ノンストップデータベース HiRDB Version 9 コマンドリファレンス(UNIX(R)用)
ホスト名で指定したサーバマシンにあるユニットの統計情報を,統計ログファイルに出力します。統計情報の出力を停止したい場合は,pdstendコマンドを実行します。
統計情報は,各ホストのpdstj1,又はpdstj2という名称の統計ログファイルに出力されます。
出力した統計情報は,統計解析ユティリティの入力となります。統計解析ユティリティについては,「14. 統計解析ユティリティ(pdstedit)」を参照してください。
HiRDB管理者が実行できます。
pdstbegin 〔-k 統計情報種別〔,統計情報種別〕…〕 〔-m システム稼働統計情報出力時間間隔〕 〔-I データベースの入出力統計情報出力時間間隔〕 〔-D 〔データベースの入出力統計情報オプション 〔,データベースの入出力統計情報オプション〕〕〕 〔{-a|-s サーバ名〔,サーバ名〕…}〕 〔-w〕 |
pdstbegin 〔-k 統計情報種別〔,統計情報種別〕…〕 〔-m システム稼働統計情報出力時間間隔〕 〔-I データベースの入出力統計情報出力時間間隔〕 〔-D 〔データベースの入出力統計情報オプション 〔,データベースの入出力統計情報オプション〕〕〕 〔{-x ホスト名|-u ユニット識別子}〕 〔{-a|-s サーバ名〔,サーバ名〕…}〕 〔-w〕 |
出力する統計情報の種別を指定します。
システムの稼働に関する統計情報(-k sys指定)を統計ログファイルに出力する場合,情報を出力する時間間隔を分単位で指定します。
データベースの入出力に関する統計情報(-k dio指定)を統計ログファイルに出力する場合,情報を出力する時間間隔を秒単位で指定します。
指定時間間隔でデータベースの入出力が1回も発生しなかった場合は,統計ログファイルを出力しません。
-k dioの指定がない場合は,このオプションを無視します。
データベースの入出力統計情報出力中にpdstbegin -Iコマンドを実行すると,コマンド実行時点を新たな時間間隔の開始時刻として設定します。情報を出力する時間間隔を次の図に示します。
図2-14 -Iオプションで指定する時間間隔
統計情報出力時間間隔が短くなるに従って統計ログ出力量は増え,統計ログバッファのスワップ頻度が増すため,システム負荷が高くなります。このため,詳細な調査が必要な場合にだけ省略値より短い出力時間間隔へ変更し,情報取得後は変更前の値に戻してください。
データベースの入出力に関する統計情報の計測動作を制御するオプションです。-k dioの指定がない場合は,このオプションを無視します。
このオプションでは,次の項目を制御できます。
各項目に対応するオプション値指定有無による動作差異を次の表に示します。
表2-33 入出力時間の計測頻度
| 指定値 | 動作 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 指定なし | RDエリアを構成する各HiRDBファイルに発生した入力と出力に対して,それぞれ発生順に秒間100回の入出力時間を計測します。 | 性能影響を最小限に抑えられます。 | RDエリアを構成する各HiRDBファイルに発生した入力と出力に対して,それぞれ秒間101回目以降については入出力時間を計測しません。 |
| everyio | RDエリアを構成するHiRDBファイルに発生した入出力に対して,すべての入出力時間を計測します。 | 入出力情報を漏れなく取得できます。 | 入出力時間計測のオーバヘッドによって,トランザクション性能が劣化します。 |
everyio指定時は,トランザクション実行中のRDエリアに発生するすべての入出力の時間を計測するため,オーバヘッドが増加します。事前にテストをして,本番業務に性能上問題がないと判断した場合だけ指定してください。
表2-34 統計情報の出力量
| 指定値 | 動作 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 指定なし |
|
1回の出力契機の統計ログサイズが固定であるため,ディスク消費量が少なく,統計ログバッファのスワップ処理多発による性能影響が少なくなります。 | それぞれのユニットで上位10ファイルの情報しか出力しないため,RDエリアを構成するHiRDBファイルすべての入出力の情報は取得できません。 |
| everyfile | 出力時間間隔内にアクセスのあったRDエリアを構成するHiRDBファイルの入出力情報をすべて出力します。 | すべてのRDエリア構成ファイルの入出力傾向を漏れなく出力できます。 | 1回の出力契機の統計ログサイズが固定でないため,ディスク消費量が多く,バッファのスワップ処理多発による性能への影響が大きくなります。 |
everyfile指定時は,1回の出力契機での統計ログの出力量が固定ではありません。システム共通定義のpd_stj_file_sizeオペランドには,マニュアル「HiRDB Version 9 システム定義」の「統計ログファイル(pd_stj_file_size)の見積もり式」で見積もった値を指定してください。
システム共通定義のpd_stj_buff_sizeオペランドには,マニュアル「HiRDB Version 9 システム定義」の「pd_stj_buff_sizeオペランド」で示す見積もり式で見積もった値を指定してください。
データベースの入出力に関する統計情報出力中に計測動作を変更する場合は,「pdstbegin -k dio」コマンドを-Dオプション指定で実行します。このとき,-Dオプションの各項目のうち,指定しない項目は省略時の動作になります。
なお,-Dオプションを省略した場合は,それまでの動作を引き継ぎます。
-Dオプション指定によって計測動作を変更する例を次の図に示します。
図2-15 -Dオプションで指定する入出力統計情報の計測動作
表2-35 各区間の計測動作
| 区間 | 各項目の動作 | |
|---|---|---|
| 入出力時間の計測頻度 | 統計情報の出力量 | |
| A | 指定なし | 指定なし |
| B | everyio | 指定なし |
| C | 指定なし | everyfile |
| D | everyio | everyfile |
| E | everyio | everyfile |
| F | 指定なし | 指定なし |
統計情報を出力するホストのホスト名,又はユニットのユニット識別子を指定します。省略した場合,HiRDBシステム全体の統計情報を統計ログファイルに出力します。
どのサーバから統計情報を出力するかを指定します。省略した場合,サーバの種別によって出力する統計情報が異なります。出力する統計情報については,表「出力される統計情報と-sオプションとの関係(HiRDB/シングルサーバの場合)」又は表「出力される統計情報と-sオプションとの関係(HiRDB/パラレルサーバの場合)」を参照してください。
統計情報にスレッド間ロック待ち時間の情報を取得する場合に指定します。スレッド間ロック待ち時間は,スレッド間ロック要求が待ち状態になってから,スレッド間ロックを取得するまでの時間です。
スレッド間ロック待ち時間の情報は,次の統計情報で取得できます。
スレッド間ロック待ち時間の情報を取得する場合は,システムの稼働に関する統計情報の取得が前提条件となります。そのため,システムの稼働に関する統計情報を取得していない場合は,システムの稼働に関する統計情報を取得してください。
より正確な情報を取得するために,このコマンドを実行する直前又は直後に,pdstjsyncコマンドを実行してください。詳細は,「pdstjsync(統計ログファイルへの統計ログバッファの反映)」を参照してください。
なお,スレッド間ロック待ち時間の統計情報の取得状況は,pdls -d stjコマンドを実行して確認してください。詳細は,「pdls【-d stj】(ユニット及びサーバごとの統計情報出力種別の指定有無の表示)」を参照してください。
統計情報種別ごとに,スレッド間ロック待ち時間の統計情報を取得できる条件を次に示します。
システムの稼働に関する統計情報とスレッド間ロック待ち時間の統計情報を取得できる区間を次の図に示します。
図2-16 スレッド間ロック待ち時間の統計情報を取得できる区間(sys)
スレッド間ロック待ち時間の統計情報を正確に取得できるのは,t3〜t4の区間です。
UAPに関する統計情報とスレッド間ロック待ち時間の統計情報を取得できる区間を次の図に示します。
図2-17 スレッド間ロック待ち時間の統計情報を取得できる区間(uap)
pdstbegin -wコマンド実行後から,pdstend -wコマンドが実行されるまでの間に開始されたUAPのスレッド間ロック待ち時間の統計情報を取得できます。
グローバルバッファプールに関する統計情報とスレッド間ロック待ち時間の統計情報を取得できる区間を次の図に示します。
図2-18 スレッド間ロック待ち時間の統計情報を取得できる区間(buf)
pdstbegin -wコマンドを実行後,スレッド間ロック待ち時間の統計情報を正確に取得できるのは,直後のシンクポイントのS2から,pdstend -wコマンド実行直後のシンクポイントのS4までの区間です。また,トランザクションDの途中でpdstend -wコマンドが実行されていますが,トランザクションが決着するまでスレッド間ロックの待ち時間の統計情報を取得します。
ユニット内にスレッド間ロック待ち時間の統計情報を取得していないサーバがあると,システムの稼働に関する統計情報のユニットごとの編集結果は実際よりも小さい値が出力されます。そのため,システムの稼働に関する統計情報を取得するサーバを限定した場合は,サーバごとの編集結果から統計情報を評価してください。
表2-36 出力される統計情報と-sオプションとの関係(HiRDB/シングルサーバの場合)
| 統計情報種別 | -sオプションで指定したサーバ(シングルサーバ) |
|---|---|
| sys | ○ |
| uap | ○ |
| sql | ○ |
| sqh | ○ |
| buf | ○ |
| fil | ○ |
| dfw | ○ |
| idx | ○ |
| sop | ○ |
| dop | ○ |
| pcd | ○ |
| obj | × |
| dio | ○ |
表2-37 出力される統計情報と-sオプションとの関係(HiRDB/パラレルサーバの場合)
| 統計情報種別 | -sオプションで指定したサーバ | ||
|---|---|---|---|
| フロントエンドサーバ | ディクショナリサーバ | バックエンドサーバ | |
| sys | ○ | ○ | ○ |
| uap | ○ | × | × |
| sql | ○ | × | × |
| sqh | ○ | × | × |
| buf | × | ○ | ○ |
| fil | × | ○ | ○ |
| dfw | × | ○ | ○ |
| idx | × | ○ | ○ |
| sop | ○ | × | × |
| dop | ○ | × | × |
| pcd | ○ | ○ | ○ |
| obj | × | ○ | ○ |
| dio | × | ○ | ○ |
図2-19 出力される統計情報と,pdstbegin,pdstendコマンドの入力との関係
| サーバの種別 | サーバの状態 | 実行対象 |
|---|---|---|
| ホストBES | 実行中 | ○ |
| 待機中 | × | |
| ゲストBES | 実行中 | ○ |
| 受け入れ可能状態 | × |
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