スケーラブルデータベースサーバ HiRDB Version 8 コマンドリファレンス(UNIX(R)用)

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pdstbegin統計情報の出力開始

機能

ホスト名で指定したサーバマシンにあるユニットの統計情報を,統計ログファイルに出力します。統計情報の出力を停止したい場合は,pdstendコマンドを実行します。

統計情報は,各ホストのpdstj1,又はpdstj2という名称の統計ログファイルに出力されます。

出力した統計情報は,統計解析ユティリティの入力となります。統計解析ユティリティについては,「14. 統計解析ユティリティ(pdstedit)」を参照してください。

実行者

HiRDB管理者が実行できます。

形式

HiRDB/シングルサーバの場合

 
 pdstbegin 〔-k 統計情報種別〔,統計情報種別〕…〕 〔-m 時間間隔〕
 
      〔{-a|-s サーバ名〔,サーバ名〕…}〕
 

HiRDB/パラレルサーバの場合

 
 pdstbegin 〔-k 統計情報種別〔,統計情報種別〕…〕 〔-m 時間間隔〕
 
      〔{-x ホスト名|-u ユニット識別子}〕
 
      〔{-a|-s サーバ名〔,サーバ名〕…}〕
 

オプション

出力する統計情報の種別を指定します。

sys
システムの稼働に関する統計情報

uap
UAPに関する統計情報

sql
SQLに関する統計情報

sqh
SQL文の履歴に関する統計情報(発行された操作系SQL,定義系SQL,及びLOCK文とSQLに関する統計情報)
この統計情報は,SQLに関する統計情報出力が指定されている場合に出力されます。

buf
グローバルバッファプールに関する統計情報

fil
データベース操作に関するHiRDBファイルの統計情報

dfw
デファードライト処理に関する統計情報

idx
インデクスに関する統計情報

sop:
SQL静的最適化に関する統計情報

dop:
SQL動的最適化に関する統計情報

pcd:
SQLオブジェクト実行に関する統計情報

obj:
SQLオブジェクト転送に関する統計情報(HiRDB/パラレルサーバの場合だけ有効)

fsv:
外部サーバの稼働に関する統計情報

hba:
外部サーバの利用状況に関する統計情報

all
sqh,pcd,obj,fsv,及びhbaを除く上記すべての統計情報

システムの稼働に関する統計情報(-k sys指定)を統計ログファイルに出力する場合,情報を出力する時間間隔を分単位で指定します。

統計情報を出力するホストのホスト名,又はユニットのユニット識別子を指定します。省略した場合,HiRDBシステム全体の統計情報を統計ログファイルに出力します。

-x ホスト名 〜<識別子>((1〜32))
統計情報を出力するホストのホスト名を指定します。なお,1:1スタンバイレス型系切り替え機能を使用している場合に代替中のときは,正規BESのホスト名,又は代替BESのホスト名のどちらを指定しても,両方のホストの統計情報出力を開始します。

-u ユニット識別子 〜<識別子>((4文字))
統計情報を出力するユニットのユニット識別子を指定します。なお,1:1スタンバイレス型系切り替え機能を使用している場合に代替中のときは,正規BESのユニット識別子,又は代替BESのユニット識別子のどちらを指定しても,両方のユニットの統計情報出力を開始します。

どのサーバから統計情報を出力するかを指定します。省略した場合,サーバの種別によって出力する統計情報が異なります。出力する統計情報については,表2-27又は表2-28を参照してください。

-a
システム全体及び全サーバの統計情報を出力します。-sオプションと同時に指定できません。

-s 〔サーバ名〔,サーバ名〕…〕 〜<識別子>((1〜8))
統計情報を出力するサーバの名称を指定します。-aオプションと同時に指定できません。なお,1:1スタンバイレス型系切り替え機能を使用している場合に代替中のときは,正規BES,又は代替BESのどちらを指定しても,両方のサーバの統計情報出力を開始します。

規則

  1. pdstbeginコマンドは,HiRDBが稼働中のときだけ実行できます。
  2. pdstbeginコマンドは,シングルサーバ又はシステムマネジャがあるサーバマシンで実行してください。
  3. 統計情報を出力している場合は,pdstendコマンドを実行しないと,HiRDBが停止するまで統計情報を出力し続けます。
  4. 出力される統計情報と-sオプションとの組み合わせによって,出力される統計情報が異なります。出力される統計情報と-sオプションとの関係(HiRDB/シングルサーバの場合)を表2-27,(HiRDB/パラレルサーバの場合)を表2-28に示します。

    表2-27 出力される統計情報と-sオプションとの関係(HiRDB/シングルサーバの場合)

    統計情報種別 -sオプションで指定したサーバ(シングルサーバ)
    sys
    uap
    sql
    sqh
    buf
    fil
    dfw
    idx
    sop
    dop
    pcd
    obj ×
    fsv ×
    hba ×

(凡例)
○:統計情報を出力します。
×:統計情報を出力しません。

表2-28 出力される統計情報と-sオプションとの関係(HiRDB/パラレルサーバの場合)

統計情報種別 -sオプションで指定したサーバ
フロントエンドサーバ ディクショナリサーバ バックエンドサーバ
sys
uap × ×
sql × ×
sqh × ×
buf ×
fil ×
dfw ×
idx ×
sop × ×
dop × ×
pcd
obj ×
fsv × ×
hba × ×

(凡例)
○:統計情報を出力します。
×:統計情報を出力しません。

注意事項

  1. pdstbeginコマンドのリターンコードを次に示します。
    0:正常終了
    4:一部ユニットだけ正常終了
    8:異常終了(オプション指定不正,rsh失敗など)
  2. pdstbeginコマンドは,コマンド名pdststartでも実行できます。
  3. ユニット内のサーバがすべて停止している場合,ユニットの統計情報は取得されません。
  4. HiRDB/パラレルサーバでシステムマネジャだけのユニット(同じユニットにフロントエンドサーバ,バックエンドサーバ,又はディクショナリサーバがない)の場合,このユニットの統計情報は取得されません。
  5. 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能を適用したユニットで,ユニット内に実行系として稼働しているサーバが存在しない場合,このユニットの統計情報は取得されません。
  6. サーバのsys(システムの稼働に関する統計情報)の取得を開始すると,ユニットのsysの取得も開始します。
  7. HiRDBを終了し,再度開始した場合,統計情報の出力は引き継がれません。したがって,HiRDB開始後に統計情報を出力したい場合は,再度pdstbeginコマンドを実行してください。
  8. サーバを一度終了すると,サーバの正常開始時には統計情報の出力は引き継がれません。一度終了したサーバの統計情報を出力したい場合は,サーバの正常開始後にpdstbeginコマンドを実行してください。
  9. 統計情報が出力中かどうかについては,pdls -d stjコマンドを実行してください。
  10. UAPに関する統計情報は,pdstbeginコマンドの入力からpdstendコマンドの入力までに実行していたUAPについてだけ出力します。また,OLTP環境下で実行しているUAPではpdstbeginコマンドの入力からpdstendコマンドの入力までに実行したトランザクションについてだけ,UAPに関する統計情報を出力します。
  11. SQLに関する統計情報は,pdstbeginコマンドの入力からpdstendコマンドの入力までに実行したSQLについてだけ出力されます。
  12. UAPに関する統計情報とSQLに関する統計情報は,pdstbegin及びpdstendコマンドを入力するタイミングによっては情報が一致しない場合があります。出力される統計情報と,pdstbegin,pdstendコマンドの入力との関係を次の図に示します。

    図2-13 出力される統計情報と,pdstbegin,pdstendコマンドの入力との関係

    [図データ]

  13. 統計情報の出力契機を次に示します。
    sys
    -mオプションに指定した時間間隔ごとに情報を出力します。
    uap
    HiRDBへの接続時及びHiRDBからの切離し時に情報を出力します。
    sql
    SQLの実行開始時及びSQLの実行終了時に情報を出力します。
    sqh
    PREPARE時及び埋込み型SQL文の実行時に情報を出力します。
    buf,fil,dfw,idx
    シンクポイント時に情報を出力します。
    sop
    動的SQLの前処理時,及び静的SQLの前処理時に,SQLオブジェクトがSQLオブジェクト用バッファにヒットしなかった場合に情報を出力します。
    dop
    FETCH文及びCLOSE文以外のSQL文を実行したときに情報を出力します。
    pcd
    SQLオブジェクトの実行時に情報を出力します。
    obj
    ディクショナリサーバ,及びバックエンドサーバでSQLオブジェクトの実行要求時に情報を出力します。
    fsv
    トランザクション終了時に情報を出力します。
    hba
    外部サーバに対するSQL実行時に情報を出力します。
  14. 次に示す統計情報は,シンクポイント時に取得され,シンクポイント間の情報が編集されます。このため,シンクポイントが2回以上発生しないと統計情報が取得されません。
    • グローバルバッファプールに関する統計情報
    • データベース操作に関するHiRDBファイルの統計情報
    • デファードライト処理に関する統計情報
    • インデクスに関する統計情報
    これらの統計情報を取得するためには,pdstbeginコマンド実行直後と,pdstendコマンド実行直前に,pdlogswapコマンドを実行してシンクポイントを発生させる必要があります。
  15. SQL文の履歴に関する統計情報は,SQLに関する統計情報出力が指定されている場合に出力されます。
  16. 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能を適用している場合,pdstbeginコマンド実行後で,かつpdstend実行前に再開始が発生すると,再開始後も再開始前と同じ統計情報が出力されます。また,pdstbeginコマンド実行後で,かつpdstend実行前に系切り替えが発生すると,障害が発生したユニットで実行系として稼働していたサーバについては,切り替え先の受け入れユニットでも切り替え前と同じ統計情報が出力されます。統計情報の出力を停止する場合は,pdstendコマンドを実行してください。
  17. 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能を適用している場合,-x,又は-uオプションを指定するときは,系切り替えの前後でpdstbeginコマンドの実行対象が異なります。pdstbeginコマンドの実行対象は次のようになります。
    サーバの種別 サーバの状態 実行対象
    ホストBES 実行中
    待機中 ×
    ゲストBES 実行中
    受け入れ可能状態 ×

    (凡例)
    ○:実行できます。
    ×:実行できません。KFPS01882-Eメッセージを表示します。

  18. 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能を適用している場合,-x,又は-uオプションと,-sオプションを同時に指定したときの注意事項を次に示します。
    • pdstbeginコマンド実行時点で,-x,又は-uオプションに指定したユニットと,-sオプションで指定したバックエンドサーバが稼働中の場合,統計情報の取得を開始します。
    • -sオプションで指定したバックエンドサーバが-x,又は-uオプションで指定したユニットで稼働していない場合,KFPS01882-Eメッセージを表示してエラー終了します。
      バックエンドサーバが稼働しているユニットをpdls -d svrコマンドで確認した後,pdstbeginコマンドを再実行して下さい。