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ノンストップデータベース HiRDB Version 9 構造型データベース機能


4.7.2 単体版HiRDBから統合版HiRDBへの入れ替え手順

ここでは,単体版HiRDBを統合版HiRDBに入れ替える手順について説明します。

〈この項の構成〉

(1) 入れ替え作業をする前の考慮点

入れ替え作業をする前の考慮点を次に示します。

(a) 統合版HiRDBで制限となる機能

単体版HiRDBで使用できる機能のうち,統合版HiRDBで制限となる機能を次の表に示します。

表4‒5 統合版HiRDBで制限となる機能

項番

機能名

制限事項

1

リアルタイムSANレプリケーション(ディザスタリカバリ)

リアルタイムSANレプリケーション(ディザスタリカバリ)のリモートサイトへのデータ反映方式は,全非同期方式だけ使用できます。

2

系切り替え機能

系切り替え機能は,高速系切り替え機能だけ使用できます。

3

インデクスキー値の排他制御

インデクスキー値の排他制御は,インデクスキー値無排他だけ使用できます。

4

文字コード変換機能

リレーショナルデータベースの操作とSDBデータベースの操作を混在して実行する場合,文字コード変換機能は使用できません。

(b) HiRDB/SDで制限となる機能

単体版HiRDBで使用できる機能のうち,HiRDB/SDで制限となる機能があります。詳細については,「付録A 未サポート機能の一覧」を参照してください。

(c) 修正版HiRDBのコピーおよび入れ替え

入れ替え前の単体版HiRDBと修正版の統合版HiRDBでは,次のコマンドは実行できません。

  • pdprgcopyコマンド(修正版HiRDBのコピー)

  • pdprgrenewコマンド(修正版HiRDBの入れ替え)

(2) 単体版HiRDBから統合版HiRDBへの入れ替え時の注意事項

単体版HiRDBを統合版HiRDBに入れ替える場合,HiRDBクライアントも入れ替える必要があります。HiRDBクライアントを入れ替える際の注意事項を次に示します。

(3) 単体版HiRDBから統合版HiRDBへの入れ替え手順

運用中の単体版HiRDBを統合版HiRDBに入れ替える際に,事前に確認・設計しておくべき項目,および入れ替え手順を次に示します。

なお,単体版HiRDBのバージョンまたはリビジョン(VV-RR-ZZの形式で示すHiRDBのバージョン番号のうち,VVまたはRR)が統合版HiRDBのバージョンまたはリビジョンより古い場合は,バージョンアップも同時に実施されます。バージョンアップの手順についてはマニュアル「HiRDB Version 9 システム導入・設計ガイド」の「HiRDBのバージョンアップ」を参照してください。ただし,「HiRDBのバージョンアップ」では上書きインストールの手順が説明されていますが,単体版HiRDBを統合版HiRDBに入れ替えてバージョンアップする場合には,アンインストール後にインストールする手順となります。

(a) 入れ替え前に事前に確認・設計しておくべき項目

入れ替え前に事前に確認・設計しておくべき項目を次に示します。

  1. 空き領域の確認

    構造型DB機能を使用する場合は専用のディクショナリ表を使用します。

    そのため,pddbstコマンドで,データディクショナリ用RDエリアに必要な空き容量があるかを確認してください。

    データディクショナリ用RDエリアの見積もりについては,「3.5.4(1) データディクショナリ用RDエリアの容量の見積もり」を参照してください。

    空き容量が不足している場合は,データベース構成変更ユティリティ(pdmod)でデータディクショナリ用RDエリアを拡張してください。詳細については,マニュアル「HiRDB Version 9 システム運用ガイド」の「RDエリアの容量を大きくする方法(RDエリアの拡張)」を参照してください。

  2. HiRDBシステム定義の確認

    統合版HiRDBでは単体版HiRDBで使えない機能があります。そのため,問題がないかを確認してください。詳細については,「(1)(a) 統合版HiRDBで制限となる機能」を参照してください。

  3. メモリ所要量の確認

    構造型DB機能を使用する場合に必要なメモリが確保できることを確認してください。

    必要なメモリ所要量の見積もりについては,マニュアル「HiRDB Version 9 システム導入・設計ガイド」の「HiRDB/パラレルサーバのメモリ所要量の見積もり」を参照してください。なお,メモリ所要量を見積もる際には,「3.4 メモリ所要量の見積もり」で算出した値を加算してください。

  4. ファイル容量の確認

    統合版HiRDBを使用する場合,HiRDBのステータスファイルやシンクポイントダンプファイルの容量が増加することがあります。そのため,必要な容量が確保できることを確認してください。

    必要なファイル容量の見積もりについては,「3.1.3 システムファイルの設計」,およびマニュアル「HiRDB Version 9 システム導入・設計ガイド」の「ステータスファイルの容量の見積もり」,「シンクポイントダンプファイルの容量の見積もり」を参照してください。

  5. OSのオペレーティングシステムパラメタの確認

    統合版HiRDBに入れ替えることで新たにOS資源を消費する場合は,統合版HiRDBをインストールする前に,OSのオペレーティングシステムパラメタ(カーネルパラメタ)の値を変更してください。

    オペレーティングシステムパラメタ(カーネルパラメタ)の見積もりについては,「3.7 OSのオペレーティングシステムパラメタの見積もり」,およびマニュアル「HiRDB Version 9 システム導入・設計ガイド」の「Linuxのオペレーティングシステムパラメタの見積もり」を参照してください。

  6. システムログファイルの総レコード数の確認

    構造型DB機能が使用する専用のディクショナリ表を定義する場合に,必要なシステムログ容量があることを確認してください。

    システムログファイルの容量の見積もりについては,マニュアル「HiRDB Version 9 システム導入・設計ガイド」の「システムファイルの設計」の「システムログファイルの設計」を参照してください。なお,システムログ量を見積もる際には,「3.5.1 システムログ量の見積もり」で算出した値を加算してください。

(b) 単体版HiRDBから統合版HiRDBへの入れ替え手順

単体版HiRDBから統合版HiRDBへの入れ替え手順を次に示します。

  1. RDエリアのバックアップの取得

    入れ替えが失敗した場合に備えて,データベース複写ユティリティ(pdcopy)などで,すべてのRDエリアのバックアップを取得してください。

    バックアップの取得方法については,マニュアル「HiRDB Version 9 システム運用ガイド」の「バックアップの取得方法」を参照してください。

  2. HiRDBのオンライン状態の確認

    pdlsコマンドでHiRDBが正常終了できる状態であることを確認します。すべてのユニットがACTIVEと表示されているかどうかを確認してください。

  3. HiRDBの正常終了

    3.の手順でACTIVEと表示されている場合,pdstopコマンドでHiRDBを正常終了させてください。

    HiRDBがすでに終了している場合は,次のどちらかの情報を参照してHiRDBが正常終了しているかどうかを確認してください。

    • メッセージログファイル

    • syslogファイル

    正常終了していない場合は,pdstartコマンドでいったんHiRDBを開始してから,pdstopコマンドで正常終了させてください。

  4. HiRDBの状態確認

    pdls -d ustコマンドでHiRDBが正常終了していることを確認してください。

  5. ライブラリの共用化の解除

    マルチHiRDB環境でライブラリを共用している場合は,pdmemsv -dコマンドでライブラリの共用化を解除してください。

    入れ替え完了後に,再度pdmemsvコマンドでライブラリを共用化してください。

  6. コマンド,ユティリティ,アプリケーション,およびHiRDBと連携している製品の停止

    HiRDB Datareplicator,HiRDB Dataextractor,JP1/PFMなど,HiRDBにアクセスする連携製品を停止してください。これらを停止しないと,実行形式ファイルや共用ライブラリの削除に失敗するおそれがあります。

  7. HiRDB運用ディレクトリ下のバックアップの取得(HiRDB運用ディレクトリ数分繰り返す)

    入れ替えが失敗した場合に備えて,OSのcpコマンドなどで,次のファイルのバックアップを取得してください。

    • HiRDB運用ディレクトリ下($PDDIR/conf下)のファイル

    • HiRDB運用ディレクトリ下のトラブルシュート情報($PDDIR/spool下)のファイル

    HiRDB運用ディレクトリのバックアップの取得方法については,マニュアル「HiRDB Version 9 システム導入・設計ガイド」の「HiRDB運用ディレクトリの作成」の「HiRDB運用ディレクトリのバックアップの取得」を参照してください。

  8. 単体版HiRDBをOSから削除(HiRDB運用ディレクトリ数分繰り返す)

    単体版HiRDBをアンインストールする前に,単体版HiRDBのHiRDB運用ディレクトリ下のHiRDBシステムをOSから削除してください。

    このとき,単体版HiRDBの実行に必要なファイルおよびディレクトリも削除してください(pdsetup -dコマンドを実行し,KFPS00036-Qメッセージにyを応答してください)。

    pdsetup -dコマンドの終了ステータスが0でない場合,障害が起きているおそれがあります。syslogファイルに出力されたメッセージを参照して,障害原因を取り除いてから,OSからの削除を再度実行してください。

  9. 単体版HiRDBのアンインストール

    日立PPインストーラを使用してサーバマシンごとに単体版HiRDBをアンインストールしてください。

    アンインストールの結果は,日立PPインストーラの画面で確認してください。アンインストールが成功していない場合は,syslogファイルに出力されたメッセージを参照して,障害原因を取り除いてから,アンインストールを再度実行してください。

  10. 統合版HiRDBのインストール

    日立PPインストーラを使用して,サーバマシンごとに統合版HiRDBをインストールしてください。

  11. HiRDBシステム定義の変更(HiRDB運用ディレクトリ数分繰り返す)

    構造型DB機能を使用するために必要なオペランドを,HiRDB運用ディレクトリ下($PDDIR/conf下)のHiRDBのシステム定義ファイルに定義してください。

    構造型DB機能を使用するために必要なオペランドについては,「9. システム定義」を参照してください。

  12. 統合版HiRDBをOSに登録(HiRDB運用ディレクトリ数分繰り返す)

    統合版HiRDBをインストールしたあとに,pdsetupコマンドで,統合版HiRDBのHiRDB運用ディレクトリ下のHiRDBシステムをOSに登録してください。

    pdsetupコマンドの-cオプションには,必ず次の条件を満たす文字コードを指定してください。

    • 単体版HiRDBで指定していた文字コード

    • 統合版HiRDBで指定できる文字コード

    指定できる文字コードについては,「4.7.1 入れ替えに関する前提条件」を参照してください。

  13. HiRDBの再起動

    pdstartコマンドでHiRDBを再起動してください。HiRDBの再起動が完了すると,構造型DB用のRDエリアの定義や,SDBデータベースの定義ができる状態になります。

  14. RDエリアのバックアップの取得

    構造型DB用のRDエリアの定義や,SDBデータベースを定義する前に,構造型DB機能が使える状態となったすべてのRDエリアのバックアップを,データベース複写ユティリティ(pdcopy)などで取得してください。

(4) 障害時の運用

単体版HiRDBから統合版HiRDBへの入れ替えに失敗した場合,失敗の原因によっては統合版HiRDBをいったん単体版HiRDBに戻して失敗の原因を取り除いてから,再度入れ替える必要があります。

統合版HiRDBを入れ替え前に戻す手順を次の図に示します。

図4‒6 統合版HiRDBを単体版HiRDBに戻す手順(入れ替えに失敗した場合)

[図データ]

注※

HiRDB運用ディレクトリ数分繰り返します。