVファイルを格納するディレクトリ(ADB_CSVREAD関数を使用した検索をする場合に必要)

    重要

    全ノードで,同じパスのディレクトリにマウントしてください。