Hitachi

ノンストップデータベース HiRDB Version 9 システム運用ガイド(UNIX(R)用)


3.9.1 システムログファイルの空き容量監視機能とは

〈この項の構成〉

(1) 機能概要

HiRDBの運用を続けると,データベースの更新ログがシステムログファイルに蓄積されていきます。すべてのシステムログファイルが満杯になると,データベースの更新ログが出力できなくなり,HiRDBの運用が続行できなくなるため,HiRDBは異常終了します。この異常終了によるサービス停止を回避するために,HiRDB管理者はシステムログファイルの使用状況を常に監視する必要があります。

HiRDBではシステムログファイルの空き容量を監視する機能として,システムログファイルの空き容量監視機能を提供しています。この機能を使用すると,システムログファイルの空き率をHiRDBが監視し,HiRDB管理者が指定したレベルに従い,状況に応じて警告メッセージを出力したり,又はデータベースの利用を制限したりします。システムログファイルの空き容量監視機能は次に示す二つのレベルのどちらかを選択できます。

レベル1:

システムログファイルの空き率が警告値未満になった場合,警告メッセージKFPS01162-Wを出力します。

レベル2:

システムログファイルの空き率が警告値未満になった場合,新規トランザクションのスケジューリングを抑止して,サーバ内の全トランザクションを強制終了します。このとき,KFPS01160-Eメッセージを出力します。これによって,システムログの出力量を抑えます。

(2) レベル1とレベル2の機能差

レベル1とレベル2の機能差を次の表に示します。

表3‒10 レベル1とレベル2の機能差

機能の項目

レベル1

レベル2

システムログファイルの空き率の監視

エラー又は警告メッセージの出力

新規トランザクションのスケジューリング抑止

×

サーバ内の全トランザクションの強制終了

×

シンクポイントの取得

×

(凡例)

○:処理を行います。

×:処理を行いません。

(3) システムログファイルの空き率について

システムログファイルの空き率は,次に示す計算式を基にしてHiRDBが算出します。

システムログファイルの空き率(単位:%)=

システムログファイルの空き容量÷(システムログファイルの空き容量+更新ログ量)×100%

システムログファイルの空き容量とは,現用ファイルのシステムログ出力可能領域とスワップ先にできる状態のファイルの全領域を加算したものです。更新ログ量とは,シンクポイントから最新ログブロックまでのシステムログ量のことです。システムログファイルの空き率の概念を次の図に示します。

図3‒7 システムログファイルの空き率の概念

[図データ]

〔説明〕
  • ファイルの薄い網掛け部分が更新ログ量となります。

  • ファイルの白い部分がシステムログファイルの空き容量となります。

  • ファイルの濃い網掛け部分は上書きできない状態のシステムログで,ロールバック処理の対象になりません。よって,更新ログ量,又はシステムログファイルの空き容量のどちらにも含まれません。

(4) 監視機能が警告するシステムログファイルの空き率(警告値)は

システムログファイルの空き容量監視監視機能が警告するシステムログファイルの空き率(警告値)は,システム障害が発生したときにデータベースの回復を安全に行える値です(データベースの回復時にシステムログファイルの容量不足が発生しない値です)。警告値はサーバの種類によって異なります。システムログファイルの空き容量監視機能が警告するシステムログファイルの空き率(警告値)を次の表に示します。

表3‒11 システムログファイルの空き容量監視機能が警告するシステムログファイルの空き率(警告値)

サーバの種類

システムログファイルの空き容量監視機能が警告

するシステムログファイルの空き率(警告値)

HiRDB/シングルサーバの場合

67%

HiRDB/パラレルサーバの場合

フロントエンドサーバ

30%

ディクショナリサーバ

67%

バックエンドサーバ