スケーラブルデータベースサーバ HiRDB Version 8 システム定義(UNIX(R)用)

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8.2.3 システム監視に関するオペランド

11) pd_spd_syncpoint_skip_limit = シンクポイントダンプ有効化処理のスキップ回数上限値
〜<符号なし整数>((0,2〜100000))
UAPの無限ループなどが発生すると,シンクポイントダンプの有効化処理ができずにスキップされることがあります。シンクポイントダンプの有効化処理が連続してスキップされると,上書きできない状態のシステムログファイルが増えます。このため,システムログファイルの容量不足などが発生し,ユニットが異常終了する場合があります。
また,上書きできない状態のシステムログファイルが,全システムログファイルの半分以上になったときにHiRDBが異常終了又は強制終了すると,HiRDBを再開始するときのロールバック処理でシステムログファイルが不足します。
この場合,システムログファイルを新規追加しないと,HiRDBを再開始できません。そして,この再開始処理に要する時間も長くなります。
このオペランドでは,シンクポイントダンプの有効化処理がスキップされる回数(1トランザクション中のスキップ回数)の上限値を指定します。シンクポイントダンプの有効化処理がスキップされた回数がこのオペランドで指定した値に達すると,対象トランザクションを強制的に中断してロールバックをします。これをシンクポイントダンプ有効化のスキップ回数監視機能といいます。
なお,ログ同期方式のリアルタイムSANレプリケーションを使用している場合,ログ適用サイトでは,このオペランドの指定値に関係なくシンクポイントダンプ有効化のスキップ回数監視機能は使用できません。
シンクポイントダンプ有効化のスキップ回数監視機能については,マニュアル「HiRDB Version 8 システム運用ガイド」を参照してください。
《利点》
このオペランドを指定すると,UAPの無限ループなどを防止できます。
《指定値の目安》
通常は0を指定してください。0を指定すると,スキップ回数の上限値をHiRDBが計算します。0を指定して不都合が発生した場合,又はKFPS02101-Iメッセージが出力された場合に,このオペランドの値を変更してください。そのときの指定値の目安については,マニュアル「HiRDB Version 8 システム運用ガイド」を参照してください。
《オペランドの省略値》
このオペランドを省略すると,サーバ共通定義の同じオペランドの指定値が有効となります。サーバ共通定義の同じオペランドも省略すると,シンクポイントダンプ有効化のスキップ回数監視機能を使用しません。
《注意事項》
  • このオペランドを指定すると,ログレスモードで実行しているUAPも監視対象になります。ログレスモードで実行しているUAPの処理が中断すると,データベースを自動回復できないためRDエリアを障害閉塞します。このため,上限値の設定に際しては,ログレスモードで実行するUAPのトランザクション処理中に,該当するサーバ内のほかのトランザクションから出力されるシステムログ量も考慮に入れてください。
  • pdload,pdmod,pdrorg,pdexp,pddbst,pdgetcst,pdrbal,pdvrup,及びpdmemdbコマンドはこの機能の監視対象外になります。

 

12) pd_dfw_syncpoint_skip_limit = デファードライト処理によるシンクポイントダンプ取得遅延に伴うシンクポイントダンプ有効化処理のスキップ回数上限値
〜<符号なし整数>((0〜100000))
シンクポイントダンプの取得間隔内でデファードライト処理が終了する前にシンクポイントになると,シンクポイントダンプの有効化処理ができずにスキップされます。これは,デファードライト処理によってシンクポイントダンプの取得が遅れることで,シンクポイントで出力される更新バッファ数がシンクポイントダンプの取得間隔内で出力できる更新バッファ数を超えるためです。
シンクポイントダンプの有効化処理が連続してスキップされると,上書きできない状態のシステムログファイルが増えます。このため,システムログファイルの容量不足などが発生し,ユニットが異常終了する場合があります。
このオペランドでは,デファードライト処理によってシンクポイントダンプの取得が遅れた場合に,シンクポイントダンプの有効化処理がスキップされる回数(1トランザクション中のスキップ回数)の上限値を指定します。
デファードライト処理によってシンクポイントダンプの有効化処理がスキップされた回数がこのオペランドで指定した値に達すると,シンクポイントダンプの取得間隔内でシンクポイントダンプの取得が完了するように,HiRDBが更新バッファ数の上限値を決定します。そして,更新バッファ数が上限値を超えた時点で最も古い更新バッファを出力して,シンクポイント時の更新バッファ総量を制限します。これを更新バッファ量抑制機能といいます。
《利点》
シンクポイントダンプの取得間隔内でデファードライト処理が終了する前にシンクポイントになることで発生する,ユニット異常終了を回避できます。
《指定値の目安》
通常はこのオペランドを省略してください。更新処理のスループットを低下させてでも,シンクポイントダンプの取得間隔内でデファードライト処理が終了する前にシンクポイントになることで発生するユニット異常終了を回避したい場合に,1を指定します。
許容できるシンクポイントダンプの有効化処理のスキップ回数がログ容量などから分かる場合は,その回数を指定します。
《オペランドの省略値》
このオペランドを省略すると,サーバ共通定義の同じオペランドの指定値が有効となります。サーバ共通定義の同じオペランドも省略すると,0が仮定されます。
《オペランドの規則》
このオペランドに0を指定すると,更新バッファ量抑制機能を使用しません。
《注意事項》
更新バッファ量抑制機能の有効期間について,注意事項を次に示します。なお,更新バッファ量抑制機能の有効期間とは,KFPH23035-Iメッセージが出力されてからKFPH23036-Iメッセージが出力されるまでの間です。
  • 更新バッファ数が,HiRDBが決定した更新バッファの上限値を超えている場合,更新処理の実行後に更新バッファを出力するため,更新処理のスループットが低下します。HiRDBが決定する更新バッファの上限値は,次の計算式で求められます。
     
    (シンクポイントインターバル時間÷WRITE単価
    ×(1−(前回のシンクポイントからプレシンクまでのログ出力量÷シンクポイント間のログ出力量)
    ×(バッファプールのバッファ面数÷シンクポイントで更新があったバッファプールの総バッファ面数)
     
    注※ WRITE単価についての詳細は,マニュアル「HiRDB Version 8 システム運用ガイド」を参照してください。
  • pd_dbbuff_rate_updpageオペランド,又はpdbuffer -yオペランドによってデファードライトトリガのトリガ契機を指定している場合,それぞれの指定値が,HiRDBが決定した更新バッファの上限値より大きくなると,HiRDBが決定した更新バッファの上限値をデファードライトトリガのトリガ契機となる更新バッファ数に変更します。
    また,pdbuffer -wオペランドの値は,各バッファの更新バッファ上限値まで出力されるように自動調整されます。
  • シンクポイントダンプの有効化処理がスキップした場合,シンクポイント時の更新バッファ出力処理中に検知されます。そのため,更新バッファ量抑制機能が有効となる時期は,シンクポイントダンプの有効化処理がスキップされ,エラーメッセージが出力されるときよりも後になる場合があります。
  • 通常,並列write機能使用時のシンクポイント処理では各デファードライト処理用並列WRITEプロセスに対する出力要求はシンクポイントごとに1回ですが,更新バッファ量抑制機能使用時はシンクポイントスキップの検出を早めるため複数回に分割して行われます。