スケーラブルデータベースサーバ HiRDB Version 8 解説(UNIX(R)用)
HiRDBが異常終了したときにシステムログだけで回復処理をすると,HiRDBを開始した時点からの全システムログが必要となり,システムの回復に多大な時間が掛かります。そこで,HiRDBの稼働中に一定の間隔でポイント(シンクポイント)を設けて,そのポイントで回復時に必要な管理情報(シンクポイントダンプ)を保存します。そうすると,シンクポイント以前のシステムログが不要になるため,システムの回復時間を短縮できます。
HiRDBは前回のシンクポイント以降又はHiRDB開始以降のデータベース更新内容をシンクポイント時にデータベースに反映します。HiRDB管理者は,障害発生に備えてシンクポイントダンプファイルを作成してください。
HiRDBはシンクポイントダンプファイルをファイルグループという論理的な単位で運用します。一つのファイルグループは一つ又は二つのシンクポイントダンプファイルで構成されます。二つのシンクポイントダンプファイルで構成することをシンクポイントダンプファイルの二重化といい,それぞれのシンクポイントダンプファイルをA系,B系と呼んで区別します。シンクポイントダンプファイルを二重化すると,HiRDBは両方の系に同じ内容のシンクポイントダンプを取得します。片方のファイルに異常が発生しても,もう一方のファイルがあるため,システムの信頼性を向上できます。シンクポイントダンプファイルの構成を次の図に示します。
図6-3 シンクポイントダンプファイルの構成
シンクポイントダンプファイルに障害が発生して最新世代のファイルを読み込めない場合は,1世代前のファイルを読み込みます。1世代前のファイルも読み込めない場合は,もう1世代前のファイルを読み込みます。このように,ファイルを読み込めない場合は世代をさかのぼっていきます。
有効保証世代数とは,幾つ前の世代までのシンクポイントダンプファイルを上書きできない状態にするかです。例えば,有効保証世代数を2とした場合,2世代前(最新世代とその一つ前の世代)までのシンクポイントダンプファイルを上書きできない状態にします。したがって,有効保証世代数を多くすれば,シンクポイントダンプファイルに障害が発生しても,有効保証世代数分のシンクポイントダンプファイルは必ず使用できるため,システムの信頼性を向上できます。
なお,シンクポイントダンプファイル数は有効保証世代数+1個必要になります。
pdloginitコマンドでシンクポイントダンプファイルを作成します。また,HiRDBシステム定義の次に示すオペランドを指定してシンクポイントダンプファイルを使用できる状態にしてください。
シンクポイントダンプファイルの設計及び作成方法についてはマニュアル「HiRDB Version 8 システム導入・設計ガイド」を,シンクポイントダンプファイルの運用方法についてはマニュアル「HiRDB Version 8 システム運用ガイド」を参照してください。
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